男の痰壺

映画の感想中心です

映画1955

ララミーから来た男

★★★ 2016年3月26日(土)プラネットスタジオプラス1 原『大いなる西部』とも言えるクリスプとケネディの関係性の通り一遍ではない悲劇味が全てで、その緻密な積年性の前ではスチュワートの復讐譚はエモーション希薄だ。言うたら歪な劇構成であり、そういう…

人生とんぼ返り

★★★★ 1999年11月7日(日) テアトル梅田2 マキノお手の物の題材でルーティーンなのだろうが、ため息が出る程の安定感がある。森繁と山田五十鈴のかけ合いの巧さは『夫婦善哉』の淡島とのそれに匹敵する至芸と言って良い。(cinemascape) kenironkun.hatenablog…

キッスで殺せ!

★★★★ 1998年11月14日(土) 梅田ガーデンシネマ2 フィルムノワールかと思いきやストーリー展開が後半加速し枠を逸脱していく。原作にアルドリッチが加味した部分はマッカーシズムや核への警鐘というより既成枠を解体したアナーキズムそのものだが、それに意図…

踊り子行状記

★★★ 2001年8月2日(木) テアトル梅田2 後にピンで傑作を連作した大映3大スターも初期には数多のプログラムピクチャーをこなしたからこそなのだろう。手馴れた演出での1時間半は飽きないが、TVの勃興に喰われるのも仕方ないとも思わせる。勝新はともかく…

ムーンフリート

★★ 1994年6月19日(日) 第七藝術劇場 「宝島」とか「白鯨」とかの海洋奇譚の系譜上のものなんだろうが、それにしても何なんでしょうか、これ。閉塞舞台で爽快感の欠片もないダラな話が延々と続き、ラングが投げた訳でもなさそうなのに漂う場末の湿り気。有る…

こころ

★★★ 2001年5月15日(水) 高槻松竹 脚色でギリギリかわしているが国民文学の名作も行間の奥行きを取っ払い映像と言う直截な手段で再構築されると単なる三角関係の痴情劇になる。とは言っても雨の泥濘道の擦れ違いのモンタージュなどは若手作家が挙って模倣しそ…

旅情

★★★★ 1993年2月2日(火) シネマアルゴ梅田 行き遅れハイミスの感傷旅行のリード役は少年から頃合いの中年男へリレーされるが映画には悪意の欠片も存在しない。サンマルコ広場の景観が荘厳な華やぎで彼女の悲喜交々を彩るだろう。その端正なカラーの色調。そし…

七年目の浮気

★★★ 1992年8月31日(月) テアトル梅田2 神経症的な分析考察が煩わしいが妄想話で終始するアイデアは良しとする。しかしコードを越境する際どさが悲しいかな最早余りに手緩いのだ。トム・イーウェルも洒脱さに欠け鈍重。モンローのスカートが幾らはためいても…

大地のうた

★★★★ 1992年11月15日(日) キリンプラザ大阪 描こうとするテーマにせよ使われる技法にせよ西洋的な洗練のフィルターを通した感は拭えない。特に兄妹が列車を見に行く件がそうだ。そういう点で若干風化しているとも思うがプリミティブな真実は随所に確かにある…

ハリーの災難

★★★ 1985年11月15日(土) 戎橋劇場 ドタバタらしきものが繰り広げられるが登場人物の誰1人感情移入を許さないと言うのは、人間感情に関心の無い冷徹ヒッチの深層心理の表出作との意味で真性カルトと言えるかも知れぬが余りにも面白くない。特筆すべきはロバ…