男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しら~しん】

「エロ事師たち」より 人類学入門

★★★ 1999年5月2日(日) 日劇シネマ 坂本スミ子が予想外に今村的ミューズを体現して感動的だが、一方、小沢スブやんの諦観は今一修羅場を潜ってるとも見えず遂に胸に迫ることはなかった。そして、悩める男の再生譚は後年の『うなぎ』にて焼き直されるわけだ。(…

シン・レッド・ライン

★★ 1999年5月1日(土) ワーナーマイカルシネマズ東岸和田7 20年間も隠遁していたせいでマリックの頭は未だ70年代的ラブ&ピースな視野狭窄に陥っていたらしい。出てくるキャラクターは善も悪も現在から咀嚼され直さずに丸投げなものだから全くのステレオ…

ジングル・オール・ザ・ウェイ

★★★★ 1997年3月2日(日) 徳山国際シネマ とてつもなくくだらないワンアイデアのみでひたすら強引に引っ張りまくるのが一種清々しい。そう思って見てると終盤で意外にも境界線を越えてしまう悪乗りに現代に於けるシュールレアリズムのポップとの幸福なる融合の…

白い風船

★★★★★ 1996年8月10日(土) 岩国勤労者総合福祉センター 年の瀬に設定された映画内時制が焦燥感を煽るように見えても、予想外に大人世界と五分に対峙する少女のしたたかさに悲壮感は無い。そして、語られてきた取り巻く世界が一瞬転倒したかの如きラストの締め…

人狼 JIN-ROH

★★★★★ 2000年7月20日(木) テアトル梅田1 設定を近未来ではなくパラレルな昭和30年代にしたのが冴えている。本来の日本に有ろうべくないハードな世界観が郷愁の既視感と錯綜して生じる二重三重のアンビバレンツ。終盤のアクションの切れも痺れる達成度。何…

新・平家物語

★★★ 2000年8月5日(土) シネヌーヴォ ストーリーは一応見せはするものの、どうも壇ノ浦も義経も弁慶も出て来ないんじゃ詐欺だと言われても仕方ない気もする。ドラマチックじゃないから溝口らしいパッションの高揚は余り感じられない。大河ドラマの第1話だけ…

白い刻印

★★★★ 2000年9月30日(土) パラダイスシネマ1 解っててもどうしようもない遺伝子の業が救われない壊れゆく男を描いてシュレイダー自家籠中の世界。ノルティが壊れても毎度のことなんだがコバーンの共感を完全排除した演技には全く参った。(cinemascape) kenir…

真実の行方

★★★★ 1996年12月7日(土) 岩国ニューセントラルⅠ 癒着する教会とヤクザという社会派的設定や辣腕弁護士と美人検事の師弟対決という本筋が土壇場でいきなり思わぬ所から浮上したサイコに呑み込まれる。一点勝負のキーポイントを押さえた衝撃の演技。チャップマ…

上海異人娼館 チャイナ・ドール

★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 キンスキーとイリエによって演じられる元ネタ部分と寺山お手盛りの天井桟敷他日本人俳優により演じられる市井人部分が完全遊離し失敗。日本語で演じられる中国人ドラマは興を削ぐことこの上なく無用の夾雑物だ。自信…

新・仁義なき戦い。

★★★ 2000年12月2日(土) 天六ユウラク座 原シリーズが集団劇のマスヒステリーから望まずとも個の対立が浮かび上がるのに対し本作は冒頭から物語を規定してしまい定型化してしまってつまらない。曽根晴美等の旧世代と小沢を筆頭とした新世代の織りなすコラボが…

親愛なる日記

★★★★ 2022年9月29日(木) シネリーブル梅田2 私事ですが、映画の感想のブログのタイトルが何で「男の痰壺」やねんってのは、もともとは日々のなかのムカついたこと、イラついたこと、泣き言、恥ずかしい希望・欲望とかの捌け口にgoo日記ってのを使って…

しろばんば

★★★★★ 2001年9月16日(日) テアトル梅田2 背景にある複雑極まる人間関係を整理しその深遠な奥行きと、とり巻く嘗ての日本の「家」制度を浮き上がらせる脚色者木下恵介の腕の冴え。慈愛とノーブルを纏った北林谷栄のおばあちゃん役が絶品でラストの突き抜け方…

蜃気楼ハイウェイ

★★★ 1994年4月2日(土) みなみ会館 フワフワとした茫洋感に包まれた一篇だが、正直、主人公が出会う人々の話は深いのか浅いのかようわからん。どうでもええような気もする。まあ、旅には出た方がいいのだとは思う。意味あることだけが人生を構成するわけじゃ…

新・雪国

★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ4 ありきたりな物語だとは思うが好きなんです、こういうの。雪に密閉された温泉町の雰囲気の最果て感が良く、行き場の無い男の物語にリアリティを付与する。新人苗木は生硬で全然物足りないが、代わりに女将を演…

シンドラーのリスト

★★★★★ 1994年4月24日(日) 梅田スカラ座 基本私利の為なシンドラーの複層なキャラ付けがあるにせよ、状況に偏愛するスピルバーグのサディスティック視点の結実こそ肝。ゲットー解体から収容所に至る俯瞰描写のスケールと細緻。その厚みの対極での映画心を揺さ…

