男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【た】

大砂塵

★★★ 2016年10月9日(日) プラネットスタジオプラスワン 四角関係のようなものを描いてるのだが妖怪化する直前の女2人に色気もクソもなく全然そそらない。男勝りの鉄火肌にも成り切れぬので野郎どもは唐変木の烏合の衆と化する。山間でやたら爆発が起こった…

007/死ぬのは奴らだ

★★★ 1975年8月10日(日) 伊丹グリーン劇場 それ以前も大概大味になってきてはいたのだがロジャー・ムーアをボンドに選択した時点でシリーズは「秘密情報部員」と言う語感が持つ60年代的冷戦下の世界観から断ち切られた。Mやマネペニーとの対面が楽屋落ち的…

太陽がいっぱい

★★★ 1976年9月12日(日) 三番街シネマ2 虐げられた末の反逆なのであるから感情移入できそうなものだし、映画は技巧を尽くしてドロンに片寄せもする。実際ドカエのカメラが捉える瑞々しい心の揺らぎは海上や市場のシーンでスパークしてる。だが、奥底に横たわ…

太平洋の嵐

★★★ 2024年1月11日(木) シネヌーヴォ 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦」なる副題が各データベースでは付いてますが本篇タイトルにはそんなもんありません。宣材段階でつけられたもんだろう。そういうのん結構拘る人間なんです。 見飽きた太平洋戦争序盤史…

ダゲレオタイプの女

★★★★ 2016年11月5日(土) シネリーブル梅田4 黒沢清はシネフィル系の小賢しさが邪魔して本質的には好きになれない作家だったが、前作「クリーピー」から、突然何かが変わったようだ。 加齢による内面の成熟なのだろう、多分。…と適当なことを言ってみるの…

大脱走

★★★★ 19774年2月24日(水) 阪急文化 ビッグXの英式階級統治が相容れぬヒルツ米流個人主義と職能集団の共同作業の中で幸福な融和を成す前半も良いが、やはり後半に一転する娑婆の空気の開放感。ヒリつく緊張が漲る中を独立独歩のマックイーンに豪快に突っ走…

第十一号監房の暴動

★★★★ 2023年7月17日(月) プラネットプラスワン ドン・シーゲルの初期作品だが、当然の如くに低予算なのでセットなんか組めずに実際の刑務所でロケしている。囚人たちもエキストラで出ているようだ(タイトルロールで刑務所と囚人への謝意が出ます。) その…

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

★★ 2023年7月6日(木) シネリーブル梅田1 どこが腕利きの探偵やねん?と思いました。探偵としての仕事は写真持って「この人見たことありませんか」と聞いて回るシーンくらいで、他にはなーんもありません。 伊藤沙莉が好きなんで見たけど、予告篇見てる時…

ゴダールの探偵

★★★ 2023年7月13日(木) シネヌーヴォ 探偵つーても、ゴダールですからその手のジャンル映画の醍醐味があるわけもない。冒頭、向かいのアパートからホテルの入り口を盗撮するシーンでまさかと思ったが、見事に空振りだった。 ホテルを舞台に4組の男と女が…

TAR ター

★★★★ 2023年5月17日(水) TOHOシネマズ梅田5 ケイト・ブランシェットがイケイケのパーフェクト女からズタボロに堕ちるという点で「ブルージャスミン」を、日常がパラノイアな神経症的妄想に侵食される点で「反撥」を思わせるが、トッド・フィールドの…

対峙

★★★★★ 2023年2月18日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 又もやのコロンバインの事件がモチーフかと思ったら、パークランドの事件だと。似たような事件が繰り返されてるんですね。 設定も、それ程までには意外性のあるものでもない。ディスカッションド…

007/トゥモロー・ネバー・ダイ

★★★★ 1998年4月21日(火) 梅田スカラ座 展開が速すぎてタメがないことは今更言うまい。驚いたのはミシェール・ヨーに対するブロスナンがそこはかとなく共闘関係の男女の機微さえ醸し出した点。又ギリアム風味のジョナサン・プライスもナイスで3者が拮抗して…

太陽の少年

★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ2 良く出来た年代記もので且つ少年時代の話というのは王道的売れ線要素だが、一方で余りに多くの作品があるので余程オリジナリティが無いと埋没する。年寄りと子供しかいない空虚な街という設定を活かしきれていない。(cin…

タイタニック

★★★★ 1998年1月14日(木) テアトル徳山Ⅲ ハイ&ローの呉越同舟をヴィスコンティ級の重厚さで描くことができれば密閉空間の悲喜交々も荘厳なものにもなったろうがハーレクイーンにライト。そして、訪れる悲劇もテーマパークのアトラクションのように期待値の最…

卓球温泉

★★★ 1998年7月11日(土) ホクテンザ1 温泉の卓球という如何にもな設定をしながら、確信的に周防映画のエピゴーネンたらんとする2重の過ちを犯したが、辛うじて中年太りの松坂の二の腕の世捨て人たらんとするかの如き迫力に救われた。(cinemascape)

大恋愛

★★★ 2023年2月9日(木) シネリーブル梅田2 ピエール・エテックスという人のことは知りませんでしたが、フィルモグラフィを見ると、ジャック・タチの助監督からスタートして、自身の作品を撮る一方、多くの監督の作品に客演している。ブレッソン、ルイ・マ…

