男の痰壺

映画の感想中心です

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

美しい夏キリシマ

★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 地方のコミューンのエロスとタナトスの混在を描いて『祭りの準備』姉妹篇の趣があるが、男が不足する世界で枯れた原田が色気を抑え基軸となり世界をこちら側に繋ぎとめている。総じて女優陣も素晴らしいが、それ以…

スラップ・ショット

★★★★ 1978年3月7日(火) 伊丹グリーン劇場 土壇場になれば人は地平を乗り越え得るのだ。お坊ちゃんプレーのこいつらが反則 連発のヒールのスターとなる越境の「仕方」にある「納得性」が見る者を感銘させる。勿論 、起爆剤としての「ハンセンブラザース」は最…

彼女がその名を知らない鳥たち

★★★ 2017年10月25日(日) MOVIXあまがさき2 原作を読んであんまり時が経っていないし、大きな改変もないので印象は「読まずに見た」より落ちる。 力作だとは思う。 しかし、原作の最初で最後的な一発入魂ぶりを思うと、まだ緩いのだ。 原作の肝となる…

GONIN サーガ

★★★ 2015年10月10日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 因果といっても傍流の話で何がサーガやねんとも思える偏屈展開のくせに、やたら初作をインサートさせる世間への阿りが潔くない。バージョン劣化が明らかな面子のなか竹中やアンナが良いといって…

夜叉ヶ池

★★★ 1979年11月17日(土) ダイニチ伊丹 冒頭の大干魃とラストの大洪水を海外ロケで強引に繋ぐ映画的一大ハッタリズムは良しとしても魔界の装置が舞台の呪縛に囚われている。何より玉三郎が白雪姫は兎も角、生身の女を演じることに致命的な無理があるのに約束…

霧の旗

★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 女の執念を、これでもかとネバっこく描いた点で、増村の「妻は告白する」と双璧かもしれない。 倍賞千恵子の心根を見せないが底にナイフを忍ばせたかのような冷たい表情は絶品。 だが、俺はそこより演出面での山田洋…

非行少女

★★★★ 2015年10月18日(日) シネヌーヴォ お決まりな更生と転落が振れ幅を加速しつつ行き着いた矯正施設での彼女の達観はそれでも心打つ。真の意味での目覚めを描きそれでも尚駅での愁嘆場を経て旅立つ少女の未来に幸あれと思う。自立する女性とダメ男を描く…

任侠外伝 玄海灘

★★ 1979年11月24日(土) 伊丹ローズ劇場 定型演技を繰り広げる安藤、宍戸では既成枠を打ち破るパワーに欠け、物語からは在り来たりの因果話しか感じ取れない。演劇的アナーキズムをスクリーンに焼き付けるには逆説的に周到な映画戦略が要件なのだ。終盤のドブ…

アトミック・ブロンド

★★★★ 2017年10月24日(火) TOHOシネマズ梅田8 シャーリーズ・セロンはよくやっていると思う。 少なくとも「マッド・マックス」よりはるかに良い。 だが、こういう体技のキレが要されるアクションでは、やっぱり天賦の才がものを言う。 ミシェール・ヨーや…

木屋町DARUMA

★★★ 2015年10月12日(月) 第七藝術劇場 極めて常道の展開でスカされた。身障者を食い物にする図式も描かれるが傍景でしかなく、主人公がダルマになった或いはされた事実は物語を転がさないのだ。エンケンはちょっとしんどい。一方三浦誠己が演じる男が複雑…

白夜の調べ

★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 栗原小巻もユーリー・ソローミンも決定的に色気が欠けているので、木偶の坊の惚れたはれたを延々と見せられて苦痛である。加えてロシアの風土がうそ寒く日本は京都の風情までもが何故か沈鬱極まりない。時代錯誤な製作姿…

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生

★★★ 2017年10月21日(土) プラネットスタジオプラス1 もちろん始祖であるが故に全然怖くない。 ゆっくり歩いてくるゾンビは俺でもやっつけられそう。 それでも、16ミリ・モノクロの即物感は悪くない。 ゾンビの初出シーンの、何のタメもない、単におっさ…

チャルラータ

★★★★ 2015年10月24日(土) テアトル梅田1 メロメロに溺れる域まで行かぬ忍ぶ恋を描き、亭主の硬質な生業を細緻に織り交ぜ極めて英文学的な芳香を醸している。それでも終盤の畳み掛けはダイナミックでストップモーションの余韻も詠嘆的だ。ブランコの『ピク…

はなれ瞽女おりん

★★★★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 多分篠田は陰々滅々たる水上原作に共感を抱いたわけではなく、失われゆく日本の原風景をフィルムに刻みつける方便としただけだ。結果宮川が撮影中に自身で遺言と称したフィルムの輝きは悲惨を浄化し岩下は生々しさか…

ディストピア パンドラの少女

★★★ 2017年10月21日(土) 新世界国際劇場 【ネタバレあります】 文字通り絶望的な未来を描いているのだが、俺はゾンビ映画という描法がもう限界なんじゃないかと思って、そっちの方が気分ディストピアっす。 意欲的な作品なのだろうとは思う。 出だし、30…

