男の痰壺

映画の感想中心です

映画2016

20センチュリー・ウーマン

★★★★★ 2017年6月23日(金) 大阪ステーションシティシネマ6 母についての映画って山ほどあるが、あんまり食指がわかない。 マザコン的であるか近親憎悪的あるかにせよ、映画はドラマティックたらんとするからどっちかに振れる。 が、本作は、そのへんが実に…

家族はつらいよ

★★★★ 2016年3月20日(日) MOVIXあまがさき3 かねてより寅屋のコラボ再現を夢想してた山田が尺に合う面子に巡り合ったということで倍賞の後継として夏川も完全に趣味に合う。老妻の反乱は未遂に終わっても犬の欠伸で済む話。若作りな色気を排した世界では稔…

マンチェスター・バイ・ザ・シー

★★★★ 2017年6月25日(日) MOVIXあまがさき3 彼が後生大事に持っている3枚の写真は1度も映ることがない。 過去挿話で兄の嫁さんは裸の下半身が映るだけ。 アカデミー脚本賞も納得の出来だ。 随所で語らずに語るの技法が効いていて心憎いばかり。 時…

ジェーン・ドウの解剖

★★★★ 2017年6月10日(土) シネリーブル梅田3 この監督の「トロール・ハンター」は見ているが、バジェットが大きくなれば堅牢な語り口を呈するあたり、ギャレス・エドワーズの筆頭後方走者と言える。 アンドレ・ウーヴレダル…覚えとこ。 黒魔術とか魔女とか…

美しい星

★★★ 2017年6月10日(土) TOHOシネマズなんば12 各人の覚醒(?)を並行的に描く前半は素晴らしい。 吉田大八演出は「桐島」でもそうだったが、複数挿話の捌きに秀でている。 どの挿話も手を抜いた感じは一切ない。 しかし、前半で振られたトンデモネタは…

ある決闘 セントヘレナの掟

★★★★ 2017年6月10日(土) 梅田ブルク7シアター3 「地獄の黙示録」に準える向きも多いみたいだが、確かに、このウディ・ハレルソンは一筋縄ではいかないキャラ付。 大上段に邪教の導師的に鷹揚とも言える裁量を見せるが、しかし基本、私欲が行動原理に思え…

夜に生きる

★★★ 2017年6月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 ものすごく、とっ散らかった物語だ。 大体、この主人公、もひとつ背骨が通っていない。 俺は指図を受けたくねえと言いつつ、あっちの親分こっちの親分と蝙蝠よろしく行ったり来たり。 悪いことしまく…

エヴェレスト 神々の山嶺

★★★ 2016年3月13日(日)MOVIXあまがさき2 南西壁・冬季・無酸素・単独と岡田が物々しく宣う不可能ごとが、とどのつまりモノローグな夢枕獏節でしか表現されないのが日本映画のジャンル限界なのだろう。穴を言い出せば切りないが傍観的語り部に徹すべき男を…

メッセージ

★★★★ 2017年5月21日(日) MOVIXあまがさき4 前作「ボーダーライン」もそうだったが物語構築の破綻を強固なシークェンスのアイデアで凌いでる感がある。 本来なら、中盤で中国軍の描写が内部に一切迫らずにいるのに、終盤でひっくり返すのは禁じ手に近…

女が眠る時

★★★★ 2016年3月22日(火) 梅田ブルク7シアター5 剣呑なド変態を盗視するインテリなプチ変態という図式が乱歩チックであり、それがジャパネスク淫靡なアプローチでなく平凡な日本の景観を大陸の感性で濾過した世界で繰り広げられ倒錯的にエキサイティング…

パーソナル・ショッパー

★★★★★ 2017年5月18日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 概要だけを語るなら完璧なB級ホラー。 …なのだが、語り口がとんでもなく蠱惑的。 オリヴィエ・アサイヤス。 初見だが、こういう語り口の職人とは思わなかった。 中盤で主人公に登録なしの誰かから…

あやしい彼女

★★★★ 2016年4月3日(日)大阪ステーションシティシネマ2 所詮は小娘のお婆ちゃん芸と高を括った観客を一気にかっさらうモールでの母息子とのやり取り。演出は映画以前でコクも何もない凡庸さなのだが、仕掛けられた催涙爆弾が峻烈でそれを茶番に終わらせな…

蜜のあわれ

★★★★★ 2016年4月4日(月) 梅田ブルグ7シアター5 年寄りの妄想与太話に真摯に取り組んだ結果、キッチュと高尚のレトロモダンな絶妙ブレンド世界が現出。トーマス・マンを眼下に見下ろし飛び越えた世界で変態性も無我の境地に至る。死の気配が漂う金沢の街…

カフェ・ソサエティ

★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ずーっと熱心なアレン信者であったわけではない。 多分、3本のスカヨハ時代から欠かさぬ感じになった。 現在、エマ・ストーンも2作登用してるが高打率だ。 これらの5本に共通するのは、一種の批評…

リップ・ヴァン・ウィンクルの花嫁

★★★★★ 2016年4月9日(土) 梅田ブルグ7シアター7 現実の世の中の彼女たちには綾野剛が手を差し伸べてくれることはないのだが、そこまで岩井が呑んで含めた仮想王国を揺蕩うように黒木は乗り越えていく。随所に片鱗が差し込まれる疲弊し腐った現実。それを…

