男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しら~しん】

新宿泥棒日記

★★ 1990年9月22日(土) みなみ会館 多分に場当たり的であり1個の街の名を冠した巨視的視点での構築からは程遠い。アナーキーたろうとする作者の表層的ゴダール節は真のアナーキズムどころか混沌を映画的に表現するにも至っていない。ラストの騒乱のドキュメ…

新・監禁逃亡

★★★ 2009年3月28日(土) トビタ東映 完全な2セットものの作劇に貧乏臭さと同時に郷愁にも似た感慨も覚えた。今更何かを問うわけでもない割り切りと、だが一応は物語を全うするという律儀ぶりが悪くない。ただ、2人の女優が可もなく不可もない案配ではある…

真剣勝負

★★★ 1990年11月18日(日) 日劇シネマ 70年代に「武蔵」の話を復古趣味ではなく大真面目に戦前感覚のまま撮ろうというのが異様なまでのアナクロ臭を際だたせている。正直かなわん感じだ。中沢であればと思う撮影の凡庸、三国の殺陣のお粗末さ。全てが負け目…

人生に乾杯!

★★★★ 2009年8月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 キュートな爺婆ステロタイプなら腐そうとも思ったが真摯でええ感じなのだ。疑似だが別個の普遍を獲得したカウリスマキ的間合い。主観が客体に転倒する後半の展開も納得に思える託される次世代警察キャラ。悉く…

新宿インシデント

★★★ 2009年8月23日(土) 新世界国際劇場 閉じた10年の閉じた空間に於ける民族の勃興と盛衰を描いて例えばホウ・シャオシェンの幾つかの作品と同様の興趣があるが、犯罪シンジケート間の抗争に終始し且つジャッキー作品の記号性との不親和が純度を低めた。…

しんぼる

★★★★ 2009年9月12日(土) 梅田ピカデリー1 納得のリアクション芝居が延々と続く小ネタの密室劇と、大ネタのメキシコレスラー親爺話を錯綜させる構成の冴え。正直、天才的とさえ思う。しかし、実践篇の途上から惑うのだ俺は。確信的なシャレやろ?と…万が一…

白い野望

★ 1986年6月1日(日) 塚口ロマン 何よりも不動の『白い巨塔』が存在するのに何故にこれを企画したのか疑問であるし、全てが、その出来の悪いコピーにしかなっていないのが悲しいまでに致命的。新薬を巡っての製薬会社と病院の癒着という時事的なテーマが泣い…

次郎物語

★★ 1979年2月4日(日) SABホール 戦中の作品と割り引いても雑い出来だと思う。同時代の『路傍の石』とセットで上映されることが多かったが格の違いは歴然だった。ただ100本近いプログラムピクチャーを撮り最後は香港に流れて史馬山と名乗った島耕二は…

シン・エヴァンゲリオン 劇場版𝄇

★★★ 2021年3月9日(火) TOHOシネマズ梅田3 冒頭のパリでの見せ場が、全く意味不明の映画的な牽強付会ハッタリズムで素晴らしい。これは「Q」と同じである。 が、素晴らしいのはそこだけであった。 この半年で新劇場版3作を見たのだけが、俺の知り得…

知りすぎていた男

★★★ 1985年6月23日(日) 友楽スカラ座 ヒッチの技法は、どっちかと言うと物語に従属し映画的快感に乏しい。何より主題歌「ケ・セラ・セラ」が屹立した存在感を示す終盤は技巧に耽溺した作家があっけらかんと1音楽に隷属してしまう様が一種歪で異様でさえある…

白いリボン

★★★★ 2010年12月25日(土) テアトル梅田1 一見連関しない悪意の連鎖が不穏な空気に辛うじてとどまる作劇意図はある意味明快ではあるが、意図された説話が神話領域へ解き放たれるには至らなかった。逆説のロマンティシズムを担うニクヴィストクラスのモノク…

人生万歳!

★★★★★ 2011年1月3日(月) 梅田ガーデンシネマ1 『マンハッタン』的嬉し恥ずかし展開が『嘆きの天使』なマジ匙加減を加味されるかと思いきや大きくグラインドして現在形アレンな与太話へ拡張。その与太の大半を担うクラークソンのキャラの弾け具合の粋。全…

シリアスマン

★★★★★ 2011年3月17日(木) テアトル梅田2 ついてない男のスケッチを、得意の一見意味深な無意味ネタで彩ってみせるが、『バーン・アフター』以上の精緻さを獲得した小技の応酬は最早名人芸と言うしかない。緩やかに奈落に向かう顛末は一抹の救いを見せた後…

白いドレスの女

★★★★ 1983年2月9日(水) 伊丹ローズ劇場 新人監督による絵に描いたように巧い50年代「ファム・ファタール」ミステリーの再現に酔うが、オタク的なオマージュに終わらないのは渇いた色気の大女ターナーのプレーンな美貌とド迫力の賜物。(cinemascape)

