男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

こころ

★★★ 2001年5月15日(水) 高槻松竹 脚色でギリギリかわしているが国民文学の名作も行間の奥行きを取っ払い映像と言う直截な手段で再構築されると単なる三角関係の痴情劇になる。とは言っても雨の泥濘道の擦れ違いのモンタージュは若手作家が挙って模倣しそうな…

ペリカン文書

★★★ 1994年9月4日(日) 新世国際劇場 蛇の穴に手を突っ込んだ的な剣呑からは遠いし、手堅くはあるが最早意外性も皆無。しかし、キャリア序盤の美味しいさかりのトップスター2人を配した勢いはパクラを『推定無罪』の沈滞から辛うじて救う。踏み込んだ2人の…

活きる

★★★ 2002年5月18日(土) 梅田ガーデンシネマ2 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板さ。とは言っても正直、子供絡…

イントロダクション

★★★ 2022年6月27日(月) テアトル梅田2 冒頭、おっさんが鍼灸院の事務所の中で必死で祈っている。「どうか助けて下さい。私の財産の半分差し出しますから」とか、半分かよと思ったりするのだが、一体何を祈っていたのかその後描かれるわけでもない。 若い…

バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト

★★★ 1994年9月3日(土) ホクテンザ1 カイテル全身全霊の曝け出し演技による審美的映像主義と対極のド腐れ男の丸投げ生態。わかっちゃいるけどやめられない。この際成るようにしか成らない。そういった達観の果てに結局は救済を求めてどつぼ日常でもがく遣り…

オルフェ

★★★ 2002年5月20日(月) シネリーブル梅田2 愛の物語の筈なのに、それは結局方便に過ぎないので、そっち方面のエモーションは無い。コクトーの興味は生き彫刻みたいなジャン・マレーとカメラ遊びにしかなかったのだろう。そして、そうであったからこそ面白い…

殺人核弾頭 キングコブラ

★ 1994年8月28日(日) 新世界国際劇場 300%どうでもいいような話であり、それはそれで構わんのだが、肝心のアクションが絶対零度に限りなく接近しようかというショボさであり、尚且つ畏れ多くもジョン・ウーの『ハード・ターゲット』を意識した類似品とい…

パニック・ルーム

★★★★ 2002年5月27日(月) 梅田ピカデリー3 『北北西』的タイトルも『フレンジー』的長廻しも今風なヒッチ風味で嬉しく、ウィティカーの男気に50年代アメリカンノワールの匂いを嗅ぐ。「パニックルーム」という如何にもな設定は後方に追われオーソドックス…

酒とバラの日々

★★★★ 1994年9月7日(水) シネマアルゴ梅田 ジャンル映画としての前フリに過ぎぬ前半3分の1が矢張り甘い。しかし、後半急速に締まる。付かず離れず墜ちていく2人。だが、サイコパスな展開を避け死での決別もない予想外な終結と余韻。オーバーアクトのレモン…

カラー・オブ・ライフ

★★★ 2001年5月22日(水) テアトル梅田2 クドいまでに繰り返されるギャグ(特にゾンビファミリー)や役者が台本を凌駕してる(特にミッドナイトクッキング)点に於いて「吉本新喜劇」的な逸脱の魂を感じた。完璧に趣味だと言っていいのだが、であればこそ映画…

トゥルーライズ

★★★ 1994年9月17日(土) 北野劇場 作品が持って産まれた本来の間尺に凄まじい贅肉を付与し屋上屋を架し何時しかそれも又ひとつの味わいかと思うわけもないのだが、シュワとカーティスのカップルの憎みきれない田舎臭さが好ましくもある。でも、やっぱくだらん…

アリ

★★ 2002年5月29日(水) 梅田ピカデリー1 「マルコムX」と「徴兵拒否」と「フォアマン戦」をトピックスとして並べただけで批評精神どころかリスペクトの念さえ感じられない。アリの対マスコミパフォーマンスと真摯な実生活とのギャップを埋める創造もなされ…

瞳が忘れない ブリンク

★★★ 1994年9月4日(日) 新世界国際劇場 ワンアイデアの中級サスペンスも手堅い職人監督にスピノッティ級の撮影を掛け合わせると上出来のサスペンスになる。ストウは人形みたく趣味でないが幻視するキャラとして表情の硬さが寄与し哀切さを醸し出す。他の地味…

大阪極道戦争 しのいだれ

★★★★ 2002年6月4(火) ホクテンザ1 『ナニワ金融道』的経済ヤクザのコンゲームは今となっては陳腐だが、主役3人の生き方は正味真っ正直で迷いが無く気持ちいい。特に仁藤優子が素晴らしく役所との絡みでは長廻しに耐え多面的な女心の表出を演じ切って出色。…

黄金の七人

★★★★ 1994年9月25日(日) 扇町ミュージアムスクエア 安全な高所から美女を侍らせ高見の見物で指令を送る教授。人生こうあらねばと少年時代に思ったか思わなかったか知らんが、そうなってないのは事実。メカニカルな装置美術とポップな色調の撮影と過剰な音楽…

