男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【こ】

こむぎいろの天使

★★★★ 1983年6月11日(土) 東多田小学校講堂 言いようによっては教育TVの児童ドラマの範疇内レベルとも言えるが、演出に邪気が見受けられず淡々と、しかし滅法明るく清々しく展開していく物語に否応なく引き込まれる。学生時代の夏休みにバイトで軽トラに映…

この愛のために撃て

★★★★ 2011年8月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 アクションとして健闘作だが今一歩の切れが無い。しかし、時流迎合なカメラブレと細切カッティングに依存せず、混沌の中で主線から逸れ敵味方に混在する端キャラの女たちの錯綜する視線のドラマを抽出する演…

ゴーストライター

★★★★ 2011年10月8日(土) シネリーブル梅田2 前半の元英首相が逗留する米国東岸の別邸での展開が図抜けていて、複数の人物の出入りと窓で隔絶された屋内外の舞台設定の錯綜を操るポランスキーの技は世界遺産級。だが中盤以降は展開に演出がやや従属か。不…

恋の罪

★★★ 2011年11月12日(土) シネリーブル梅田1 過去のトラウマに解を求めるようなことをやっては後退としか思えないし、禍々しいアナーキズムも所詮はバブル前のロマンポルノの形骸的トレースに見える。堕ちる堕ちないのグダグダが水野のドラマに侵食もしな…

コンテイジョン

★★★ 2011年11月12日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 デイモンの遣り切れなさやウィンスレットの遣る瀬無さといった多くの感情の行き場に帳尻をつけぬことで怜悧に状況の混沌を描くソダーバーグの群像処理は買うが、収束への過程が端折り過ぎで尻すぼ…

この子を残して

★★ 1983年9月18日(日) 伊丹ローズ劇場 幼子を残し死にゆく親の手記ならば木下自家籠中の題材だろうし、そこに絞ればいいのに大時代なメッセージ性を加味してバラバラ。大体、永井博士は被爆で死んだのではないのだから根本的に構成に齟齬を来している。原爆…

荒野の決闘

★★★★★ 1983年12月7日(水) 阪急シネマ 散髪後にボーッと柱に足をかけて椅子をくゆらすフォンダの風情に感じる束の間の安息やクレメンタインとの慣れないダンス。肺病のドクや悪たれ親爺クラントンも各々味わいあるが、この映画に描かれた男たちの安らぎには涙…

KOTOKO

★★★ 2012年4月7日(土) テアトル梅田1 分裂症で育児ノイローゼであるということを映画的なカタルシスへ導く術が塚本にあるわけでもなく、歌を歌わせることも思い込みの範疇を出ない。ただ、マゾヒスティックにボコられることで奉仕したいらしい気持ちは健…

CODE46

★★★★★ 2012年5月12日(土) トビタシネマ 嘗て『アルファヴィル』が意図し無残に砕け散ったコンセプトの限りなく理想形に近い熟成体。余りに儚い陽炎のような恋は主演2人の秘めた哀しみに照射されてスモッグ都市の片隅に沈潜していく。その諦念とウィンター…

殺しの烙印

★★ 1982年6月23日(水) 関西学院大学学生会館大ホール モノクロ画面で若干はそれらしく見えるものの、透徹した様式美が未だ確立されているとも思えないので、「ごっこ」のような小便臭さだけが画面に蔓延している。中身ゼロの物語には相当な覚悟が要る。日活…

コリーニ事件

★★★ 2020年6月20日(土) シネリーブル梅田1 男が実業家の男を殺した。 いったい彼は何者で、なぜ殺したのか。 ってことが主線の話で、その解明の過程から、数十年に及ぶ歴史の暗部が立ち昇つてくる。 「砂の器」を思わせる構成です。 【以下ネタバレです】…

コールガール

★★★★ 1982年9月19日(日) 伊丹グリーン劇場 陳腐な筋立ての完全無比の幕間繋ぎ企画だが裕也・ひろみ・竜童等を配した脇役陣が無類のヒリヒリ感を醸し出して世界観を担保する。しかも安藤庄平のカメラが絶妙のフレーミングでそれを補完。拾い物の一作。(cinema…

この子の七つのお祝いに

★★ 1982年10月10日(日) 伊丹ローズ劇場 ミディアムなギュウ詰めの構図を正攻法で繋いで役者にはどテンションを要求。相変わらずの増村らしい力感と言いたいが、どこか形骸的で乗れてない。話を映画的に料理するという芸当ができないのだからミスマッチな題材…

恋のロンドン狂騒曲

★★★★ 2012年12月27日(木) 大阪ステーションシティシネマ3 愁嘆場を見せぬにしても、もうちょい粋な〆方があるだろとも思うが、相変わらずの軽妙闊達な『人生万歳!』的群像捌き…が『夢と犯罪』系の悪意の破綻の釣瓶打ちに集約されるあたり総決算の趣き。…

荒野の用心棒

★★★ 2013年1月27日(日) TOHOシネマズ梅田10 思いつきのように随所に挟まれる逆光、クローズアップ、ローアングルの幾つかのショットの堪らん良さが、過剰な音楽への飽きと稚拙なフォークロアめいた空間処理への疑念を相殺する。主演2人の圧倒的カリ…

