男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しら~しん】

白いリボン

★★★★ 2010年12月25日(土) テアトル梅田1 一見連関しない悪意の連鎖が不穏な空気に辛うじてとどまる作劇意図はある意味明快ではあるが、意図された説話が神話領域へ解き放たれるには至らなかった。逆説のロマンティシズムを担うニクヴィストクラスのモノク…

人生万歳!

★★★★★ 2011年1月3日(月) 梅田ガーデンシネマ1 『マンハッタン』的嬉し恥ずかし展開が『嘆きの天使』なマジ匙加減を加味されるかと思いきや大きくグラインドして現在形アレンな与太話へ拡張。その与太の大半を担うクラークソンのキャラの弾け具合の粋。全…

シリアスマン

★★★★★ 2011年3月17日(木) テアトル梅田2 ついてない男のスケッチを、得意の一見意味深な無意味ネタで彩ってみせるが、『バーン・アフター』以上の精緻さを獲得した小技の応酬は最早名人芸と言うしかない。緩やかに奈落に向かう顛末は一抹の救いを見せた後…

白いドレスの女

★★★★ 1983年2月9日(水) 伊丹ローズ劇場 新人監督による絵に描いたように巧い50年代「ファム・ファタール」ミステリーの再現に酔うが、オタク的なオマージュに終わらないのは渇いた色気の大女ターナーのプレーンな美貌とド迫力の賜物。(cinemascape)

新感染半島 ファイナル・ステージ

★★★ 2021年1月3日(日) MOVIXあまがさき3 祖国が消失し国民が流浪の民となる。「日本沈没」後日譚のような発端。そして、ゾンビたちに占拠された半島にやむなく命じられて舞い戻る「ニューヨーク1997」な設定。 どちらも、大構えな活劇要件を充足…

ザ・ホード 死霊の大群

★★★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100…

人生劇場 飛車角

★★★★ 2012年5月26日(土) 新世界東映 沢島の演出は旧態な小刻みなカット繋ぎの感情発露と長廻しの愁嘆場を錯綜させ緩急自在であり、任侠マターに準ずる男優陣の安定より佐久間良子のジャンル不定さも又好ましい。殺陣の見せ場は案外少ないが充分に黎明期の…

新喜劇王

★★★★ 2020年7月18日(土) 新世界国際劇場 チャウ・シンチーは「少林サッカー」からしか見てないので、この映画のオリジナル「喜劇王」は未見。本作はシンチー自身によるそのセルフリブートである。 前作は主演もシンチーだったが、今作では女性に変更された…

白薔薇学園 そして全員犯された

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 ただただ女を犯しまくるという全く無意味な設定をコメディ色で味付けし、ひたすらに突っ走る。アナーキーだと思う。職人小原のウェルメイドを港雄一の怪演が穿つ。しかし、定型に収束する。三崎奈美も良いだけに惜しい。(…

新少林寺 SHAOLIN

★★★ 2012年7月28日(土) トビタシネマ 流れを読ませない多くの予兆を秘めた前半は素晴らしい。だが、少林寺VS圧政者という構図はラウVSツェーの個人レベルの内部闘争に摩り替わる。熱いのだが釈然としない。ただ、ラストジャッキーに担わせた万感の想い…

新・男はつらいよ

★★★★ 2013年1月17日(木) トビタ東映 真面目なさくらが不在の中、擬似寅的おいちゃんおばちゃんがフィーチャーされ、前半のドタバタは破壊力は無いが安定強度抜群。で一方で栗原小巻の可愛らしさは破壊的で、寅のダメージが沁みる。演出の見劣りは感じなか…

心中天網島

★★ 1981年3月1日(日) SABホール 脚本・撮影・美術・音楽と成る程、時代の先鋭を感じさせる前衛的スタッフワークは素晴らしいのだろうが、何だかこれみよがしな感じがする。そんなのばかりが前面に出て心中に至るパッションが後方に霞むのであれば本末転…

白雪姫と鏡の女王

★★★ 2013年7月11日(木) トビタシネマ ティム・バートンやテリー・ギリアムが遣り尽くしたジャンル攻略に新たな趣向が加味されたわけでもない。刺激度ゼロ。フィル・コリンズの娘の育ちの良さ気な物怖じの無さと凛とした太眉が唯一の見所か。ジュリアは継子…

真実

★★★★ 2019年10月13日(日) MOVIXあまがさき7 見る前に、日曜朝のトーク番組で是枝がこの映画の子役について語っているのを見た。 とんでもないクソガキだと。もちろん好意をこめてだが。 慣れ親しんだ面子の現場ではなく、初めての顔合わせの現場に入…

死霊館

★★★ 2013年10月21日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 のっけから霊媒夫婦を登場させ、被害者一家と並置して物語を展開することにより、冷めた客観性を獲得している。70年代を再現する意匠の数々も慎み深く、又一家の子供が5人姉妹というのがミソで…

人生は素晴しい

★★★ 1981年8月5日(水) SABホール ロシアの過酷な風土に根差したチュフライの鋭角的視点は地中海の陽光下でポカポカと間延びし、かといってラテン的になれようもなく中途半端な映画になってしまった。全体に緩い印象だが、とにかくオルネラ・ムーティが…

