男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

野火

★★★ 1982年5月26日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 「神」を切ったのは一見英断に見えるが、ならば新たな何かを付与するか残されたもの透徹させるしかない。考え得るのがカニバリズムだが表層的である。どんなジャンルも料理して見せるという夫婦茶碗の奢…

狼と豚と人間

★★★ 2020年8月9日(月) 新世界東映 最初の30分くらい、これは、ものすごい傑作なのではの期待でテンションが上がる。 3兄弟物語だが、配役の不親和がスリリングだ。高倉健って深作映画に出てたんやの異質感。気取ったグラサンで海の彼方の異国への憧憬語…

TIME タイム

★★★ 2012年5月26日(土) 新世界国際劇場 母をも圧殺されたお前が最底辺から這い上がって収奪システムの天辺を完膚なきまでに叩きのめすのかと思えばお嬢彼女と強盗ごっこに身を窶す様に何じゃこりゃと正直思うのだが、世の善良な女子どもの正統白馬王子願望…

生きる

★★★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 正直、この男の生き様の温さが反転するにせよ、汚濁に塗れのたうつレベルにも達せぬ公園事案の弾けなさで、一寸デカダンしてみたり純情に触れたり程度のままごとも終盤の時間軸の解体再構築で醒めた視点に晒される。…

グッド・ワイフ

★★★ 2020年8月5日(水) シネリーブル梅田2 やりたいことはわかるのだが、メリハリが足りないし、もっと言えば毒が足りない。 クソ女の転落を描くに、新人女性監督には、そこまでの同性嫌悪を露わにするのが躊躇われたか。 それにしても、この富裕層のご婦…

愛と誠

★★★★ 2012年6月17日(日) MOVIXあまがさき9 今時「ブルジョワ」対「不良」のお笑い構図をやる為の納得コンセプトではあるが、にしては終盤結構マジ涙腺を刺激され、嘗ての三池が必ず陥った破綻を回避するネバリ腰。ただ、その一歩手前を線上で維持し…

おかしなおかしな石器人

★★★ 1982年5月28日(金) 伊丹グリーン劇場 どうでもいいような間延びコメディとも言い切れないのは、かのハリーハウゼン直伝のデヴィド・アレンの特撮が高水準だからだろう。それが要所を締めるおかげで間延び度も綿密な計算に裏打ちされてるかと錯覚しそうだ…

血槍富士

★★★★★ 2020年8月2日(日) シネヌーヴォ 内田吐夢の戦後復帰作であるが、テイストが山中貞夫っぽいのが驚きだ。って思ったら脚本が三村伸太郎。山中の現存3作の脚本家だった。「百萬両の壺」の剽軽が「紙風船」のペシミズムに急転する。これは、いったいど…

素晴らしき哉、人生!

★★★★ 2012年7月1日(月) TOHOシネマズ梅田10 死ぬしかないドツボ逆境も物の見方ひとつで神に感涙する至福に変わるのだと言う自殺防止教訓はどうこう言っても素晴らしく、パラレルに怒涛な終盤は先駆的で強靭だが、だからこそ、主人公の忸怩たる人生怨…

南十字星

★★ 1982年5月30日(日) 伊丹ローズ劇場 根本的に見せ場に欠ける。総花的=ダイジェストになると言う日本映画の悪癖を相変わらず踏襲してゲンナリする。そもそも、性善説に立ちすぎているので、人間ってこんなに単純なものなのかという疑問がついて回る。(cine…

ブレイクアウト

★★★ 2012年6月23日(土) 梅田ブルク7シアター2 見飽きた導入展開が、やがて攻守共々剥き身で待った無しの限界状況を露呈するあたり、好みの作劇ではあるのだが、正直もう1手欲しかった。シュマッカー演出もディゾルブ誤用の多用が鬱陶しいモッサリ感。キ…

灰とダイヤモンド

★★★★ 1982年8月14日(土) SABホール ネオリアリズモな乾いた即物感と詩的なケレンが混在して統制されている。戦車と民衆の混乱のリアルな市街から隔絶されたホテルのバーの文学的静謐。その構成の妙。挫折感の表現も充分恒久耐性を持つが、それでもチブル…

アメイジング・スパイダーマン

★★★★ 2012年6月24日(日) MOVIXあまがさき11 3D効果もあるが半端ない高所感であるし、飛翔の質量と重力のリアリズムはライミ版を凌駕する。敵キャラのオリジナリティは今一だが、錯綜したすったもんだの友人はカットされ恋人とは「好き」の1点突…

銀嶺の果て

★★★ 1982年5月29日(土) 新世界東宝敷島 黒澤的単線構造の典型を実直な谷口演出で見せられたって最早見どころは無い。が、演出のやりたいことは良く解る。民謡の使い方など微笑ましい限りで、そういう部分は尊重したい。(cinemascape)

ライド・ライク・ア・ガール

★★★★ 2020年7月31日(金) 大阪ステーションシティシネマ3 女性で初めてメルボルンカップを制した実人物の話ってことで、メルボルンカップって日本で言えば天皇賞とか有馬記念みたいなもんですかね。よう知りませんが。 未だ女性の地位が確立されてない狭い…

