男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【め】

メリーゴーランド

★★ 1975年12月21日(日) 伊丹グリーン劇場 観客に媚びない映画なんて無いのであるが、それでも作り手の矜持の欠片くらいは見せて欲しい。過剰な音楽に煽られラストで泣ける自分が呪わしい。可愛いくて可愛そうな少年を襲う不幸の徹底連鎖。パクリ企画は結構だ…

メイド・イン・U.S.A.

★★ 1999年11月7日(日) 扇町ミュージアムスクエア 政治的であらんとする真性ロマンティストゴダールが、その歪んだ断層を埋められずに諧謔に逃れようとしたが自己崩壊した愚作。カリーナとのコンビネーションも黄昏感濃厚で、60年代ポップアートの最良具現…

メン・イン・ブラック

★★★ 1997年12月22日(月) テアトル徳山Ⅰ 作り手が真面目に一生懸命やってるのに馬鹿なのは大体笑えるが、こういう一歩外した笑いというのは馬鹿とマジの分岐境界の維持が難しいのではないかと思う。馬鹿方向にメーター振り切ってくれないとカタルシスは生まれ…

MEMORIES

★★★ 1996年1月21日(日) テアトル徳山Ⅰ 「大砲の街」は銅版画めいたタッチとワンカットテイクに明確な意志と力量を感じるが短篇的な設定だけで転がすべき物語が欠如。「最臭兵器」は破壊表現が凡庸でカタルシスに至らない。「彼女の想い出」が宇宙怪談めいた…

めし

★★★ 1995年5月21日(日) ACTシネマテーク 倦怠とは、こう言う画に描いたようなアンニュイで現されるものかという思いがある。平素を装った表面づらの陰に忍び寄るものじゃなかろうか。夫婦のちょっとしたすれ違いや誤解を描いてそれなりではあるが、描くべ…

女狐風呂

★★★★ 2001年7月22日(日) テアトル梅田2 婿養子でありながら女房を女中呼ばわりして憚らない雷蔵の泰然自若さに嵯峨の陽性な姐御肌気質がかみ合い、日本映画には珍しい本音で戯れ合う理想の夫婦像が現出。その有り様の心地よさの前では推理劇としての出来は…

女神の継承

★★★ 2022年8月3日(水) シネリーブル梅田1 ナ・ホンジンがホラーに挑んだ「哭声」は何が本当かわからないという冥府魔道の趣きがありさすがであったのだが、その彼が原案・プロデュースを手掛けた本作は解を出して馬脚を現してしまった感がある。 霊媒師に…

メメント

★★★ 2002年1月8日(火) 梅田ガーデンシネマ2 考えれば考えるほど絶望的人生。こんな設定を考えた点は買うが余りに救いが無さすぎで見てるのがしんどい。無理筋ともいえるワンアイデアを延々繰り返し、幾何的な整合と演繹的な蓋然の相入れなさを露呈し続ける…

メン・イン・ブラック2

★★★ 2002年8月8日(木) 梅田ピカデリー3 ウィル・スミスが引っ張る非日常が常態である序盤の異空間が素晴らしかったのに、ジョーンズが出て来て予定調和の自己回復が主眼となり、おざなりとしか言えない涙を見せられるに至ってはシラけ気分が極まった。(cine…

めぐりあう時間たち

★★★★★ 2003年6月3日(火) 梅田ピカデリー2 「痛み」を伴う「生」を描くのに絶妙な間を意識した演出。それが最高ランクの女優と噛み合うと、これほど濃密な空間を産み出せるのであろうか。主演3人とも良いがストリープのリアクション芝居には今更だが舌を巻…

明治俠客伝 三代目襲名

★★★★ 1992年8月16日(日) トビタ東映 受けの芝居では鶴田浩二に敵う男優は居ないと思う。渡世の筋と愛の狭間でのギリギリの煩悶を男ならこう身を処すべしと決めたら迷わぬ潔さ。藤純子とのコンビもしっくりくる。真っ当なドラマトゥルギーに拮抗する美学的加…

メリンダとメリンダ

★★★★ 2005年7月15日(金) 梅田ガーデンシネマ2 「Life is Comedy」そう言い切る者は実は人の一生なんて苦の連続だってわかってるのさ。明快に提示されたかに見えた悲喜劇論が、やがて境界を失い融合する相変わらずの闊達な語り口。熟達人のみが老成を許され…

めぐり逢い

★★★ 1992年9月28日(月) シネマアルゴ梅田 すれ違いの作劇の見事さには目を見張るが恋愛映画のスタンダードとしては恋そのもののパトスが導入部だけで不足感がある。何よりグラントではどうしても生活の真面目な切迫感が出ないし、カーも又毅然な佇まいの下の…

メンフィス・ベル

★★ 1991年9月23日(月) 新世界国際地下劇場 生還への希望や仲間への想いは然るべきものではあるが、マクロな視座が背景になければ戦争を題材にする意味もない。ここでは、それをファッションとしてしか描いていない。ある意味では確信的に好戦的な代物より却…

メル・ブルックスの 大脱走

★★★★ 1985年1月6日(日) 戎橋劇場 この脚本を忠実に映画にすれば面白いものが出来るに決まってるとも思うが、それなりに闊達な役者を揃え、ブルックスの泥臭さも程良いスパイスとなって快調そのもので気分がいい。ルビッチ版の品を求めるのは野暮だろう。(cin…

