男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【あさ~あの】

あなたの顔の前に

★★★★★ 2022年6月27日(月) テアトル梅田2 ホン・サンスがこれまでの大同小異な作風とは異なる領域に踏み込んだ作品だと思う。それは、これまでにないくらいのオーソドックスで強度の高い展開を持つ点と、自身による撮影がグラフィックな光彩をときに志向し…

アザーズ

★★★ 2002年4月30日(火) 梅田ピカデリー3 パンニングを始めカメラオペレーションに意味を持たせ得たロジックは感じたし、屋敷の外景を含めたロケーションも堪能したが、問題はストーリーテラーとしての矜持。ヒット作との連想を持ち出されるのが解った時点で…

あにいもうと

★★★★ 2001年5月15日(水) 高槻松竹 保護慾をからっきしそそらない大年増的京マチ子の妹も腺病質的中年インテリゲンチャ森雅之の荒くれ兄貴もそれなりに見れてしまうから不思議である。厭世的成瀬イズムを底辺に流したのが通りいっぺんなお名作に終わらない味…

あした来る人

★★★★ 2002年9月9日(月) 高槻松竹 これ程さばけた調子でお互いを切り合えれば気の重い人間関係も簡単だろう。川島のニヒリスティックな諦観の最良系での表出であり50年代に作られたことが驚愕。豊饒なプロットと最後の最後まで先が読めない展開を絶妙のテン…

アネット

★★★★ 2022年4月1日(金) シネリーブル梅田3 前半は、こりゃダメだーと思った。 アダム・ドライヴァーが売れてるスタンダップコメディアンの設定なのだが、その芸が全くオモロくない。ワーワーギャハハと映画内の客席が受けるほど俺の心は冷めていく。映画…

あずみ

★★★ 2003年5月14日(水) ナビオTOHOプレックス3 テロリズムに苦悩する主人公が逆説的に強く、しかも可愛い少女というのは鉄板の設定で、前半はプロットの立て方も時宜を得て良いが、結局、救出劇になっちまうのはすり替えだろう。ロジックが崩壊している…

阿修羅のごとく

★★★ 2003年11月24日(土) 三番街シネマ3 和田勉の傑作ドラマがあり、森田もそれを見てるらしいのに何故に今更なのか?中でも、新主題曲はトルコ軍楽曲の、獅童は竜童のエピゴーネンに過ぎない。向田の脚本を忠実にトレースすれば、これくらいの出来にはなる…

熱いトタン屋根の猫

★★★ 1992年2月5日(水) シネマアルゴ梅田 凄まじい閉塞状況をこれ又閉塞的な一本調子のハイトーンで綴られるものだから酸欠状態になりそうなしんどさ。AS仕込みのニューマンは押しつぶされて埋没したがテーラーの濃厚なフェロモンだけが状況に風穴を開けて…

★★★★ 1992年6月24日(水) シネマヴェリテ とにかく堅い…気が遠くなりそうな位…。ブレッソンもかくやという常道の映画時制を逸脱したコンクリートに穴を穿つ描写。鏡に集約された敗北の自虐感。突出した幾つかの描写はベッケルの歪さを際だたせる。(cinemascap…

アタメ

★★★★★ 1991年4月6日(土) 新世界国際劇場 正真正銘のストーカー犯罪者が思い描く一方的な理想郷だが、マイナスに振れ切った針が周回してプラスに転じた如き割り切り振りは疾しさを覚えつつも爽快。純情であることは則ちに異常であることを体現する主人公のキ…

姐御

★★ 1991年8月25日(日) 日劇会館 女侠映画のパターンを忠実に現代に置き換えただけのもので健さん・鶴田のポジションにたけしってのが新鮮で気が利いてるとは思うがそれだけだ。肝心の黒木がどうにも柄じゃなく肚の据わりに欠けるし鷹森演出には映画エキスの…

あの夏、いちばん静かな海。

★★★★ 1991年11月10日(日) 森小路ミリオン1 フィックスと歩行の移動のみで構成された反復のリズムが心地いい。サイレント基調なこともあり一種絶対映画の域に迫れそうだが、照れ屋のたけしは崇高化寸前でギャグのジャブをかまして外す。悪い奴は1人も出てこ…

明日への遺言

★★★ 2008年8月9日(土) トビタ東映 西村・蒼井・田中が証言台に立つ序盤。焼夷弾による空襲への包括的裁断へどれだけ迫れるかとも思えたが、これが、藤田演ずる日本将校の米軍兵死刑問題への前フリとして機能しか無くなった時点で問題意識は極度に矮小化さ…

明日の食卓

★★★★ 2021年6月7日(月) シネリーブル梅田3 3つの子育てにからむ挿話が並行して語られるのだが、ほとんど連関しない。それは構わないのだが、連関させる構造の尾っぽが微妙に残っているのはどうなんやろう。 終盤で唐突に出てくる子殺しの主婦が菅野美穂…

あの日、欲望の大地で

★★★ 2009年10月1日(木) テアトル梅田1 場所と時制が錯綜し多くのエピソードが並立配置される前半。圧倒的な風景描写の中、過去は神話性を現在は絶望の深淵を垣間見せる。ベルイマン絶頂期をも想起させる性的アプローチだったが、物語の帰結が見えるにつれ…