KT

★★★ 2002年6月5(水) 動物園前シネフェスタ3 三島に心酔し石原を引用する極右将校が必ずしもファナティックである必要は無いとは思うが、やはり、この創造人物を歴史に割り込ませる必然性が希薄。そして何より主権を蹂躙されても弱腰外交な日本の官・軍・民…

平成狸合戦ぽんぽこ

★★★★ 1994年9月25日(日) 三番街シネマ2 擬人化された狸を突然にリアリズム狸として視点を切り替える手法がベタとは思うがファンタジーと現実を往還するに十全な効果をあげている。メッセージが直截すぎて生硬とは思うが斜に構えて傍観するよかマシだろう。…

光の雨

★★★★★ 2002年6月12日(水) テアトル梅田2 役者のチープな感想とセンチにポーズを決める監督像を割引いても、反社会的でも信念に賭して朽ちた同時代人達への想いが心を打つ。個では真摯な思いもマスになるとヒエラルキーに駆逐されるジレンマを2重構造が虚構…

フィラデルフィア

★★★★ 1994年10月9日(日) 祇園会館 真摯に語らねばならないテーマに名優2枚看板を誂えてデミ演出の出張らなさが好ましい。90年代の演技対決による難病もので『レナードの朝』と双璧だと思うが現実社会を背景に持たせた本作の方がより包括的で挑発的。時代…

ワン・セカンド 永遠の24フレーム

★★★ 2022年6月6日(木) 大阪ステーションシティシネマ2 フィルム時代の映画に於いて1秒間は24コマの残像が連なり形成される。そういう意味のタイトルだが、そこまで映画をミクロに突き詰めた何かがあるかと言えば全くない。もちろんチャン・イーモウは…

少林サッカー

★★★ 2002年6月5日(水) 動物園前シネフェスタ1 スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝っても、やったー!とは思えない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して…

私は二歳

★★★ 1994年10月9日(日) 高槻セントラル 野暮を承知で言うと大体乳児が意志を持つわけなく胡散臭いこと甚だしい。微温的且つ無変化を穿つ毒視線が不在なままで平凡な庶民生活から何かを汲み取るには崑のケレンもスター山本富士子の存在も阻害要因でしかない。…

荒ぶる魂たち

★★★ 2002年6月3日(月)~4日(火) ホクテンザ1 「若き狂犬」とも言うべきルーティーンキャラを逆手に取ったような熱いようで冷めてる加藤雅也と『柳生一族』の錦之助も真っ青な松方の大芝居が対極的で面白いが、対立軸を次々ずらしてダラダラ引っ張りすぎ。長…

パルプ・フィクション

★★★★★ 1994年10月16日(日) 梅田東映パラス 人の営為には煎じ詰めれば意味あることなんて何も無い。小癪な達観だが強烈なウィットが全てのシーンを被い工夫が効いていてダルに流すところが全く無い。まともなことは悉く避け脚本構成やキャスティングは全て1…

はなればなれに

★★★ 2002年6月14日(金) パルシネマしんこうえん 物語を語るのにてらいがあっては観客は白けるのだ。ゴダールはわざとゴッコの振りをし、若干のカリーナへの色気を交えておどけてみせるが正直醜悪である。ただ他の何本かの崩壊し切った代物よりは多少物語の態…

トリコロール 青の愛

★★★★★ 1994年10月3日(月) パラダイスシネマ 閉塞された心の解放までの短調な物語を、『ベロニカ』の長焦点レンズ使いを更に先鋭化させたイジャク撮影が青の色使いも鋭角的に高濃度に凝縮させていく。ショットショットが奏でる訴求力は瞬時の弛緩も無い。キェ…

恋ごころ

★★★★★ 2002年6月14日(金) パルシネマしんこうえん あらゆる非日常のギミックを排し恋を描いてベッドシーンどころかキスシーンもロクに無いのに男と女が交わす愛し愛される視線と表情の至福感。一方で6人の男女を思うがままに組み合わせて展開する作劇のダイ…

エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事

★★★ 1994年10月9日(日) 祇園会館 ミシェル・ファイファーが確かに、この女ならと思わせる哀しみを湛えた表現を見せ圧巻だが、これは50年代的正調メロドラマであり、その復刻を試みたにしてはスコセッシの80年代的体質が否応無く滲み出て統一感と安定を阻…

模倣犯

★★★ 2002年6月13日(木) 梅田劇場 市井の人々に限りない思いを寄せる宮部に対し時代の先鋭をどうしても持ち込みたい森田の思惑の結果が山崎の部分が映え中居の部分が舌足らずというのでは原作にねじ伏せられた形だと思う。犯人側の描写が薄すぎ。(cinemascape)…

冬薔薇

★★★★★ 2022年6月9日(木) 大阪ステーションシティシネマ10 健太郎ありきの企画だったようだが、オリジナル脚本でこのキャラを彼に当てた阪本のド本気と受けた方の覚悟が窺える。紛う事なきクソ野郎を描いた映画です。 ただ、健太郎は自意識過剰のクソ男と…