★★ 2021年10月13日(水) TOHOシネマズ梅田10
園子温のキャリア終焉を窺わせるような微温さ。
むりくりの娘奪還を命じられたニコラス・ケイジは身体のあちこちに取り外し不可の小型爆弾を装着されて、タイムリミット過ぎれば爆発するし、奪還した娘にムラムラしても、タマ◯ンが爆発するって寸法。
【以下ネタバレです】
で、出発してすぐに呆気なくも彷徨ってる娘発見、その時タイマー解除に失敗して腕の爆弾が爆発する。
「痛えーっ!」ってそんだけ?腕吹っ飛んで無くなったりせえーへんのかい!で、なんだかんだで娘にムラムラ、ドカーンでタマが取れてトホホ。
サブーです。
園子温がハリウッド進出とのニュースを見たとき、ニューヨークとかロスを舞台に彼のイズムが融合したトンデモ世界が見れると期待してましたが、ゲイシャやヤクザやサムライといった逆輸入ニッポンがほぼ世界を占有する。それは日本映画であっても充分できることだし、役者も大半が日本人では退路を絶って虎穴に入らずんばの覚悟も見受けられないんです。チャレンジングじゃないと思いました。
原発といったモチーフも申し訳程度に出てくるのだが、渦中での「ヒミズ」や直後の「希望の国」といった3.11に向き合った彼のフィルモグラフィからすると、真剣味の乏しい対し方だと言わざるを得ない出し殻だ。
オープンセットの巨大さ立派さだけは、さすがハリウッドだよなと思わせる。
もったいないよ。
日本人園子温が今更のゲイシャ・ヤクザ・サムライな西洋フィルターを通した不思議の国ニッポンイズムを批評精神なく出してきたことに失望。物語を語ることやアクションを魅せることに何の才覚もないことを今更に露呈した。原発ネタが輪をかけて侘しい。(cinemascape)