映画1998
★★★★ 2024年7月27日(土) シネヌーヴォ サイト&サウンドで映画史上7位に選ばれたことがある傑作と聞いてもクレール・ドゥニの映画という点で食指が動かなかった。そらくらい「ハイ・ライズ」のフェミニズムが澱んだ残滓に食当たりした俺なのであった。 だ…
★★★★ 2024年5月23日(木) シネヌーヴォX クリストファー・ノーランの処女作だそうだが想像よりずっと良かった。低予算ゆえのモノクロ、オールロケの制約によって奇しくもヌーヴェルバーグやフリーシネマや或いはカサヴェテスを思わせるフォルムの即物感を獲…
★★★ 2024年3月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 俺はトルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」の情に浸るだけの作風が嫌いな人間なので本作も敬遠してたのだが,今回再映されるのを機にどんなもんやろかと見てみました。で、やっぱこのおっさ…
★★★★ 1998年5月30日(土) 第七藝術劇場 「呪いのビデオ」の出来がキーポイントだったと思うが、剣呑なササクレ感が横溢し、見せ切らないを良しとした時代を終焉させ怒涛のような悪意の奔流を現出させた。それを今更の安価な心霊ネタ都市伝説のプロトタイプに…
★★ 1998年5月16日(土) ホクテンザ1 念入りに構築された『蛇の道』の姉妹篇として何かを・乃至は何ものをも構築し切れない未達感が横溢する。挙句にお手盛りの「虚無感」を前面に出してみたもののダンカン・寺島を迎えてタッチまでも北野イズムめいたのがう…
★★★★ 1999年12月11日(土) 天王寺ステーションシネマ ライミらしからぬ抑制されたノーブルな語り口。欲望に絡めとられた類型的な破滅譚が何時しか同心円を描くように設定された兄弟愛の話へと中心軸が移行して行くのが秀逸でありキャスティングも計算し尽くさ…
★★★★★ 1999年10月14日(木) パラダイスシネマ1 世紀末・疫病・雨と1歩間違えればあざとさキワキワのキーワードのオンパレードだがダサ直球を混じえて巧くすり抜けた。シュールな意匠は純なハートと表裏を成し、人は孤独地獄から救済されねばならないという…
★★★★ 1998年10月24日(土) シネマアルゴ梅田 ストーリーは最早どうでもいい領域に突入するカオス。その中で各シークェンスごとの艶と凄惨と笑いが立ちまくる。無軌道は臨界を軽く超えて不眠がもたらすアッパードラッグな混濁した快楽が訪れる。ええじゃないの…
★★★★★ 1999年9月11日(土) 天六ユウラク座 忘れた頃にやってきた純正デ・パルマ印100%。縦横無尽に動きまくるカメラと固定のズームイン。2つの超弩級長回しに挟まれればチンケな軍需謀略話も特上のマクガフィンと化する。そして、そうなるかならぬかは監…
★★★★ 1998年11月14日(土) ホクテンザ2 小百合のカマトトは見飽きていても哲也兄いの超絶カマトト振りには涙を禁じ得ないであろう。新味無きストーリーとキャスティングを絵葉書みたいな綺麗なだけの画面で縁取った映画であっても真摯な姿勢は心を射るのだ。…
★★★★★ 1998年12月26日(土) テアトル梅田2 コーエン的ファクターが純粋結晶として顕現し『バーンアフター』へと延伸した傑作。ゲラ笑い必至の阿呆連中の与太話の背景に横たわるベトナム由来湾岸経由の戦争後遺症的病巣が不穏な緊張を注入し続ける。その錯綜…
★★★ 1999年8月28日(土) 西灘劇場 最後まで見れば御伽噺としての世界観は貫徹されてるにしても少女趣味的な導入からして脱力。結局は業界ものの常套構成は背景にすぎず語り部の半端な自分語りに収束する。どっちつかずだ。マクレガーとベールの屋上シーンは詩…