修羅雪姫

★★★★ 2002年1月15日(火) テアトル梅田2 ドニー殺陣も樋口特技も予想を遥かに超えた素晴らしさ。釈由美子の踏ん張りと腰の据わりも報われる幸福なコラボ。加えて終盤の久作と松重の芝居の味わいが感涙ものだ。もしシリーズ化されるのなら大事にして欲しい魅…

新ポリス・ストーリー

★★★ 1994年5月7日(土) 天六ユウラク座 正に行き詰まりであったのだろう。香港時代を総括する『酔拳2』の前年、今までのキャラを捨ててまでも臨んだ真性シリアス路線は決して悪くはなかったが、嘗ての華やぎは失われ斜陽の翳りは覆うべくもない。その寂寥感…

新兵隊やくざ 火線

★★★ 2002年2月14日(木) トビタ東映 全くもっての在り来たり展開ではシリーズ末期的症状にいくらカラー化や増村再登板をもってしてもリストラクトは適わない。相変わらぬ勝新の暴れっ振りを見てるだけで退屈はしないとは言えホモセクシュアルを匂わす描写は覚…

シンプルメン

★★★ 1993年3月1日(月) テアトル梅田1 稀代のコンピューター強盗の指名犯の兄と哲学専攻学生の弟が50年代の元有名大リーガーにして60年代の国防省爆破犯の親爺を捜す…設定だけはやたら大風呂敷を広げた割には物語は終始ちんまりとして地味変世界に終始す…

シン・ウルトラマン

★★★★★ 2022年5月16日(月) 大阪ステーションシティシネマ1 原「ウルトラマン」への十二分な配慮と、そこに庵野=「エヴァ」的なテイストをこれでもかとトッピングして双方がちゃんとパロディアスに居所を得ているのが予想外でした。 のっけから禍威獣が次…

親愛なる同志たちへ

★★★★★ 2022年5月2日(月) テアトル梅田2 同時期にモノクロの新作が何本もスクリーンにかかっており、1本くらい見とかなと思ってたんですが、老齢のコンチャロフスキー監督作ってことでこれには食指が動きませんでした。だってアメリカで大味な「デッドフ…

仁義の墓場

★★★ 1993年6月6日(日) トビタ東映 倫理道にもとるヤクザ道からさえ更なる逸脱の果てのアナーキズムを描くに深作の話法は規定化された己の実録路線から1歩も逸脱しない。ディープ大阪でのヘロイン地獄にザラついた高感度フィルムと芹の投入が更にわざとらし…

続・新悪名

★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ いいかげんなタイトルが甚だしく興を削ぐし、最早シリーズの根幹を左右する事件も起きる訳でもない。だが、シリーズ主幹田中徳三の再登板もあり安定的な円みと弾力が全篇を支配。スタッフもキャストも4作目ともなると最も…

新 仁義なき戦い 謀殺

★★★ 2003年2月18日(火) ホクテンザ1 縮小再生産の感も時代の変遷と置換可能な高橋に文太・旭の、渡辺に松方・千葉の、小林に金子の、そして新人監督に深作・笠原の精魂が憑依したかの如き正統的『仁義なき戦い』の嫡子。白昼の市街戦が即物的なのも良。(cin…

死霊のはらわた

★★★ 2003年4月11日(金) シネリーブル梅田1 皆余りに簡単にゾンビになっちまって、しかも出ずっぱりに出るもんだからサスペンスというものが無い。恋人同士の交わす視線の思わせぶりの馬鹿マジさや終盤のアヴァンギャルド風味なたたみかけ等好きなとこも多い…

白い牛のバラッド

★★★ 2022年2月26日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 扱っているテーマも演技と演出も文句をつける筋合いはない。でも、1イシューをその通り描いただけみたいな物足りなさを感じた。 それは何だろうと考えるに、主人公の女性の葛藤の描き足りなさであ…

人生は、時々晴れ

★★★★ 2003年7月11日(金) 三番街シネマ2 横軸に3つの家族と縦軸に2つの世代を置いて重層的に展開していった物語が、とどのつまり1夫婦の話に収斂してしまうことに、何だか置き去りを喰ったかのようなもどかしさを覚えた。それを除けば完璧に素晴らしい。(…

眠らない街 新宿鮫

★★ 1993年10月17日(日) 新世界東映 警察内部組織の精密描写があるからこその1匹狼「鮫」の魅力は奥田との対決をクローズアップするあまりおざなりになる。結果、凡百の日本製刑事アクションになっちまった。何より、どう考えても真田広之じゃないと思う。彼…

真実の瞬間

★★★ 1992年2月2日(日) 新世界国際劇場 歴史的事実を描いて脚色にも限界があるにしても、ポリシーがあるかのようでその実逃げてるだけの主人公がもどかしい。点景のように描かれる渦中にあって火の粉を被った者にこそスポットを当てて欲しかった。全般締まり…

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。

★★★ 2022年2月16日(水) 新世界国際劇場 予告篇を見て、ちょっと見たいなとは思っていた。それは、霊能者の妻と研究者の夫のカップルであるウォーレン夫妻の絆みたいなもんが、これまで以上にフィーチャーされるんじゃないかという予感と、悪魔憑き状態で殺…