男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あこ】

愛と死の間で

★★★ 1992年5月9日(土) 高槻セントラル ヒッチタッチならぬデ・パルマ風が関の山のブラナー演出は結局のところ出涸らし感横溢する物語を信じていないのだと思う。ロビンやハンナ・シグラなんかまで引っぱてきたキャストの厚みは演じる夫婦の柄じゃない感が帳…

アイ,ロボット

★★★★ 2004年10月16日(土) 梅田ブルク7シアター1 再三描かれた機械支配の未来観の勃興期的前史に感慨を覚える。機械のアイデンティティと言うテーマは陳腐だが、奇を衒うことなくオーソドックスを貫いた正々堂々振りに押し切られた。CGの汚し具合やウィル…

赤坂の姉妹より 夜の肌

★★ 1992年6月13日(土) みなみ会館 落日の寂寥も伸し上がりの活力も決定的に欠ける。東宝的硬質さでは大映的艶やかさが要件の物語を御しきれないので、所詮はブラジルや北海道といった新天地に希望を見出す民青的終焉に帰結してしまう。男を手玉に取ってなん…

悪名

★★★ 1992年6月27日(土) 高槻松竹 ガキ大将がまんま大人になったみたいな勝新や無理くりヤンキーな田宮といったキャラ適合した役者の魅力が100%の構成要因であって、今更展開に作劇的な醍醐味はまずもって無い。女介在比重が高すぎ何だか大して盛り上がら…

悪なき殺人

★★★★ 2021年12月3日(金) シネリーブル梅田1 素晴らしく凡庸な邦題をつけられた作品だが、これは予想の斜め上を行く出来だと思います。 時間と空間という映画表現の最大の特質を十二分に利していると思われる。 状況を視点を変えて反復する。最近公開され…

愛人 ラマン

★★★ 1992年10月24日(土) 池田映劇 植民地に於いて貧困領主が富裕領民に犯されるという被虐も少女が中年男にという背徳も全て絵画のようなフォトジェニーで粉飾されスルーされて行く。おばあさんの理想化された過去は綺麗事にならざるを得ない…にしても溜息も…

ああ爆弾

★★ 1991年1月19日(土) ルネサンスホール ヒッチ=トリュフォー系譜のウーリッチ原作なら喜八ラインは有りなのだが、1昔前のドタバタに能や狂言や浪花節や御詠歌でどうやって乗れと言うのか。趣味的過ぎてムカつきさえする。一種の実験映画なんだろうが…しん…

あゝひめゆりの塔

★★★ 2007年1月20日(土) 日劇会館 乙女気分横溢の前半が良い。そこに「対馬丸」の悲劇を挿入して戦火の切迫を巧みに構成している。しかし、今井版と同期する後半は力は入ってはいるが所詮はステロタイプとなり且つダラダラ長い。描写を乙女に絞って刈り込む…

アゲイン 明日への誓い

★★★ 1991年4月7日(日) トビタシネマ そもそも『挽歌』シリーズに思い入れも無いので前日譚のもたらす感慨も無く単なるアクションロマンスの1本なのだが、うらぶれた映画館で「夕焼けの歌」を聞いたとき走馬灯のようにうらぶれた人生が脳裏をよぎって涙が止…

悪魔の教団 レッド・モンクス

★★ 1991年4月6日(土) 新世界国際劇場 不必要な残虐趣味は好みではないが、こうも何も無いと厳しいものがある。とにかく見せ場が無いうえに捏ねくり回した意味不明の展開でついていく気力も失せる。あとは、ひたすらにララ・ウェンデル嬢を見続けるしかない。…

アイダよ、何処へ?

★★★★ 2021年10月2日(土) シネリーブル梅田3 ボスニア紛争は映画でも再三題材とされてるみたいで、いくつか見てはいるんだろうけど、紛争自体のこと真剣に考えたこともなかった。なんか、東欧でいざこざがあったんやな程度です。俺に限らず日本人の世界認…

赤毛

★★★ 1991年5月19日(日) 日劇シネマ 一途な純情キャラというのが、この頃の三船ではもうこそばゆい。岡本一家総出の脇芸の競い合いが楽しく、何とかそれを補完しているが、終盤では、凡庸な展開が全てを飲み込み、何もかもが哀しいまでにしぼんでしまった。(c…

赤い文化住宅の初子

★★★★★ 2007年6月16日(土) テアトル梅田2 絶望的な状況でも過度に悲観的にも攻撃的にもならないで淡々と日々を全うしていく美しさとでも言おうか。醒めた諦観ではなくノーブルな直視のスタンスだから脇キャラの過剰もあざとくない。技法への拘泥の無ささえ…

愛の予感

★★★★ 2008年1月5日(土) シネヌーヴォ シネマヴェリテ的手法に於いてカサヴェテスの豊穣に、反復のエクリチュールに於いてカウリスマキの巧緻には及ばない。がともかく、愛の萌芽に向けての全篇を牽引するサスペンスフルな緊張は傑出している。あとロケ選定…

アウトポスト

★★★ 2021年8月8日(日) 新世界国際劇場 いったい何を描こうとした映画やねん。 と思えてしまうのは、起こったことへの批評や考察が見受けられないから。 アメリカのアフガニスタン制圧によるタリバンとの闘いで最も苛烈だったらしい「カムデシュの戦い」を…

