男の痰壺

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レッド・ロケット

★★★★★ 2023年4月23日(日) MOVIXあまがさき8

前作「フロリダ・プロジェクト」同様に底辺で生きる人々を描いてショーン・ベイカーの眼差しは暖かいのだが、それでも描く視点が大きく転回したと思えるのは、クソ男のジタバタを描いて、このおっさん天罰喰らってガッデムと笑って見てられるとこでしょうか。そのへん前作の少女がきっと不幸に見舞われるんちゃうかというヒヤヒヤをギリ線上で回避させた危うさとは違ってニヤニヤしながら見てられる。

 

落ち目のポルノ男優というキャラから、どうしてもPTA「プギーナイツ」とかを思い出したりするけど、ショーン・ベイカーにはオフビート感がないので、真正面から描いて巧まざるして笑えて強度がある。

男は徹底してクズ、女は徹底してスケベであり衒いもへったくれもないので一種の清々しさまで感じてしまうのだ。

 

冒頭の幾何学模様状の何某かからスローにズームダウンしたら主人公の男だったとか、隠し撮りめいた青姦とか、随所でアッと言わせるカメラ使いの閃きを感じる。まだまだ抽出しありそうと思わせるショーン・ベイカーの好篇。

 

恩を平気で踏みにじり甘くすると付け上がるクソ野郎だが其奴なりの価値基準に正直なだけなんだろうという見方。フルチン素っ裸で叩き出されたんだから許したってよという猪突猛進バカへの愛。ショーン・ベイカーは優しい。そして随所でカメラ使いが斬新。(cinemascape)

 

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