男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【こ】

恋文

★★★★ 1986年2月8日(土) 観光会館地下劇場 この物語に全面的な共感を覚える訳ではないが、ある局面に対しての男と女の心理的葛藤を技巧を凝らした精緻さでしみじみと描き切ったものとして、ターニングポイントに至った後期神代の代表作と言えるのではないだろ…

恋するベーカリー

★★★★ 2010年2月25日(木) 梅田ブルク7シアター4 メリルとアレックの弛緩した肢体を晒すことへ何の躊躇いもない自信に激しく勇気づけられる。俺もそうありたい…まあ、機会も無いが。全篇手練れの余裕で心地よいが、主人公の揺れ惑う気持ちの帰するところは…

攻撃

★★★★ 1986年2月23日(日) 花月シネマ シナリオが設定した極限の駄目キャラエディ・アルバートに拮抗するパランスのオリジナルな役者力。『ヴェラクルス』から来し『北国の帝王』に至る男ガチ劇の線上で、しかし、外された感のある終盤。それが、詠嘆の作劇の…

ゴーストバスターズ

★★ 1986年1月19日(日) 大毎地下劇場 初見者が「全員集合」や「欽ドン」に感じるだろう約束事に依って立つ喜劇センスへの拒否感。サタデーナイトライブを使いこなすには迎合的なライトマンでは荷が重い。かといってお化けエフェクトも大したことない。万人受…

小間使の日記

★★★★ 1986年3月8日(土) SABホール 内向する変態フェチと抑圧下の少女愛が錯綜する田舎ブルジョワの混沌を掻き回す都会の冷気を纏ったヒロイン。そういう二項対立はモローの無表情と透徹されたモノクロ撮影の良さもあり格調さえも獲得する。しかし、後半は…

コマンドー

★★ 1986年2月11日(火) 友楽会館大劇場 キャメロンにせよマクティアナンにせよシュワが異形であることに意識的であるのに対し、レスターはと言えば、そーんなこと全然考えてる風でもなく、かと言ってアクション演出が斬新なわけでもない。前後の比較から気の…

コミック雑誌なんかいらない!

★★★ 1986年6月1日(日) 塚口ロマン 裕也自身のアイデアは最高だが、それでも神代・若松レベルの剛腕でないと当時の彼を使いこなせなかった。演出がお追従の域を出ず殆どの挿話が本人を出しただけに安住しており批評も無く皮肉さえも感じられない。たけしのシ…

コーラスライン

★★★ 1986年12月7日(日) 梅田ロキシー 下手なカットバックなんぞを使わない抑制感は買えるが、それなりにエッジの効いた連中が集まって、この程度のボヤけたもんにしかならないのは矢張りアッテンボローが老衰していたからだろう。ショウビズに浸った臭いに決…

極道記者2 馬券転生篇

★★★ 2010年5月26日(水) トビタ東映 1作目に比し濡れ場の充足度も博徒的ヒリヒリ感も減退したが、競馬場とその周辺の切ないまでの貧乏くさい臨場感が俺の郷愁を誘ってやまない。佐藤慶の余りに半端なキャラ設定や一ノ瀬やす子の無意味な踏ん張りも御愛敬か…

コットンクラブ

★★ 1985年3月21日(木) 観光会館地下劇場 暗黒と華やぎ。2重の重心が互いを相殺した。『ゴッドファーザー』のエッジの半値で『ワン・フロム・ザ・ハート』の実験性の8割引という廉価版複合体で、コッポラ神話にとどめを刺した。同系ジャンルの成功作には「…

告白

★★★★★ 2010年6月9日(水) TOHOシネマズ梅田1 現代の混沌と閉塞を論じるには終盤の安易とも言える解題的展開には疑問を覚えるが、一方で冴え渡る巧緻な技巧と詩情は絶頂の森田や市川準をも凌駕する。そして、浮上するトリアー的破壊神松たか子と反転し…

極道記者

★★★ 2010年4月24日(土) トビタ東映 題材も出来もニッチな置き去り感濃厚なのだが、やはり望月の描くベッドシーンはエロくて魅せる。又奥田瑛二の粘着体質に白竜・川上麻衣子の『凶暴につき』コンビが脇を締めて呼応し低位安定感を醸す様も見物である。(cin…

孤高のメス

★★★★★ 2010年6月12日(土) 梅田ブルク7シアター4 脳死肝移植の命題に患者救済の絶対信念に忠実な医師を配しただけでは作劇は完遂しない。夏川の設定の何たる慎みと真摯。切ないまでの想いは、やがて今1人の余の想いとシンクロする。石井映画の2人の「名…

コロンブス 永遠の海

★★★ 2010年6月22日(火) テアトル梅田2 さほど興味もない景勝巡りも、いざ行ってみれば強ち嫌でもなかったという既視感。オリヴェイラ本人はコロンブスに並々ならぬ興味があるだろうに、それを一切押しつける気も無さそうで、そのことにも充分自覚的らしい…

恋におちて

★★★ 1985年6月23日(日) 友楽スカラ座 私らこんなんもできるんですって声が聞こえそうな性格俳優たちの3役揃い踏み。肌理細やかな感情表現連発だが柄じゃない感が先に立つ。ベーシックなキャラクタリゼーションでミスった。行き場ないコンプレックスが研ぎ澄…

