男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しら~しん】

新宿スワンⅡ

★★★ 2017年1月23日(月) TOHOシネマズ梅田3 いきがったって所詮、女の上前はねる口入屋じゃねえ? というのは置いといて、俺は前作を虚構の男騒ぎの完璧な創造物として評価する立場である。 でも、今回は流石に因縁を持つ男同士のガチ邂逅とヤクザ、ヤク中…

シン・ゴジラ

★★★★ 2016年7月31日(日) MOVIXあまがさき6 日本はまだやれる的メッセージが迎合的だし総理だ大統領だの大風呂敷広げ茶番に見えるのも難点だが、異能集団こそが危機を回避し得るという「半島を出よ」的コンセプトと第1形態の想定外のズレ感。…

続・深夜食堂

★★★ 2016年11月6日(日) MOVIXあまがさき9 第1作もTVシリーズも未見。 野郎どもは概ね見た顔だが、第1話(河井青葉)と第2話(小島聖)のヒロインに馴染みがない。 2人ともどこか薄幸な感じが良いキャスティングセンスで見飽きた佐藤浩市や池…

しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE  超能力大決戦  とべとべ手巻き寿司

★★★★ 2023年8月16日(水) 大阪ステーションシティシネマ10 「クレしん」映画、今更の初見です。 20年前に「オトナ帝国の逆襲」が巷の話題になったとき食指が動いたけど見ることは叶いませんでした。評価がウナギ上りに上がったのが映画館での上映が終わ…

シン・仮面ライダー

★★★ 2023年3月26日(日) MOVIXあまがさき2 「仮面ライダー」の最初の放映は俺が小学生のときだったが、子供心にも、なんだかな〜と思ったのを覚えている。俺より1歳上の庵野も多分そうやったに違いないと思うんです。なんでキックされただけの怪人が…

人生とんぼ返り

★★★★ 1999年11月7日(日) テアトル梅田2 マキノお手の物の題材でルーティーンなのだろうが、ため息が出る程の安定感がある。森繁と山田五十鈴のかけ合いの巧さは『夫婦善哉』の淡島とのそれに匹敵する至芸と言って良い。(cinemascape) kenironkun.hatenablog…

シンプル・プラン

★★★★ 1999年12月11日(土) 天王寺ステーションシネマ ライミらしからぬ抑制されたノーブルな語り口。欲望に絡めとられた類型的な破滅譚が何時しか同心円を描くように設定された兄弟愛の話へと中心軸が移行して行くのが秀逸でありキャスティングも計算し尽くさ…

仁義

★★★ 1998年11月7日(土) シネヌーヴォ 思い入れ過多のムードノワールとして前半は良い。ドロンとヴォロンテの2人に軸が定まり安定しているからだが、モンタンとペリエが絡み出すと均衡されたバランスは崩壊し物語は停滞していく。大体肝心の強奪シークェンス…

「エロ事師たち」より 人類学入門

★★★ 1999年5月2日(日) 日劇シネマ 坂本スミ子が予想外に今村的ミューズを体現して感動的だが、一方、小沢スブやんの諦観は今一修羅場を潜ってるとも見えず遂に胸に迫ることはなかった。そして、悩める男の再生譚は後年の『うなぎ』にて焼き直されるわけだ。(…

シン・レッド・ライン

★★ 1999年5月1日(土) ワーナーマイカルシネマズ東岸和田7 20年間も隠遁していたせいでマリックの頭は未だ70年代的ラブ&ピースな視野狭窄に陥っていたらしい。出てくるキャラクターは善も悪も現在から咀嚼され直さずに丸投げなものだから全くのステレオ…

ジングル・オール・ザ・ウェイ

★★★★ 1997年3月2日(日) 徳山国際シネマ とてつもなくくだらないワンアイデアのみでひたすら強引に引っ張りまくるのが一種清々しい。そう思って見てると終盤で意外にも境界線を越えてしまう悪乗りに現代に於けるシュールレアリズムのポップとの幸福なる融合の…

白い風船

★★★★★ 1996年8月10日(土) 岩国勤労者総合福祉センター 年の瀬に設定された映画内時制が焦燥感を煽るように見えても、予想外に大人の世界と五分に対峙する少女のしたたかさに悲壮感はさほと無い。そして、語られてきた取り巻く世界が一瞬転倒したかの如きラス…

人狼 JIN-ROH

★★★★★ 2000年7月20日(木) テアトル梅田1 設定を近未来ではなくパラレルな昭和30年代にしたのが冴えている。本来の日本に有ろうべくないハードな世界観が郷愁の既視感と錯綜して生じる二重三重のアンビバレンツ。終盤のアクションの切れも痺れる達成度。何…

新・平家物語

★★★ 2000年8月5日(土) シネヌーヴォ ストーリーは一応見せはするものの、どうも壇ノ浦も義経も弁慶も出て来ないんじゃ詐欺だと言われても仕方ない気もする。ドラマチックじゃないから溝口らしいパッションの高揚は余り感じられない。大河ドラマの第1話だけ…

白い刻印

★★★★ 2000年9月30日(土) パラダイスシネマ1 解っててもどうしようもない遺伝子の業が救われない壊れゆく男を描いてシュレイダー自家籠中の世界。歯車の歪みは連鎖して全てをぶち壊す。ノルティが壊れても毎度のことなんだがコバーンの共感を完全排除した演…