メトロポリス

★★★ 1985年4月7日(日) 戎橋劇場 巨視的な世界観に感じる魅力は階層社会へのおののきの形骸と表裏であって一方のみを論じる危うさを内包するが、にしてもスペクタキュリティでありすぎる。凄い。金属のマリアが提示する未来への戦慄は今尚警鐘を鳴らし続ける…

めまい

★★★ 1985年7月6日(土) 新世界国際 ノバクの美貌とサンフランシスコの景観で何となく見せはするが、この因襲話はヒッチお家芸の「マクガフィン」のいいかげんさとは最も対極的位置にあり彼のストーリーテラーとしての弱点を露呈させる。正直、前半はだるく後…

名探偵ホームズ 青い紅玉の巻/海底の財宝の巻

★★★ 1984年4月21日(土) 渋谷東急 割り切って見れば悪いものでもないが、擬人化された犬の温さに宮崎の本気度合いも疑うお仕着せ企画の挿話の接ぎ木で、ド本気作『ナウシカ』の露払いとしても煩わしいだけのカップリング。ただ、地上と中空の絶妙な距離獲得へ…

迷宮譚

★★ 1984年12月8日(土) 千日会館 映画とはフィルムに内包された世界で完結はしないという趣旨は同意するが、それがドアというメタファーで表象されるのがピンとこないし安易で稚拙だと思う。無味乾燥な主題が天井桟敷風味のグロとエロで味付けされただけで、…

メカニック

★★★ 2011年12月23日(金) トビタシネマ 性急にマニュアル的過ぎ心に何も留まらず過ぎていく展開の味気無さ。相変わらずベン・フォスターは一見いかがわしいが実は腰が据わったキャラで十全だっただけにステイサムの孤高に成りきれない温さが惜しまれる。ウ…

劇場版 目を閉じてギラギラ

★★★★ 2011年12月10日(土) 第七藝術劇場 非暴力主義でナマな哀川に魅力はないが、多くの脇キャラの逸脱の連鎖が吸引力を持続させる。政岡泰志の狂気や三浦誠己の案外な腰の座りや水先綾女の無意味なエロスや永澤俊矢のダサ格好悪さや杉山彦々のふてぶてしさ…

迷走地図

★★★ 1983年11月16日(水) 伊丹ローズ劇場 派閥抗争を形成する金や人脈やカリスマな扇動力や更には人知不可侵の力学やそれを司る闇は所詮伺い知れず平明なスキャンダルに収斂してしまう。過度な期待は端から持っちゃいないが、やっぱり物足りない。闊達な演出…

メランコリア

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 1部は悪意と諧謔が混在するブニュエル由来アルトマン経由のパーティ映画として圧倒的な密度だが、その多様な悲喜交々が放棄され鬱病人間こそが終末に対峙し得るという2部のテーゼは余りに単線で…

メン・イン・ブラック 3

★★★★ 2012年5月27日(日) MOVIXあまがさき7 今更のタイムスリップネタの帳尻合わせの鮮やかな手際に興趣を覚えたわけでもないが、さほど好きでもなかった前2作の重しが随所に効いて小ネタが結構ツボにはまった。ウィル・スミスの闊達に抗するに老ジ…

夫婦善哉

★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 1990年11月4日(日) 日劇シネマ 2000年9月9日(土) 高槻セントラル 微速度での崩落が際どくも真の地獄へと至らぬのは、何とでもなるやろという開き直りがあるからなのだが、それを主役2人の演技が裏打つ。特に中途半端…

メリー・ポピンズ

★★★ 2013年8月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 彼岸から来たメリーに対し此岸にもヴァン・ダイクがいるのがミソで、子供放ったらかしで2人でよろしくやってるのが教条主義臭を廃してる。それでも結局は人間性の回復なぞ謳うしかない限界。総じ…

メン・イン・ブラック インターナショナル

★★★★ 2019年6月26日(水) 梅田ブルク7シアター7 さして好きでもないシリーズなのだが、何故か全作見ている。 今回も、「X-メン」の新作とどっちにしようかと思ったが、こっちを見てしまった。 もはや、宇宙人が日常に密かに介在しているというコンセプ…

めんたいぴりり

★★★★ 2019年1月28日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 TVドラマはほとんど見ないし、だいたい九州以外で放映したのかも知らない。 そういうTVドラマの映画版ということで、勝手知ったる馴染みの面子が演じる…って感覚は無い。 のっけから博多華丸が…

めくらのお市 地獄肌

★★★ 2014年6月26日(水) トビタ東映 ロボットのような松山容子の顔だが、けっこう情に流されるし言い寄られれば夫婦になって甲斐甲斐しく主婦してしまうあたり微笑ましくもありバッタもん的哀愁もある。松岡きっこが敵役メインで技を繰り出すが悉くチンケで…

メル・ブルックス 新サイコ

★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 本気汁で撮られた映画をパロるのなら本気で撮ってパロって欲しい。思いつきのアイデアを弛緩した適当さで見せられ続けるのは苦痛。「B級西部劇」や「怪奇映画」に対する程には強固な愛がヒッチに対しては無かったっ…