男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ら】

落下の解剖学

★★★★ 2024年2月25日(日) MOVIXあまがさき4 カンヌでパルムドールってことで何か斬新なアイデアが呈されたのか思ったらそういうことではなかった。物語の構造はオーソドックスといっていい。それを2時間半かけてじっくり丹念に描いている。 【以下ネ…

ラブ・レター

★★★ 2023年9月23日(土) プラネットプラスワン 「変な話なんや」と聞いていたのだが、それほど変な話とも思えなかった。要は戦場で戦友に頼まれて彼の許嫁との手紙のやり取りを代筆してるうちに、その見たことない彼女に恋してしまった男の話である。退役し…

Life work of Akira Kurosawa 黒澤明のライフワーク

★★★★ 2023年6月18日(日) 塚口サンサン劇場2 学生時代の後輩の作品で、ここ1、2年、素材を編集する過程で何度も試作を見せられていたものですから、正直今回、関西のスクリーンにかかるからといっても食傷の感も拭えなかった。でも見て良かった。 一つは…

らせん

★★★ 1998年5月30日(土) 第七藝術劇場 喪失感と哀しみに満ちた主人公の設定が良いし、手堅い演出にも好感を持ったが、何分、同時上映された『リング』の恐怖の余韻をブチ壊す安易な「貞子」の解釈で、それが必要以上に本作を不人気にした点は不幸であった。(c…

ラヂオの時間

★★★★★ 1998年7月21日(火) パルシネマしんこうえん テキトーの屋上にいいかげんの屋を架す連鎖がこれ程までに米スクリューボールコメディのスパイラルテイストに迫り得た事に驚愕。情に棹さすかに見えて驚くほど乾いてもいる。豊富な小ネタの冴えもあるが匂い…

ラストサマー2

★★ 1999年9月11日(土) 天六ユウラク座 前作を見てないので主人公のトラウマに感情移入できず、お定まりの密閉舞台での殺人趣向も凡庸で面白味も無く、途中から出て来た犯人らしき連中が何者なのかもさっぱり判らず、ラストに至っては最早陳腐としか思えぬ展…

ランナウェイ

★★ 1999年4月17日(土) 天六ユウラク座 製作を仕切ってお手盛り御用監督のもと天狗になっちまったクリス・タッカーが透けて見えそう。結果、素材としてのアナーキズムは雲散した。当然ながら拮抗するテンションはシーンには無いので2人揃って凡庸なストーリ…

ラーゲリより愛を込めて

★★★ 2022年12月14日(水) TOHOシネマズ梅田8 食指の動かない題材であったが、主演が北川景子8割、瀬々監督2割の誘因が俺を動かした。って見てからずいぶん経ってますが。去年見ました。 第2次大戦終結後にシベリアに抑留された日本兵たちの話だが、…

ラストマン・スタンディング

★★ 1998年10月10日(土) 天六ユウラク座 この素材をどう料理すればこれ程不味い代物が出来るのか…不思議でさえある。得体の知れない三十郎は得体の知れたジョン・スミスに凡化され、ペキンパー擬きのヒルのアクションは擬きの果ての劣化イミテーション。本卦…

ラッシュアワー

★★★ 1999年8月7日(土) 祇園会館 命を張った芸で時代を築いたジャッキーがポッと出の喋くり男如きに何故に敢えて喰われる必要があるのだろう。それ程ハリウッドが大事であろうか。しかもピークを過ぎた落日の哀しさが相まって時代の認知が10年遅すぎた寂寥…

ラブゴーゴー

★★★★ 1999年9月24日(金) 西灘劇場 暑苦しい連中のコテコテ話かと思いきや予想を裏切るスマートなポップ。人物が錯綜する多重構造は流行追随かと思わせるが本質は驚くほどに純なのだ。尚かつ全篇寸止め的な刹那感に支配されている。そして、泣き笑いが残す強…

空の大怪獣 ラドン

★★ 12月16日(金) 大阪ステーションシティシネマ6 はるか昔TV放映で見て子供心におもんない思ったのだが、その後これが東宝特撮映画の中でも秀でた作品として評価されているのを知って機会があれば見直してみたいと思っておりました。 で、今回見てやっ…

らせん階段

★★★ 2022年10月16日(日) プラネットプラスワン 見終わって反芻してみれば、この犯人像は相当に踏み込んだものなのだが、見てる間はそういうことは余り感じない。あまりに異常な殺人鬼がさんざ描かれてきて俺たちはマヒいてるからだろう。障がいのある女性…

ラストタンゴ・イン・パリ

★★★★★ 2001年2月20日(火) 動物園前シネフェスタ2 欧州の停滞がもたらす退廃と異邦人としての孤絶がシンクロし男は落ちていく。内省的展開だがストラーロのクレーンワークと中距離レンズが相当にドラマチックで痺れる。ブランドの朽ち具合も良。終盤のタンゴ…

Love Letter

★★★★ 1995年8月5日(土) ホクテンザ2 地に足つかない少女文学的設定がむず痒いまでに居心地悪くもあるが、過去と現在を往還する物語が何時しか現世と黄泉の連結させるトリッキーな作劇の妙。篠田撮影のロングとミディアムの中間狙いが醸す実存主義的世界観。…

