男の痰壺

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ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄

★★ 2017年1月23日(月) 新世界国際劇場 ドイツの監督のウーリー・エデルは80年代にちょい脚光を浴びた。 「クリスチーネF」と「ブルックリン最終出口」が有名だが両方見てません。 ただ90年代に渡米しマドンナ主演で「BODY」を撮った。 これは見た…

ペイバック

★★★★ 1999年8月29日(日) ホクテンザ1 殺したいほど憎くったって最後には神の如き寛容さを見せる伝統ヒーローよ糞喰らえとばかりのギブソンの呵責も容赦もないキャラが一級の出来で、ヘヴィな撮影がハードボイルド世界を全うしている。『ポイント・ブランク…

ベルベット・ゴールドマイン

★★★ 1999年8月28日(土) 西灘劇場 最後まで見れば御伽噺としての世界観は貫徹されてるにしても少女趣味的な導入からして脱力。結局は業界ものの常套構成は背景にすぎず語り部の半端な自分語りに収束する。どっちつかずだ。マクレガーとベールの屋上シーンは詩…

ヘアー

★★ 2023年1月16日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 1979年の製作当時にも証文の出し遅れ感が濃厚な映画だった印象がある。そんなんで、そんときは見てないし、今回見た印象もなんだかなーです。 1969年にブロードウェイで初演されたミュージカ…

ひばり十八番 弁天小憎

★★★★ 2022年12月12日(月) 新世界東映 弁天小僧は男であり、それが女装し娘に化けて悪徳商人相手に一芝居という歌舞伎の舞台でしか成立しない倒錯劇だが、その弁天小僧を女のひばりが演じることで倒錯2段重ねのヘンテコな趣きがある。楽しかった。 約束事…

蛇の道

★★★★ 1998年5月16日(土) ホクテンザ1 ひと昔前のインディペンデント感を濃厚に漂わせたいかがわしさがある。哀川の塾講師が1歩間違えれば陥る脳内構成な稚戯から辛うじて逃れ得たのは黒沢お得意の終末感がこの程度の物語容量に最もフィットするからだ。復…

ベイブ

★★★★★ 1996年3月31日(日) テアトル徳山Ⅱ 豚もさることながら犬・家鴨・羊など全て良い。アニメで描かれても今更な擬人化動物たちが語り合う様は、程好き抑制が効き最高ランクのファルスとして澱むところ無い。屠蓄され屠蓄する両者の共棲世界は際どく偽善を…

ヘルドッグス

★★★★ 2022年9月16日(金) 梅田ブルク7シアター5 原田眞人の、このジャンルへの適合性を改めて感じた。といっても「リターン ハードバージョン」ぐらいしか見てないんですけど。それと、岡田准一の格闘技への拘りとビルドアップした肉体のリアリズムは、映…

ベティ・サイズモア

★★★ 2001年7月17日(火) OS劇場CAP レニーを見に行ったのに今更ながらフリーマンに魅せられてしまった。がしかし、ショック状態という設定にせよ思い込みの激しさに真実味が感じらず、最初こそハードな描写もあったが追う2人が良い人すぎて対比が効いて…

ペインテッド・デザート

★★★★ 1994年5月7日(土) 天六ユウラク座 好きこそ物の上手なれでアメリカかぶれ原田の特質みたいなのがビデオ映画『タフ』連作で見出し獲得した一応の職人芸と最良の形でマッチングし違和感無くはまった。木村一八がアメリカの役者や風景の中で全く浮いて見え…

新兵隊やくざ 火線

★★★ 2002年2月14日(木) トビタ東映 全くもっての在り来たり展開ではシリーズ末期的症状にいくらカラー化や増村再登板をもってしてもリストラクトは適わない。相変わらぬ勝新の暴れっ振りを見てるだけで退屈はしないとは言えホモセクシュアルを匂わす描写は覚…

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

★★★★ 2002年4月1日(月) テアトル梅田2 人はどこかで虚飾を剥ぎ取ってむき出しの自分と対峙しないといけない。そして、どんなに辛くても結局のところ生きていくしかないとでも言いいたげなラストの余韻。余りに70年代的で感動的な楽曲とポップカルチャーな…

ベイビー・ブローカー

★★★★ 2022年7月4日(月) MOVIXあまがさき1 疑似家族めいた展開が「万引き家族」の変奏バージョンみたいで目新しさがないってことで評価は今一のようである。それは否定もしないけど、それでも尚本作の持つ強度には惹かれる。 おそらく、この題材が日…

ペリカン文書

★★★ 1994年9月4日(日) 新世国際劇場 蛇の穴に手を突っ込んだ的な剣呑からは遠いし、手堅くはあるが最早意外性も皆無。しかし、キャリア序盤の美味しいさかりのトップスター2人を配した勢いはパクラを『推定無罪』の沈滞から辛うじて救う。踏み込んだ2人の…

平成狸合戦ぽんぽこ

★★★★ 1994年9月25日(日) 三番街シネマ2 擬人化された狸を突然にリアリズム狸として視点を切り替える手法がベタとは思うがファンタジーと現実を往還するに十全な効果をあげている。メッセージが直截すぎて生硬とは思うが斜に構えて傍観するよかマシだろう。…

