男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

ロスト・イン・トランスレーション

★★★★★ 2004年6月22日(火) シネリーブル梅田1 この日本観に辟易したとしてもグローバルスタンダードな視点からは、こう見えるということを真摯に受け止めるべきで、なのに、さらりと日本専売とも思われるヴィヴィッドな男と女の機微を全うしてしまう。器の違…

生きるべきか死ぬべきか

★★★★ 1992年5月10日(日) ルネサンスホール 練り込まれた脚本は完膚無きまでの隙の無さで文句のつけようもない。天才の秀でた個人芸に依らずシチュエーションのみで時代の変遷に拮抗できるのは時流に阿ってはいないからだ。それが品格なのだろうが、古典落語…

下妻物語

★★★★★ 2004年6月10日(木) ナビオTOHOプレックス7 時代に迎合して生きるのは嫌だが、迎合しない為には、それはそれで苛烈な努力を強いられる筈。なのに、どうにも2人は受け身でもどかしい。しかし、終盤の大仏前の決闘に漲る本気汁に済し崩しに納得もさ…

ダウン・バイ・ロー

★★★★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 至芸とか逸品とか珠玉とか言いようはあろうが、同時にジャームッシュにとって2度と超えられぬ最高到達点。主演3者のどうでもよさ気なコラボが至る奇跡的均衡こそ堪らぬ味わい。ミューラーの淡いコントラストとシネ…

エル・コロナド 秘境の神殿

★★★ 2004年6月7日(月) 天六ユウラク座 汎用キャラオンパレードのお子様ランチ革命劇ではあるが、怪奇や神秘を持ち込まない点に好感を持った。少なくとも序盤のチェイスと中盤の橋での攻防は80年代的冒険譚モチーフに節度あるCGを融合させ才気を感じさせ…

愛と死の間で

★★★ 1992年5月9日(土) 高槻セントラル ヒッチタッチならぬデ・パルマ風が関の山のブラナー演出は結局のところ出涸らし感横溢する物語を信じていないのだと思う。ロビンやハンナ・シグラなんかまで引っぱてきたキャストの厚みは演じる夫婦の柄じゃない感が帳…

ハウス・オブ・グッチ

★★★ 2022年1月19日(水) 梅田ブルク7シアター2 とりあえずガガ無双と言っておきます。 親がシチリア島からの移民だそうで、序盤のイタリアシークェンスでの画面への馴染み込みはそういうことかと納得。デ・シーカやジェルミの映画に出てきそうなザ・イタ…

リアリズムの宿

★★★★★ 2004年6月29日(火) テアトル梅田1 男と男と女の微妙な距離感が『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で間はカウリスマキ。シネアスト好みの骨格だが高踏的実践ではなく地に足着いた面映ゆく青臭いリアリズムで補完する。見た目以上に戦略的であり成功…

にごりえ

★★ 1992年5月9日(土) 高槻松竹 オムニバスは突出した1話が牽引するかハーモニックなバランスが身上。新派劇みたいな安っぽい情緒と私小説的糞リアリズムが同居し両者は相容れずに分離している。中庸な第2話が弾き出されて浮かぶようでは粋ではない。(cinem…

デイ・アフター・トゥモロー

★★★ 2004年6月25日(金) 梅田ブルク7シアター1 エメリッヒ演出は接写と鳥瞰の緩急が巧く、局地的カタストロフが頻発する前半は圧倒的(特にLAの竜巻)なのだが、人類滅亡という暗鬱な詠嘆的基調旋律が台風一過とばかりに一気に陽転してしまうのでは最早唖…

リー・ダニエルズ Lee Daniels

生年:1959/12/24 kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com

キャット・ピープル

★★★ 1982年7月29日(木) 三番街シネマ1 美術スカルファオッティ・音楽モロダー・主演ナスキンと重厚なゴシック面子を揃えたが、B級ストーリーだけに今ひとつ盛り上がらない。ただ侘びしくうら寂しい孤独感に充ち充ちたムード醸成が良い。ニューオリンズの異…

ワイルド・レンジ 最後の銃撃

★★★★ 2004年7月17日(土) ホクテンザ2 仰角構図で切り取られた空がフォードを想起させる前半。あくまでに「決闘」へ向けたシンプルな作劇。限りなき嘗ての西部劇へのオマージュの一方、人の「殺戮本能」を問う視点が『許されざる者』以降を示現する。ならば…

男はつらいよ 寅次郎の休日

★★★ 1992年8月9日(日) 日劇会館 寅どころか満男さえも脇役に甘んじるゴクミシリーズ2作目にして彼女1本かぶりのお話なのだが、それが又何ともありきたりのファザコン内容で、狼狽するだけの唐変木満男に鬱憤が蓄積し寅は寅で夏木マリから歯牙にもかけられ…

殺人の追憶

★★★★★ 2004年9月13日(月) トビタシネマ 野村や熊井や黒沢在りし頃の嘗ての日本映画が持ち得ていた社会派推理劇の豊穣なる文法に乗っとりつつ、得てしてノスタルジーに装飾される多くの未達感や悔恨は現実には今の時代にも綿々と繋がっているという詠嘆。そこ…

ダイヤルMを廻せ!

