男の痰壺

映画の感想中心です

映画2014

ヴィンセントが教えてくれたこと

★★★★ 2016年2月27日(土) パルシネマ 演技力もルックスも個性も無く何故人気があるのか。THEビル・マーレイショー。彼の一挙手一投足を堪能する。人生の終盤を迎えた時にその自覚も反省も感慨も無いまま永続するスローライフ。少年によりピックアップさ…

しあわせへのまわり道

★★★★ 2016年2月27日(土) パルシネマ 熟年期も終わり近いツンデレ男女の徐々に融解しゆく心の肌理を描くが、2人とも何だかんだいって可愛いく笑える。キングスレーのピンクターバンが厳格の下のハートマークを表象。でも現実はそんなには上手くいかないの…

技術者たち

★★ 2016年3月12日(土) 新世界国際 ジャンルの形骸的継ぎ接ぎでしかないし哀しいくらいにライト。韓国映画の魅力であるしつこさが見られずスカスカに流れていくだけ。主演のウビンは悦に入って大見得を切ってるが守備範囲は狭そう。ターゲットの特異性だけ…

ギヴァー 記憶を注ぐ者

★★★ 2016年4月9日(土) 新世界国際 100回くらい観た感ある管理された未来社会とその中での「これでいいのか俺(たち)」的自我の芽生えを描いてるが、何の新味もござらん。哀しみがあってこその喜びであり苦痛があってこその快楽なのだよという自明の理…

ゾンビスクール!

★★ 2016年7月9日(土) 新世界国際 覚悟をもって作られたもんではないことは百も承知だが、にしても子供に遠慮しすぎで幼稚園のお遊戯会を見てるよう。どうせならガキゾンビを八つ裂きにし首すっ飛びーの手足引き千切りーのくらいやったらどやねん。こいつら…

アトリエの春、昼下がりの裸婦

★★★ 2016年8月20日(土) 新世界国際 創作という作業にリヴェットやエリセ並みに真摯なわけでも当然ない。仄かといっていいモデルとの関係性にエロスも介在しない。だが煮え切らぬ三角関係は死へと向かう諦念めいたタナトスが浄化するだろう。そういう無常と…

マーシュランド

★★★★ 2016年7月9日(土) 新世界国際 映像主義的皮相に陥りそうな作風だがポン・ジュノ的に風土が産む闇への親和傾向が現出しリンチ的に何重にも錯綜した混沌を呈するあたり、一筋縄でいかない。ただ、うっちゃりめいた終局は更なる闇を深化させる同時にどっ…

獣は月夜に夢を見る

★★★ 2016年7月23日(土) 新世界国際劇場 ジャンルムービーとして新しい見どころは取り立てて無いのだが北欧の漁村の寒々しい風情が良い。特に地場の水産加工場を主舞台とした点で虚構は生臭いリアリズムを足掛かりに土着的なフォークロワへと近似する。主演…

ヤング・アダルト・ニューヨーク

★★★★ 2016年10月22日(土) 新世界国際 まがりなりにも先頭を走ってきたつもりで自負もある。 若い世代を中二病だとか揶揄してみても所詮は似たり寄ったりだったのだ。 ジェネレーションXの突端に位置する者として身が切られる。 なめてかかった若造どもが結…

白ゆき姫殺人事件

★★★★ 2014年3月30日(日) MOVIXあまがさき1 これ見よがしに「ツイッター」や「ワイドショー」という武器を並べてみたがロクに使わず仕舞で戦いは終わった。シュアに今を抉るセンスは無い。代わりに赤川次郎的昭和思春期因縁話を泥臭さを厭わずに無理…

円卓 こっこ、ひと夏のイマジン

★★★ 2014年6月23日(月) TOHOシネマズ梅田3 「不整脈」はまだしも「在日」・「ボートピープル」をカッコイイと言う裏の裏的西加奈子流レトリックはその先を提示しないので宙に浮く。七福神・鹿・鼠人間など多分に象徴への逃げっぽい。ただ、目の下を赤…

ニード・フォー・スピード

★★★ 2014年7月4日(金) なんばパークスシネマ10 ほんまにCG無しかいなという疑惑が頭をもたげないでもないのだが、中盤のタイムトライアル的大陸横断疾走が否が応でも『バニシング・ポイント』を懐旧させつつ、イモージェン嬢の加速的な魅力増大が色を…

渇き。

★★★★ 2014年7月14日(月) 大阪ステーションシティシネマ10 善悪・正邪はともかくとして登場人物皆ロジックが一貫してるのだが、一貫しすぎて物語が単線的にしか転がらないのがつまらなく、ましてやあの帰結はないやろ思うのだが、そこを補うべく投入され…

LUCY ルーシー

★★★ 2014年8月29日(金) TOHOシネマズ梅田2 エイゼンシュテインも墓場で真っ青な冒頭のチーターモンタージュを気力で乗り越えると後はどうなっても平気だった。寧ろ無心でスカヨハのおっぱい調度いいでかさだなとかに念を注力した。ただ、ミンスクがど…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

★★★ 2014年9月14日(日) MOVIXあまがさき10 1人カラオケしつつのオーブ奪取の掴みが良く、面子が揃うまでは流れも快適だが、揃ってからは毎度の悪の枢軸VS連合軍的定番戦争の善良サイドの尖兵と化して新味も失せる。惑星ザンダー上空の陽光下の…

