男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【こ】

コヴェナント 約束の救出

★★★★ 2024年3月8日(金) TOHOシネマズ梅田10 アフガニスタンに於けるアメリカ人と現地通訳との絆を描いた点で去年公開された「カンダハル 突破せよ」と激しくかぶる。まあ、どっちかが企画パクったとまでは思いませんが。 片やジェラルド・バトラーの…

コンテンダー

★★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際劇場 絶対に譲れないと思っていても変節はいとも簡単に訪れる。そういう弱さを映画は非難 めいた視線では見ていない。甘いも酸いも汚濁も清廉も世のシステムに剥き身を晒し 苦闘するしかない。ケイジの南部との親…

この世界の片隅に

★★★★ 2016年12月5日(月) MOVIXあまがさき5 戦中戦後の運命に翻弄される1人の女性の年代記として新しいものでもない。 むしろ映画の世界では鉄板の題材だ。 多くの出来事を彼女は従容と受け入れていく。 殊更に受動的なわけでなく、それなり…

後妻業の女

★★★ 2016年9月9日(金) 大阪ステーションシティシネマ1 熱演天国とでもいうべき双璧の足下でパイオツ揉まれるあさみを尚凌駕する明日香の体当たりに感動するのであったが、所詮ピカレスクもどきと思えるのは軽佻に死を扱う作り手のスタンス。もっと…

映画 「聲の形」

★★★★ 10月16日(日) MOVIXあまがさき11 2016年。数年来のジャンル映画の新たな潮流から産まれたメルクマールとして「溺れるナイフ」と並ぶ。 ジャンルとは即ち、「オタクアニメ」と「少女コミック」。 後世もしかして、これらは、日活ロマンポルノに…

ゴッドファーザー

★★★★★ 1974年5月5日(日) 伊丹グリーン劇場 1980年8月7日(木) 大毎地下劇場 マフィアによる殺戮連鎖もファミリー結束への拘泥もシチリアでの刹那な愛もそのパッションはギリシャ悲劇めいた悲愴とロジックが上塗りする。しかし、その厳格な統御から突出するブ…

荒野の七人

★★★★ 1973年9月2日(日) 伊丹グリーン劇場 世界を取り巻く厚みは減失したが粛々と仕事を遂行するプロ魂は倍加され胡散臭いリーダーのもとでもミッション遂行のエネルギーは十全。7人と言うより4+3のキャラ力学が頃合の配分でド真ん中を射抜かれた少年の夢…

コップランド

★★★★ 1999年2月27日(土) 第七藝術劇場 警官だけが住む町という設定からして無意味に妙なのに、とことん冴えない男を主人公にしてカタルシス無く、だが何故かイタリア系の1枚看板役者が集結し神妙に演技合戦を展開するという10年に1度のカルト映画。特に…

荒野の渡世人

★★★ 2001年11月15日(木) トビタ東映 大真面目に西部劇を作ろうとし、わざわざ「日本語版」などとクレジットしても「英語版」なんてあるのかと侘びしさを倍加させる。似合わぬジーンズの健さんが何だか情けなくもあり、どうせなら大西部で着流し長ドスで暴れ…

極楽特急

★★ 1993年4月11日(日) みなみ会館 世界映画史に於いては共通認識とされるものが欠落しているなら埋めていく作業は必要だと思う。が、だからと言ってルビッチを過度に評価する気にもなれない。最後の2作は名作とは思うが、こいつは緩い。観たプリントも悪か…

恋人のいる時間

★★★★ 2002年11月26日(火) テアトル梅田1 不倫しといて開き直るドタマに来る女が主人公だがゴダールの関心はそういう倫理に向く訳なく只管に観察的手法で女体の外観へ向かう。結果このマーシャ・メリルは彼の映画のヒロイン中突出して美しい。勿論クタールモ…

ゴスフォード・パーク

★★★★★ 2002年11月30日(土) 梅田ガーデンシネマ2 ばら撒きまくったネタのそこに最後の締めをもってくるのかという心地良い収束。脚本の勝利と思うが闊達なアルトマン演出も老獪そのもの。キャスティングのはまり具合も良く、迷宮のような地下世界の圧倒的な…

コーダ あいのうた

★★★ 2022年4月11日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 オリジナルのフランス映画「エール!」未見です。それにしても「ウエスト・サイド」にせよ本作にせよリメイク作品が賞争いをするアカデミー賞の薄味さ。アメリカ映画の層としての絶対的な痩せ細りを…

ごめん

★★★★ 2003年2月28日(金) リサイタルホール ああ…俺も今一度小六に戻り中学生のお姉さんに恋したい。少年が異性を意識し始める極めてヴィヴィッドな瞬間を最強の設定ですくいあげた佳篇。やむにやまれぬ気持ちで走り続ける彼には誰もが重ね合わせる自分を持っ…

国会へ行こう!