アニエスの浜辺

★★★ 2009年11月5日(木) 第七藝術劇場 前半は虚(?)実交えての自分語りがトリッキーな闊達さと饒舌と詩情を混じえての展開で素晴らしい。『道化師』や『ローマ』のフェリーニの似非ドキュメントに似た興趣。だが、後半の映画を撮りだしてからの話は俄に自…

アドレナリン ハイ・ボルテージ

★★★★★ 2009年12月5日(土) 新世界国際劇場 時代のモラリティと制約から解放されるということの際まで迫った真ドラッグムービー的あんぽんたんなアメコミ細工のアホ限界爆走な極北。塚本『鉄男』が加減乗除されて行き着いた果てとも思えた。しかし、可愛げも…

熱海殺人事件

★★★ 1986年6月15日(日) 友楽劇場 終始ハイテンションで繰り広げられる誇張芝居は、それだけ充分に吸引力を持つ。滅法面白いとは思いつつも、この演出でこれだけ面白いんだったら…との疑念を持ち続けた。小賢しくもないが冒険もなさ過ぎ。(cinemascape)

あのこは貴族

★★★★ 2021年2月27日(土) テアトル梅田2 「あの子は貴族」という物言いの裏には当然に「私は平民」という立場の思いが隠れているわけだが、映画はそういった格差について切り込もうという意図はない。どっちに属して生きたって楽しいこともしんどいことも…

アデル ファラオと復活の秘薬

★★★ 2010年7月9日(金) 梅田ブルク7シアター6 冒頭の叙述的語り口から19世紀ロマン主義的展開を見せ始めるあたりが悪くもなく、米映画の低位な取り込みも目を瞑る。ギャグかと思えるオチが結構マジそうなのもベッソンの天然たる所以で今更何も言うまい…

あしたのジョー

★★★ 2011年3月6日(日) MOVIXあまがさき8 原作がそうなのだから言っても詮無いが、ファイト場面がノーガードのクロス狙い一辺倒で芸無く、決めもCG塗れのケレンを強要され不快。だが、それ以外の世界のトレースは巧緻で、キャストも香川を筆頭に敢…

アジアの純真

★★★★ 2011年12月10日(土) 第七藝術劇場 全肯定には躊躇するが、少なくともマスで醸成された言説を全否定し、且つ強固な自己反省を携えつつ世界に牙を向くという正しい在り様には賛同。大島・若松的な気骨はキューブリックなアイロニーに至る。全般粗いがロ…

アジョシ

★★★ 2011年12月10日(土) 新世界国際劇場 主人公と少女の関係が表面上ベタついていないのが救いなのだが、結局、心根ではメロウな野郎であることが嘘臭い。ゲスな兄弟とその配下の超プロなタイ人傭兵という敵キャラ配置も最早見飽きた感がある。警察の介入…

朝が来る

★★★★★ 2020年11月6日(金) TOHOシネマズ梅田10 今まで河瀬直美のことを、どうしても斜め上からしか見れない感じがしていて、それは、女性というアイデンティティをあまりに前面に出してそこに依拠した作風であることから、やたらな海外での高評価も、…

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!

★★★ 2012年1月21日(土) 新世界国際劇場 掴みからして完璧にサイコーだし、主人公2人のキャラに絡んだボケ・ツッコミ設定は総じてギャグも高度である。特にエヴァ登場時のマークのリアクションは納得もの。ただ、どうにも肝心の事件絡みが弾けないのだな。…

アタック・ザ・ブロック

★★★ 2012年6月23日(土) シネリーブル梅田2 少年達が主役なので、所詮はコード内に留まらざるを得ない生ぬるさで、かと言って友情や成長といった真摯なジャンルテーマにも感度低い。外景や遠景を駆使せぬ演出は高層住宅という魅力的空間を活かし切ったとも…

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち

★★★★★ 2012年12月27日(木) シネリーブル梅田1 心を病むことは特別なことでもない。地続きの日常の中で他者と混じわい軋轢があってこそ少しづつでも前に行ける。宴と前後する数日の人の出入り捌きの錯綜のダイナミズムはアルトマン級で、痛さを直視する怜…

アナザー・カントリー

★★★ 2013年1月17日(木) テアトル梅田1 おっさんがもったいぶって語らう回顧譚に驚くほど何も無い事が衝撃でさえある。ゲイ天国と化したらしき全寮制ハイスクールのパワーゲームは本質を描かぬことでスカスカだ。「惑星」のボーイソプラノとアイビーに惑う…

アッシイたちの街

★★ 1981年3月11日(水) SABホール 中小企業を題材に虚々実々の親会社との攻防を描くのであれば、脇を固める山本ファミリーが俄然水を得たであろうに、工員バンド「アッシイ」が高らかに労働讃歌を歌うアナクロぶりが観客の心を絶対零度に凍てつかせてし…

アニマル・キングダム

★★★ 2013年5月13日(月) 新世界国際劇場 過剰なものに慣れすぎたからだろうか。極悪ファミーリアから連想される激刺激は皆無である。心理的葛藤劇としてのサスペンス醸成にも無頓着であり、肩寄せできるキャラが無く淡々と流れていく時間。それが味と言えば…