男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【れ】

レニー・ブルース

★★★★★ 1975年11月10日(月) 梅田地下劇場 この男は1人で落ちて行くのではなく女も一緒に落ちて行ってくれたからまだしも救われたような気がする。直前までヴェガスのショーガールだったというバレリー・ペリンの圧倒的な存在感が他の同趣向の作品と一線を画…

煉獄エロイカ

★★ 2023年8月16日(水) シネヌーヴォ 実はこの映画、20代で見に行ったとき滅多にないことなのだが開始数十分で映画館を出た記憶がある。体調不良で難解さについていく気力が続かなかった。今回、捲土重来の思いもあって見に行きました。 「エロス+虐殺」…

レ・ミゼラブル

★★★ 2013年○月○日 ○○劇場 アンの熱唱を頂点にしたコゼット奪還までの前半は良い。変遷する主人公の心情と数奇な展開が澱みなく続く。しかし、後半、半端に革命劇へ踏み入った展開のなか主人公は背景に後退。誰にも肩入れできぬ中サマンサの独唱が立ってしま…

レッド・ロケット

★★★★★ 2023年4月23日(日) MOVIXあまがさき8 前作「フロリダ・プロジェクト」同様に底辺で生きる人々を描いてショーン・ベイカーの眼差しは暖かいのだが、それでも描く視点が大きく転回したと思えるのは、クソ男のジタバタを描いて、このおっさん天罰…

レジェンド&バタフライ

★★★ 2023年2月2日(日) 梅田ブルク7シアター2 今更のキムタク&はるか、今更の信長話。と今更感満載のマーケティング公約数で企画された臭ふんぷん。そんなもん露ほども見たいと思わないのだが、見た。 だいたい何やねん「レジェンド&バタフライ」ってタ…

レインメーカー

★★★ 1998年8月22日(土) ホクテンザ2 コッポラらしい冴えが見られないと言うより、最早、ある意味らしいと思えてしまう弛緩ぶりが侘びしいなりにも納得させる普通の映画。撮影や美術に決定的タレントを欠いたがミッキー・ロークを筆頭に脇を固めるキャストが…

レッドチェリー

★★ 1996年4月27日(土) 徳山市市民館小ホール ナチスの非道と退廃を描いた映画は山ほどあるわけだが、刺激的なエッセンスをおっかなびっくり抽出してトレースしただけのもの。実話であるなら半端な扇情的描写は失礼というものだ。抑制はあるが自立的なものと…

レインディア・ゲーム

★★★★ 2000年7月3日(月) ユナイテッドシネマ岸和田1 『RONIN』で端緒を掴んだフランケンハイマーの完全復活。随所に見られる縦構図の若々しさと柔軟さ。そしてシニーズ・セロンはもとよりのアナーキーなるカジノ親爺ファリーナのイカレ加減振り。遺作と…

抵抗 死刑囚の手記より

★★★ 1996年8月24日(土) 萩スカイシネマ 生き延びるという強固な意志が昇華してメタフィジカルに反戦思想に直結してこそブレッソンの価値があるのではなかろうか。言葉で語ってしまうところが意外であった。ベッケルの『穴』なんかを先に見てしまうと緩い映画…

レオン

★★ 1995年6月10日(土) ホクテンザ2 孤高で峻厳な『ニキータ』の後で割り切りで日和れる魂の愚鈍。そのあとベッソンは怖いもの無しとなった。それでも、殺し屋と少女の関係がこうもウェットでは気持ち悪くさえある。レノは差し詰め縫ぐるみの熊。全然クール…

連弾

★★★★ 2001年4月4日(水) 動物園前シネフェスタ2 末梢ディテールへの拘りには同期するが本質思想には相容れなさを覚える竹中のその本質が封殺された良作。解決を敢えて見出さない脚本のクールネスがまず良いのだが、ダメ高等遊民な主役キャラが演者竹中にフィ…

エドワード・ヤンの恋愛時代

★★★ 1995年8月19日(土) 第七藝術劇場 人物捌きが親切でないので錯綜した物語が入ってこず狂騒の度合いも生温い。従って宴のあとの何とやら的感慨もドッチラケで湧かない。如何にもなギョーカイを舞台に持ってきたのがどうにも鼻につき、安手の台湾版トレンデ…

レッド・ブロンクス

★★★ 1995年9月2日(土) OS劇場 やられまくるジャッキーの鬱憤を晴らす爆発がないのが糞詰まりのようなもどかしさを覚える。アメリカ向けにカスタマイズされた作劇からは笑顔の下の真の嗜虐や被虐は削り取られ生温い表層だけが残留している。アクションも過…

レクイエム・フォー・ドリーム

★★★★ 2001年7月24日(火) テアトル梅田1 夾雑物ゼロの堕ちてく話を批評性ゼロで語る絶対性。ビデオクリップ的に注入シーンを記号化したアイデアの小賢しさも幾つかの戦慄的な冴えが相殺。終盤でバーステインが屋外に出て以降はオーソドックスな4エピソード…

RED SHADOW 赤影

★★★ 2001年8月11日(土) ホクテンザ2 『サムライ・フィクション』を承前する開巻は最大級の期待を抱かせるのだが、類型な作劇の連続に落胆が募る。そういうパターンをこそ崩壊させてほしかった。ギャグに抗するシリアス、おちゃらけに比する非情が温く均衡が…

