男の痰壺

映画の感想中心です

映画1947

長屋紳士録

★★★★★ 2024年3月3日(日) シネヌーヴォ 「晩春」以降の小津作品は大方見ていると思うのだが、戦前・戦中・戦後すぐあたりのはそんなに見ていない。これは、大戦から復員した小津の復帰作だそう。どうかと思ったが紛れもない傑作だった。 後期の作品は娘の縁…

二重生活

★★★★ 2023年11月23日(木) プラネットプラスワン 毎回、役を演じるときにその役が入りすぎて日常にも侵食してしまう。それが高じてとうとう殺っちゃいましたって話なんですが、どうなんでしょう。 そういう男だから、「オセロ」を演じる話が来たとき躊躇す…

ジェニーの肖像

★★★ 2023年11月20日(月) プラネットプラスワン 人気の高い映画で期待してたのだが、今の時代に尚ジャンルのオリジンとして突き抜けるなにものをも感じなかった。最早この手の題材は、本作の制作以降やり尽くされてきていて、始祖としての価値も揺らいでる…

肉体の悪魔

★★★ 2003年1月11日(土) シネリーブル梅田2 不実の後ろめたさが時代背景への逆行性を加算して加速される作劇は魅せるものがある。『愛のコリーダ』まで連なる恋愛地獄ものの原点なのだろう。大戦裏話として『哀愁』と表裏の位置づけとも感じる古典。ただ、演…

チャップリンの殺人狂時代

★★★ 2003年8月7日(木) OS劇場CAP 大不況下の絶望感を滲み出させてソクソク身に沁みる物語だけに、トレードマークは脱ぎ捨てても残るチャップリンの尻尾が煩わしい。有名なラストの演説も戯言にしか思えない。何故なら物語は其処に収斂するようには組ま…

逃亡者

★★★ 2021年11月14日(日) プラネットプラスワン ジョン・フォードの映画見に来たんだよなと戸惑うくらいにカフカ的な不条理展開が繰り広げられる。まあ、不条理というより単に説明不足なのかもしれません。 カトリック信仰と酒が禁じられた中米の架空の国で…

花火

★★★ 2021年5月6日(木) シネヌーヴォX 水兵というのは何かゲイのアイコンなんでしょうね。ファスビンダーの「ケレル」でも象徴的に使われていたのを思い出しました。 これは、たくさんの水兵に取り囲まれて凌辱されたい願望が、実に素直に表現されていて徒…

ボストン物語

★★★★★ 2021年2月14日(日) プラネットスタジオプラス1 ボストンがどういう都市なのか何にも知らなかったが、アメリカで最古の都市なんだそうで、ボストン人らは、そういう歴史や伝統を重んじ、新興の成り上がりニューヨーク人が嫌い。 そういう背景がドラ…

銀嶺の果て

★★★ 1982年5月29日(土) 新世界東宝敷島 黒澤的単線構造の典型を実直な谷口演出で見せられたって最早見どころは無い。が、演出のやりたいことは良く解る。民謡の使い方など微笑ましい限りで、そういう部分は尊重したい。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.…

平和に生きる

★★★ 1980年8月31日(日) SABホール イタリアンネオリアリズモの先鞭的作品との位置付けは脚本のダミーコに依るのだろうが、今となっては微温的大戦秘話の1つに過ぎない。ただ、酔っ払っての呉越同舟が二転三転して至る帰結は戦下の非情を叩きつけている。…