TOKYO TRIBE

★★★★ 2014年9月6日(土) 梅田ブルク7シアター5 6トライブの混沌戦ではなく所詮単体極悪VS良い子グループでしかない芸無い展開にそれでも磁力付与するラップアイデアが『愛と誠』と並ぶ。力・叶・翔子の3馬鹿をギャグ化寸前で押止める窪塚と新星菜名&…

ジャージー・ボーイズ

★★★ 2014年10月5日(日) MOVIXあまがさき3 イーストウッド主モチーフであるところの怒りの要素は希釈され尚演出家としての破綻がない分毒にも薬にもならない。コマ劇場でのヒット歌謡ショー「クールファイブ物語」米版的如才の無さで楽しい時間だ…

舞妓はレディ

★★★★ 2014年10月6日(月) TOHOシネマズ梅田7 エッジ効かせるなんて野暮どすえと言う映画内コンセプトを作劇にも応用したか知らんが絶妙の緩さ。萌音ちゃんの垢抜けし行く様は本家を遥か凌駕しオジサンの萌え心を擽り、スペイン平野は京都盆地に時空を…

イコライザー

★★★★ 2014年11月6日(木) 大阪ステーションシティシネマ11 全ての男どもが思い描く夢の最大公約数を具現化するに全く躊躇せず工芸品を愛しむように丹念に磨き上げられた世界。この微妙な過剰さの匙加減がフークワの特質だろう。終盤のそこまでいっちゃう…

紙の月

★★★★ 2014年11月16日(日) MOVIXあまがさき6 境界を踏み越えてしまう女心が十全に描かれぬのは良しとしても、どうにもりえの疲弊が出すぎて痛々しい。だから単なるバカ女に見えてしまう。一方、相変わらず演出はキザで随所で小粋な画をみせるのは一応…

日々ロック

★★★★ 2014年11月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 お姫様をめぐる3馬鹿トリオはたのきん映画みたいなベタさであるが、ウザさ臨界線上な野村の演技がそれでも取り敢えずの強度を映画に付与し物語を強引に牽引した挙句のクライマックスは爆裂的だ。…

ゴーン・ガール

★★★★★ 2014年12月14日(日) MOVIXあまがさき9 想定の範囲を遥か凌駕した転がりを見せる傑作脚本に対し徹底した即物描写に終始するフィンチャーの枯淡と言えなくもない境地は悪くない。だが、映画史に刻印されるファムファタールをスッピンと決めメイ…

自由が丘で

★★★★★ 2015年1月12日(月) シネマート心斎橋1 ラストに置換されたムン・ソリ退場の切ないまでの情感を全篇の時制シャッフルが軽やかに担保する。恋人に会えぬ煩悶や恋人がいない孤独を底流に湛えつつ、しかし一見無為に見える日々の営為を慈しむかのような…

シン・シティ 復讐の女神

★★★ 2015年1月23日(金) TOHOシネマズ梅田6 浮浪者狩りの糞ガキを狩るロークの掴みやカードやコイン技の一挙手一投足の末端まで気合を漲らせるレヴィットの至芸と出だしは良いが、肝心のジェシカに切ないまでの悲哀がエヴァに悩殺的な色香が無く予定調和な…

マップ・トゥ・ザ・スターズ

★★ 2015年1月17日(土) テアトル梅田1 ハリウッド言うても片隅が舞台の旧態な因縁話で描かれる毒に新味がない。西海岸の乾いた陽光をサスチツキーは平板にしか捉えられず、しょんべん臭いヘタレガキも半端である。『サンセット』の魑魅魍魎ヤ『イナゴ』の…

さらば、愛の言葉よ

★★★ 2015年2月7日(土) シネリーブル梅田1 「愛」と「言葉」について語り続けてきた男が決別を言う程の感慨もなく本気かも怪しい醒めた世界は、しかし溜らぬ冷えた情感が覆う。レマン湖を揺蕩うフェリーを筆頭に水が印象的だ。『メイドインUSA』的ギャ…

アメリカン・スナイパー

★★★ 2015年2月24日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 イーストウッド版『グリーンベレー』とまでは言わぬが矢張り9・11を起点とした報復論理で捉えた戦争は自国民の犠牲という帰結への詠嘆では事足りぬ。砦からの脱出ばりのクライマックスも陳腐。イ…

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

★★★ 2015年3月18日(水) TOHOシネマズ梅田7 エニグマ解読の軌跡は幾何学図形やレトロCPの形象の珍奇さで誤魔化され結局決め手はそんなことかいという落胆。文系男子が理系題材を調理したってこの程度かと思う。終盤、大局的非情と性嗜好の露見が錯綜する…

マジック・イン・ムーンライト

★★★★★ 2015年4月17日(金) MOVIXあまがさき9 最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好…

新宿スワン

★★★★★ 2015年6月7日(日) MOVIXあまがさき3 ハウツー&成長譚のおそろしく古式床しい物語で主人公の少年漫画的一本気な価値観が強度を倍加させている。金子の胡散臭さと深水の狂犬ぶりが嬉しく70年代的で一旦中二サイドに陥りかけた流れを切り返した園演…