男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

かいじゅうたちのいるところ

★★★★★ 2010年1月27日(水) 梅田ブルク7シアター4 正直、島での物語が少年の魂の救済に寄与する枠組みは見えてこない。が、この愛と孤独にのたうつ者たちのコミューンの崩壊と再生譚は60年代カウンターカルチャーの愛すべき芳香に充ちている。キャロルの…

暗殺の森

★★★ 1987年11月23日(月) 三越劇場 トラウマから逃げるためにファシズムに傾倒し命ぜられるままに暗殺に手を染める。そういう主人公の受け身人生が感情を排した観察眼で取り上げられるのだが、一方で耽美的な映像やデカダンな意匠にここぞとばかりに傾注する…

誰がため

★★★★ 2010年1月23日(土) テアトル梅田2 見誤った革命路線の末端の殺戮因子として「新撰組」に於ける「人斬り以蔵」的無知蒙昧な男達が初っ端から追いつめられ行き場のない袋小路で虚無と冷たい汗にまみれ自壊していく。カタルシス無き負け戦の野垂れ死に…

サンドラの小さい家

★★★ 2021年4月19日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 シングルマザーが親子で住めるまともな家を希求して一念発起、独力で家を建てちゃう。的な絵空事ムービーでないのはいいんですが、結局は何から何まで人様のおかげやんか。ってのもまあ、人の善意っ…

マクベス

★★★★★ 1987年12月20日(日) シネマ温劇 ラストは、このときのポランスキーの心境を伺わせる悪夢的描写。完全に彼岸の縁に立った男にしか成し得ない代物。血塗られた物語が痛々しい。ギルバート・テイラーの見る者を冒頭から圧倒的に吸引する深度ある映像も傑…

カティンの森

★★★ 2010年1月28日(木) シネリーブル梅田2 深度ある撮影と真摯で節度ある演技。時系列に単線な展開の前半は良い。しかし、「その時」を経過し分散された物語は暗澹たる閉じた過去と未来へとのみ向けられる。それが悪いとも思わないが、なら収斂する作劇無…

プラトーン

★★★ 1987年5月31日(日) 友楽スカラ座 何時どこから弾が飛んでくるか判らないジャングル戦の強烈な臨場感があるが、ボンボンが社会勉強でちょっとだけ覗いて見ましたベトナムって感じが、この映画を真の感銘から遠ざけている。しかし、それは又ストーンの誠実…

4ヶ月、3週と2日

★★★★★ 2010年2月4日(木) 天六ユウラク座 不安と焦燥と苛立ちと遣り場無き怒りにまみれた1昼夜の顛末。直裁に呈示される剥き出しの女の生理は即物的な余りハードボイルドに近似しゆく。崩壊の臨界で踏みとどまった主人公は真夜中の彷徨の果て狂騒の対岸で…

ラウンド・ミッドナイト

★★ 1987年9月13日(日) SABホール 雲上人と簡単に仲良くなるので有難みがない。起点がなければ最後も結び切れないし途中だって転がらない。有名プレイヤーとの凡庸な交流譚以上のものではない。ジャズが好きでムードに酔えればそんなことどうでもいいのか…

おとうと

★★ 2010年2月5日(金) 梅田ブルク7シアター1 若い2人やホスピス周辺など多くの点描される脇キャラは相変わらず素晴らしいが、肝心の鶴瓶が可愛くないのが救いがたい。それを又今更の寅次郎のトレースとして出す山田には慢心した権威臭さえ感じた。シスコ…

BLUE ブルー

★★★★★ 2021年4月11日(日) MOVIXあまがさき1 持てる者持たざる者の話は「アマデウス」とか色々あるんだろうけど、ギラついた嫉妬を内向させて終ぞ現せない男を描いて得も言われない深々とした味わいがある。本作のサリエリを演じた松山ケンイチは独壇…

ファニーとアレクサンデル

★★★★★ 1987年12月30日(水) 大毎地下劇場 並の集大成ではない。遥か処女脚本『もだえ』に遡上しリライトされた聖職者への嫌悪を明示し決別し、自己を否定し解放する。で、およそらしからぬ豊饒が現出した。その決意こそがもたらした圧倒的映像力。ニクヴィス…

二・二六事件 脱出

★★★ 2010年1月9日(土) 日劇会館 「二・二六」を背景に描いて事件への客観的視座を確保し得ているところが良い。青年将校は徒にファナティックでもヒロイックでもない。健さん始め後の任侠面子の神妙演技への違和感も三國とのコラボで均衡を保つ。ただサス…

バック・トゥ・ザ・フューチャー

★★★ 1986年1月2日(木) 北野劇場 万人向けに毒要素を希釈したジュブナイルだとしても陰のないのっぺり感が拭いがたい。マーケティングのマニュアルにアイデンティティは蹂躙された。スーパーカーで時間を遡上し町内会の範囲で両親の為に大活躍。内向きのベク…

築城せよ!

