男の痰壺

映画の感想中心です

パリのナジャ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1
                    2021年7月19日(月) テアトル梅田2
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フランス外務省の依頼で撮られたソルボンヌ大学の紹介みたいなドキュメントという体裁。
まあ、ドキュメンタリーな感じはしない。
 
ナジャという女子留学生がピックアップされているが、彼女がセルビア出身のアメリカ国籍というのが実にコスモポリタンです。
日本映画にありがちな、孤独とか関係性とかのしみったれたファクターは一切フィーチャーされません。
パリという街を心から満喫している。
酒場に行ってカウンターでワインを飲む。
隣のおっさんに声かけられる。「そんな不味いもん飲んでるんじゃねえ」と。
パブに行って、知らないおっさんたちのテーブルに割り込み話に聞き入る。
おっさんたちも、全然に彼女のことを躊躇いません。
 
まあ、俺も月に何回かは飲みに行きますが、当然おっさん同士です。
そんなときに、いきなり見ず知らずの女子大生が「ご一緒していいかしら」なーんて割り込んでくる。
…ことなんか絶対にありえないっす。
ええなあ…パリ。
 
ゴダールの映画でも、よく女主人公がおっさん知識人と初見で会話するって設定がある。
勝手にしやがれ」「女と男のいる舗道」「中国女」とか。
であるから、これも演出なのかもしれません。
 
このナジャ、短髪でけっこう可愛い。
そんな彼女がパリの景観を背景にそぞろ歩くと、ちょっと「勝手にしやがれ」のセバーグを想起させます。
 
セルビア出身米国籍というコスモポリタンなナジャについて何処ぞに有りがちな孤独や関係性とかのファクターは一切フィーチャーさせずパリという街を満喫させる。パブで知らぬ親爺たちの卓に割り込み話に聞き入るってのはインテリシネフィルの幻想にしても。(cinemascape)