男の痰壺

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奇傑パンチョ

★★★ 2024年6月9日(日) プラネットプラスワン

子供の頃にテレビ放映で「戦うパンチョビラ」という映画を見て、どんな映画かほとんど忘れてしまったのだが唯一覚えているシーンがある。チャールズ・ブロンソンが捕虜を3人ずつ縦に並べて後ろから頭をズドン、弾1発で3人だ、節約だぜーガハハというものでして、まあ、その節約処刑はこの映画でもある。

パンチョ・ビラの子供の頃から壮年で暗殺されるまでを描いたものだが、何度もあっただろう戦闘はほぼ全く描かれない。だから、彼が如何に捕虜だろうが負傷者だろうが無慈悲に殺しまくったかは会話の中で示唆されるだけ。まあ、それを片手落ちとまで言う気もありませんが。

代わりに描かれるのは女にだらしなく、マデロという民主的な政治を実現しようとしてる学者への子どものような信奉といった人間性

 

その人間味が多くの農民を引きつけ革命を成功に導いた。となると演じる役者のカリスマが要件だけど、ウォーレス・ビアリーはその点申し分のない仕事をしたと思います。ほとんど彼を見続ける映画と言っていい。ヴェネチアで男優賞をとったのも宜なるかなです。

 

ジャック・コンウェイが監督としてクレジットされたが、実質ほとんどハワード・ホークスが撮りウィリアム・A・ウェルマンも手伝わされたそうだ。仕切りたがる男デヴィッド・O・セルズニックの制作なら監督も駒扱いです。かの「風と共に去りぬ」もヴィクター・フレミングのクレジットの傍でジョージ・キューカーサム・ウッドが働かされてます。

 

メキシコ革命の立役者パンチョ・ビラの生涯を描いたものだが軍との戦闘シーンはほぼない。代わりにあるのは限りなく女にだらしなく民主政治家マデロへの無知なりの傾倒という直情気質の描写の数々。ビアリーはそんな陽性バカのカリスマを完璧に演じてる。(cinemascape)

 

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