男の痰壺

映画の感想中心です

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

エクソシスト

★★★★ 1974年9月16日(日) 梅田グランド劇場 悪魔払いの鬼面人驚かす数々の趣向と登場人物の背景の孤独な心理地獄が相互浸食して剣呑さを倍加していく。そんな中で唯一の精神支柱フォン・シドーがフィジカルに潰える荒業が映画を転倒させクライマックスに雪崩…

三度目の殺人

★★★★ 2017年9月17日(日) MOVIXあまがさき11 どんだけ「天国と地獄」好っきゃねん。 …っていうくらい拘置所の接見所におけるミラーショットテンコ盛りです。 ただ、これがトップクラスの2大俳優のガチンコもあって魅せます。 是枝のカット割りや画…

安田淳一  Junichi Yasuda

生年:1967// kenironkun.hatenablog.com

スカーフェイス

★★★ 2024年11月20日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 デ・パルマのフィルモグラフィのなかで「ミッドナイトクロス」と「ボディ・ダブル」の間に作られたものみたいだが、にしてはデ・パルマ的なギミックが大してない映画だ。 公開時になんでスルーした…

真夜中のカーボーイ

★★★★★ 1978年6月21日(日) ビック映劇 1980年5月21日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 上辺にトライし打ち砕かれても受け入れ場所はある。そういう懐の深さを宿す60年代末NYアンダーグランドの混沌。定員制故に退場者は出るにせよ救済システムが一応機…

劇場霊

★★★ 2015年12月5日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 もはや中田は得体の知れたものしか描けぬようになったらしい。大時代な主役争いを繰り広げる女優達の相克は一応ぱるる熱演でご愛嬌程度には楽しめるが、なら脅威であるそいつも女優の成れの果てであ…

マルク・ローテムント Marc Rothemund

生年:1968/08/26 kenironkun.hatenablog.com

侍タイムスリッパー

★★★ 2024年11月20日(水) TOHOシネマズ梅田3 映画に於ける時代劇の興隆が衰え、それでも暫くはTVドラマで縷々と命脈をつないできたそれも地上波から消えて久しいわけですが、撮影所・殺陣・床山・衣装といった膨大な遺産を何とかして残していかなけ…

ノスフェラトゥ

★★★★ 2015年11月15日(日) シネヌーヴォ 多分に比喩的な「海を渡って災厄が来る」というモチーフを「どや!」とばかりに仰々しくやるところがキュート。リアル廃墟な古城やそこに至る路程の描写がヘルツォークエッセンス満載。古典に敬意を表した静止画チッ…

オレンジロード急行

★★ 1978年4月29日(土) ダイニチ伊丹 1982年11月3日(水) 関西学院大学1号別館1号教室 モラトリアムが意味を失った時代にファッションとしてそれを仮装するダメさを。或いは苛烈な旅路の果てに迎えた老境をコンテンポラリーな可愛い年寄り像へと封殺する愚を…

雨の訪問者

★★★★ 2024年11月17日(日) シネヌーヴォ 決して幸せとはいえない女がいて、その彼女が危機に見舞われ、ふらりとやって来た男に救われる。という女性の白馬の王子様願望を取り入れた鉄板の売れ線ストーリーであります。セバスチャン・ジャプリソはフランスの…

パリのナジャ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 2021年7月19日(月) テアトル梅田2 フランス外務省の依頼で撮られたソルボンヌ大学の紹介みたいなドキュメントという体裁。 演出がエリック・ロメールで撮影がネストール・アルメンドロス。 まあ、ド…

ラスト・ナイツ

★★★★ 2015年11月24日(火) TOHOシネマズ梅田6 方便としての「忠臣蔵」ではなく本当にこの物語を語りたかったのだと思う。凡庸な殺陣や安いCGなど万全でもないがベタを恐れぬ強度が誠実の証。オーウェンのカイザー・ソゼ歩きに「いよっ!」っと大向こうか…

ダンケルク

★★★★ 2017年9月16日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 前置きなしで、いきなり渦中に放り込まれる展開がいい。 1兵士から見た戦時の現場の混乱なんて、そんなもんだと思うから。 ノーランの「画」への拘りも実を結んでると思う。 特に戦闘機の挿話。 …

男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく

★★1978年8月7(月) ダイニチ伊丹 慎ましやかな人々を描いてこその山田演出は花形スターをマドンナに持ってきて端から届かぬ感を漲らせシラける。SKDの楽屋裏の描写が旅一座的猥雑さを混じえて良いのだが、華のあるべき場面まで泥臭いのでは救われん。武田…

ぼくとパパ、約束の週末

★★★ 2024年11月20日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 全然見る気もなかったんですが、時間に合うのが他になかったので見ました。始まってすぐ徒らにカットを短く刻んでいく編集が迎合的でイヤやなー思いました。でも、赤ちゃん誕生して間もなくに自閉…

