男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しら~しん】

シリアナ

★★★★ 2007年3月24日(土) トビタシネマ 少なくとも西欧原理主義的立脚点から脱しアラブの視座を挿入しようとするあたり成程『トラフィック』の脚本家らしい。9・11の本質的意味を考えさせられる。米帝国主義を撃つ侠気にこそ涙しよう。余りにソダバーグ…

新座頭市物語 折れた杖

★★★ 1991年5月19日(日) 日劇シネマ 変わりばえしない物語だが、勝のシリーズ初演出にマカロニウエスタンを手本にしたと思しきケレンがあって悪くない。寒村のムードも輪をかける。しかし、手本にしすぎて、ラストはまんま『続荒野の用心棒』みたいになっちま…

新仁義なき戦い 組長最後の日

★★★ 1991年8月4日(日) 新世界東映 新シリーズ3部作では最もまとまりがあるが、登場人物たちが義と侠の間で煩悶せざるを得ないあたりテイストが実録から任侠に逆戻りの感。材料出尽くしの果ての後退にしか見えないところが苦しいところだ。(cinemascape) ken…

新仁義なき戦い 組長の首

★★ 1991年8月4日(日) 新世界東映 やりすぎとも思える山崎努のシャブ中演技。最早、自虐を通り越し暗黒の深淵に見る者を引きずり込むようだ。正直、こういうのが出てくるとしんどい。シリーズのネガティヴな暗部を拡大したかのような異色作。(cinemascape) ke…

新・仁義の墓場

★★★★ 2007年11月17日(土) トビタ東映 ルール無用の悪党を守る為に通す筋もある。美木・山下の侠気。東映・Vシネ複合群が新たな燦ざめく男どものカオスを形成し得たことを祝福しよう。主役2人の熱演も素晴らしい骨太筆法で犯罪者を描いた多くの傑作日本映…

新仁義なき戦い

★★★ 1991年8月4日(日) 新世界東映 「仁義」を無くして「任侠」とは縁を切った筈の「実録」に任侠残滓とも言うべき若山を引っ張ってきたことが斜陽感をいや増させる。その若山が相当にえげつないことをやりまくるのは無残との思いまで感じさせる結果となった…

神経衰弱ぎりぎりの女たち

★★★ 1991年9月7日(土) 毎日文化ホール 地中海的彩色と地中海的骨格が氾濫したアメリカンソープオペラなシチュエーションコメディ。神経衰弱という日本語感とは余りにかけ離れた逞しい女達により演じられる喧噪は彼女達が思う程の切実味を訴求しないので全く…

白い馬

★★★ 2008年7月30日(水) 梅田ガーデンシネマ1 とって付けたような逃避願望には相容れぬものを感じたが、この少年の泥まみれでヤケに頑張る様に打たれる。爺さんと弟とフラミンゴと亀の形成する空気と時間。そこには紛れもない世界の片隅の昼下がりのユート…

新宿酔いどれ番地 人斬り鉄

★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 義理を通し苦渋噛む古典任侠道へのアンチテーゼとしての破滅型ヒーローなら飼犬たる己の飼主にこそ噛み付いてなんぼだろう。愚痴ってやるせんわと自己憐憫に浸る間があるなら徹底的に破壊しろってんだ。凡庸な演出とエッジの…

次郎長三国志

★★★ 2008年10月11日(土) 梅田ピカデリー4 口跡のいい役者たちの小粋で気っ風のいい台詞の応酬。それはそれで心地よいが前作にも増してのベタ演出には少なからずがっかり。ただ、役を配する悦びに充ち充ちている。挙げていきゃあ、北村・温水・木村・竹内…

人生劇場 飛車角と吉良常

★★★★★ 1990年4月1日(日) 日劇会館 任侠映画の勃興初期に大正生まれの御大が放った前夜祭。3大スターは既に安定した境地を見出しているのに驚くし、一幅の絵画と見紛う絵面には浪漫の薫りさえ漂う。こういう邂逅にこそシンクロする映画史に於ける奇跡を我々…

新宿泥棒日記

★★ 1990年9月22日(土) みなみ会館 多分に場当たり的であり1個の街の名を冠した巨視的視点での構築からは程遠い。アナーキーたろうとする作者の表層的ゴダール節は真のアナーキズムどころか混沌を映画的に表現するにも至っていない。ラストの騒乱のドキュメ…

新・監禁逃亡

★★★ 2009年3月28日(土) トビタ東映 完全な2セットものの作劇に貧乏臭さと同時に郷愁にも似た感慨も覚えた。今更何かを問うわけでもない割り切りと、だが一応は物語を全うするという律儀ぶりが悪くない。ただ、2人の女優が可もなく不可もない案配ではある…

真剣勝負

★★★ 1990年11月18日(日) 日劇シネマ 70年代に「武蔵」の話を復古趣味ではなく大真面目に戦前感覚のまま撮ろうというのが異様なまでのアナクロ臭を際だたせている。正直かなわん感じだ。中沢であればと思う撮影の凡庸、三国の殺陣のお粗末さ。全てが負け目…

人生に乾杯!

