男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

初恋のきた道

★★★★★ 2001年5月2日(水) OS劇場CAP 人を好きになるという1点だけを描き映画はここまで持たせられるものだったのかという驚きは絶えなき手法変革中毒イーモウの敢えての陳腐が皮相に倍加する。ツィイーちゃん可愛やは淡彩背景でピンク映えの色計算で無…

逃走迷路

★★★ 2022年9月11日(日) プラネットプラスワン 「北北西に進路を取れ」の原型との話を何かで読んだような記憶がある。身に覚えのないことで追われるハメになる男の話であり、クライマックスの舞台にアメリカの有名景勝地を持ってきている点などモチーフと構…

アリゾナ・ドリーム

★★★ 1995年5月6日(土) ACTシネマテーク ダナウェイもルイスもよく肥えて弛んでおりアメリカンドリームの終末と残滓を体現して余りあるが映画まで弛んで感じるのはどうかと思う。しかし、一方で構成も場面の構築もきっちりしているので掴み所の無い茫洋感…

望郷

★★★ 2001年3月15日(木) 動物園前シネフェスタ2 もうパリが恋しくて堪らない郷愁は嵩じてタカビーパリジェンヌへの想いへ転化するのだが、埋没して漂流する自我を描いてきた近世の目で見ると余りに浪花節だし、掻き消される声の浪漫主義最高潮な大見得は博物…

江分利満氏の優雅な生活

★★★ 1995年9月15日(金) ACTシネマテーク 抑もサントリー広報に勤務し直木賞を受賞することが普遍人かという疑問はさておき、親や女房や子供のことにチマチマ悩む市井人を描くに喜八演出は奇想的手法を採らず好感。が、戦中派30代サラリーマンの鬱屈が理…

LOVE LIFE

★★★★★ 2022年9月13日(火) 大阪ステーションシティシネマ8 「もうなにも欲しがりませんから そこに居てね ほほえみ くれなくてもいい でも 生きていてね ともに」 深田晃司は矢野顕子の同名曲にインスパイアされた企画を何十年も温めていたそうで、それは…

13デイズ

★★★ 2001年5月8日(火) 祇園会館 好戦ポピュリズムに抗して理を通す困難と孤独を余すことなく描いているが、側近で助言者である語り部と弟、この3者間の信頼と共振が仄暖かく救われる。しかし、室内ディベート劇に徹し切れないパイロットエピソードの挿入な…

エドワード・ヤンの恋愛時代

★★★ 1995年8月19日(土) 第七藝術劇場 人物捌きが親切でないので錯綜した物語が入ってこず狂騒の度合いも生温い。従って宴のあとの何とやら的感慨もドッチラケで湧かない。如何にもなギョーカイを舞台に持ってきたのがどうにも鼻につき、安手の台湾版トレンデ…

檻囚

★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 魔方陣や振子時計などのギミックや、役者の無意味に連続する肉体運動などが、ある意味で極めてのオーソドックスを継承する実験映画。10年代から30年代にかけて量産された仏アヴァンギャルド映画の正統的嫡子とい…

ネル

★★★ 1995年8月5日(土) ホクテンザ2 山間部湖畔の風景も美しく演出は手堅い。しかし、「狼少年」について語られ尽くした多くのバリエーションに新たな何も付加し得てないし、こんな風に育った女性が本当にこういう風になるのかっていうのも疑問。ジョディの…

プロデューサーズ

★★★ 2001年5月10日(木) 扇町ミュージアムスクエア 「ナチス」や「ゲイ」といった越境キーワードが炸裂し多くの人物が錯綜する後半は弾け具合も相当だし、わけてもホモ演出家ヒューイットは白眉。だが、前半を負うワイルダーとモステルが、日陰花的マイナー臭…

レッド・ブロンクス

★★★ 1995年9月2日(土) OS劇場 やられまくるジャッキーの鬱憤を晴らす爆発がないのが糞詰まりのようなもどかしさを覚える。アメリカ向けにカスタマイズされた作劇からは笑顔の下の真の嗜虐や被虐は削り取られ生温い表層だけが残留している。アクションも過…

ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!

★★★★ 2001年4月4日(水) 動物園前シネフェスタ1 4人と山程の女の子達と守旧派の警官や年寄りしか居ない世界で彼らの生温いオチャラケは予定調和にアゲられサゲられる訳だが、そういうベタネタをレスターのポップ技が加速することで毒を食らわばの境地へ誘う…

マディソン郡の橋

★★★★ 1995年10月8日(日) テアトル徳山Ⅰ 埃っぽい軒先に中年太りのストリーブが現れた瞬間に出来は約束されたと思った。対して男イーストウッドは余裕のワンパターンで返す。全く違うアプローチの2人の役者の激突がエキサイティングとしか言えない素晴らしさ…

花と蛇

★★★★ 2001年4月13日(金) シネヌーヴォ 監禁・調教といったこの種の題材には同期しかねるのだが、時代性ゆえに何だか笑える位にホノボノしてる。深みある色調で統御されたカメラをはじめ日活ロマンポルノ初期の技術水準の高さは瞠目せざるを得ない。そして何…

