男の痰壺

映画の感想中心です

ARGYLLE アーガイル

★★★★ 2024年3月14日(木) Tジョイ梅田4

予告篇の印象から「スーパーマンヘンリー・カヴィル主演のスパイもんくらいのイメージしかなかったが、いい意味で裏切られた。この予告篇のミスリード、ナイス。

 

【以下ネタバレです】

これは、冴えない大柄おばちゃんプライス・ダラス・ハワード(ロン・ハワードの娘らしい)と冴えないおっさんサム・ロックウェル(「スリー・ビルボード」の最低小物)の繰り広げるスパイ活劇で、「キングスマン」で形成されたマシュー・ヴォーンのキザイメージを好ましい方向に修正するものである。

 

「ロマンシング・ストーン」的な女流冒険作家が巻き込まれる冒険と「ロング・キス・グッドナイト」的に市井に埋もれて暮らす平凡な女性が実は記憶喪失のスーパー工作員

まあ、内容的には手垢のついたものではあるが手垢X2の組み合わせが功を奏して飽きさせない。合わせ技1本です。

 

マシュー・ヴォーンの刻印とも言える過剰が笑いに転化する殺陣が度を超したアホらしさに至る煙幕ダンスとアイススケート。まあ、さほどオモロくもないけど、やりたいんやったらご自由にでしょうか。猫がやたらフィーチャーされたらイヤやなと思ってましたがホドホドなのも良かった。

 

今回、最も驚いたのはサム・ロックウェルの良さで、こういった立ち役を味わい深くこなせるようになったんですね。素晴らしかった。

 

女流作家の冒険&市井に埋れたスーパー工作員という手垢設定だが掛け合わせることで食傷感を感じさせないし、どこか垢抜けない2人の逃避行は憎めない。ヴォーンとしても頃合いのキザ脱却だしロックウェルは新たな滋味を獲得した。やり過ぎもご愛嬌。(cinemascape)

 

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