ゴダール・ソシアリスム

★★★ 2011年2月19日(土) 第七藝術劇場 世界の片隅で誰からも見向きもされぬ年寄りの繰言めいた能書きを垂れても、ゴダールだからと受け入れられてしまうのは役得でしかない。正直つまらんのだが、豪華客船の異世界的深遠を切り取るデジカメの色彩美とブロウ…

こむぎいろの天使

★★★★ 1983年6月11日(土) 東多田小学校講堂 言いようによっては教育TVの児童ドラマの範疇内レベルとも言えるが、演出に邪気が見受けられず淡々と、しかし滅法明るく清々しく展開していく物語に否応なく引き込まれる。学生時代の夏休みにバイトで軽トラに映…

この愛のために撃て

★★★★ 2011年8月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 アクションとして健闘作だが今一歩の切れが無い。しかし、時流迎合なカメラブレと細切カッティングに依存せず、混沌の中で主線から逸れ敵味方に混在する端キャラの女たちの錯綜する視線のドラマを抽出する演…

ゴーストライター

★★★★ 2011年10月8日(土) シネリーブル梅田2 前半の元英首相が逗留する米国東岸の別邸での展開が図抜けていて、複数の人物の出入りと窓で隔絶された屋内外の舞台設定の錯綜を操るポランスキーの技は世界遺産級。だが中盤以降は展開に演出がやや従属か。不…

恋の罪

★★★ 2011年11月12日(土) シネリーブル梅田1 過去のトラウマに解を求めるようなことをやっては後退としか思えないし、禍々しいアナーキズムも所詮はバブル前のロマンポルノの形骸的トレースに見える。堕ちる堕ちないのグダグダが水野のドラマに侵食もしな…

コンテイジョン

★★★ 2011年11月12日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 デイモンの遣り切れなさやウィンスレットの遣る瀬無さといった多くの感情の行き場に帳尻をつけぬことで怜悧に状況の混沌を描くソダーバーグの群像処理は買うが、収束への過程が端折り過ぎで尻すぼ…

この子を残して

★★ 1983年9月18日(日) 伊丹ローズ劇場 幼子を残し死にゆく親の手記ならば木下自家籠中の題材だろうし、そこに絞ればいいのに大時代なメッセージ性を加味してバラバラ。大体、永井博士は被爆で死んだのではないのだから根本的に構成に齟齬を来している。原爆…

荒野の決闘

★★★★★ 1983年12月7日(水) 阪急シネマ 散髪後にボーッと柱に足をかけて椅子をくゆらすフォンダの風情に感じる束の間の安息やクレメンタインとの慣れないダンス。肺病のドクや悪たれ親爺クラントンも各々味わいあるが、この映画に描かれた男たちの安らぎには涙…

KOTOKO

★★★ 2012年4月7日(土) テアトル梅田1 分裂症で育児ノイローゼであるということを映画的なカタルシスへ導く術が塚本にあるわけでもなく、歌を歌わせることも思い込みの範疇を出ない。ただ、マゾヒスティックにボコられることで奉仕したいらしい気持ちは健…

CODE46

★★★★★ 2012年5月12日(土) トビタシネマ 嘗て『アルファヴィル』が意図し無残に砕け散ったコンセプトの限りなく理想形に近い熟成体。余りに儚い陽炎のような恋は主演2人の秘めた哀しみに照射されてスモッグ都市の片隅に沈潜していく。その諦念とウィンター…

殺しの烙印

★★ 1982年6月23日(水) 関西学院大学学生会館大ホール モノクロ画面で若干はそれらしく見えるものの、透徹した様式美が未だ確立されているとも思えないので、「ごっこ」のような小便臭さだけが画面に蔓延している。中身ゼロの物語には相当な覚悟が要る。日活…

コリーニ事件

★★★ 2020年6月20日(土) シネリーブル梅田1 男が実業家の男を殺した。 いったい彼は何者で、なぜ殺したのか。 ってことが主線の話で、その解明の過程から、数十年に及ぶ歴史の暗部が立ち昇つてくる。 「砂の器」を思わせる構成です。 【以下ネタバレです】…

コールガール

★★★★ 1982年9月19日(日) 伊丹グリーン劇場 陳腐な筋立ての完全無比の幕間繋ぎ企画だが裕也・ひろみ・竜童等を配した脇役陣が無類のヒリヒリ感を醸し出して世界観を担保する。しかも安藤庄平のカメラが絶妙のフレーミングでそれを補完。拾い物の一作。(cinema…

この子の七つのお祝いに

★★ 1982年10月10日(日) 伊丹ローズ劇場 ミディアムなギュウ詰めの構図を正攻法で繋いで役者にはどテンションを要求。相変わらずの増村らしい力感と言いたいが、どこか形骸的で乗れてない。話を映画的に料理するという芸当ができないのだからミスマッチな題材…

恋のロンドン狂騒曲

★★★★ 2012年12月27日(木) 大阪ステーションシティシネマ3 愁嘆場を見せぬにしても、もうちょい粋な〆方があるだろとも思うが、相変わらずの軽妙闊達な『人生万歳!』的群像捌き…が『夢と犯罪』系の悪意の破綻の釣瓶打ちに集約されるあたり総決算の趣き。…