男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あこ】

青い珊瑚礁

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 何のヒネリもない物語を奇を衒わない平板な演出で押し切っている。毒もそっけもないにせよ絵葉書みたいな南海の風光に魅せられて飽きない。割り切ったアルメンドロスの仕事ぶりも好ましく海中撮影、わけても蛸が蟹を…

悪は存在しない

★★★★★ 2024年5月23日(木) シネヌーヴォ 序盤で、地元の自然を熟知し何でも屋を生業とする巧役の大美賀均が薪を割る。1カットで何本も割りミスらないのは相当練習したんやろな思ったのだが、後半で開発業者の社員、高橋役の小坂竜士が巧の薪割りを見て自分…

アウトロー

★★★ 1976年12月7日(日) 伊丹グリーン劇場 60年代末にペキンパーにより一旦葬り去られたジャンルをペンとブルックスが復権を試み敗退した翌年に徒花の如く製作されたイーストウッド初期監督作中の最良作。十分な片隅感を横溢させながら引かれ者の小唄的ヘタ…

愛と哀しみの果て

★★★ 2017年3月18日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 思い込み女の自己愛にまみれた一代記。 …と切って捨ててもいい話なのだが、まあ、しかし、人のことを言えたもんでもない。 俺たちだって皆、ええかっこしたいし、自分はかわいい。 例えば、スカーレ…

愛のほほえみ

★★ 1976年2月1日(日) 伊丹グリーン劇場 アラン・ドロンみたいな憂愁を帯びたアレッサンドロ坊やの風情が余りに女性受けしそうで斜に構える。そんな自分の偏狭さを知らされる点でも苦い映画だ。大金持ちの御曹司って設定が又面白くなく母親でなく親爺を慕う気…

ARGYLLE アーガイル

★★★★ 2024年3月14日(木) Tジョイ梅田4 予告篇の印象から「スーパーマン」ヘンリー・カヴィル主演のスパイもんくらいのイメージしかなかったが、いい意味で裏切られた。この予告篇のミスリード、ナイス。 【以下ネタバレです】 これは、冴えない大柄おば…

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際 作為を排するにしても世界が未だ知らなかったという状況をもっと打ち出さないと衝撃は無い。プロデューサーとディレクターの対立も描かれるが証人喚問の開始とともに視聴率アップで済崩しになるあたり、その程度かとも…

続 青い体験

★★ 1976年8月21日(土) 伊丹グリーン劇場 どうにも慎みというものがイタリアン小僧には無いので、生さぬ恋の暗い情念などが発生しようもなく、大体モモ如きボンクラが両手に花の美味し過ぎる環境に置かれるのは映画とはいえ理不尽に過ぎる。その物語的怠惰を…

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

★★★ 2017年1月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ2 終盤でテロリストの機関銃搭載のジープが爆撃後の現場に通りかかる。 瀕死の少女を抱えた両親が懇願し彼らは機関銃を降ろし少女を運ぶ。 辛うじてのニュートラルな描写だと思った。 言うたら、こん…

愛人関係

★★ 1975年9月7日(日) 伊丹グリーン劇場 マシスン原作で一応それなりの展開を擁するのだが、どうにもダルクがマグロであり、マグロを演じてるのではなくマグロしか出来ない風で根本的にダメである。同時代的にジル・アイアランドやソンドラ・ロックと同じ甘え…

愛にイナズマ

★★★★★ 2023年11月8日(水) シネリーブル梅田2 業界あるある話→イナズマのような出会い頭の恋→母親失踪の謎→家族の再生・再構築と話がどんどん転げていくのだが、石井裕也ノリにノッて脚本書いたんやろなと思わせる圧巻の勢いがあります。まあ、終盤の家族…

赤い河

★★★★ 2023年9月25日(月) プラネットプラスワン 映画のなかでの設定10,000頭はともかく1,000や2,000はいそうな牛の大群を歩かせ渡河させ暴走させる撮影の労力たるやとんでもないものだったろうと思わせる。まあ、それだけでも見る価値はあ…

愛の嵐

★★★★ 2000年1月15日(土) 天六ユウラク座 接写中心の収容所描写は扇情的に過ぎ一歩間違えれば陳腐に堕する臨界だと思うし、被嗜虐の逆転から心中へと至る男と女の描写も曖昧で食い足りない。にしてもナチの亡霊達が裏側で徘徊する古都ウィーンの退廃ムードが…

アイズ ワイド シャット

★★★★★ 1999年8月1日(日) 梅田東映パラス 最先端の過激度は無い替わりに極上の器が用意され、鬼面人を驚かすハッタリの替わりに揺れ動く心の襞の細部をも精緻を凝らして描くキューブリックの新局面と思われたのに…。クルーズとキッドマンのかけ合いには後期ベ…

愛人ジュリエット

★★★ 2023年1月19日(木) シネリーブル梅田2 これぞおフランス正調ロマン主義といった趣きで、煎じ詰めれば「色男金と力はなかりけり」ってだけの話であり、男は女々しくもフラれた女のことをいつまでも思っている。それだけの話なんです。 夢や幻想を映画…