深夜の告白

★★★★ 2019年5月19日(日) プラネットスタジオプラス1 何かと逸話の多いワイルダーの初期作で「ファムファタールの原型とも言われてるらしい。 しかし、1時間半という尺の為に駆け足めいた点は否めないのだ。 保険屋の主人公は資産家の家を自動車保険の更…

白ゆき姫殺人事件

★★★★ 2014年3月30日(日) MOVIXあまがさき1 これ見よがしに「ツイッター」や「ワイドショー」という武器を並べてみたがロクに使わず仕舞で戦いは終わった。シュアに今を抉るセンスは無い。代わりに赤川次郎的昭和思春期因縁話を泥臭さを厭わずに無理…

新・明日に向って撃て!

★★ 1980年1月15日(火) ビック映劇 ブッチがナイスガイだってのを前作ではニューマンが説明なくとも十二分に体現できていたのに対し、本作では前面に出しすぎて何か嫌らしい。非情さが無く温いし、リリシズムは安い。そっくりショーとしてはベレンジャーは表…

人生劇場 続・飛車角

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 義を通すと同等に情を重んじる。倫理観が男尊的であることを差し引いても尚惻惻と沁み入る鶴田の口跡の絶品。佐久間2役も如何わしさを帯びつつ刹那感を弥増させる。沢島演出は技巧を抑制し尚絶好調だが、満州パートが…

メル・ブルックス 新サイコ

★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 本気汁で撮られた映画をパロるのなら本気で撮ってパロって欲しい。思いつきのアイデアを弛緩した適当さで見せられ続けるのは苦痛。「B級西部劇」や「怪奇映画」に対する程には強固な愛がヒッチに対しては無かったっ…

シン・シティ 復讐の女神

★★★ 2015年1月23日(金) TOHOシネマズ梅田6 浮浪者狩りの糞ガキを狩るロークの掴みやカードやコイン技の一挙手一投足の末端まで気合を漲らせるレヴィットの至芸と出だしは良いが、肝心のジェシカに切ないまでの悲哀がエヴァに悩殺的な色香が無く予定調和な…

新バニシングIN60” スピードトラップ

★ 1978年9月23(土) ダイニチ伊丹 ニューシネマの残映のもとで身の置き処を掴み損ねたジョー・ドン・ベイカーと『ハリー3』で咲いた日陰の花タイン・デイリーが主演コンビで華がない…のは良いとしても肝心のアクションの切れもC級程度の域を出ずせば何の見…

新学期 操行ゼロ

★★★ 2018年3月17日(土) プラネットスタジオプラス1 ぶっちゃけ、評価されすぎじゃないかと思われるのだが…。 これが、そもそもトリュフォーらのヌーヴェルヴァーグ同人に見いだされ神格化されたのは ①反体制的であること ②技法のリリシズム の2点による…

新宿スワン

★★★★★ 2015年6月7日(日) MOVIXあまがさき3 ハウツー&成長譚のおそろしく古式床しい物語で主人公の少年漫画的一本気な価値観が強度を倍加させている。金子の胡散臭さと深水の狂犬ぶりが嬉しく70年代的で一旦中二サイドに陥りかけた流れを切り返した園演…

白い巨塔

★★★★★ 1979年9月24日(月) 伊丹ローズ劇場 山崎原作の段階でエンターテインメントとしては完成され尽くしているのだから、ストーリーテラー山本が捌けば下手を打つ筈もないが、時代に裏打ちされた確信的とも言える役者たちのグルーヴ感が並ではない。恍惚なま…

新感染 ファイナル・エクスプレス

★★★ 2017年9月8日(金) 大阪ステーションシティシネマ11 父性の回復といった命題が主軸にあるが、それよりも否応なしに浮上するのが自己犠牲だ。 ・幼い愛娘 ・身重の愛妻 を救う為に男たちは死ねるか(ゾンビになれるか)?…といった問いかけがベタに繰…

仁義なき戦い 完結篇

★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 お祭り騒ぎの後の衰亡の歴史を綴った後日談的な寂寥。金子という隠し支柱が消えベクトル無き内部抗争の行き詰まり感は3度目の登板の松方や大友役の宍戸への交代によっていや増される。新たに政治結社化する流れが時代…

仁義なき戦い 頂上作戦

★★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 大局を知らぬ尖兵たちの殺し合いと騙しあいが入り乱れたシリーズの第3部と本4部で描かれる代理戦争の顛末はラストの文太・旭の台詞で祭の終焉とでも言うべき徒労と挫折をもって完璧に締めくくられた。大向うを唸らせ…

仁義なき戦い 代理戦争

★★★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 代理戦争の傀儡たる腹黒親爺どもの傍らで尖兵として対峙しつつも裏取引を画策し続ける男どものめくるめくカオス。その混沌の後方から現れた旭や梅宮が知らぬ間に中心に居座る役者オーラの至福。シリーズ最高峰。面白…