男の痰壺

映画の感想中心です

映画1984

アントニー・ガウディー

★★★ 2026年2月3日(火) シネヌーヴォ 1960年代に勅使河原宏が16ミリで個人的に撮って放っぽらかしてものに、24年後新たに35ミリで撮ったものを継ぎ足したらしい。 ガウディと言えばサグラダファミリアしか知りませんし、世間の関心も概ねそこにし…

逆噴射家族

★★★★ 2018年9月9日(日) シネヌーヴォ あー…やっぱ今更見る映画じゃなかったかも。 と見始めて、そんなことを思ったりもした。 色褪せ感というか救い難いズレ感が横溢する。 ATG大全集という企画で見たのだが、むしろ製作に長谷川和彦と高橋伴明がクレジッ…

わが友イワン・ラプシン

★★★ 2015年4月21日(火) シネヌーヴォ 一体何を描きたく何が描かれてるのか判別しかねる状況が続いていくが、中盤の逮捕騒動あたりから終盤にかけ侘しい日々の中にもあったであろう詩情のようなものが追憶の彼方から浮かびあがる。ミハルコフのような楽隊列…

ストップ・メイキング・センス

★★★★★ 2024年2月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 正直、トーキング・ヘッズにほとんど関心もなかったし、故に楽曲も全く知りません。にもかかわらず、この映画には興奮した。噂に違わぬ傑作だと思います。 「博士の異常な愛情」が印象深いパブロ・…

ときめきに死す

★★★ 2023年9月15日(金) シネヌーヴォ 見逃していてずーっと見たかった作品だが、やはり40年も経ってしまうと鮮度落ちは拭いがたかった。 【以下ネタバレです】 暗殺者の話で、決行までの時間を描いている。殊更に準備するでもなく、ダラダラとした時間が…

エレメント・オブ・クライム

★★★ 2023年7月7日(金) シネリーブル梅田3 見てから3週間も経ってしまってどんな映画だったのか殆ど忘れた。粗筋を読んでみたがそんな内容だったのかい、と今更思ったり。体調も悪くて1/3くらい半覚醒状態だった気もします。 始まってしばらくは、いま…

黄色い大地

★★★★ 1998年11月7日(土) シネヌーヴォ 孤絶し閉塞された地域社会の一端に風穴を開け清新な風を吹き込めば、やがては変わっていくであろう因習。しかし、風に触れた少女も父親も弟も余りに無力であった。歴史の中に埋没した数多の名も無き弱者への思い。父と…

殺し屋たちの挽歌

★★★★ 2022年10月24日(月) シネリーブル梅田3 殺し屋とかギャングとかの描写がタランティーノ以降で人間性を加味されて大きく変容したと思っていて、それまではニヒルで寡黙な一匹狼と大方相場は決まっていたのである。 1984年の本作はスティーヴン・…

ゴダールのマリア

★★ 1994年2月24日(木) テアトル梅田2 ミエビユ篇はフランス映画らしい少女期のひとコマをすくい上げた愛らしさがあるのだが、ゴダールの本篇は聖書の現代翻訳というアイデアのみが先行した上、音と映像のコラージュで解体されまくり殆どひとりよがりとしか…

ロケーション

★★ 1994年7月10日(日) 日劇会館 いい加減な話を成り行き任せで為すがままにやってたら、驚いたことに傑作が出来ちまったと映画内ではなってるのだが全然そう思えないのでド白けてしまう。貧乏なロケ隊の話が画面まで貧乏臭くて救われない。後半の展開は虚実…

男はつらいよ 寅次郎真実一路

★★ 1992年8月15日(土) 日劇会館 浮世離れた世界の住人だから成立する物語も証券会社の会議室でバナナのお土産ってんじゃ太平楽過ぎで痛々しい。これがサラリーマンについての山田流一考察だとすれば現実との認識ギャップに欠伸でも出そうだ。甘っちょろ過ぎ…

風の輝く朝に

★★★ 1992年8月1日(土) アクア文化ホール 伝説には熱狂をもって形成される過程と時代の変遷とともに上澄みが剥落していく課程がある。俺は後者に於いて作品に遭遇したわけだ。香港映画の愛しくも悪しき似非主義はロマンティシズムの形成にはベタ以外の何者で…

冬冬の夏休み

★★★ 1991年8月3日(土) アクア文化ホール ジャンルの同工作が多数あるなか突出した何かがあるわけでもない。垣間見える大人世界が少年の自我の萌芽に寄与することもないスケッチ。ピンビン共闘以降のスタイルは未だ確立されていないが『童年往事』の前半はこ…

膝と膝の間

★★ 1991年8月25日(日) 日劇シネマ 非常に言い訳がましい展開で、成る程、儒教の国に於けるポルノ勃興にはそれなりの弁証的措置が必要だったのだろうが、かえって三流の昼メロか出来の悪いロマンポルノみたいなテイストになってしまった。SEXに対し悦びも…

インドへの道

★★★★★ 1991年9月8日(日) ホクテンザ2 性的な抑圧と異文化との邂逅という余りに隔たった命題を、これ程にてらい無く品と格式を横溢させて誰が描けるだろうか。クライマックスをスッパリ切った演出を筆頭に今更と思ったリーン14年ぶりの遺作は、これこそが…

