2020-01-01から1年間の記事一覧
★★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター6 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味…
★★★ 1983年5月15日(日) 梅田ロキシー 極私的信念に凝り固まって偶発的な誤りで生じた周囲の助けを受けつつ馬鹿げたことやったからといって狂人の戯言であり、況してや延々それを見せられしんどいだけ。スペクタキュリティとして船の密林山越えは見せ場だが贅…
★★★★ 2011年6月19日(日) MOVIXあまがさき2 高度に精緻な達成とは思うが意外性が無いし、純粋に性的な鬱屈のみで極めた『反撥』なんかと比べると夾雑物があるだけエッジが効かない。大体に安直な黒鳥たるべき資質だが、それをクリアできた劇的クライ…
ここ10数年、元旦は会社の事務所で朝からグデングデンになるまで飲んで昼ごろに家に帰るということを繰り返してきたのだが、さすがに明日は絶対に厳禁との上からのお達しを受け大人しく帰ることになりそうで、そんなときだから、改めて世界の先行きに思い…
★★★★ 1983年5月10日(火) 伊丹ローズ劇場 散文的な丸山の資質が冷徹でも炎を秘めた根岸演出と融合し日本映画としては希な本質で欧米的なライトコメディを現出させた。C調な時任・宮崎を配し尚刻印された青春は叙情性無くモラトリアムな混迷がある。前田撮影…
★★ 2011年5月28日(土) トビタシネマ 特撮のええ按配の安さや、鮫登場のハッタリ根性なバイタリズムや、勇壮な解放軍が何処行っちゃた的お座成り感を笑えれば救いなのだろうが、自己批判皆無な廉価なヒロイズムの釣瓶打ちに不快神経を刺激され続けて正直し…
★★★★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 ミディアムからロングに至るショットの往還が破綻ないリズムで統一され、その中で中世と近世と近代と近未来が歪つに混合された挙句に現出したパラドックスな世界観。しかも、ロマンティシズムと侠気と執拗なまでのチ…
★★★ 2011年6月11日(土) なんばパークスシネマ5 筒井的とも言える弛緩したシュールレアリズムからお手盛りのギャグ展覧会(これも前2作の方が笑える)へ至るあたりは良いのだが、終盤はアナーキズムが消失し一気に迎合世界に安住してしまった。それならヘ…
★★★★★ 1975年7月30日(水) 梅田グランド劇場 数多のジャンル定型の登場人物群の中でマックイーンの職能主義に徹した造形が異彩を放ち、彼の到着以降は脱出と消火の即物展開となる。板子一枚下の地獄と刹那な安全圏の空間構図の造形も秀でており、窮地に際し…
★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター4 精神的インポテンツな狂言回しが、世界から弧絶したかのような訳知り顔女や風景と等価程度にしか存在価値の無い女と、これ又信じがたいが何一つ精神的相克無しですれ違う。青山と言うよりその背後の似非教条…
2020年がどういう年だったかというと100人が100人コロナで大変だった年として総括するだろう。行動が抑制され消費が収縮し打つ手のない為政者は迷走する。短期的にはそういうことなのだろうが、100年後の歴史学者は、これをどう位置付けるんだ…
★★★ 2020年12月26日(土) テアトル梅田1 女性としての生きにくさみたいなのを、これでもかと自己正当化して描いてるんだけど、正直わからんでもない部分がある一方で、それでももうちょっと折り合いつけてかなあかんのちゃう? とオジサンは思ってしまいま…
★★★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 日本アニメの基底を形成する人々が、絶対的確信のもと残した意義ある結晶。芝山的キャラが形成する安寧世界が一転して地獄絵図に突入する衝撃。その沈没シーンは『タイタニック』も真っ青。極限状態の人々を気負い…
★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター7 サバケた割切りに多少は好感を持ったが、この程度のいかがわしさでは全く足りない。『宇宙戦争』な背景に『マトリックス』敵キャラ群舞の廉価さへの懸念は終盤の空軍とのバトルCGの凡庸さでピークアウト。…
★★★ 1983年5月22日(日) 伊丹グリーン劇場 4大女優が寄せ集めの感が拭えず、矢張り何度も企画に上っていた山本富士子を長女のアンサンブルが見たかった。見合いを軸に構成したのが定型的で安易。石坂の心情描写も唐突で心に沁みない。であるから矢鱈グラフィ…