ベティ・ブルー 愛と激情の日々

★★★ 1993年11月27日(土) ACTシネマテーク 相性の合わぬ男と女の腐れ縁の変遷が最悪の形で瓦解しゆく様を延々見せられてしんどいことこのうえないし、まあありがち。「インテグラル」ではなく初出版で見たかった。ただベアトリス・ダルのオーラは大したも…

北京好日

★★★★ 1993年11月20日(土) ホクテンザ2 シネマヴェリテという古語を彷彿とさせるインタビュー場面の創造を混じえた劇作がとてつもなく洗練されていると思う。ある種のいかがわしさを交えたドキュメンタルな作風から香り立つ60年代風味が堪らない。(cinemas…

ペンデュラム 悪魔のふりこ

★★ 1992年3月29日(日) トビタシネマ 完全無欠にB級映画な精神なのに中途半端に正統的美術とかがまともで演技もセーブしたりするもんだから戸惑う。もう少しはったりを効かせて欲しかった。制約下でまともに勝負しようとして塩垂れた押し花みたいな出来。肝…

兵隊やくざ

★★★★ 1992年6月27日(土) 高槻松竹 システムに根ざす悪を駆逐するに圧倒的暴力が必要で知識はそれを補完する。その暴力の呵責無き徹底振りとそれを完全担保する勝新の魅力。一方で小林節雄の白黒カメラの艶が妙に色気充分で絶妙な臨界線上に映画を位置させた…

ベルーシ=ブルースの消えた夜

★★★ 1992年9月12日(土) 毎日文化ホール 黄泉の国から眺めるという体裁上、鎮魂的な静謐が支配するのは必然で、それを狂騒を旨としたベルーシの半生を描くに用いたのが良い。エピソードをある程度知ってた方が理解は深まったろうが、悲哀をこめた暗調の展開は…

ヘアスプレー

★★★★★ 2007年10月20日(土) 梅田ピカデリー1 陽気で前向きなだけで変革をもたらせられるとは思わないが、及び腰な人々を融解させる触媒にはなる。そういう積み重ねの歴史こそ重要なのだ。居ても立ってもいられずダンスの渦中に飛び込む人々。踊らにゃ損損…

白頭山大噴火

★★★ 2021年9月5日(日) 大阪ステーションシティシネマ2 火山か噴火するだけの映画だったら見る気もなかったんですが、加えて北の核弾頭を奪取するというポリティカルな要因が加味されるってんで食指が動きました。 韓国という国にとって、というより朝鮮民…

辺境の追跡

★★★ 2021年7月23日(金) プラネットプラスワン アラン・ドワン再発見なんだそうである。 サイレント期から50年代にかけて400本以上の作品を撮った巨匠だそうだが、サイレント映画に疎い俺は知る由もない人なのであった。 興奮に目を輝かせる先輩に対し…

ペレ

★★★★ 1990年3月4日(日) セントラル劇場 『木靴の樹』もかくやの農村の四季をとらえたカメラと美術のリアリズムを緻密な計算で完璧に支配し得た驚嘆の完成度の農村少年旅立ものだが、完璧すぎて無駄も破綻も無くさくさく判り易すぎて少し物足りない。あかんた…

ベン・ハー

★★★ 1990年3月24日(土) 朝日会館 ガチンコ憎悪と裏返しの愛情物語の背景に雌伏する聖者伝説が前面に出てくるにつれ胡散臭さにテンションが下がる。前半の書割背景のガレー船エピソードが凡庸なのに戦車競走シークェンスは巨大セットの壮麗とリアル撮影が相見…

ベルリン・天使の詩

★★ 1988年11月20日(日) セントラル劇場 籠の中の映画オタクが撮った愛の話は当たり前に幼稚で形骸的なのだ。それをアルカンのモノクロやらハントケの詩やらフォークの斜視やらを塗して、スノッブ臭ふんぷんたる気障ったらしさが嫌らしい事この上ない。主役2…

ベロニカ・フォスのあこがれ

★★★★★ 1983年5月23日(日) 梅田ロキシー ドイツ版『サンセット大通り』を、光と影の極度なコントラストや技巧の粋を行く多くの小道具等、意識的に刻印された戦前ドイツ表現主義の残滓で縁取り、一方でシークェンスごとの情感は遍く濡れている。更に得意の退廃…

ベスト・キッド

★★★ 2011年12月23日(金) トビタシネマ 何よりジェイデン君の真直ぐな子にしか見えぬ立ち居振る舞いや眼差しに射られ、観ながら号泣する親爺ウィルが自ずと脳裏に浮かぶ程の素晴らしいタレント。勿論嘗てのサモ・ハン化したかのようなジャッキーも良い。た…

ベリッシマ

★★★★★ 1983年12月22日(木) 伊丹グリーン劇場 思いこんだら視野狭窄に陥りひたすらに猪突猛進するが何時か気付いて一気に退いてしまう。しかし間をおけば又ぞろ同じ事を繰り返すだろう…そんな女の愛しき性を肉体と魂で叩き付けるアンナ・マニャーニが最高。ヴ…

別離

★★★★★ 2012年6月16日(土) 梅田ガーデンシネマ1 離婚と板挟まれた子供を物語るかに見えた展開は老親介護に舵を切ってから幾何級数的に諸問題を包含しつつ次々新たな展開を迎える。一寸見たこと無い作劇のダイナミズム。それが一巡後に戻った所は最早戻れな…