男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【つ】

追憶

★★ 1988年12月11日(日) セントラル劇場 真性女性映画とは、こういうのを言うのかも。嘗て相手の幸せを思い身を退くのは男だったが、軟派レッドフォードの為に身を退くのはバーブラの方。そして、それがバーブラだから成立し得るという皮相な2重構造が女性観…

月に囚われた男

★★★★ 2010年4月26日(月) 梅田ガーデンシネマ1 一見チャチい月面自走の資源採掘機の廃出する粉塵飛沫が良く見入れば半重力で舞う様の幽玄な詠嘆に魅せられる。『ブレードランナー』から伸延されたテーゼを『サイレント・ランニング』な侘びと『アウトラン…

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

★★★ 2011年3月12日(土) トビタシネマ 序盤のホテルでの襲撃シークェンスのスタティックな構図とローリングするカメラ使いに期するが、又かの仲良し親爺どもの青春遊戯のリフレインに心折れる。100年前の開拓時代の信義則を信奉するジョニー・トーにピエ…

冷たい熱帯魚

★★★★★ 2011年2月19日(土) シネリーブル梅田1 正直黒沢・神楽坂・梶原のミニスカ揃い踏みな女趣味だけで充分堪能してしまうが、この世界構築への確信的腹の据わり方には陶然とする。ダメなもんは破壊し尽くせというアナーキーな主張を一転ピンキーバイオレ…

次郎長青春篇 つっぱり清水港

★★★ 1983年1月4日(火) 伊丹ローズ劇場 手垢のついた題材を手垢のついた役者を揃えて賑々しくリニューアルというアイデアは正月映画らしくて悪くない。しかし、何がつっぱりなのか解らん坊ちゃん中村主演ではカラーワイドの画面をはみ出すような躍動感は生じ…

対馬丸 さようなら沖縄

★★★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 日本アニメの基底を形成する人々が、絶対的確信のもと残した意義ある結晶。芝山的キャラが形成する安寧世界が一転して地獄絵図に突入する衝撃。その沈没シーンは『タイタニック』も真っ青。極限状態の人々を気負い…

ツリー・オブ・ライフ

★★★★★ 2011年8月27日(土) 梅田ブルク7シアター5 頑固親爺に反撥した程度の問題を兄弟の死は脇に置いて大宇宙の俯瞰からDNAの極微細への往還と太古から現在への時間の流転でベルイマンもどきに神実存を問いフェリーニ的祝祭へ至る。マリックはとんでも…

ツーリスト

★★★ 2011年8月13日(土) 新世界国際劇場 刺激度ゼロの展開ではあるが、世の中を睥睨するかのようなアンジーのウォーキングと太鼓持ち宜しいジョニーのドM感が、意外に明媚なヴェネチアの風情と相俟って心地よい。ジャンルの欠落した間隙を埋める凡作として…

罪の声

★★★ 2020年11月7日(土) TOHOシネマズ梅田9 力作なんでしょうが、もひとつ熱くなれないのは何でやろとずっと考えてたんですが。 この映画と同様の「グリコ・森永事件」をモチーフにした作品で「レディ・ジョーカー」ってのがありました。当時、映画を…

月の輝く夜に

★★★★ 2012年7月13日(金) TOHOシネマズ梅田10 垣根低くサクサクと多幸感が横溢するが通り一遍とも言える恋愛錯綜。しかし、文字通り揃い踏みな終局場でのジュイソン演出の畳み掛け。その悲喜交々の視線交錯の停滞をデュカキスの真情吐露が切り裂く。…

終の信託

★★★★★ 2012年10月27日(土) TOHOシネマズ梅田1 ブレッソンとまでは言わぬがシャブロル程度の峻厳は獲得しており、河川敷等アントニオーニ的ロケ選定も秀逸だ。作劇の均衡は廃され周防は言いたい事を言い切った。メソッドから遠い草刈の生身の少女性が…

ツィゴイネルワイゼン

★★★★★ 1981年2月23日(月) 三番街シネマ2 清順の内在に根差したらしき処から降って涌いたかの如くに確固たる認識で高等遊民を描いた昭和モダニズム世界が現出した点。それが、その技法上の破綻した個性と融合し模倣を許さぬ幽幻に到達した点。孤高の男の追…

罪の手ざわり

★★★★★ 2014年6月9日(月) シネリーブル梅田4 人が事に及ぶに当然あるであろう葛藤や躊躇は描かず、状況や空気を丁寧に描くことで演繹的にアプローチするのだが、結果、非情緒的なのに惻惻とした慈しみが横溢している。特に第3話が傑出し、大陸を流浪する…

つかのまの愛人

★★★★ 2018年10月18日(土) シネヌーヴォ フィリップ・ガレルの映画は初見。 だが、脚本ジャン=クロード・カリエール、撮影レナード・ベルタってのは弩級の大所である。 これは、ニンフォマニアの女を愛人にしちまった中年男の話。 男は大学教授で女は教え…

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ

★★★★★ 2018年6月13日(水) 梅田ブルク7シアター6 思いをうまく伝えられない男と伝えてほしい女。 その遣る瀬無い機微を描くのは山田洋次の独壇場みたいだ。 俺は、実家に帰ってしまった妻のもとを訪れた夫とのやりとりを見ながら、「男はつらいよ 口笛を…

妻への家路

家★★★★★ 2015年3月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 武侠映画を経由した藝謀が到達した序盤の編集ダイナミズム。駅でのクライマックスで一瞬の邂逅が劇的に刻印される。その余熱を引きずりつつ積み重ねる残りの月日が冷めゆく追憶の無為な消費に終…

月夜釜合戦

★★★★ 2018年5月6日(日) シネヌーヴォ 上映が始まり、16ミリフィルムの質感もだが、フィルム傷に堪らない郷愁を覚える。 朝の釜ヶ崎をチャリで走る主人公の女性を延々長回しで追う。 その、「場」の空気がダイレクトに伝わる臨場感はフィルムならではだと…

椿三十郎

★★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 天才は枷がある方が逆説的に良い仕事が出来る。キャラの2次使用と東宝コマーシャリズムの制約は黒澤から本来無いものを奇跡的に引き出し遊び代を拡大した。そして、上乗せされた…

津軽じょんがら節

★★★ 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 後に『祭りの準備』で熟成される中島の都市と対置する地方論が、現代やくざの土俗との邂逅という虚構の中で未だ生硬。ルルーシュかぶれの都会派映像主義者斉藤の思い込み映像は、それでもアンビバレントな虚仮の一心と…