真実の行方

★★★★ 1996年12月7日(土) 岩国ニューセントラルⅠ 癒着する教会とヤクザという社会派的設定や辣腕弁護士と美人検事の師弟対決という本筋が土壇場でいきなり思わぬ所から浮上したサイコに呑み込まれる。一点勝負のキーポイントを押さえた衝撃の演技。チャップマ…

上海異人娼館 チャイナ・ドール

★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 キンスキーとイリエによって演じられる元ネタ部分と寺山お手盛りの天井桟敷他日本人俳優により演じられる市井人部分が完全遊離し失敗。日本語で演じられる中国人ドラマは興を削ぐことこの上なく無用の夾雑物だ。自信…

新・仁義なき戦い。

★★★ 2000年12月2日(土) 天六ユウラク座 原シリーズが集団劇のマスヒステリーから望まずとも個の対立が浮かび上がるのに対し本作は冒頭から物語を規定してしまい定型化してしまってつまらない。曽根晴美等の旧世代と小沢を筆頭とした新世代の織りなすコラボが…

親愛なる日記

★★★★ 2022年9月29日(木) シネリーブル梅田2 私事ですが、映画の感想のブログのタイトルが何で「男の痰壺」やねんってのは、もともとは日々のなかのムカついたこと、イラついたこと、泣き言、恥ずかしい希望・欲望とかの捌け口にgoo日記ってのを使って…

しろばんば

★★★★★ 2001年9月16日(日) テアトル梅田2 背景にある複雑極まる人間関係を整理しその深遠な奥行きと、とり巻く嘗ての日本の「家」制度を浮き上がらせる脚色者木下恵介の腕の冴え。慈愛とノーブルを纏った北林谷栄のおばあちゃん役が絶品でラストの突き抜け方…

蜃気楼ハイウェイ

★★★ 1994年4月2日(土) みなみ会館 フワフワとした茫洋感に包まれた一篇だが、正直、主人公が出会う人々の話は深いのか浅いのかようわからん。どうでもええような気もする。まあ、旅には出た方がいいのだとは思う。意味あることだけが人生を構成するわけじゃ…

新・雪国

★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ4 ありきたりな物語だとは思うが好きなんです、こういうの。雪に密閉された温泉町の雰囲気の最果て感が良く、行き場の無い男の物語にリアリティを付与する。新人苗木は生硬で全然物足りないが、代わりに女将を演…

シンドラーのリスト

★★★★★ 1994年4月24日(日) 梅田スカラ座 基本私利の為なシンドラーの複層なキャラ付けがあるにせよ、状況に偏愛するスピルバーグのサディスティック視点の結実こそ肝。ゲットー解体から収容所に至る俯瞰描写のスケールと細緻。その厚みの対極での映画心を揺さ…

修羅雪姫

★★★★ 2002年1月15日(火) テアトル梅田2 ドニー殺陣も樋口特技も予想を遥かに超えた素晴らしさ。釈由美子の踏ん張りと腰の据わりも報われる幸福なコラボ。加えて終盤の久作と松重の芝居の味わいが感涙ものだ。もしシリーズ化されるのなら大事にして欲しい魅…

新ポリス・ストーリー

★★★ 1994年5月7日(土) 天六ユウラク座 正に行き詰まりであったのだろう。香港時代を総括する『酔拳2』の前年、今までのキャラを捨ててまでも臨んだ真性シリアス路線は決して悪くはなかったが、嘗ての華やぎは失われ斜陽の翳りは覆うべくもない。その寂寥感…

新兵隊やくざ 火線

★★★ 2002年2月14日(木) トビタ東映 全くもっての在り来たり展開ではシリーズ末期的症状にいくらカラー化や増村再登板をもってしてもリストラクトは適わない。相変わらぬ勝新の暴れっ振りを見てるだけで退屈はしないとは言えホモセクシュアルを匂わす描写は覚…

シンプルメン

★★★ 1993年3月1日(月) テアトル梅田1 稀代のコンピューター強盗の指名犯の兄と哲学専攻学生の弟が50年代の元有名大リーガーにして60年代の国防省爆破犯の親爺を捜す…設定だけはやたら大風呂敷を広げた割には物語は終始ちんまりとして地味変世界に終始す…

シン・ウルトラマン

★★★★★ 2022年5月16日(月) 大阪ステーションシティシネマ1 原「ウルトラマン」への十二分な配慮と、そこに庵野=「エヴァ」的なテイストをこれでもかとトッピングして双方がちゃんとパロディアスに居所を得ているのが予想外でした。 のっけから禍威獣が次…

親愛なる同志たちへ

★★★★★ 2022年5月2日(月) テアトル梅田2 同時期にモノクロの新作が何本もスクリーンにかかっており、1本くらい見とかなと思ってたんですが、老齢のコンチャロフスキー監督作ってことでこれには食指が動きませんでした。だってアメリカで大味な「デッドフ…

仁義の墓場

★★★ 1993年6月6日(日) トビタ東映 倫理道にもとるヤクザ道からさえ更なる逸脱の果てのアナーキズムを描くに深作の話法は規定化された己の実録路線から1歩も逸脱しない。ディープ大阪でのヘロイン地獄にザラついた高感度フィルムと芹の投入が更にわざとらし…