男の痰壺

映画の感想中心です

THE GUILTY ギルティ

★★★★ 2019年3月16日(土) シネリーブル梅田1
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電話する主人公のみを追って通話の相手は一切画面に登場させないってのは、「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」って傑作があったし、緊急コールセンターも「ザ・コール 緊急通報司令室」ってのを見てる。で、高を括ってみたが、それでもさすがに良くできてます。
 
ここでは通報を受話して、自分でパトカーとかに指令を出す権限はないらしい。
ほとんどが、ジャンキーの世迷いごとか悪戯で、まあ、閑職に近い。
そういった、背景を絶妙に利かせた脚本がまず秀逸なのだろう。
「事件」のやりとり顛末以外に、同僚や上司との多くの軋轢が次々に起こってくるのだが、そこで主人公の過剰な苛立ちや焦りが伝わってきて切迫感が弥増す。
 
贖罪の意識が彼を執拗に駆り立てたのだろうが、そういう身につかない行為はろくなことにはならない。
終盤の「もしかして、俺やっちまったのか~」の絶望はそれだけに痛いくらいに身に沁みる。
 
演出にこれ見よがしさは一切ない。
すべて固定ショットの標準レンズだ。これも良い。
 
事件当事者とのやり取り以外に主人公を取り巻く背景事案が豊富に練り込まれた脚本が秀逸で過剰な苛立ちや焦りが職場内軋轢に直結して挙句「やっちまたのか俺」の帰結に鮮やかに誘導する。動きが減殺される1部屋スキームに固定カメラでのみで対応したのも良。(cinemascape)