男の痰壺

映画の感想中心です

映画1990

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少年時代

★★★★★ 2026年9月4日(金) シネヌーヴォ 若い頃に「夜叉ヶ池」と「鑓の権三」を見て、「篠田正浩性に合わない」との思いが高じて「松竹ヌーベルバーグの日和見迎合者」の烙印を密かに押していた。なので、80年~90年代の晩年期の作品の高評価と興行的成…

夢

★★ 1990年○月○日 ○○劇場 1・2話は覗き見るという視線の映画的効用と児戯性が題材に相応で良い。しかし3・4・5話の異端性の弾けないことがエッジの喪失を感じさせ、6話以降は凡庸なメッセージに映画は牛耳られる。それはストレートと言うより幼稚でさえ…

3-4X10月

★★★★★ 1995年2月12日(日) ACTシネマテーク 平素がどうであれ男達が有する内に秘めた怖さの突発的表出に対する既視感を繰り返しクローズアップ。わけてもたけし・渡嘉敷コンビの個人史に基づくリアリティが傑出してる。シュールな展開も脳内組成でない肌感…

女帝 春日局

★★★ 1995年2月19日(日) 新世界東映 「女帝」としての覇権を得るまでの話であって題名に偽り有りだと思うのだが、まあ、それなりにはおもろい。脇での名取・草笛の老若老練コンビが良く、十朱1枚看板では苦しいところを好サポート。しかし、思うのだが、大奥…

血祭の朝

★★★ 1994年4月2日(土) みなみ会館 良くも悪くも優等生的であり、小綺麗にまとまっているものの、話法が妙にこなれ過ぎてて却って面白みがない。本来もっと激しく骨太で土俗的にプリミティブであって欲しかったと思わせる題材であるし、阿るだけで批評性が無…

髪結いの亭主

★★★★ 1992年10月4日(日) 大毎地下劇場 時間的な頃合いといい出来良い短篇小説の趣があり映画としてのバランスはパーフェクトなものだが、完璧すぎてあまりに夾雑物がなくこれでええのかと戸惑う。幾つもの謎は放置されたまま踊るしかないのかと煙に巻かれる…

スタン・ザ・フラッシャー

★★★★★ 2002年10月11日(金) 扇町ミュージアムスクエア 他律的に壊れていく男を描いた映画は山ほどあるが、自覚し受容し淡々と運命を受け入れるこの中年禿デブおっさんは何処か哀しく愛おしい。縦構図の充足感とドレスの少女を始め充血眼のゲンズブールに至る…

カナディアン・エクスプレス

★★★★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 深夜の片田舎の駅の風情など列車ものの情緒が過不足なく織り込まれ、ほぼノンストップで突っ走るアクション映画の佳作。ハックマンの安定感で物語の重心も素晴らしく据わる。撮影も兼務し全てを弁えたハイアムズの娯楽…

自転車吐息

★★★★ 2002年12月13日(金) 扇町ミュージアムスクエア 閉塞状況から逃れ得なくば人は逃避し破壊し、さもなくば自壊する。自壊男に殉教する男が縋る「透明ランナー」は所詮幻影。妹が「ざけんじゃねえ」と街の喧噪に突き進むのが救い。青臭くてたまらん部分も多…

ふうせん

★ 1993年6月26日(土) 天六ユウラク座 それしかないから稼業に身を窶すのであってフリーター感覚で何時でもおさらばなぞと冗談も大概にしさらせ。柄でもない今風2枚目2人が腰の座らぬ稼業風を吹かしうざったいことこの上なく挙句に純情恋のトライアングル芝…

欲望の翼

★★★★★ 1993年8月6日(金) みなみ会館 隔絶された虚空間で、或いは夜の静寂で決してクロスしない5人の男女の想い。登場人物たちの息詰まりそうな閉塞感を亜熱帯林に舞台を移して解放するかに見えた語り部の視座が突如、神の視座に飛躍するかのようなラスト。…

激動の1750日

★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 「実録」的題材なのだが、あくまで筋を通そうとする中井貴一の立姿は「任侠」のそれであり安定感がある。組織もへったくれもない個のドラマツルギーに矮小化されゆく90年代実録路線の端境期に位置する70年代の残り香。…

島国根性

★★★★★ 1993年8月5日(木) ゆやホール 極めて日本的私小説世界を描いても他の同系作品から遙かな地平に到達し得たのは渡辺文樹作であったという1点に尽きるとは思うが、とにかく腹を抱える事請け合いの抱腹絶倒ムービー。全てを曝け出すこいつの前で小手先の…

客途秋恨

★★ 1993年8月8日(日) みなみ会館 民族史的アイデンティティを問うのに母娘の確執に集約するのであれば、いっそのことベタな情感に流れても良かったのではないだろうか。静謐にクールであることで何も浮かび上がってこないし見えてもこない。良い題材だとは思…

コントラクト・キラー

★★★★★ 1993年12月27日(月) ACTシネマテーク こういう芸当が出来るのであればカウリスマキも閉じた自家籠中の世界に拘泥せずに、もっと芸域を広げられる筈とも思わせる。神経症的な緻密さと縦移動を始めとした技巧が冴えわたる珠玉作。(cinemascape) kenir…

