男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【み】

ミニー&モスコウィッツ

★★★★★ 2024年2月12日(月) プラネットプラスワン 【ネタバレです】 前代未聞の卓袱台返しが呈される。最初は唖然として、次にざけんなと腹が立ち、でも何日かしてカサヴェテスの全てを肯定する包容力に平伏す思いに至った。 例によってしんどい状況が繰り広…

皆さま、ごきげんよう

★★★ 2017年1月14日(土) テアトル梅田2 ドリフのコントのようでもあるしシュールな寸劇がブニュエルの「自由の幻想」のリニューアルバージョンのようにも見える。 特に安い中世挿話から展開するのが意識的なのか?。 概ね映像主義的作風からは遠い。 相当…

水戸黄門 助さん格さん大暴れ

★★★★ 2016年10月22日(土) 新世界東映 どうにもジャニーズ風弘樹&欣也が気持ち悪く入り込めなかったが渡辺マリや田中春男の異形使いが毒をもって毒を制しハイテンション街道を驀進する。疾走の沢島モンタージュに遺漏なく前衛に迫り、大オープンセ…

ミュージアム

★★★ 2016年11月19日(土) 梅田ブルク7シアター3 和製何とかという呼称がロクでもない評価であると解っている筈である。 でも俺はそんなことはどうでもいいと思ってる。 古来アルチザンとはそういうものではなかったのだろうか。 大友啓史とは多分何の内実…

ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE

★★★★★ 2023年7月26日(水) MOVIXあまがさき9 驚くほどに新しいものが何もない、そこがかえって素晴らしいと思いました。どっかで見たようなアクションシーンの建て付けばかりなのですが、にもかかわらず泰然とした自信と漲るオーソドキシー。前作「フ…

M3GAN ミーガン

★★★★ 2023年6月21日(水) TOHOシネマズ梅田9 人工知能が反乱を始める。繰り返し語られてきたモチーフであるし、何か新しいものが付加されたとも思えないのだが、むしろその古典的な題材を丁寧に充足しようという意図は一定の強度をもたらしている。 細…

魅せられて

★★★ 1998年8月15日(土) 第七藝術劇場 新人女優の一夏の経験ものという「角川的」典型ジャンル映画に対してのベルトルッチのそれなりに真面目な取り組みは好感を持つが、以上でもそれ以下でもない。硬質なコンジも悪くはないが、このイタリア田園風景はやはり…

身代金

★★★ 1997年2月15日(土) テアトル徳山Ⅰ 誰でも一度位はアイデアを思い付く。問題はそれを如何に深化させ派生の枝を広げ物語の揺るぎない骨子と成し得るかだが、本作は拡散して焦点ボケした。演出も丁寧だが律儀すぎてメリハリに欠け脚本の欠点を補えていない…

MISTY

★★★ 1997年5月5日(月) テアトル徳山Ⅰ トップクラスの3人をキャスティングし屋久島くんだりまでロケしに行って気合は入ってるとは思うが、現代劇でこそ映える3人は板についてなく熱帯樹林みたいなロケーションには違和感がある。何よりどうあがいても『羅生…

皆月

★★★★ 1999年11月20日(土) テアトル梅田1 失踪した妻を追うという魅力的コンセプトは放置され、奥田の主人公は共感出来なく面白みも無い。一方で、それを補って余りある北村一輝と吉本多香美。規格外の暴力と狂気。予想外のエロスと開き直り。2人が全篇を統…

宮松と山下

★★★★ 12月5日(月) シネリーブル梅田4 監督集団「5月」とかいう3人の人たちによる長篇デビュー作品らしいが、その彼らが謳っているのが、まず手法ありきなんだそうで、こらはなかなか勇気のある発言だと思う。 撮った映画について聞くとき、テーマは何か…

ミッション:インポッシブル

★★★ 1996年7月6日(土) 徳山国際シネマ 『スパイ大作戦』リニューアルバージョンにデ・パルマとは打って付けの人選に思え、実際、マルチスクリーン等のケレンがはまり、兎にも角にも欧州系俳優2人の参画で60年代冷戦下スパイ映画のムードは復刻された。惜…

殘菊物語

★★★ 2000年9月9日(土) 高槻セントラル ダメボンに惚れてしまった良く出来た女の自己犠牲に共感が出来ない。典型的なメロドラマであり、こういう骨子の諸作を経て幾多のメロドラマが産み落とされたにしても、マスターピースとしての原初的なパワーまでは持ち…

3つの鍵

★★★★★ 2022年9月28日(水) シネリーブル梅田1 大して作品見てるわけではないのでナンニ・モレッテイの何がそんなに偉大な作家なのかはわかりません。本作は群像劇なんだが、それならアルトマンやPTAやソダーバーグらアメリカの監督たちの作品の余裕かま…

みんなのヴァカンス

★★★★★ 2022年9月24日(土) シネマート心斎橋2 ギヨーム・ブラックの映画は「女っ気なし」以来だけど、やっぱつくづくこの人の映画好きやなー思う。モテない野郎どものしがない日常を描いて、それに深ーく共振をする俺も又ちゃんとした人間なんだと勇気づけ…