赤い風船

★★ 2008年7月30日(水) 梅田ガーデンシネマ1 少年と風船のドリフのコントめいた寸劇も、我慢してれば何時かはシュールな地平に誘われるか、或いは破壊や虚無や悔恨や何かの実に接し得るかと思えば、結局場当たり的な逃避的帰結で茶を濁す。そんなのは本気…

藍色夏恋

★★★ 2008年7月26日(土) ホクテンザ2 丁寧な描写の積み重ねは悪う筈もないのだが、所詮優等生の破綻もしない調和世界を見せられる味気無さ。ただ、そういう世界を穿つ瞬間もあった。夜の体育館と屋上での焼却。特に後者では彼女の肢体の伸びやかな解放感が…

愛と野望のナイル

★★ 1990年3月4日(日) 長崎東映パラス 秘境ものに2人の男の関係性を『ロレンス』的な屈託と葛藤を付与し描きたかったらしいが余りに舌足らずで結局B級のチープな探検譚が出来上がった。ラファエルソンの取り残され感に気を取られ乗り損なうと信頼と誠意の話…

あ・うん

★★ 1990年2月25日(日) 八木館2 秘めた想いを胸にストイックに生きる男なら健さんでいいのだろうが、門倉というキャラは決してストイックなだけではないので無理してるって感じが拭いがたい。社長と一介の給与取りの間に阿吽を見出すには坂東では重さが釣り…

紅いコーリャン

★★★★ 1990年8月4日(土) アクア文化ホール 明確な色彩設計と剛腕な筆致が融合し苛烈な生き様を際立たせる。見たこともないようなものを叩き付けられた感じはしないが、後に形式に拘泥しゆく藝謀の未だ荒削りな原初の資質が剥き出しの情念とマッチング。只管に…

アイアンマン

★★★ 2009年1月31日(土) トビタシネマ 平和なんか糞食らえの享楽主人公がアフガンで拉致されトンカントンカン手作り工芸するあたりまではマーベル最高作かとさえ思えたサバけぶりだったが、後半は全く凡庸に堕した。ダウニーの胡散臭さ、ブリッジスの余裕、…

赤いハンカチ

★★★★ 2009年3月21日(土) 日劇会館 格好つけて結局未練タラタラやったんかいという展開が真ノワール的感興から遠ざけるかと思うそばから揺り戻すニヒリズム。最強なルリ子も展開の穴を補強した。豊穣で強靱な漲る画面の充実度は滅多にない見物で初源的モン…

茜色に焼かれる

★★★★ 2021年6月9日(水) TOHOシネマズ梅田5 とんでもない傑作だと思わせる側面も多々ある。特に、尾野真千子は今年演技賞のど本命に躍り出たと思われる入魂の演技だし、片山友希は掃き溜めに降りた薄幸の聖母を体現し得ているし、和田庵はあり得ないよ…

愛を読むひと

★★★★★ 2009年7月8日(水) TOHOシネマズ梅田9 『青い体験』かと思えば『私が棄てた女』だったという展開に予想外に心を射られた。サイクリングシーンの唯一の煌めきは残像として後半も支配する。筋を通す強靱さをウィンスレットは文字通り体現。ファイ…

悪夢のエレベーター

★★★★ 2009年10月19日(月) シネリーブル梅田1 話が返るたびに段階を追って無限地獄に誘われる徹底した「悪意」が快感で、だからこそ、打破したいという主人公の心象風景たる「球場」は肝なのだ。ポイントゲットな笑いに粉飾されたサイコな深淵。描かれた世…

アイ・アム・レジェンド

★★★ 2009年12月19日(土) トビタシネマ 前半の孤独ライフの点描が余りに鮮やかで一種快楽リズムに乗っかってるので、共闘生存者を疎む主人公の本心を計りかね、言わんや自己犠牲な人類救済へ至る整合性は見えてこない。アンチモラルへの覚悟が無いから半端…

赤と黒

★★★★ 2010年1月23日(土) テアトル梅田2 パノラミックな歴史的視座は無く冗長とも言えるが、何時しかそのテンポが癖になりそう。屋敷の廊下を行きつ戻りつのダリューの逡巡とルアルディの近代的お嬢キャラの2分された展開の異なる味わい。主客が転倒する…

アウトレイジ

★★★ 2010年6月12日(土) 梅田ブルク7シアター2 群像劇の形骸化した骸。深作・笠原が10倍に凝縮し広大な背景を垣間見せたジャンルを10倍に希釈した模造品。語るべきドラマが無いから殺しの趣向に依存する怠惰。わけても終盤の既視感には心底うんざりし…

悪人

★★★★ 2010年10月8日(金) TOHOシネマズ梅田10 排他的に個人主義な満島・岡田の世代と対峙する旧世代柄本・樹木。そして、両者から排除される妻夫木・深津がいるわけだが、やはりこれは『パレード』のように並立配置されるべき。力作だが閉じた世界の…

赤ひげ

★★ 1984年12月1日(土) 梅田スカラ座 煮詰まって袋小路に入った黒澤イズムは『七人の侍』を超える2年の撮影期間の果てに、独裁者の孤立と最善共闘者三船との別離と自殺未遂を含む4年の空白をもたらした。似非ヒューマニズムの臭いの裏側に垣間見える災厄へ…