背徳の仮面

★★★ 1992年2月2日(日) 新世界国際劇場 こんなんあり得んと思いつつ「いや、もしかして」と思わせられるところが気が重く低予算故の裏寂しさがその思いを倍化させる。どうせサイコ展開になるんだろと思ってたら、ならないのも好感を持った。サスペンスとして…

推定無罪

★★ 1992年2月16日(日) 新世界国際劇場 スタッフ・キャストの面子だけはやたら揃えたが斜陽パクラの下では緩い映画にしかならなかった。振り回されるだけのフォードに主役としての精彩無く木偶の坊と化する。デネヒー、スカッキの欧州勢登用もこうも役が仕様…

マッチ工場の少女

★★★★★ 1992年4月21日(火) シネマヴェリテ 予想を超えた不幸の連鎖に対するに、生態観察するが如き視線の冷淡だが、そこはかとない微妙なユーモアが感じられる。そこがブレッソン的冷徹と差異化する。日常的地獄を越境して達する更なる次元。そのことを描くこ…

柔らかい殻

★★ 1992年3月28日(土) シネマヴェリテ アメリカの片田舎の黄金色の麦畑と猟奇的な子供殺しや、あくまで明晰な陽光と悪魔儀式めいた室内描写等、解像度の良すぎるフィルムの中の2項対立が全く心に沁みて来ず、これ見よがしにしか思えないのは、アイデア先行…

絶叫屋敷へいらっしゃい!

★★★★ 1992年4月29日(水) トビタシネマ 場末の遊園地の鄙びたお化け屋敷の趣。そう思って入ってみれば意外に凝った仕掛けや芸根性を究めたスタッフの満点サービスに拾い物をした喜びに充たされる。キャンディの至芸を筆頭に腐りかけの果実の旨味を満喫できる…

男はつらいよ 寅次郎の休日

★★★ 1992年8月9日(日) 日劇会館 寅どころか満男さえも脇役に甘んじるゴクミシリーズ2作目にして彼女1本かぶりのお話なのだが、それが又何ともありきたりのファザコン内容で、狼狽するだけの唐変木満男に鬱憤が蓄積し寅は寅で夏木マリから歯牙にもかけられ…

シェルタリング・スカイ

★★★★★ 1992年5月15日(金) 毎日文化ホール 愛の儚い残滓を観念で希求しても、結局その不在を確認する道行でしかない。相手の死により終焉するどころか、最果ての砂漠の深遠に埋没し、その先の行くところまで行く。この感覚が堪らない。『ラストタンゴ・イン・…

ダリ天才日記

★★ 1992年6月20日(土) 祇園会館 彼を描きたいのか時代を描きたいのかというコンセプトを曖昧にしたまま、結局は後に付加されたスキャンダリズムに依存しているのでどうにも冴えない。シュールレアリズムが生き様をも規定する本質は解き明かされることはなか…

エンジェル・アット・マイ・テーブル

★★★★ 1992年7月5日(日) みなみ会館 作者のリアルタイムに近似となる成年期よりも幼年時代が輝くのは年代記ものの宿命なのだろうが、ノスタルジイにオブラートされただけでなく、演出は文句無くオリジナルな個性を感じさせた。とりわけロングはどのショットも…

タクシー・ブルース

★★★ 1992年9月12日(土) 毎日文化ホール マッチョで愚直で体制的なのと腺病質で不真面目で反体制な2項対立が配置されるが、どっちもどっちで相当に嫌な野郎なのが新味とも言える。ペレストロイカがもたらす自由とデカダンの萌芽が生硬な図式を氷解させても困…

ロボコップ2

★★★ 1992年10月10日(土) 新世界国際劇場 前作以上の世紀末的ムードが魅力と言えば魅力だし特撮も上々なのだが、えげつないキャラがオンパレードで余りに遣りきれない気分にさせられる。それが加速され突き抜ければカルティックな評価にも至ろうが御用監督と…

フールズ・オブ・フォーチュン

★★ 1992年12月6日(日) 大毎地下劇場 E・M・フォスター原作の映画みたいな雰囲気で始まったのが、いつの間にやら通俗的な復讐譚になる。展開の綾に欠けるので置いてけぼりを喰ったかのような感情移入のし難さだ。それを今いち魅力に欠く役者たちが演じ何を…

レッド・オクトーバーを追え!

★★★ 1991年1月19日(土) 高槻セントラル ポリティカルな虚々実々の駆け引きの醍醐味が不足しているから今ひとつ盛り上がらない。コネリーのヒロイズムを立てすぎたので文官ジャック・ライアンが霞む。撮影を含め1級の出来だけに惜しい。脇ではスコット・グレ…

トータル・リコール

★★★ 1991年2月6日(水) 梅田スカラ座 仮想と現実の相互侵蝕など面倒とばかりに目ん玉ビヨーンやおっぱいビローンとかの方へと向かうバーホーベンの関心ベクトル。だが一方でその生来の胡散臭さが随所でモノマニアックに表出するのがキッチュだ。額の汗や自壊…

ホワイトハンター ブラックハート

★★ 1991年2月24日(日) 新世界国際劇場 『アフリカの女王』製作裏話的なケレンとハッタリが全く無いところを良いと思うか物足りないと思うかだが、50年代ハリウッドの豊穣さを期待するとうそ寒い。撮影そっちのけで象ハンティングに没頭する映画監督の心の…