男の痰壺

映画の感想中心です

映画2011

マジック&ロス

★★★ 2021年12月20日(月) シネヌーヴォ✕ 女の子2人のフシギ譚はワンピース姿のサラサラ黒髪のイメージがダブり岩井俊二かと思わせるワールドだが、演じてる2人はアジアインディーズのミューズと謳われた杉野希妃と「息もできない」のキム・.コッピなので…

新世界の夜明け

★★★ 2021年12月20日(月) シネヌーヴォ✕ 新世界と飛田界隈の裏通りが思った以上に撮れていて、腰据えて撮ったんやろなと思わせます。「月夜釜合戦」「解放区」と合わせて特集・新世界とでも銘打って上映したらオモロいかも。 言うなればこれは、金持ちお嬢…

グリーン・ホーネット

★★★ 2011年1月22日(土) 梅田ブルク7シアター7 半端なボケツッコミ構造がイラつく。いっそのこと助手キャラを更に立たせて主客逆転にまで物語構造を破壊して欲しく思えた。ゴンドリーのロマン主義な片鱗は窺えるが半端だし展開も冗長。ヴァルツも初出は流…

奇跡

★★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター6 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味…

大鹿村騒動記

★★★ 2011年7月21日(木) 梅田ブルク7シアター2 時宜を得た老キャスト連が醸す好コラボのまったり感に身を委ねてたゆたう至福はあるが、まったり過ぎてドラマチックな感興も無いのが物足りない。脇ストーリーに至っては、どれも半端な付け焼刃。故原田の声…

ツリー・オブ・ライフ

★★★★★ 2011年8月27日(土) 梅田ブルク7シアター5 頑固親爺に反撥した程度の問題を兄弟の死は脇に置いて大宇宙の俯瞰からDNAの極微細への往還と太古から現在への時間の流転でベルイマンもどきに神実存を問いフェリーニ的祝祭へ至る。マリックはとんでも…

忍たま乱太郎

★★★ 2011年8月13日(土) 梅田ブルク7シアター7 一応は規範に沿いつつ若干の糞尿ネタで遊ぶ程度の三池調が、中盤の鹿賀の逸脱あたりから新規登場人物の釣瓶打ちが悉くハマって得意の宴会芸祭りの様相…になりそうだったのだが、所詮清史郎君を立てるしかな…

エンジェル ウォーズ

★★★ 2011年8月13日(土) 新世界国際劇場 2段重ねの妄想までは抑制されたケレンとハッタリも効き傑作なのだが、3段目となる妄想が趣味世界に耽溺した幼稚世界でのバトルで、体技をCGで誤魔化すレベルに留まらずゲームのデモ画面的空虚な不快感を撒き散ら…

世界侵略:ロサンゼルス決戦

★★★ 2011年9月18日(日) MOVIXあまがさき4 溜めが無い直截さを美点と思おうとしても、一方で海兵隊の面々を描くに情緒を垂れ流している。ミクロなエリアでのロボット兵じみたエイリアンとの戦いは『ブラックホーク』以後の映画内での近代市街戦描写の…

恋の罪

★★★ 2011年11月12日(土) シネリーブル梅田1 過去のトラウマに解を求めるようなことをやっては後退としか思えないし、禍々しいアナーキズムも所詮はバブル前のロマンポルノの形骸的トレースに見える。堕ちる堕ちないのグダグダが水野のドラマに侵食もしな…

ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

★★★ 2011年11月26日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 お庭の花壇のお花の陰からヌボーっと現れるジョージにスコセッシの気持ちは集約されている。肩入れし切れない取り留めの無さ。期待した快楽の編集リズムは無く、ポールやクラプトンとの確執も突っ…

ヒミズ

★★★★★ 2012年1月14日(土) 梅田ブルク7シアター6 再生とか綺麗ごとの修辞ではなく自壊寸前の剥き身で再構築されよ若人よ…と言うことだろうし、でんでんや渡辺に仮託された未来を見据える親爺たれという園子温の時代感覚は圧倒的に正しい。坂道や池を配し…

フライトナイト 恐怖の夜

★★★★ 2012年1月15日(日) MOVIXあまがさき8 大人悪ガキでマッチョな吸血鬼ファレルの押し出しパワーが序盤のルーティーンを打破し、中盤以降は砂漠の孤立ニュータウンと一本道で繋がる歓楽都市ベガスの距離感も展開に絶妙に寄与。テナントの胡散臭さ…

サウダーヂ

★★★★ 2012年2月13日(月) シネヌーヴォ 閉塞感が絶望や破滅みたいな高度成長やバブルの合せ鏡ではなく、ここから始める者の視点で認知されている。そのマスなカオスを描く筆力に唸りつつ、マグマがプチ噴火に終わるのが矢張りもどかしい。「鉱水」や「ライ…

J・エドガー

★★ 2012年2月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 今更、チビでデブでハゲでマザコンでゲイだからといって何だと言うのか。申し訳ないが10年古い。語るべきはアメリカ近代史への言及であり、そこへの歴史的関与のダイナミズムで、垂れ流し的な点描…