LOVE LIFE

★★★★★ 2022年9月13日(火) 大阪ステーションシティシネマ8 「もうなにも欲しがりませんから そこに居てね ほほえみ くれなくてもいい でも 生きていてね ともに」 深田晃司は矢野顕子の同名曲にインスパイアされた企画を何十年も温めていたそうで、それは…

ラスト・アクション・ヒーロー

★★★★ 1994年1月9日(日) 新世界国際劇場 シュワとマクティアナンが各々のフィルモグラフィの頂点を経過した後の落日の夕方の校舎の裏庭の無花果の腐りかけの甘酸っぱな芳香のような映画。趣味的お遊びは行くとこまで行き無駄だらけの展開なのに大予算ってのが…

ライジング・サン

★★★ 1994年1月16日(日) 新世界国際劇場 オリエンタルとジャパネスクが融合された「変さ」には驚かないが、それだけでは片づけられない底の掴みきれないムードがある。そういう面では満喫できるがミステリーとしての底は浅い。(cinemascape) kenironkun.haten…

RUSH!

★★★★.2002年3月1日(金)~2 日(土) ホクテンザ2 この哀川による企画アイデアも素晴らしいと言うしかないが、それを増幅した脚本が無関係の有象無象を詰め込み随所で小技を効かせ時制往還を駆使し闊達。その勢いが怪演揃いの助演陣のノリを誘発した。映画の…

ラスト・ワルツ

★★ 1994年5月3日(火) みなみ会館 コンサート設計までして周到な準備をしたと言う割には映画的興奮がない。寧ろドキュメントのもたらす意図せざるものまでも画面から放逐させ沈滞ムードで雁字搦めになったみたいな印象さえある。8人の名キャメラマンにあるが…

黒い下着の女 雷魚

★★★ 2022年7月14日(木) シネヌーヴォ 苦しみを抱えお先も真っ暗、救いも何もあったもんじやない。そういう話で、千葉の工業地帯の澱んだ空気が重くのしかかる。 瀬々の初期作だが、最近の犯罪ものの高バジェットな作品で見せる画面造形の密度はもとからの…

雷電

★★ 1994年7月10日(日) 天六ユウラク座 どう転がしてもロクな話になりそもない設定からしてシャレにもなりよがないカス話は仕方ないが、それにしてもプログラムピクチャーの枠組みに安住し切っている。下降曲線を自覚せぬ赤井の昼行燈では為す術もないにせよ…

ライアンの娘

★★★ 1993年2月7日(日) シネマアルゴ梅田 予めの画枠に当て付けされた底浅三角関係が陳腐で、キャストも弱い。補うべく配置されたクセある傍系人物たちも機能不全。アイルランド独立という歴史的乃至政治的背景は必然ではなく後付け的に浮いている。あたら気…

ラスティ・メン 死のロデオ

★★★★ 2022年5月15日(日) プラネットプラスワン ミッチャムが醸す男の哀愁とかレイの演出が的確であるとか、そんなことは然程思わず、ひたすらにスーザン・ヘイワードが素晴らしいと思いました。名前はなんとなく知ってる人だけど、この人の映画は1本も見…

楽園の瑕

★★★ 2002年10月15日(火) 扇町ミュージアムスクエア マギー・チャン登場後のおセンチ節の素晴らしさに酔うにつけサモ・ハン振り付けの香港武侠王道殺陣は不要だったとつくづく思う。それが浮くのを嫌いコマ伸ばし処理しまくったのも安易。喰い合わせの悪さを…

ラスト・オブ・モヒカン

★★★★ 1993年8月10日(火) 新世界国際劇場 明らかに『ダンス・ウィズ・ウルブス』の余勢を買った企画に黴の生えた古袋を持ってきながらマイケル・マン&スピノッティコンビは何のてらいもなく躊躇するところが無い。注ぎ込まれた清水は浸透しやがて黴臭い袋か…

ラスト サムライ

★★★ 2003年12月16日(火) 梅田ピカデリー1 カスター大虐殺に立ち会いウィンチェスター社を指弾する男が遙か最果ての国とは言え近代武装化の一翼を担う、又英語を取得し進取の気性に富む男が近代化に反旗を翻す。こういうアンビバレンツな感情機微を十全に描…

LOVERS

★★★★★ 2004年10月7日(木) 梅田ピカデリー3 『HERO』では拡散していたベクトルは1本化され、馬鹿馬鹿しいまでの絢爛とケレン三昧のCGで紡がれた物語がクライマックスでは3者の熱い想いが交錯する視線に1点集約される。50年代黒澤的描写をも散りば…

ラストナイト・イン・ソーホー

★★★ 2021年12月12日(日) MOVIXあまがさき1 監督エドガー・ライトと聞いてなんとなく予感がしたが、やはりこれは、なんだか世間で評判良いけど俺には然程に思えるという意味で鬼門の作品であった。「マリグナント」なんかもそう。コメディとシリアス…

ラヴィ・ド・ボエーム

★★★★ 1992年11月29日(日) 大毎地下劇場 相変わらずのダメ男どものエレジーだが、カウリスマキ身上のタイトさが消え相当に贅肉がつき展開もモロ予定調和になった。しかし、サルミネンのモノクロの粋に随分救われているし、役者・楽曲等に新たな導入を試み成果…