あこがれ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 あこがれのお姉さんが… 自転車で疾走しスカートがめくれ上がる。 テニスに興じてスコートがめくれ上がる。 と、まあ、少年の青いムラムラが炸裂するのだが、そこはそこ、何せトリュフォー先生ですから…

FOUJITA

★★★ 2015年11月29日(日) シネリーブル梅田1 どう考えても2つの時代の作風の変節に踏み込むしかない映画なのだが、風景や環境描写だけでアプローチしようとして木端微塵に玉砕したみたいだ。パリ時代のデカダンやアナーキズムの欠如が致命的。ど素人の学…

自由の代償

★★★★ 2024年10月28日(月) シネヌーヴォ ✳︎今回のファスビンダー特集上映では「自由の暴力」のタイトルで上映されたが以前からの自主上映等で用いられたタイトルの方を採りました。 スカンピン男が宝くじで大金を手に入れるが富裕層の連中にいいカモにされ…

突撃隊

★★★ 2015年12月5日(土) プラネットスタジオプラス1 曰くありげな屈託キャラで登場するマックィーンだが、全部うっちゃって戦闘状態になっちまうもんだからその設定は回収されない。起承があって転結がない中、兎のようにピョン跳ね走りで駆け抜ける彼がア…

雲霧仁左衛門

★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ 多くの登場人物が捌ききれたとは言えず、ごった煮的展開を1本調子の演出での2時間半とあってはしんど過ぎ。殺陣はシンプルな場面は買えるシーンもあるが集団戦になると馬鹿みたいに血吹き出させ過ぎで失笑さえ禁じ得ない…

アーロン・ウールフォーク Aaron Woolfolk

生年:1969/01/17 kenironkun.hatenablog.com

ジョーカー フォリ・ア・ドゥ

★★★★★ 2024年11月14日(木) 大阪ステーションシティシネマ9 賛否両論だったらしいが、ものの分かる奴ぁわかるのんやわ、タランティーノとか阿部和重とかオレとかさーなんちゃって。まあ、おそらくこれ見てあかん思った人は前作のジョーカー誕生とジャック…

コードネームU.N.C.L.E.

★★★★★ 2015年12月1日(火) 梅田ブルグ7シアター3 友情の生成や恋愛の萌芽といった嬉し恥ずかし成分を刻印するに一旦シャレのめさずにおれないガイ・リッチーの意外な純情に共感。ヒロシのテーマのシーンが白眉。相変わらず説明過多でくどいカッティングも…

火の鳥

★★★ 1978年8月19(土) 伊丹ローズ劇場 大スケールの物語を得意の映像マジックで何とかカバーしようという心意気は感じるし、脚本も「黎明篇」を巧くダイジェストしているのだが、アニメ使用が何とも中途半端で肝心要の「火の鳥」に至っては実景に全く溶け込ま…

The Harimaya Bridge はりまや橋

★★★★ 2009年6月〇日 梅田ブルク7 描かれる戦争の禍根が緩和される切欠には完璧に納得しつつも作劇としては安易な妥協と思う。しかし、演者が皆想いを込めつつ静かな炎を交わす醍醐味に射られる。何より中堀の『鏡の女たち』を彷彿とさせるカメラ使いが遠く…

砂の器

★★★★ 1978年10月29日(日) ダイニチ伊丹 ローカルネタを徹底解題する清張文脈を炎天下を背広を脱いで歩き回る刑事の汗と歩行のリアルで担保する橋本イズム。その若干のマンネリが大浪花節の一大ページェントに大舵を切る。すれすれ勝負だが年間を通したロケの…

新感染 ファイナル・エクスプレス

★★★ 2017年9月8日(金) 大阪ステーションシティシネマ11 父性の回復といった命題が主軸にあるが、それよりも否応なしに浮上するのが自己犠牲だ。 ・幼い愛娘 ・身重の愛妻 を救う為に男たちは死ねるか(ゾンビになれるか)?…といった問いかけがベタに繰…

八犬伝

★★★★ 2024年11月9日(土) MOVIXあまがさき5 大方の見解がそうであろうと思われるのだが、俺も「八犬伝」パートがショボイとまでは言わずとも何ほどのものも訴求しない一方で、馬琴の創作パートが魅せる出来だと思います。とは言っても不義が蔓延る現…

ウィンチェスター銃’73

★★★★ 2015年12月20日(日) プラネットスタジオプラス1 鳥瞰で捉えられた商人の惨殺死体やデュリエに嬲り殺される優男などけっこうに血なま臭いプロットも混じえつつも説話的な語り口故に牧歌的。冒頭の射撃大会の件などは童話世界のよう。西部劇の体裁を借…