水の話

★★ 1995年6月24日(土) みなみ会館 インスピレーションを頼りに行きゃあ何とかなるだろの戦略のなさが帰結した素材の残骸。料理は俺に任せろの意気も空転し素人芸と50歩100歩の体たらく。2人が名前を連ねた若気の至りモニュメントとして記録に残してい…

みんなのいえ

★★★ 2001年6月14日(木) 梅田劇場 前半はそれなりにグラインドしてるのだが、中盤以降、大工とデザイナーの話に絞り込んでいった途端に在り来たりとしか言えない展開になっちまう。大体邦衛も唐沢にしても余りにタイプキャストで意外性無さすぎ。一方田中と八…

水戸黄門

★★★★★ 2022年8月9日(火) 新世界東映 恥ずかしながら「水戸黄門」の映画って初めて見ました。黄門様と言えば俺の記憶では東野英治郎のTVドラマが最古の記憶で、以下、佐野浅夫や西村晃とかも演りましたが、どれもまともに見たことなんてありません。 映画…

見知らぬ人

★★★★ 1994年4月9日(土) 祇園会館 叔父さんの文明論は多分に青臭いのだが、それをさっ引いても多くの経験を積んできた熟達の人間味を感じさせ、且つそれがレイが到達したものにシンクロしてる趣がある。巨匠と言われる人の晩年期に現出するさばけた境地とでも…

ミスター・ノース 風をはこんだ男

★★ 1994年10月29日(土) みなみ会館 死期に差し掛かった老監督の夢見た古き良きアメリカ。ヒューストンはフランク・キャプラをやりたかったのだろうか。だが、引き継いだ息子ダニーの演出は確信的な錯誤をゴリ押しするパワーに欠けるので、甘ったるいだけのふ…

未知への飛行

★★★★ 2022年5月29日(日) プラネットプラスワン 1964年制作で同年の「博士の異常な愛情」と扱うテーマで競合・紛糾したらしい。今回初見だが、確かに構成やキャラも相当にかぶっていると思いました。基地や作戦室や爆撃機のコックピットといった限定さ…

ミミック 2

★★★ 2002年9月23日(日) トビタシネマ オリジナリティは殆ど無いにしてもこういうきっちり作られた地味暗ホラーは嫌いじゃない。主人公の女性昆虫学者の孤独感が彼女に対する怪物の想い(?)とシンクロナイズしていく展開が好み。デル・トロの1作目は未見だ…

壬生義士伝

★★★ 2003年1月28日(火) 梅田ピカデリー4 家族への深い思いと義を通すということ。前者は過不足無く中井の熱演もあり正直号泣ものだが、構成的に後者に転回していく部分が詰めが甘く舌足らず。『御法度』という曲者揃いの新撰組を見たあとでは今回は何となく…

水の旅人 侍KIDS

★★★ 1993年9月15日(水) 梅田劇場 NHK教育の幼児向けドラマのようなチープな絵作りがそれなりに味わい深く、それを全篇全うすることで題材に見合う世界を表出し得てるとは思うが、『デンデケ』以後の大林マイブーム手持ちカメラのブレ映像のしつこさが世界…

ミスティック・リバー

★★★★ 2004年1月20日(火) 梅田ピカデリー4 多彩な人物が入り乱れ拡散しまくる展開の中で緊張が持続した人間描写は、中盤で底が割れドラマの重点が絞り込まれるにつれ馬脚を現す。ふったネタを放棄したかのような展開が釈然としない。ペンもデ・ニーロみたい…

ミステリー・トレイン

★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 俺が今ここで何してる間にも見知らぬ某は見知らぬ何処かで何しているということに諦観めいた侘び寂び的興趣を見出せなければ面白くも何ともないのだろう。最初に外してしまうと徹底的に乗れない。そういう意味で日本人…

ミニミニ大作戦

★★★★★ 2004年9月13日(月) トビタシネマ 締めるべきところはキッチリ締めてるのにノンシャランな心地よさが全篇を横溢している。往年のストーリーテラーは隙が無いと今更ながら思い知らされた。場を弁え自然体に徹した3人の当世流行役者も好感度大なら演出も…

ミンボーの女

★★★ 1992年6月3日(水) 梅田スカラ座 やくざを描くに既存映画とは全く違うアプローチ。ヒロイックな虚構を廃し徹底的に貶め罰す伊丹は硬骨漢だった。ただ又も「女」シリーズの一環として製作された為にハウツー的メソッドが提示されルーティーンの陥穽に落ち…

Mr.インクレディブル

★★★★★ 2005年1月15日(土) 梅田ブルク7シアター4 家庭が平穏なら外へ飛び出せばいい。しかし、社会の基盤となる最小単位が崩壊する時代には今一度それを再構築せよということだ。保守は反転し強烈なカウンターメッセージとなるだろう。愛と連帯こそが危機を…

ミリオンダラー・ベイビー

★★★★ 2005年6月11日(土) 梅田ピカデリー1 他者のシナリオを律儀になぞるが、本質的には「物語」としてのロマンティシズムと同志愛とも言える役者達との共闘空間があれば良い。多分それがイーストウッドの純粋さであり限界でもある。それを映画と断言する輩…