超能力者

★★★ 2012年7月14日(土) 新世界国際劇場 魅力的な導入で語られたドンウォンの出自だが、抗するコ・スの凡人然とした立ち居振る舞いは終ぞ覚醒せずに頂上決戦的カタルシスに至らない。世界が局所的で狭いのも物足りなく、黒沢清的ハッタリの終末エッセンスが…

TATTOO[刺青]あり

★★★★★ 1982年6月11日(金) 三番街シネマ3 マッチョイズム願望の呪縛に捕われつつ自壊していく男を演じる宇崎がドンピシャすぎる快演。脇の下元・渡辺も一種の無常感を漂わせ奥行きを付与する。西岡脚本は犯罪者の生い立ちを究明するに独り善がりな陥穽におち…

アタック・ザ・ブロック

★★★ 2012年6月23日(土) シネリーブル梅田2 少年達が主役なので、所詮はコード内に留まらざるを得ない生ぬるさで、かと言って友情や成長といった真摯なジャンルテーマにも感度低い。外景や遠景を駆使せぬ演出は高層住宅という魅力的空間を活かし切ったとも…

終電車

★★★ 1982年7月2日(金) 大毎地下劇場 50年代ロマネスクの主要舞台であった大戦下のパリに舞台を設定し文句無しのスター2人を主演に迎えて極めつけのメロドラマになるかと思いきや、2人の男の間を揺れ動くドヌーブが何考えてるのやら解らないトリュフォー…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 全体の半分をひたすら男と女が乳繰り合うだけに費やすという豪奢な作りに、古来より映画が委ねられた本来の時間律を想う。そして、半ばよりの怒涛のような釣瓶打ち展開のダイナミズムと最高潮での…

★★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 極右的喜八の潜在資質が全開する桜田門外の変。導入の驚異的テンションが冷めぬままに橋本忍の手練手管の脚本を受け演出・編集が冴えまくる。『椿三十郎』と正反のキャラを好演する小林桂樹他の紛れ無きオールスター…

ブラック アンド ブルー

★★★★ 2020年7月26日(日) MOVIXあまがさき3 冒頭、ジョギング中の黒人女性が、パトカーに止められいきなり羽交い締めにされる。 今年の5月に起こったジョージ・フロイド事件を連想させるのだが、この映画は2018年の作で事件を直に反映したもので…

崖っぷちの男

★★★★ 2012年7月8日(日) MOVIXあまがさき3 正直、野次馬を巻き込んだ劇場型犯罪としての緻密な構成には遠いし、ワーシントンのキャラ設定もクールと緩さの間で今いち半端。が、一方で実行部隊のベル&ロドリゲスコンビが絶妙なダサ格好良さで随所で映…

キャバレー日記

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 定型的物語を不定形とは言え伊藤克信に解体する程の力があるわけではなく、「さあさあさあ」の掛け声を増幅させた狂騒の更なるデフォルメこそが欲しかった。ストーリーの面白さで、それなりには見せてくれるがフォトジェ…

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

★★★★ 2020年7月18日(土) 新世界国際劇場 ロングショットっていったいなんじゃいな。 さしたる関心もなく見たあとタイトルの意味を考えてて、なるほどこれは、PAR4のホールをホールインワンしたようなありえない恋のロングショットを決めた男の話ってこ…

ベルフラワー

★★★★ 2012年6月23日(土) テアトル梅田1 ギャロ的自己中妄想もヘルマン的斜に構えた諦念も好きくもないが、『マッド・マックス2』的週末世界願望には共振する。虫食い女に浮気されダメさ極まるマゾ野郎には肩入れもしたいが、矢張り世界を破壊して欲しい…

ロング・グッドバイ

★★★ 1982年7月16日(金) 毎日文化ホール チャンドラーとアルトマンの喰い合わせが問題。雰囲気身上の足し算の結果ミステリーとしてのロジックは消失。何がどうなってるのかの人間関係がさっぱり。撮影がズームと移動を使いまくりで微妙なニュアンスを形成し棄…

月の輝く夜に

★★★★ 2012年7月13日(金) TOHOシネマズ梅田10 垣根低くサクサクと多幸感が横溢するが通り一遍とも言える恋愛錯綜。しかし、文字通り揃い踏みな終局場でのジュイソン演出の畳み掛け。その悲喜交々の視線交錯の停滞をデュカキスの真情吐露が切り裂く。…

悪い奴ほどよく眠る

★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 黒澤流のポリティカル・フィクションは結局、大時代な復讐譚に卑小化せざる得ず、しかも不味いことには気持ち悪いまでにセンチメンタルなのである。最悪の結果になった。君子危うきに近寄らず…彼は2度とこの種の題材を…

ピザボーイ 史上最凶のご注文

★★★ 2012年7月14日(土) 新世界国際劇場 弾け切らないコメディで片付け切れないそこはかとない陰惨さが匂うのだが、そのことに別に自覚的なわけでもないのだろう。相変わらず見た目ほどバカ度が高くないアイゼンバーグに胃もたれ感があるが、マッチョ親爺と…