丹下左膳餘話 百萬両の壺

★★★★★ 1998年12月23日(水) 第七藝術劇場 大河内の殺陣に潜む狂気な殺気と喜代三の骨身から滲む玄人臭。「日々平安」なプロットは本物イズムに担保され瞬時も緊張は途切れない。パロディに臨んで諧謔の中に鋭利を差し込む山中イズムの後世への波及。マスター…

パトリス・ルコントの 大喝采

★★★★ 1997年1月24日(金) 徳山市市民館小ホール いい加減と紙一重の肩ひじ張らないフットワークと一作毎に簡易にテーマを変える変幻自在さ。洒脱を心得たルコントをアレンと比肩させるのは的を得てるだろう。老優たちが見せるアホ演技のコンビネーションの絶…

ダンテズ・ピーク

★★★ 1997年3月9日(日) テアトル徳山Ⅱ 火山噴火の描写を溶岩とか火山弾ではなく火砕流中心に描いたビジュアルが新鮮で粉塵に街が飲まれるシーンだけでも見る価値はある。物語が余りに在り来たり且つ局所的すぎてスケールを貶めてしまったが、自然災厄映画とし…

太陽に灼かれて

★★★★★ 1996年1月27日(土) 徳山市市民館小ホール ミハルコフが親和するチェーホフ的世界に切り込まれるタルコフスキー的前衛は故国近代史への錯綜する想いを表出し、ソビエト映画史を概観するような感銘。ズーム使いは後期フェリーニ・ブニュエルを想起させる…

TATARI

★★★ 2000年8月19日(土) 天六ユウラク座 嬉しくなる位の定石を踏んだお化け屋敷もので、ヘタな演出上の色気を出さぬので好感を持てる。なんだかんだ言っても古来より伝わるオーソドキシィの旨みは棄てたもんじゃないと思わせる上出来ホラー。ただ、終盤の展開…

007 カジノ・ロワイヤル

★★★ 1995年1月5日(木) 扇町ミュージアムスクエア 意図して壊れるのはあざといが、これは意図せぬのに完璧に壊れてしまった代物で今日日のマニュアル的な製作過程では絶対に生じない作品だということは認める。しかし、だから面白いかと言えば然に非ずと言う…

暴走パニック 大激突

★★★ 1995年2月19日(日) 新世界東映 荒々しいと言うよりディテールや展開のテキトーさを有無を言わぬゴリ押しで糊塗して狂熱で誤魔化し切ってしまう遣り口が食えない。似非ニューシネマなストーリーも寒いが、渡瀬と杉本の貧乏たらしさのなかに腐れ縁的絆を見…

ダンサー・イン・ザ・ダーク

★★★ 2001年1月15日(月) 梅田ピカデリー4 障害があって貧乏で産んだ子も障害があり不条理に死刑された人は多分いくらでも居るだろうし、そういう人が友でも救う術無く見守ることしか出来なかった人も多く居るだろう。映画は冷徹に描写する以外に何が出来るだ…

ターミナル・ベロシティ

★★★ 1995年4月23日(日) 祇園会館 ニッチな界隈で世界戦を語るB級感を弥増させるナスキン客演であるが脳内スポンジのチャーリーの無我の演技が煩悩を制覇。スカイダイブのクライマックスは結構な見せ場で金払って見る価値はここだけでもある。キャラを立てれ…

太陽はひとりぼっち

★★★★★ 2001年3月7日(水) 動物園前シネフェスタ2 取敢えずベッドを共にしてみたけど所詮相性が合わなかった2人。それを恰も世界の週末の前兆のように描くアントニオーニの虚無は笑いを通り越し崇高に達する。暑熱の室内・馬鹿踊り・遊覧飛行・暴落の取引所…

ダイ・ハード3

★★★ 1995年7月1日(土) 梅田スカラ座 シリーズの為に書かれた脚本じゃないのにタイトルだけ『ダイ・ハード』にした乖離感が拭えない。女房不在のマクレーンは何とかの無いコーヒーみたいだ。最初の30分こそは、それでも趣向が冴えてるが残りは平凡。カメラ…

007 ゴールデンアイ

★★★ 1995年12月9日(土) 徳山国際劇場 ムーア→ダルトンと下降線まっしぐらのシリーズが世につれ遂げた遅ればせながらの変革。あくまで追随者としてだが。飄々と軽やかに役こなすブロスナンにボンド役のステイタスが喪失した時代を感じ寂しい。ファムケのヴァ…

ターン

★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ4 手塚治虫の掌話みたいなテイストなのに無人の幹線道路なんかをヘタに見せたりするから見る者は大構えな何かを期待してしまう。ミニマム世界に徹して吉の企画だった。抑制が効いた描き方は焦燥と諦観、希望と絶…

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

★★★ 2001年12月18日(火) 梅田劇場 バラゴン戦を筆頭に「チャンピオン祭」へのオマージュを踏んだ景観の中の怪獣のパノラミカルな臨場感で、待ってましたの見たかった絵が続出。しかし、怨霊とか聖獣といったアニメチックで無粋な解釈が怪獣を貶める。竜童軍…