古都

★★★★ 1981年1月7日(火) 伊丹ローズ劇場 「百・友映画」の最後に崑を持って来た掉尾の一新作。相変わらずのリメイクだが主演2人の弱さを補うに登用した岸恵子と實川延若が絶品であり、旧家の佇まいや山間の風情も中村登版に比肩し得る。(cinemascape)

コロンバス

★★★★ 2020年3月27日(金) シネリーブル梅田3 監督がブレッソンやヒッチコックや小津に傾倒するシネフィルだってこと以外、ほぼ予備知識ゼロで見たので、見始めてしばらくは、どういう物語なのかが掴み難かった。 幾人かの多様な人物の挿話が並行して描かれ…

曠野

★★★ 1981年2月8日(日) SABホール 辺境から町への道行き或いは少年の成長過程に於ける通過儀礼としての道行きは、決して目新しいテーマでもないが、兎に角ステップの描写が自然主義的に素晴らしい。それだけに、文学的アプローチの幻想シーンはうるさく無…

5時から7時までのクレオ

★★★★ 2020年3月20日(金) テアトル梅田2 【ネタバレです】 冒頭で示唆された不吉な予兆は、始まってしばらくすると、この2時間にわたるパリジェンヌのコンテンポラリーそぞろ歩きから拭い去られる。 それが狙ったものか、演出の甘さなのかは知る由もない…

紅塵

★★★★ 2020年3月15日(日) プラネットスタジオプラス1 びっくりするくらいに、ド直球の不倫よろめきドラマで、80分の中尺にそれ以外の枝葉をつける余地もない。時代が変わっても男と女のすることに変わりはないってことですな。 本作の肝は、ジーン・ハー…

コロンビアーナ

★★★ 2013年2月14日(木) トビタシネマ ルサンチマンが全然足りないし、少女が最初っから結構スーパーなのも設定としてどうなん?とも思う。マニュアルな鋳型通りの見飽きた展開がサクサク進むが、今更ベッソンに言っても詮無い。ゾーイは初出シーンのみ萌え…

ゴーストランドの惨劇

★★★★ 2020年3月14日(土) 新世界国際劇場 パスカル・ロジェ初見なのですが、なんやろか、一体どこがどうスゲーんっすか?って思った反面、全てが合理的に理に落ちる衒いのなさに奇襲戦法じゃない物語を真正面から呈示する覚悟のようなものを感じた。 【ネタ…

コンシェンス 裏切りの炎

★★★ 2013年6月8日(土) トビタシネマ 主役2人の確執は大して劇的緊密があるわけでもなく、寧ろカイチーやパオチャンたち双方の脇キャラの切実なドラマが泣ける。だが、何と言ってもダンテ・ラムの過剰が炸裂するクライマックス。炎と水と火薬と血と赤ん坊…

子どものころ戦争があった

★★★ 1981年2月24日(火) 伊丹ローズ劇場 つつましやかで良い映画だとは思うが、こういう金髪碧眼の美少女の悲話を多くのエピソードの中から選択した時点で既に売らんかなの姿勢に堕している気もするし、可哀想というだけではなく現在に繋がる指針をこそ呈示…

幸福の設計

★★★★ 2020年1月12日(日) シネリーブル梅田4 ジャック・ベッケルは「穴」は良作、「モンパルナスの灯」は普通くらいの評価しかもっておらず、先日見た「怪盗ルパン」が凡作だったのでどうもなあとも感じていたが、この3作は後期のものであり、ヌーベルバ…

殺しのドレス

★★★★★ 1981年5月2日(土) 阪急シネマ 3面記事的えげつなさは幼稚で洗練されてないが、一方で無邪気なまでの技巧オンパレードで恥も外聞も無く押しまくる。『サイコ』に対するオマージュとしても高度な達成。精神的な成熟レベルの幼児性といい天才的な技巧…

国家が破産する日

★★★ 2019年12月8日(日) シネマート心斎橋2 1997年の韓国の通貨危機を描いたものということだが、当時、日本もバブル崩壊の長引く余波がより深刻化した時期で、俺のいた会社もつぶれて、正直、お隣さんの国でこういうことが起こっていたことさえ知らな…

殺さない彼と死なない彼女

★★★★★ 2019年11月27日(水) 梅田ブルク7シアター5 女子向け映画が隆盛を極めている感があって、正直、食指わくわけないし、おじさんが1人で見に行くってのは敷居が高いんですが、それでも映画を見るにジャンル横断主義を掲げる俺やないかと自らを鼓舞し…

工作  黒金星と呼ばれた男

★★★★ 2019年10月5日(土) 新世界国際劇場 日韓関係の変容と、朝鮮半島の今を読み解くのに凄く勉強になる映画だと思う。 親北の政権が覇権を握ってる今、それでも北が韓国に冷たいのは、なるほどこういうことかとわかったような気がする。 スパイ映画といっ…

荒野の誓い

★★★★ 2019年9月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 物語を転がす便が甘いとは思う。 先住民を蛇蝎のごとくに憎み殺しまくってきた男と亭主と幼い娘3人を先住民になぶり殺しにされた女。 彼らは老いたシャイアン族の族長を故郷の居留地へ送り届ける旅路に帯…