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 少年の母への過剰な反撥へ共感も無く、一転しての心の融解は余りに形骸的。全篇を占める心の触れ合い旅路はトリッキーな設定だが心揺さぶるほどの挿話は遂には見当たらない。こんな勘違いガキに付…

メランコリア

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 1部は悪意と諧謔が混在するブニュエル由来アルトマン経由のパーティ映画として圧倒的な密度だが、その多様な悲喜交々が放棄され鬱病人間こそが終末に対峙し得るという2部のテーゼは余りに単線で…

おとなのけんか

★★★★★ 2012年3月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 融和と反目を繰り返す4人の順列組み合わせの果てしない錯綜が、中盤以降、アルコールが触媒となり一気に暴走し始めるあたりがポランスキーの面目躍如。それを牽引するジョディの青筋芸と拮抗する…

ヒューゴの不思議な発明

★★★ 2012年3月24日(土) 梅田ブルク7シアター4 パリの広大な駅セットを縦横に駆け巡るカメラがアクションみたいなものを映し出しているがマニュアルに従属した形骸でしかなく、スコセッシが映画愛を語るにメリエスと言うのが又胡散臭く本気汁は一滴も感じ…

僕達急行 A列車で行こう

★★★★ 2012年3月25日(日) MOVIXあまがさき10 主役2人の持って生まれたキャラもあるにせよ、この末世日本で浮世離れたノンセクショナリズムを貫徹しポジティヴであるという在り得ない閉じた世界を現出させた。だが、後半は余りに定型のトレースに堕…

リミットレス

★★★ 2012年5月12日(土) 新世界国際劇場 趣向のみでドラマが無く、オチない結末には正直唖然とした。そりゃ誰でもこういう夢は見るが、映画にはそういう小さな世界観を打ち壊す何かを提示して欲しい。演出も悪くは無いがビジュアル過多で説明的に過ぎる。役…

わが母の記

★★★★★ 2012年5月20日(日) MOVIXあまがさき4 モロ市川崑を連想させる冒頭。母と子の軋轢と融和を描くことを体裁として採っているが、寧ろ3代に渡る女系家族の数年間のクロニクルの緻密な状況描写にこそ興味があるらしいのも市川的だ。カメラアングル…

別離

★★★★★ 2012年6月16日(土) 梅田ガーデンシネマ1 離婚と板挟まれた子供を物語るかに見えた展開は老親介護に舵を切ってから幾何級数的に諸問題を包含しつつ次々新たな展開を迎える。一寸見たこと無い作劇のダイナミズム。それが一巡後に戻った所は最早戻れな…

ミッドナイト・イン・パリ

★★★ 2012年6月14日(木) 大阪ステーションシティシネマ9 導入は『マンハッタン』の焼き直しだが、にしても巣晴らしいパリ賛歌で、続く2組のカップルの寸景も微妙な軋轢描写が相変わらず絶品。が、時空を超えてからの描写は殆どしょもない楽屋落ちの羅列で…

ブレイクアウト

★★★ 2012年6月23日(土) 梅田ブルク7シアター2 見飽きた導入展開が、やがて攻守共々剥き身で待った無しの限界状況を露呈するあたり、好みの作劇ではあるのだが、正直もう1手欲しかった。シュマッカー演出もディゾルブ誤用の多用が鬱陶しいモッサリ感。キ…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 全体の半分をひたすら男と女が乳繰り合うだけに費やすという豪奢な作りに、古来より映画が委ねられた本来の時間律を想う。そして、半ばよりの怒涛のような釣瓶打ち展開のダイナミズムと最高潮での…

危険なメソッド

★★★ 2012年10月27日(土) TOHOシネマズ梅田7 確執や愛憎など常道なメリハリがクローネンバーグは不得手。かと言って、カルトな精神学世界を舞台にしつつ得意の変態嗜好も遠慮して出せない。結果、ダラで平板な凡作となった。皮肉にもキーラの茶番演技…

ペントハウス

★★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ 出がらしを集めて絞れば案外美味い出汁が出た的妙味もあるのだが、存外に素晴らしいトランプタワーのロケ効果とリアルな感謝祭パレードを取り込んだ臨場感。ラトナーの演出力も舐めたもんじゃないと思わせた。ランデ…

ドラゴン・タトゥーの女

★★★ 2013年6月8日(土) トビタシネマ 請負仕事を無難にこなしているが、抽斗の範囲に留まり新たな何かを模索した形跡は感じない。事件を追う主人公と無関係なリスベットの描写が並立する前半に穴があるのだから、どうせなら、もっと解体再構築するべき。彼…

女っ気なし

★★★★★ 2013年12月14日(土) 梅田ガーデンシネマ1 そんな上手いこと行く訳ねえよがあるのがバカンスだということを来りて去りゆく母娘の寓意性に仮託し納得させる終盤の神話性。覚束ない手つきの硬直が解れる訳でもなく一度限りの悲哀を漂わす。折に触れ海…