新感染半島 ファイナル・ステージ

★★★ 2021年1月3日(日) MOVIXあまがさき3 祖国が消失し国民が流浪の民となる。「日本沈没」後日譚のような発端。そして、ゾンビたちに占拠された半島にやむなく命じられて舞い戻る「ニューヨーク1997」な設定。 どちらも、大構えな活劇要件を充足…

ザ・ホード 死霊の大群

★★★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100…

人生劇場 飛車角

★★★★ 2012年5月26日(土) 新世界東映 沢島の演出は旧態な小刻みなカット繋ぎの感情発露と長廻しの愁嘆場を錯綜させ緩急自在であり、任侠マターに準ずる男優陣の安定より佐久間良子のジャンル不定さも又好ましい。殺陣の見せ場は案外少ないが充分に黎明期の…

新喜劇王

★★★★ 2020年7月18日(土) 新世界国際劇場 チャウ・シンチーは「少林サッカー」からしか見てないので、この映画のオリジナル「喜劇王」は未見。本作はシンチー自身によるそのセルフリブートである。 前作は主演もシンチーだったが、今作では女性に変更された…

白薔薇学園 そして全員犯された

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 ただただ女を犯しまくるという全く無意味な設定をコメディ色で味付けし、ひたすらに突っ走る。アナーキーだと思う。職人小原のウェルメイドを港雄一の怪演が穿つ。しかし、定型に収束する。三崎奈美も良いだけに惜しい。(…

新少林寺 SHAOLIN

★★★ 2012年7月28日(土) トビタシネマ 流れを読ませない多くの予兆を秘めた前半は素晴らしい。だが、少林寺VS圧政者という構図はラウVSツェーの個人レベルの内部闘争に摩り替わる。熱いのだが釈然としない。ただ、ラストジャッキーに担わせた万感の想い…

新・男はつらいよ

★★★★ 2013年1月17日(木) トビタ東映 真面目なさくらが不在の中、擬似寅的おいちゃんおばちゃんがフィーチャーされ、前半のドタバタは破壊力は無いが安定強度抜群。で一方で栗原小巻の可愛らしさは破壊的で、寅のダメージが沁みる。演出の見劣りは感じなか…

心中天網島

★★ 1981年3月1日(日) SABホール 脚本・撮影・美術・音楽と成る程、時代の先鋭を感じさせる前衛的スタッフワークは素晴らしいのだろうが、何だかこれみよがしな感じがする。そんなのばかりが前面に出て心中に至るパッションが後方に霞むのであれば本末転…

白雪姫と鏡の女王

★★★ 2013年7月11日(木) トビタシネマ ティム・バートンやテリー・ギリアムが遣り尽くしたジャンル攻略に新たな趣向が加味されたわけでもない。刺激度ゼロ。フィル・コリンズの娘の育ちの良さ気な物怖じの無さと凛とした太眉が唯一の見所か。ジュリアは継子…

真実

★★★★ 2019年10月13日(日) MOVIXあまがさき7 見る前に、日曜朝のトーク番組で是枝がこの映画の子役について語っているのを見た。 とんでもないクソガキだと。もちろん好意をこめてだが。 慣れ親しんだ面子の現場ではなく、初めての顔合わせの現場に入…

死霊館

★★★ 2013年10月21日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 のっけから霊媒夫婦を登場させ、被害者一家と並置して物語を展開することにより、冷めた客観性を獲得している。70年代を再現する意匠の数々も慎み深く、又一家の子供が5人姉妹というのがミソで…

人生は素晴しい

★★★ 1981年8月5日(水) SABホール ロシアの過酷な風土に根差したチュフライの鋭角的視点は地中海の陽光下でポカポカと間延びし、かといってラテン的になれようもなく中途半端な映画になってしまった。全体に緩い印象だが、とにかくオルネラ・ムーティが…

深夜の告白

★★★★ 2019年5月19日(日) プラネットスタジオプラス1 何かと逸話の多いワイルダーの初期作で「ファムファタールの原型とも言われてるらしい。 しかし、1時間半という尺の為に駆け足めいた点は否めないのだ。 保険屋の主人公は資産家の家を自動車保険の更…

白ゆき姫殺人事件

★★★★ 2014年3月30日(日) MOVIXあまがさき1 これ見よがしに「ツイッター」や「ワイドショー」という武器を並べてみたがロクに使わず仕舞で戦いは終わった。シュアに今を抉るセンスは無い。代わりに赤川次郎的昭和思春期因縁話を泥臭さを厭わずに無理…

新・明日に向って撃て!

★★ 1980年1月15日(火) ビック映劇 ブッチがナイスガイだってのを前作ではニューマンが説明なくとも十二分に体現できていたのに対し、本作では前面に出しすぎて何か嫌らしい。非情さが無く温いし、リリシズムは安い。そっくりショーとしてはベレンジャーは表…

人生劇場 続・飛車角

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 義を通すと同等に情を重んじる。倫理観が男尊的であることを差し引いても尚惻惻と沁み入る鶴田の口跡の絶品。佐久間2役も如何わしさを帯びつつ刹那感を弥増させる。沢島演出は技巧を抑制し尚絶好調だが、満州パートが…