フリー・ファイヤー

★★★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 ドンパチが始まってからドンパチが終わるまで…だけの話。 舞台はだだっ広い廃工場の中のみ。 まあ、これをして、なめとんのか!とする向きと、ようそんだけでもたせたよネ♥とする向きがあります。 …

バットマンVS.スーパーマン ジャスティスの誕生

★★★ 2016年4月5日(火) MOVIXあまがさき5 虚構が現実を侵食することに真摯に言及・論証しようとした形跡はあり冒頭30分はエキサイティングだが、そこはあっさり放棄されあとは例によってグダグダ。ガチのセメントを見に行っていきなりの場外乱闘の挙句に…

おとなの事情

★★★★★ 2017年5月2日(火) シネリーブル梅田4 コンセプトは、ありがちと言うか食指の湧くもんでもない。 嘗めてかかって見たが、10分もせぬうちに引き込まれ、怒涛の流れに身を委ねた。 何がいいって、役者なのだと思う。 全員知りません…が。 リアクショ…

スウィート17モンスター

★★★★★ 2017年4月28日(金) シネリーブル梅田4 恋い焦がれたイケメン男子に手ひどく振られて、気づいてみりゃあ手近な安パイ男子で妥協。 世の中の男女交際のほぼ普遍な真実を描いております。 その映画の骨子に目新しさはない。 周りに何一つ共感できず、…

.シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

★★★ 2016年5月4日(水) 大阪ステーションシティシネマ4 ヒーロー論は即ちに戦争論にすり替わる危うさを秘めてるなぞとお固いこと言う気もないが、結局は私怨に収束する展開になんじゃ?と思うのだ。CアメリカとWソルジャー絡みの殺陣はマーベル史上最高…

人魚姫

★★★ 2017年4月22日(土) 新世界国際 前作「西遊記」にもCG依存が顕現し危うさを感じていたのだが、もうここまで使いまくりでは映画に対する姿勢が怠惰だと感じる。 「少林サッカー」的な女性の異形性への偏愛と一方で笑いのめす加虐性の混在は復活したが…

未来よ こんにちは

★★★★★ 2017年4月17日(月) シネリーブル梅田1 イザベル・ユペール。 もう、60代の半ばであるから、立派なおばあちゃんである。(この映画でjは50代後半の設定だが) ゴダールやシャブロルに寵愛された80年代から知っているが、若干不思議ちゃんが入…

パッセンジャー

★★★★★ 2017年4月8日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 自身のストーカーと結婚した女性の話(実話)を以前TVでやっててたまたま見た。 そんな話と言ってしまえば身も蓋もないのだが、そんな話です。 そう言うと眉をひそめる向きもあろうが、俺は思うん…

ヘイル,シーザー!

★★★★ 2016年5月16日(月) TOHOシネマズ梅田6 ブローリンは平凡な市井人だしクルーニーは取り柄ない凡優でメインのストーリーは見所も無い。一方でテイタム・スカヨハ・エーレンライクの挿話は冴えまくる。歴史的に赤狩りが否定された現在。コミュニズ…

午後8時の訪問者

★★★★ 2017年4月8日(土) テアトル梅田1 ダルデンヌ兄弟の映画は、恥ずかしながら前作「サンドラの週末」が初見であった。 で、今作であるが、えっ又?と思った。 「サンドラ」でコティヤールが解雇撤回への賛同者を求めて1人彷徨する。 「8時」ではエネ…

アシュラ

★★★★★ 2017年4月8日(土) シネマート心斎橋2 日韓合作の西島秀俊主演の「ゲノム・ハザード」ってのを観てて、その監督がキム・ソンス。 だから、少しなめてかかってたんやけど、この映画の監督キム・ソンスは別人みたいっす。 まあ、主演チョ・ウソンが西…

テラフォーマーズ

★★★ 2016年5月15日(日) MOVIXあまがさき4 『ゼブラーマン』の域には達せぬが『ヤッターマン』程度にはオモロイ。が、そもそも ゴキブリがどう進化すりゃあんなマッチョな二足歩行になるねん…という疑念が終始 チラつき鑑賞の妨げに。多くのレア昆虫…

ムーンライト

★★★★ 2017年4月6日(木) TOHOシネマズ梅田2 正直、これで終わりかいな…ってのが終映後の感想です。 以前、「ブロークバック・マウンテン」評で読んだものに、これが男と女の話だったら、この内容でこれだけの評価を得られるだろうか。 ってのがあって、深く…

海よりもまだ深く

★★★★ 2016年5月24日(火) 梅田ブルグ7シアター3 母息子とか嫁姑といった家族間の感情の機微や軋轢を細緻リアリズムを折に触れ挿入し描くという点に於いて最早名人芸の域に達している。ただ名人芸すぎて観る側のハードルも上がっちまうのだ。本当の痛さや…

ハルチカ

★★★★ 2017年3月29日(水) TOHOシネマズ梅田4 身も蓋もない話である。 吹奏楽部を中心になって立ち上げたが、肝心の奏者としての資質に欠ける女の子。 で、一生懸命に努力しましたが…結局ダメでした。 そんだけなのだ。 前半の部員集めの「ちはやふる」2番…