スラム砦の伝説

★★★ 1991年9月22日(日) みなみ会館 あまり深く考えずにイメージの世界に浸ろうとしたが、深く考えなかったのが災いし物語がさっぱり入って来ず「砦」とか「伝説」といった中世的イメージとは無縁の土着世界に戸惑うだけ。復讐をめぐる編年奇譚は画力への注力…

刺青

★★ 1990年10月14日(日) 十三ロマン 墜ちて行く女の描き方がワンパターンな『赤い教室』の弛緩し切った再生版。石井と水原の欠落は補いようがなかった。切欠の方便としてしか「刺青」が意味為さぬなら谷崎原作を持ってくる必要など更々ないわけだ。耽美とは程…

ストレンジャー・ザン・パラダイス

★★★★★ 1988年1月10日(日) 大毎地下劇場 1992年5月9日(土) テアトル梅田2 1993年11月14日(日) ACTシネマテーク ドラッグもSEXも銃も無い殺伐とは無縁な安寧なる寂寥。一方で、無意味な日常を受け入れる寛容。流れ行く2人の男は意図せぬが如くに、物質…

ブロードウェイのダニー・ローズ

★★★★★ 1987年9月13日(日) SABホール 振り回されキャラの善性がレモンを当てたかの如きペーソスから匂い立つ点で正しくワイルダーへのリスペクトだしギャグやスラプスティックの匙加減も正鵠を射る。『カメレオンマン』で発芽した語り口としての実しやかな…

パリ、テキサス

★★★★★ 1986年2月15日(土) 大毎地下劇場 寄り添って生きることは苦しいが、喪失は更に耐えようがない。しかし、自己完結な放浪では傷は癒えず、直面し相対することでしか状況は打破できないのだ。そして、少年は大人達を後目に成長を続ける。一点一画を揺るが…

ゴーストバスターズ

★★ 1986年1月19日(日) 大毎地下劇場 初見者が「全員集合」や「欽ドン」に感じるだろう約束事に依って立つ喜劇センスへの拒否感。サタデーナイトライブを使いこなすには迎合的なライトマンでは荷が重い。かといってお化けエフェクトも大したことない。万人受…

アマデウス

★★★★★ 1986年5月11日(日) 観光会館地下劇場 表裏の無い直截なコンプレックス描写は単視眼的でレトリックに充ちているとは、お世辞にも言い難いが、搦め手から攻めるが如きモーツァルトの今風キャラ確立と正攻法に歴史を包含する重厚な美術のアンビバレンツ。…

カントリー

★★★★ 1986年2月15日(土) 大毎地下劇場 労働を描き声高に抑圧に抗することを描くと左がかる。『怒りの葡萄』から『プレイス・イン・ザ・ハート』に至るまで巧みにそれを回避し得たのは抑制でありこの映画にもそれがある。ラングのピークを形成する作品であり…

満月の夜

★★★★ 2010年3月24日(水) 梅田ガーデンシネマ1 身勝手なクソ女と底浅の凡夫どものグダグダ芝居ではあるが、尽きぬ欲望の連鎖の果てに虚無しか無いことに気づく満月の夜以降、依るべなき生き地獄に叩き落とすロメールの非情。断罪とも言える突き放しは『酒…

ホテル・ニューハンプシャー

★★★★ 1986年12月7日(日) 梅田ロキシー 異質であることの生き難さや死を始め災厄が降りかかるが成るようになるさという大局観が基底にあって、そこを信じられる限り奇矯さはあざとくない。リチャードソンの視線は怜悧だが好対を為す編年記『ガープ』と同様に…

Wの悲劇

★★ 1985年2月3日(日) 友楽会館大劇場 新派劇のような大時代な設定と台詞の数々にパロディを透過して周回し本物としてのエモーションを発動させるに澤井演出は生真面目過ぎ。チープで少女漫画的な女優という虚構が素で晒し出されてとてもじゃないがついて行け…

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

★★★ 1985年1月6日(日) 戎橋劇場 イタリア人のレオーネが撮るユダヤ移民たちの「あめりか昔話」には、当然であるが史的蓋然性は欠片もない。阿片を吸ってノスタルジアに耽溺する主人公に同期する演出はダダ漏れの情に塗れていく。深みのある撮影と素晴らしい…

コットンクラブ

★★ 1985年3月21日(木) 観光会館地下劇場 暗黒と華やぎ。2重の重心が互いを相殺した。『ゴッドファーザー』のエッジの半値で『ワン・フロム・ザ・ハート』の実験性の8割引という廉価版複合体で、コッポラ神話にとどめを刺した。同系ジャンルの成功作には「…

砂の惑星

★★★ 1985年3月30日(土) 大阪松竹座 複雑多岐で超絶長大な原作は『LOR』並の構想力で企画されるべきだった。ハルコネン男爵の造形を見ても奇形に偏愛するリンチのセレクトは魅力的だが全体を統べる者がいなかったということだろう。ロマンティシズムが決定…

天国にいちばん近い島

★★ 1985年2月3日(日) 友楽会館大劇場 少女は独力で物語を切り開くべきであって爺さん婆さんの出る幕ではないだろう。ニューカレドニアという夾雑物を廃した純粋世界を舞台に選びながら、やってることが不純なのだ。知世は健気にいいけど、やっぱ彼女には太陽…