★★★★ 2020年12月23日(水) 梅田ブルク7シアター5 いったい何がどうなってん、私は誰?ここは何処?状態で置いてけぼりにされる。 まあ、回収されたシンジのおかれた状況も同じみたいなので、ああ、おんなじなんやと少し安堵し、シンジが世界と同期するの…
★★★ 2011年6月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 エリックの個の戦いとしての対ナチ復讐譚である前段のエネルギーは集団戦へと取り込まれて消失してゆく。それが一応収束したあとの抗人類思想の萌芽が如何にも性急で予定調和的。大風呂敷を広げた史…
★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 従来の今村的人物群像の希釈版羅列に新味が無い。人と動物の性の営みがコミューンで等位に並存するその俯瞰的視座に大して感慨も覚えぬが、それが又TV的平板な自然描写内で尚更茶番化する。『復讐』以前の緒形ならと思わ…
★★★★ 2011年7月9日(土) 梅田ブルク7シアター4 ネタが割れりゃ今更題材だが、艶ある画面に充満する青春の高揚がテクニカルな設定と同期し神懸りなアングルと編集のダイナミズムに至る駅シークェンス。その前段の高揚が地平を越えず枠内に安住するスピルバ…
★★★★ 2020年12月23日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 相手のことを見つめる視線。 前半は、その凝視する視線が映画のエモーションを規定する。サスペンスフルでさえある。 構成としては「ブロークバック・マウンテン」を想起させる。時代がそれを許さ…
★★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 単細胞なまでにコンセプトは一貫しており、ガキ相手だろうが何だろうが殺られたら殺り返すってことでいいじゃんってなもんで、アメリカンな論理は怖くもあるが惹かれるもんもある。いやあ、オーソドックスは強度がある…
★★★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100…
★★ 1983年5月23日(日) 梅田ロキシー 男不在の戦禍の時代が女性を自立させるという前向きコンセプトでもない。救いようの無い展開が振り切れるわけでもなく、毒や諧謔もフォトジェニーな見てくれやシュールな意匠といった映画的機微もない。フェミニズム思想…
★★★★ 2020年12月20日(日) 梅田ブルク7シアター4 今年公開された2つの映画を容易に連想させる。 「ミッドサマー」と「ザ・ハント」で、どっちが先なのか知らんけど不運やなあと思う。 またかいなと思って0.5ポイントくらい値びいてしまうから。 【以下…
★★★★ 2011年7月21日(木) 新世界国際劇場 命を賭して貫く信念と言うより、ふとした身の処し方への拘りから袋小路へ追い込まれ引き下がれず抗えない女。愛しい女の苦境に男が成すべき誠実。宗教戦争の現代へと連なる普遍を背景にマクロとミクロの往還技法の…
★★★★★ 1983年5月27日(金) 三番街シネマ2 全てのシーンに横溢する哀感はポップな色彩と採光で皮相にも倍加され、縦横で流麗なカメラワークは運動の儚さを照射する。カリーナとの終焉が産んだ男泣きこそ繰り返し模倣され陳腐化していく先人達の遺業の中で断固…
★★★ 2011年7月9日(土) トビタ東映 新味の欠片もない出がらし的一作なのだが、松坂の腰の据わった風情や城山の衒いのない直情など女たちは良い。そう思うそばから、引き際よすぎる寅のダメさと満男の意気地なさに相も変らぬ残尿感を覚える水準作。就職に絡…
★★★★★ 2020年12月17日(木) 梅田ブルク7シアター5 桐野夏生の小説に「女探偵ミロシリーズ」ってのがあって、これが1〜4作目までは普通の探偵小説なのだが、5作目の「ダーク」で突如それまでの世界観を放逐して砂漠のような人間の暗闇に踏み込んでいく…
★★★★ 1983年6月11日(土) 東多田小学校講堂 演出に邪気が見受けられず淡々と、しかし滅法明るく清々しく展開していく物語に引き込まれる。数多の動物と少年の物語の中でも小雀という小さな庇護されるべき命を育むことで成長し得る少年の自我という構図がいい…
★★★ 2011年7月21日(木) シネリーブル梅田1 夕暮れの気だるさの中で唐突に開幕したスタジアムが薄暮から宵闇へと包まれゆく臨場感。淡々と演奏を続ける男達と1人必死なミックの対比を数アングルの固定で捉えた前半は粋だが、やがて不要なモンタージュが目…