J&S さすらいの逃亡者

★★★ 1995年9月9日(土) みなみ会館 見かけはもとより遣ること為すことド汚なく且つええかげんな主人公の70年代マカロニ末期テイストの佳品。演出にはハッタリとケレンが垢抜けなくも窺え一応の訴求力はある。ひとことで言って変な映画だが例によってのんべ…

ギター弾きの恋

★★★★★ 2001年5月22日(火) テアトル梅田2 虚構の実人物という『ダニーローズ』以降の得意ギミックが鮮やかに決まり物語は切ない追憶へ昇華される。言葉を失ったアレン版ジェルソミーナは爪弾く調べに笑顔で語るしかない。失って初めてわかる掛替え無い理解者…

EAST MEETS WEST

★★ 1995年9月2日(土) 梅田松竹 致命的なのはホラ話としての可愛げの欠如で、それは未だ軽い真田や態とらしい竹中とかじゃなく例えばペキンパー映画の男たちとかにしか醸し出せない類のもの。大体、最初に『侍』の使い回しが出てきた瞬間にあかんと思った。や…

美しさと哀しみと

★★★ 2001年4月11日(水) 高槻松竹 閉塞世界の京都を舞台にした、しんねりむっつりの耽美的世界。余りにしんねりむっつりし過ぎるあまり加賀まりこのヴァンプまでが埋没し、パッションの無い形骸世界のお人形さん達に見える。八千草の過去挿話も全体のバランス…

クリムゾン・タイド

★★★ 1995年10月21日(土) 徳山国際シネマ 60年代では当たり前であった「核→人類破滅」の図式は後退し収縮した旧態な世界観でしか物語は語られない。2大俳優の正面衝突は全く見応え充分だしスコット演出も過剰さを押さえて巧みであるだけに、いじましいまで…

走れ!イチロー

★★★ 2001年5月16日(水) 梅田東映 カープの高橋慶彦であるからこそ、市井の片隅で生きる人々の人生の正念場を仮託されるに相応しいのであって、イチローに代替され尚且つメジャーでの大活躍が連日報道される中での公開は本質を外した。土台大森には村上龍に本…

ドライビング Miss デイジー

★★★★★ 2022年9月8日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 1980年代くらいからアカデミーの作品賞というのにあまり関心がなくなって、公開時にスルーした作品が少なくない。「午前10時の映画祭」という企画でそういう作品をやっていると、やっぱ見と…

麥秋

★★★★★ 1994年2月26日(土) ACTシネマテーク ルーティーンから半歩外したキャストの仄かな新風も完膚なきまでの手法の絶対世界で牛耳られる快感。編集リズムの極致的快楽のみでも個人的には全き小津ベスト。豊穣な侘び世界は辛らつな寂びの詠嘆に連なる。そ…

バーティカル・リミット

★★★ 2001年5月8日(火) 祇園会館 『クリフハンガー』から数年で山岳アクションでのCG使いは凄まじく進化した。特に高低差を意識した演出にキャンベルは秀でており弩級の見せ場の連続。しかし、こいつが悪者なんだろうと思ってたら案の定そうなっちまうあた…

GONIN

★★★★ 1995年10月28日(土) テアトル徳山Ⅱ バブル期の虚飾に血と汗とザーメンが混濁した世界で男たちがのたうちまわる。友情の代わりの愛や義理の代わりの絶望が彼らを突き動かす。石井ギミックは惰性間際で腐りかけの輝きを放ち竹中の逸脱やたけしの突出など…

グッバイ・クルエル・ワールド

★★★ 2022年9月14日(水) 大阪ステーションシティシネマ11 ドン詰まりの男たちがヤクザの資金を強奪したあと自壊していく顛末ってことで、石井隆の「GONIN」を連想する。 しかし、その印象は、鳴り物入りの期待を煽ってトホホな結果だった深作「いつか…

トゥルー・クライム

★★★★★ 2001年5月31日(木) トビタシネマ ウッズとの掛け合いのグルーヴの役者同士たる幸せに感化され分泌&放出されたアドレナリンはワシントンとの対面シーンでの馴染みの噛み殺す滾る怒りに再分泌される。女癖も余裕でかましハリウッドベーシックなラストは…

夢野久作の 少女地獄

★★ 2001年4月13日(金) シネヌーヴォ もっと夢幻的な退廃美を期待していたのだが、そして実際、シュールなイメージも織り込まれてはいるが非常に安っぽい。後半に至るに、耽美は遠のき単なる復讐譚になってしまった。どっちつかずで中途半端である。(cinemasc…

三文役者

★★★ 2001年5月30日(水) ホクテンザ2 それなりに巧妙な竹中の泰司芸ではあるが素でシンクロしたと思わせる瞬間が確かにあったように思える。波乱万丈とまではいかぬ泰ちゃん人生にセットやメイクに拘泥せぬ緩い新藤イズムで対し自身の作品中心の展開でも手前…

★★ 1995年10月28日(土) テアトル徳山Ⅱ 宮沢りえでもどっこいだったとは思うが一色紗英の主人公に過酷な運命を自ら克服して生きていく裂帛の気迫は感じられない。お人形さんは所詮お人形さんである。同じことが浅野にも言える。正攻法の映画は嫌いじゃないが…