レッド・ロック 裏切りの銃弾

★★★★ 1994年2月27日(日) 新世界国際劇場 グッド・バッド・ガイな主人公に対して他は皆ベリー・バッドというシンプルな設計が慾得絵巻の物語強度を増幅させた。四つ巴の演技合戦でケイジが正に適役でホッパーがサビを効かせる。ひなびた町のムードも巧妙で世…

レイニング・ストーンズ

★★★ 1994年7月9日(土) 京都朝日シネマ2 『リフ・ラフ』に比して腹の底から湧き出た何かを描くのでなく物語ることに囚われ作為的な感じだし、何処かで見たよな破滅型人間を描いて類型的。スタッフワークもゲリラ感が消失した分荒削りパワーが減衰した。釈然…

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う

★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 本当にヘタレてる連中がヘタレた話を撮るからしみじみ良かったのであって、一家を成してしまったあとに昔の杵柄でなんて思わぬ方がいい。あざとくならないのは流石だが、逆に変な方向に突き詰められてしまった。すべる…

レプリカント

★★★ 2002年6月30日(日) トビタシネマ まずは快調かと思ってたら『フェイス・オフ』とどっこいのええ加減な初期設定に又かと思い心が退いていく。サイコキラーとクローン人間の得意の2役は演りたかったんやろなレベルというか小っ恥ずかしい。だがヴァン・ダ…

実録・安藤昇俠道伝 烈火

★★★★ 2002年11月5日(火) ホクテンザ2 『DOA』丸出しの出だしから舐めとるなあと思って見ていると、中盤までの予定調和を美木と山口コンビがぶち壊す。どこまで行くのかっちゅう逸脱ぶりは相変わらずでも程良く心地良い。志賀の親爺が久々に儲け役だしラ…

レザボア・ドッグス

★★★★★ 1993年6月9日(水) 京都朝日シネマ2 以降に後続する同種映画を一斉に「陽気と狂気」の多重人格のプロトタイプに画一化してしまった恐るべきキャラの立たせ方こそ完璧にオリジナル。だが、それは一方でカイテルやロスに反映された反オタクで健全な狭義…

レイジング・ファイア

★★★ 2022年3月26日(土) 新世界国際劇場 ガンの為50代で早逝したベニー・チャンの遺作ということで、一定のバイアスがかかったのかもしれない高評価であったが、宜なるかなの出来であった。力作だと思う。 力作だけど香港映画ならではのカジョーテキトー…

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

★★★★ 1993年12月27日(月) ACTシネマテーク ダサおもろいとかヘタウマとかを意図してやればあざとくなるのだが、そもそもの「意図」がピンずれしてるので限りなく「天然」に相似となり、挙句には何故だかその笑いのセンスがハリウッド映画の最良の部類に近…

恋愛適齢期

★★★★★ 2004年5月22日(土) ホクテンザ2 良く出来た老人版ラブコメという以上に、主演2人の第一線を張り続けた30年に及ぶキャリアのもたらす映画的記憶がキャラの設定に絶妙にリンクし心からしみじみ感じ入ってしまった。顔の皺や体の弛みまでも、しみじみ…

レディ・ジョーカー

★★★★ 2004年12月18日(土) 梅田ブルク7シアター4 何が何だかさっぱり解んねえ…のは確かだが仕方なかったのだろう。原作者の思惑との狭間で悩んだ挙句に確信的に総仕込みして破綻させたと見る。ドン詰まりのやるせなさだけは過剰な程に全編を被い、どいつも…

レディ・ウェポン

★★★ 2004年12月25日(土) 天六ユウラク座 マギー・Qもアンヤも容姿は魅力的なのだが肝心の殺陣が肉弾相打つという感じではなく舞踏を踊ってるみたいで興醒め甚だしい。母親や男に対すると女になって簡単に心変わりしてしまうのも大甘。取って付けたかのよう…

レクイエム

★★★ 2005年4月13日(水) CINEMAしんげき2 主人公の来歴や背景が余り語られないところに突如ウルトラ級の凄惨なシーンをブチ込むので凄みがある。ただ、妻子の為に引退したいという柔な骨子は語らずが故に今一説得性がなく、何より敵サイモン・ヤムに狂…

レネゲイズ

★★★ 1992年8月23日(日) パルシネマしんこうえん 蓼食う虫も好き好きな2人に当て書きされた設定に人種の文化軋轢バディもんというマニュアルライクな筋書きで目新しさ皆無だが、ふてくされることもなく地道にちゃんとしたもんに仕上げようとしている。殊更に…

レイヤー・ケーキ

★★★★ 2006年9月19日(火) 新世界国際劇場 監督が替わっても相変わらずの目眩く展開と底の厚い役者集団が魅せるコラボレーションは素晴らしいの一語だ。どいつもこいつも良い顔をしていて、『仁義なき戦い』の錯綜とコラボをも想起させる。終盤の古典的展開…

レッド・オクトーバーを追え!

★★★ 1991年1月19日(土) 高槻セントラル ポリティカルな虚々実々の駆け引きの醍醐味が不足しているから今ひとつ盛り上がらない。コネリーのヒロイズムを立てすぎたので文官ジャック・ライアンが霞む。撮影を含め1級の出来だけに惜しい。脇ではスコット・グレ…