男の痰壺

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未来よ こんにちは

★★★★★ 2017年4月17日(月) シネリーブル梅田1
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もう、60代の半ばであるから、立派なおばあちゃんである。(この映画でjは50代後半の設定だが)
ゴダールやシャブロルに寵愛された80年代から知っているが、若干不思議ちゃんが入った若いころの彼女に大した関心もなかったのであーる。
が、2000年代に入りハネケの「ピアニスト」を見て、一種の怪物に変貌した彼女に驚愕。
それ以降、不思議ちゃんおばさんとして何だか余裕でフィルモグラフィを重ねるユペールなのであった。
 
この映画は、ザ・ユペール・ショーだ。
主人公ナタリーは哲学畑の教師で著作家だが、後進の世代からは一寸置いていかれた感がある。
自分では自信があっても、もはや著書はたいして売れない。
老いた母親を邪険にしたわけでもないが、施設にいれた途端に自殺される。
やりきれない自己嫌悪のなか夫の浮気&離婚に遭遇する。
 
つるべ打ちです。
 
ただ、彼女は枕を濡らしたりもするが、次のシーンではさばけて歩きだすんです。
この、一種能面のような無表情は肩ひじ張った生き方とは少し違う。
天然な感じが、救われる。
イザベル・ユペールという女優だから成立できるキャラだと思わるのです。
 
母親役のエディット・スコブもいい。
この人も一種の怪物です。
 
怪物化を経て不思議ちゃんおばさんとして余裕のフィルモグラフィを重ねるユペールの到達点。不運・不幸の釣瓶打ちに少し枕を濡らしたとしても前を向いて又歩きだす。能面のような無表情の天然は唯一。母親役のスコブもいい。この人も一種の怪物です。(cinemascape)