男の痰壺

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女神の継承

★★★ 2022年8月3日(水) シネリーブル梅田1

ナ・ホンジンがホラーに挑んだ「哭声」は何が本当かわからないという冥府魔道の趣きがありさすがであったのだが、その彼が原案・プロデュースを手掛けた本作は解を出して馬脚を現してしまった感がある。

 

霊媒師による除霊の話なのだが、導入はその彼女のインタビューから始まる。気合の入ったショットの連続で、これはイケてるかもとの思いで身を乗り出したけど、全篇このモキュメンタリー手法が続いていくのは正直食傷。

何より犬が憑いた(?)人たちが四つん這いで襲ってくるのはゾンビの亜種みたいで甚だしく興醒めです。

 

それにしても、韓国は霊媒師による除霊ってのが日本と同じくらいには馴染みがあるんですね(これはタイを舞台にしたタイ映画だが)。入江悠が韓国を舞台に撮った「聖地X」でもそういうシーンが出てきました。でもこの除霊の儀式の大上段の構えたハッタリのかけ具合では中島哲也の「来る」が一歩優ってた気もします。

 

導入は搦め手から本尊へ迫る語りが悉く鋭利なショットの連鎖。だがモキュメンタリー手法が永続すると判るにつれウンザリ感も。冥府魔道の趣は答がわかるにつれ減衰してしまう。四足歩行の連中に至ってはもはや茶番。除霊儀式のハッタリも『来る』に及ばない。(cinemascape)

 

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