★★★★ 1999年1月30日(土) 新劇会館シネマ2 原田の2役は成人した子の演技に1万メートルを全力で走りきったランナーのような透徹した悟りと自信を限りなく静かな佇まいに滲み出させ怒涛のサディスティック感情の発露は反転し母性の慈愛へ還流する。凄まじい…
★★★★ 1999年1月30日(土) 新劇会館シネマ2 リストラに絡む部分は山田の現実認識の弱点を露呈しているが中年男女の恋愛描写はさすがに絶妙に巧い。大竹しのぶはこういう役だと本当に独壇場。そして、投げ出すようなラストがシニカルで厳しい。(cinemascape) k…
★★★★ 1998年5月16日(土) ホクテンザ1 ひと昔前のインディペンデント感を濃厚に漂わせたいかがわしさがある。哀川の塾講師が1歩間違えれば陥る脳内構成な稚戯から辛うじて逃れ得たのは黒沢お得意の終末感がこの程度の物語容量に最もフィットするからだ。復…
★★★ 1998年7月11日(土) ホクテンザ1 ブレイク前の青白い殺気がガチで互いを呑んだろか的な役所と渡辺のがっぷり四つの演技の相克が全て。錯綜する展開も中盤までは予断を許さず刺激は維持されるが謎解きを急ぐ終盤できっちりしぼんだ。ありきたりな物語なら…
★★★★ 1999年1月23日(土) テアトル梅田2 父子の邂逅の物語が枝葉の部分が立ってラストに至り父と女達との物語にすり替わってしまう構造が不均衡とも思えぬほどに役者たちの充実度が目を見張る。委ねる境地に至った相米の懐で形成された山崎と富司・藤村のト…
★★★★ 1999年5月22日(土) ワーナーマイカルシネマズ東岸和田8 ジーン・ハックマンが最早伝説の領域に突入したとさえ思わせる初出シーン。そのトニー・スコットのリスペクトに共感を覚え演出も絶妙だった。コマ落としとハイスピード多用の一見安易なCM的手…
★★★ 1999年8月7日(土) 祇園会館 命を張った芸で時代を築いたジャッキーがポッと出の喋くり男如きに何故に敢えて喰われる必要があるのだろう。それ程ハリウッドが大事であろうか。しかもピークを過ぎた落日の哀しさが相まって時代の認知が10年遅すぎた寂寥…
★★★ 2000年4月24日(月) ユナイテッドシネマ岸和田2 NYに戒厳令という圧倒的に魅力的なモチーフがポリティカル・フィクションとして突き詰められることなく竜頭蛇尾に正義のヒーロー&ヒロインの対テロリストアクションに堕していく。鋭さも過激さも全く不…
★★★ 2000年5月13日(土) テアトル梅田1 傍系人物の特殊な設定ばかりに目が行き肝心の息子を喪失した母の自己再生の物語から瞬く間にズレていく展開。違和感を覚えるし当然感銘も無い。博覧会のように並べられた性志向が本来の人間としてのドラマトゥルギーに…
★★★ 2000年6月10日(土) 天六ユウラク座 クーンツ原作中で上位のものだと思っていたが、映像化されてみると、前半は、まるでキングの「霧」みたい。しかも、それなりにきっちり映像化されればされる程、構造の陳腐さが露呈されてしまう。物語に帳尻をつけよう…
★★★★ 2001年10月20日(土) 梅田ガーデンシネマ2 主人公の上京・入学と女優であり私人である松たか子の巣立ちがパラレルにシンクロする内輪受け企画だが華やぎでなく疎外感・孤独感のようなものを主旋律にしてる点が内省的で浮つきを相殺する。雨が効果的に使…
★★★★★ 2003年10月2日(木) OS劇場CAP 一見充足した人生に見えても人は皆本質的には孤独に苛まれ続ける。5人の男女の変幻自在な組み合わせの妙が産み出す全く予測のつかない正真正銘のドラマの醍醐味。均等に描かれた5人から抽出された1人がラストの落…
★★★★★ 2021年9月20日(月) シネヌーヴォ ✳︎今回の上映「作家主義ホン・サンス」では「カンウォンドのチカラ」のタイトルで上映されましたが、ここではオリジナルと思われるタイトルを採りました。 原題はチカラの方らしいので、なんやろパワースポット的な…