★★★★ 2009年8月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 キュートな爺婆ステロタイプなら腐そうとも思ったが真摯でええ感じなのだ。疑似だが別個の普遍を獲得したカウリスマキ的間合い。主観が客体に転倒する後半の展開も納得に思える託される次世代警察キャラ。悉く…

新宿インシデント

★★★ 2009年8月23日(土) 新世界国際劇場 閉じた10年の閉じた空間に於ける民族の勃興と盛衰を描いて例えばホウ・シャオシェンの幾つかの作品と同様の興趣があるが、犯罪シンジケート間の抗争に終始し且つジャッキー作品の記号性との不親和が純度を低めた。…

しんぼる

★★★★ 2009年9月12日(土) 梅田ピカデリー1 納得のリアクション芝居が延々と続く小ネタの密室劇と、大ネタのメキシコレスラー親爺話を錯綜させる構成の冴え。正直、天才的とさえ思う。しかし、実践篇の途上から惑うのだ俺は。確信的なシャレやろ?と…万が一…

白い野望

★ 1986年6月1日(日) 塚口ロマン 何よりも不動の『白い巨塔』が存在するのに何故にこれを企画したのか疑問であるし、全てが、その出来の悪いコピーにしかなっていないのが悲しいまでに致命的。新薬を巡っての製薬会社と病院の癒着という時事的なテーマが泣い…

次郎物語

★★ 1979年2月4日(日) SABホール 戦中の作品と割り引いても雑い出来だと思う。同時代の『路傍の石』とセットで上映されることが多かったが格の違いは歴然だった。ただ100本近いプログラムピクチャーを撮り最後は香港に流れて史馬山と名乗った島耕二は…

シン・エヴァンゲリオン 劇場版𝄇

★★★ 2021年3月9日(火) TOHOシネマズ梅田3 冒頭のパリでの見せ場が、全く意味不明の映画的な牽強付会ハッタリズムで素晴らしい。これは「Q」と同じである。 が、素晴らしいのはそこだけであった。 この半年で新劇場版3作を見たのだけが、俺の知り得…

知りすぎていた男

★★★ 1985年6月23日(日) 友楽スカラ座 ヒッチの技法は、どっちかと言うと物語に従属し映画的快感に乏しい。何より主題歌「ケ・セラ・セラ」が屹立した存在感を示す終盤は技巧に耽溺した作家があっけらかんと1音楽に隷属してしまう様が一種歪で異様でさえある…

白いリボン

★★★★ 2010年12月25日(土) テアトル梅田1 一見連関しない悪意の連鎖が不穏な空気に辛うじてとどまる作劇意図はある意味明快ではあるが、意図された説話が神話領域へ解き放たれるには至らなかった。逆説のロマンティシズムを担うニクヴィストクラスのモノク…

人生万歳!

★★★★★ 2011年1月3日(月) 梅田ガーデンシネマ1 『マンハッタン』的嬉し恥ずかし展開が『嘆きの天使』なマジ匙加減を加味されるかと思いきや大きくグラインドして現在形アレンな与太話へ拡張。その与太の大半を担うクラークソンのキャラの弾け具合の粋。全…

シリアスマン

★★★★★ 2011年3月17日(木) テアトル梅田2 ついてない男のスケッチを、得意の一見意味深な無意味ネタで彩ってみせるが、『バーン・アフター』以上の精緻さを獲得した小技の応酬は最早名人芸と言うしかない。緩やかに奈落に向かう顛末は一抹の救いを見せた後…

白いドレスの女

★★★★ 1983年2月9日(水) 伊丹ローズ劇場 新人監督による絵に描いたように巧い50年代「ファム・ファタール」ミステリーの再現に酔うが、オタク的なオマージュに終わらないのは渇いた色気の大女ターナーのプレーンな美貌とド迫力の賜物。(cinemascape)

新感染半島 ファイナル・ステージ

★★★ 2021年1月3日(日) MOVIXあまがさき3 祖国が消失し国民が流浪の民となる。「日本沈没」後日譚のような発端。そして、ゾンビたちに占拠された半島にやむなく命じられて舞い戻る「ニューヨーク1997」な設定。 どちらも、大構えな活劇要件を充足…

ザ・ホード 死霊の大群

★★★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100…

人生劇場 飛車角

★★★★ 2012年5月26日(土) 新世界東映 沢島の演出は旧態な小刻みなカット繋ぎの感情発露と長廻しの愁嘆場を錯綜させ緩急自在であり、任侠マターに準ずる男優陣の安定より佐久間良子のジャンル不定さも又好ましい。殺陣の見せ場は案外少ないが充分に黎明期の…

新喜劇王

★★★★ 2020年7月18日(土) 新世界国際劇場 チャウ・シンチーは「少林サッカー」からしか見てないので、この映画のオリジナル「喜劇王」は未見。本作はシンチー自身によるそのセルフリブートである。 前作は主演もシンチーだったが、今作では女性に変更された…

白薔薇学園 そして全員犯された

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 ただただ女を犯しまくるという全く無意味な設定をコメディ色で味付けし、ひたすらに突っ走る。アナーキーだと思う。職人小原のウェルメイドを港雄一の怪演が穿つ。しかし、定型に収束する。三崎奈美も良いだけに惜しい。(…