ジョン・ウィック

★★★ 2015年10月21日(水) TOHOシネマズ梅田3 ガンカタみたいなのかと思ってたら完全な出たとこ勝負だった。そしてやはりと言うかキアヌは未だ重かった。リアリティの裏付けを欠いたままの禁漁区的エリアのゲームっぽい小便臭さもウンザリ感を煽る。下手な…

トランザム7000

★★ 1978年3月7日(火) 伊丹グリーン劇場 どうにもバカが振り切れず体制迎合的に安住してるもんだから生温くだるい。ニーダムは好漢なんだろうがファイト一発スタント命であっても見せる技術が凡庸ではどうしようもないっす。男2人をタイトルにしてるがレイノ…

下町の太陽

★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 1960年を前後し松竹で若手映画人による反体制のムーブメントが起こる。 後に松竹ヌーヴェルバーグと称されるのだが、その輪に加わるこができず傍から眺めていた男がいた。 山田洋次。30歳。未だ監督昇進は果た…

緋色の街 スカーレット・ストリート

★★★★ 2015年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 性悪女に翻弄されるアホ親爺の物語として申し分も無いが、真の才能が世に出る絶望的な蓋然性の物語としての皮相な味付けが又良い。そして何より決定的に裁断される悪に冤罪も糞もない呵責無さ。展開の…

エレクトラ

★★ 1978年4月1日(土) SABホール 荒涼そのものの風景の中で展開する本家本流ギリシャ悲劇はゴテゴテと修飾された現代演劇を太古の起源に遡るプリミティヴさで、それだけに、物語のパッションを共有できないならば只管に苦役とも思える忍従の時間を強いられ…

関ヶ原

★★★ 2017年10月11日(水) 大阪ステーションシティシネマ12 駆け足にギュウ詰めに歴史のトピックを連ねていくのはコンセプトとしては有りだと思う。 喜八が「日本のいちばん長い日」で試みたのは正にそれであった。 それの再映画化を監督した原田監督の頭…

ギャラクシー街道

★★★★ 2015年10月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 旧街道の寂れたバーガーショップの倦怠夫婦の再生譚なのだからギャグにしても寒ければ寒いほど本質に合ってる気がする。定番通りにお互いがよろめき定番通りにさやに戻る。少しだけだが感動した。…

アラン・ドロンの ゾロ

★★★★ 1976年1月5日(月) 伊丹グリーン劇場 暗黒街の貴公子又は根暗なナルシストのイメージがドゥッチョ・テッサリの誰憚らぬマカロニパワーで覆る。馬鹿陽気で屈折感がなく只管に楽しい。クライマックスの対決を筆頭に殺陣もケレン満載で期待以上に素晴しさ。…

牢獄

★★★ 2017年10月7日(土) プラネットスタジオプラス1 3重のマトリョーシカ構造で尚且つ2層目と3層目がシンクロするので予備知識なしではわかりにくい。 ただ、ペシミスティック&サディスティックなのは徹底しているし、ベルイマンが映画の語り口におい…

ハイ・シェラ

★★★★ 2015年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 俺の将来設計にお前はいないとか言いつつ本命に振られ即設計に組み入れちまうボギーが随分に男前だ。その演出のドライはクライマックスでも追い詰められた男を全くフィーチャーしないし、彼女にも冷徹…

フェリーニのローマ

★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 自家籠中の猥雑と郷愁のカオスとして呈される古代から現代に至るローマに纏わる エトセトラ。闊達だが食傷も感ずる中、「地下工事の掘削機」・「高速道の渋滞」・「古都 遺跡の照明」など偏愛的な無機物質愛には惹かれる…

アウトレイジ 最終章

★★★★ 2017年10月8日(日) MOVIXあまがさき11 前作「ビヨンド」の美点の1つであった沸点キワキワなテンションでの台詞の応酬。 それを中心で担ったのが西田と塩見だったと思う。 その2人が病み上がりでゼーゼーしながらやっとのことで言う台詞は味…

俺物語!!

★★★ 2015年11月1日(日) MOVIXあまがさき6 何だか進捗しないままループしてるかのような展開がどうかとも思うし、増量したから偉い訳でもない亮平に殊更な感興も湧かない。全ては永野芽郁ちゃんの1点の曇りなき性格の可愛らしさ。彼女のお蔭でこの胡散臭…

男はつらいよ 寅次郎相合い傘

★★★ 1978年3月17日(金) アサヒシネマ お嬢さん女優浅丘ルリ子の演じる裏街道ヒロイン「リリー」のキャラは評価が高いが何だか作り物めいて見える。コテコテすぎるのかも知れない。同じ道往く者同士の連帯愛はシリーズの決め事を破壊させかねない。そういう苦…

男の子の名前はみんなパトリックっていうの

★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 なんというか、まあ、スケコマシ野郎の掌話であります。 これを、「いとこ同志」で同じような役を演ったジャン=クロード・ブリアリがお手の物で演じる。 2股かけられたルームメイトの女の子2人は3股…