★★★ 2010年2月9日(火) ホクテンザ1 時間軸の刹那な崖っぷちでウェディングドレスを身に纏い戦国武将との永久の別れ。歴ギャル萌えであろうその瞬間に俺も若干は乙女チックに…が、矢張り江守との確執が弱いし、土台自己中な動機の築城に醒めた目線は解けな…

世にも怪奇な物語

★★★★★ 1986年1月3日(金) SABホール 暗黒が日常に介在する近世にそれを求めた2人に対し、一見無縁な退廃と人工灯のバリバリ現代の次元の狭間に予想外の地獄を見せるフェリーニ篇が発想の根源で勝っている。深夜の高速道路で佇む少女は時を越えて「童夢」…

現代やくざ 人斬り与太

★★★ 2010年2月20日(土) 日劇会館 結構、状況に迎合する主人公が今いち生半可で、安藤・諸角と西の勢力が拮抗するマクロな構図の前で矮小化される。腐れ縁の渚まゆみと同衾する文太の部屋での呟きが電車の音にかき消されるドン詰まり感。こういう深作節には…

マッドマックス サンダードーム

★★★ 1986年1月19日(日) 大毎地下劇場 かの『SW』シリーズが第3作にしてイォークを出して大衆に迎合したような腑抜けぶりが本作にも感じられる。悪も善も知らぬ存ぜずのミーイズムこそがマックスの本懐であるはずなのに、凡ヒーローに成り下がった哀しさ。…

インビクタス 負けざる者たち

★★★ 2010年2月16日(火) 梅田ピカデリー4 加被虐に彩られた民族史を統べるポリティカルな手腕をSPの男達の融和描写で茶を濁す錯誤とダメチームの南ア代表が世界の頂点に立つ過程が何ら説得力ないお座なり感。愛すべき役者力を感じる一方救いがたき類型の…

恋文

★★★★ 1986年2月8日(土) 観光会館地下劇場 この物語に全面的な共感を覚える訳ではないが、ある局面に対しての男と女の心理的葛藤を技巧を凝らした精緻さでしみじみと描き切ったものとして、ターニングポイントに至った後期神代の代表作と言えるのではないだろ…

ボーイズ・オン・ザ・ラン

★★★★★ 2010年2月18日(木) テアトル梅田2 絵空事の勝つか負けるかではなく折り合うか突っ張るかというリアリズムの地平で立脚している。揺れ惑う主人公の行く道は感情の振幅の間の隘路との納得感があった。血と精液と鼻水と小便と汗と涙にまみれて俺も疾走…

パリ、テキサス

★★★★★ 1986年2月15日(土) 大毎地下劇場 寄り添って生きることは苦しいが、喪失は更に耐えようがない。しかし、自己完結な放浪では傷は癒えず、直面し相対することでしか状況は打破できないのだ。そして、少年は大人達を後目に成長を続ける。一点一画を揺るが…

イエローキッド

★★★★ 2010年2月20日(土) シネヌーヴォX 多重に錯綜するルサンチマンが剃刀状のエッジで相互に切り合う皮膚感覚に鳥肌が立ちそうな前半であったが、それがカタルシスへ昇華せずどっかで見たような既定路線上でまとまってしまったのが惜しい。コミックとの…

裏アカ

★★★★ 2021年4月9日(金) シネリーブル梅田4 裏アカウントって言うけど、およそSNSに投稿してる大方は本名名乗ってないんだからみんな裏アカやん。 とどうでもいい話です。 物語の骨子は目新しくもない。 【以下ネタバレです】 仕事に打ち込んできた女性…

★★★★★ 1986年2月22日(土) 梅田東映ホール ボデガ湾の余りに美しい佇まいと、そこに創り出された架空の街の小学校や漁港や農家や街のパブ等々がパノラミックでジオラマのようだ。又、パブのシーンとラストの終末感はヒッチの意外な抽斗に驚く。私的には『サイ…

パレード

★★★★★ 2010年2月23日(火) 梅田ブルク7シアター2 行定演出が手慣れてエッジが効いてない感もあるが、この混沌の呈示の仕方には惹かれる。今という時代を冷徹に照射する為には、此岸に立ち返った帰結に凡するより彼岸に埋没しゆく地獄をこそだ。役者たちの…

スター・ウォーズ

★★★ 1978年8月15日(火) OS劇場 画期的なのはモーション・コントロールの戦闘機が醸すスピード感と巨視感のみであり、お姫様奪回作戦の陳腐な作劇は子供心にもチープに思えた。『アメ・グラ』を撮った作家が生涯をこれのみで終えるのか。それも又生き方だ…

恋するベーカリー

★★★★ 2010年2月25日(木) 梅田ブルク7シアター4 メリルとアレックの弛緩した肢体を晒すことへ何の躊躇いもない自信に激しく勇気づけられる。俺もそうありたい…まあ、機会も無いが。全篇手練れの余裕で心地よいが、主人公の揺れ惑う気持ちの帰するところは…

バタリアン

★★★ 1986年2月11日(火) 友楽会館大劇場 御大オバノンだけあってゾンビの造形などクオリティは高いし、深刻さを笑いに転化するときの微妙な境界の引き方も好み。しかし、バカなハイスクールの連中ばかり出てきて世界が偏狭な為に折角のラストも唐突に思えてし…

哀しみのトリスターナ

★★★★ 1986年3月9日(日) SABホール 2転3転する力関係の力学的帰結にブニュエルが興味ある訳なく因果応報の無限地獄の提示こそが旨なのだ。濡れた古都トレノの佇まいが叙情的で、ヒッチ垂涎のブロンド美女の「ああ…脚が…」といったサディスティックフェチ…