★★★★ 1992年5月12日(火) シネマアルゴ梅田 『サイコ』のシャワーシーン並の手間暇をかけたグレース絞殺シーンに今いちインパクト無くとも、殺人の打ち合わせの俯瞰ショットの歪で痺れるセンスは珠玉。本来唾棄されるべき不倫女に加担させられる悪意のパラド…

スパイダーマン2

★★★ 2004年7月31日(土) 梅田ブルク7シアター3 バイトをクビになるにせよ成績が下がるにせよ苦悩と言うには日常的に過ぎ、だから愛と天秤にかける正義が薄っぺらい。1作目同様主観的でアクロバティカルなカメラワークに拘泥し過ぎで糸1本で全体重を支え摩…

シェルタリング・スカイ

★★★★★ 1992年5月15日(金) 毎日文化ホール 愛の儚い残滓を観念で希求しても、結局その不在を確認する道行でしかない。相手の死により終焉するどころか、最果ての砂漠の深遠に埋没し、その先の行くところまで行く。この感覚が堪らない。『ラストタンゴ・イン・…

IZO

★★★ 2004年8月21日(土) ホクテンザ1 甦った稀代のテロリストが斬るべきはリアルな何かであるべきで、シンボライズされた政財軍学の象徴ではダメなのだ。学芸会めいた構成を誤魔化すのに依って立つ時空を行き交う構成がこれ又未整理で友川の怨節だけが異様に…

ミステリー・トレイン

★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 俺が今ここで何してる間にも見知らぬ某は見知らぬところで何しているということに諦観にも似た侘び寂び的意味を見出せなければ面白くも何ともないのだろう。最初に外してしまうと徹底的に乗れない。そういう意味で日本…

パッション

★★★★ 2004年8月7日(土) ホクテンザ2 虐げられた民衆のイエスへの狂熱が描かれないので教会側が単なるサディストに見えるが、にしても延々と続く一大拷問ショーと耐える姿がその信念と教義への興味を掻き立てるのは事実。単調な作劇に帝政ローマ覇権の末端ピ…

ケレル

★★ 1992年5月16日(土) シネマヴェリテ 腐って汁が爛れ落ちる果実の色合いと匂い。この人工美で貫徹された世界が完成度が高いと言うならそうなのかも知れない。ゲイの精神的側面ではなく肉体面のアプローチに徹したかの如き世界観は正直つらい。これがファス…

スターシップ・トゥルーパーズ2

★★★ 2004年8月21日(土) ホクテンザ1 素知らぬ素振りで馬鹿を演じる役者バーホーベンと白昼の一大白兵戦を展開する前作に低予算で抗するには、包丁で首ぶった切るおばさんの不屈の闘志をB級テイスト全開で抽出した一連の逝った感覚を全篇に漲らせて欲しかっ…

キングスマン ファースト・エージェント

★★★★ 2022年1月13日(木) 梅田ブルク7シアター5 世代の交代を明晰に打ち出した1作目であったが、2作目ではその設定が自縄自縛となり泥縄展開と成り果てた。 その反省からか、前日譚である本作では初心に帰っての節があるが、おんなじことやってもしゃー…

エンゼル・ハート

★★ 1992年5月24日(日) パルシネマしんこうえん 確信的にムードに埋没して自走すれば開ける地平もあろうが計算尽くの小手先で表面ずらをなぞっただけの薄皮めいたペラさに全篇被われてる気がする。であるから悪魔なんですと言われた時点で「さよか」で終わり…

永遠の語らい

★★★★★ 2004年9月9日(木) OS劇場CAP モノトーンな母娘の地中海クルーズ遺跡巡りの合間に順次登場する欧州3大年増が、いきなり主旋律に転換する作劇に面食らうも、その圧倒的迫力とマルコヴィッチの腹芸に参る。しかも、急転直下な終盤のいい加減さに確…

わが街

★★★★ 1992年5月25日(月) OS劇場 カスダンによるアルトマン的人間タペストリーは平易でストーリーテリングのテンポも良く、現代と四つに組んだ真面目さが好印象。人種問題を簡単に流しちまうのは一種のスノビズムだとは思うが真面目だから鼻につかない。(ci…

ミニミニ大作戦

★★★★★ 2004年9月13日(月) トビタシネマ 締めるべきところはキッチリ締めてるのにノンシャランな心地よさが全篇を横溢している。往年のストーリーテラーは隙が無いと今更ながら思い知らされた。場を弁え自然体に徹した3人の当世流行役者も好感度大なら演出も…

コーヒー&シガレット

★★ 1992年5月9日(土) テアトル梅田2 ロベルト・ベニーニをおもろいと思うかどうかが全てなのだろうが、言葉のギャップがあって今一ニュアンスしかわからない。仲間内だけで受けて盛り上がってる感じにも疎外感を覚える。結局何がどういうこともない寸劇。(c…

誰も知らない

★★★★ 2004年9月13日(月) 梅田ブルク7シアター5 全面的自己犠牲を自らに課さぬからと言って、この母親も父親達も全否定は出来ない。かと言って子供達を救済出来ぬシステムにも所詮限界があるのだ。是枝の事実認識は正しいし題材選択の意義も認める。しかし…