愛を乞うひと

★★★★ 1999年1月30日(土) 新劇会館シネマ2 原田の2役は成人した子の演技に1万メートルを全力で走りきったランナーのような透徹した悟りと自信を限りなく静かな佇まいに滲み出させ怒涛のサディスティック感情の発露は反転し母性の慈愛へ還流する。凄まじい…

アイス・ストーム

★★★★★ 1999年8月28日(土) 西灘劇場 エゴヤン的退いたアプローチが転じて終盤のカサヴェテス的に肉を切る展開に迫るあたりで醍醐味は充足されるが、更にラストで反転されるうっちゃり展開には世界が変じて全てが許容可能となる。前作に続き連チャンされるアン…

赤穂浪士

★★★★ 12月12日(月) 新世界東映 毎年、暮れともなれば映画もテレビも「忠臣蔵」って時代があって、多分60年代がピークだったんじゃなかろうか。ひねくれた俺は、そんな年中行事みたいな手垢まみれの趣向にソッポを向いてきたので、まともに忠臣蔵見たこと…

愛してる!

★★★ 2022年10月11日(火) シネリーブル梅田2 元女子プロレスラーが地下アイドル目指すがパッとしなくてSMの女王様になる。という雇用の流動化が求められる現在の我が日本に於いてキャッチーな題材であります。嘘ですけど。 だが、このミサ・ザ・キラーと…

愛のコリーダ

★★★ 2001年2月10日(土) シネリーブル梅田2 吉蔵の優しさってのが時代への厭世感から来る虚無に根ざしてるように見える。それに対して定は完全ニンフォマニアで吉蔵の心根に惹かれてるわけではなく只管にオチンチンが好きなだけ。心の底で噛合わない愛にはそ…

愛の新世界

★★★ 1995年2月25日(土) 扇町ミュージアムスクエア 女性讃歌という概念自体が言わずもがなな時代にそれをやって耐え難い時代錯誤感に被われてしまったし、男達にも虚無が足りない。映画とアラーキーの写真との親和性も低い。それでも「今夜は踊ろう」で夜明け…

青空娘

★★★★ 2001年1月20日(土) テアトル梅田2 タイトルそのままの抜けの良いカラー画面の中で、いい調子で飛び交うロジカルで歯切れのいい台詞の気持ちよさ。そして、タイトルロールとは正反な若尾の粘液質のキャラが醸し出すギャップがやけに色っぽい。(cinemasc…

哀愁

★★★ 2001年2月26日(月) 動物園前シネフェスタ2 3つか4つ位の感情を複層的にワンショットで表現し切るリーの顔芸は万座を圧するが何せ綺麗すぎて哀切さに遠い。戦時下の「螢の光」が喚起するロマンティシズムは鉄板にしても後半のごたつきもすっきりせず恋…

RED SHADOW 赤影

★★★ 2001年8月11日(土) ホクテンザ2 『サムライ・フィクション』を承前する開巻は最大級の期待を抱かせるのだが、類型な作劇の連続に落胆が募る。そういうパターンをこそ崩壊させてほしかった。ギャグに抗するシリアス、おちゃらけに比する非情が温く均衡が…

あいつと私

★★★★ 2001年9月2日(日) テアトル梅田2 アンチモラル天こ盛りで相当にドロドロしハードで暗いと言えば暗すぎる内容を裕次郎の「天然」と明晰口跡で生硬台詞を早口で捲し立てる演出の盲信と馬力が完璧にカバー。更にカラーの調子も絶品で暗部を粉飾する。まさ…

赤い砂漠

★★★ 2001年9月7日(金) 動物園前シネフェスタ2 明確な起因があって病んだらしい主人公は自己完結しており世界を閉ざす。故に変化は永遠に訪れない。石化コンビナートの幾何世界に彩色された淡彩と曇天狙い。ディ・パルマのそういう完璧なコントロール下で尚…

悪魔の美しさ

★★★ 2001年10月12日(金) シネリーブル梅田2 所詮は魔法によって得られた若さってのがどっかで引っ掛かる。主人公が自力で獲得したわけでない幸福は間抜けな悪魔のおかげで永続する。それでもミシェル・シモンの愛らしい因業親爺演技の素晴らしさは満喫でき…

赤い橋の下のぬるい水

★★★ 2001年11月7日(水) シネリーブル梅田1 脚本・演出とも地に足着かぬ感じがした。そんな中清水のエロスがのっけの役所を籠絡する場面から唯ならぬものがあり、胡散臭い寓話に真実味を付与するかと思われたのだが、結局大竹しのぶのイミテーションに収束す…

悪名

★★★ 2001年12月20日(木) ホクテンザ1 今更企画で前半は紙芝居的展開にうんざりしかけるが後半俄然息づいてくる。櫻井淳子の醸し出す儚さ所以だろう。役者、演出をはじめ美術に至るまでアベレージを保ち卒が無い。エンクミ・青田など女優陣の選択がシュアで…

青い凧

★★★★ 1994年5月3日(火) みなみ会館 とりたてて珍しくもない文革期を挟んだ一女性の編年記だが、従容として受動的であるが故の女性ならではの強靱で柔軟な適応力が素晴らしい。透明度高い撮影は静謐であり淡々と流れて物語と溶け合う。そこにあざとさの欠片も…