★★★★ 1993年7月24日(土) ホクテンザ1 中央国政を直截に描かず代議士の地元政治活動に絞り描いたのが、みみっちくもコンパクトで成功した。胡散臭さ100%の緒形がここぞとばかりの快演で妻吉田日出子との『社葬』コンビも絶妙。義を通すには汚濁を吞むの…

孤独の報酬

★★★★ 2022年3月21日(月) プラネットプラスワン 60年代にイギリスのスタジオシステムの圏外から勃興したフリーシネマの3羽烏の1人リンゼイ・アンダーソンの作品だが、社会のシステムに対するどうしようもない怒りや反抗というより、ひたすらに男と女の…

恋の秋

★★★★★ 2003年10月2日(木) OS劇場CAP 一見充足した人生に見えても人は皆本質的には孤独に苛まれ続ける。5人の男女の変幻自在な組み合わせの妙が産み出す全く予測のつかない正真正銘のドラマの醍醐味。均等に描かれた5人から抽出された1人がラストの落…

コンフェッション

★★★ 2003年8月21日(木) 梅田ピカデリー2 お下劣TVショーのディレクターとしての話とCIAの殺し屋としての話が互いに浸食していく過程が生半可で並立的の印象しかない。始末に悪いのはクルーニーの演出がお上品だが自身の演じる役も含め悦に入ってる割り…

ゴースト・オブ・マーズ

★★★ 2003年9月26日(金) トビタシネマ 2転3転するのが当然の21世紀に叩き付ける何の変哲もない攻防…は解るが単なるメタル野郎が吼えまくってるだけの敵では怖くもなんともない。『エイリアン2』等の過去映画と似すぎるキャラ配置も損。ただただヘンスト…

香魂女 湖に生きる

★★★ 1993年12月4日(土) ホクテンザ2 因習によって連綿と続く不幸の連鎖は決して杓子定規な規定をされてもいない。しかし、詠嘆調で湖を見つめるだけでは何も解決されないのも事実だ。その先を描かないとと思う。演出も主演ガオワーの演技も骨太で腰が据わっ…

コントラクト・キラー

★★★★★ 1993年12月27日(月) ACTシネマテーク こういう芸当が出来るのであればカウリスマキも閉じた自家籠中の世界に拘泥せずに、もっと芸域を広げられる筈とも思わせる。神経症的な緻密さと縦移動を始めとした技巧が冴えわたる珠玉作。(cinemascape) kenir…

国姓爺合戦

★★★ 2003年9月26日(金) トビタシネマ 圧倒的な物量で浸食して来る清国に対する衰退の明国の最後の叛逆という局所的攻防が、いつのまにか台湾をめぐるアジア対西洋の図式にすり替わる。物語の軸がブレては盛り上がった心のやり場に困る。ジャニーズ顔の主人公…

ことの次第

★★ 1993年12月19日(日) ACTシネマテーク トリュフォーみたいな確信犯になれる野郎じゃないとこういうのはやめた方がいい。ゴダールとかあんたとかは頭が良すぎるんだ…。人事ながら見てて恥ずかしいよ。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.com

ゴジラVSキングギドラ

★★★★ 1992年1月23日(木) 梅田劇場 博多に飛来するキングギドラに感じた既視感を伴う或る種の感銘は金子版以上だったかも知れない。プロレスファンのそれにも似たオールドタイマーな怪獣映画ファン心理を大森監督は絶妙な匙加減で刺激したと思う。(cinemascap…

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

★★ 2003年12月22日(月) ナビオTOHOプレックス3 半世紀に渡り再三怪獣に襲撃された日本というパラレルな世界観が現在の日本の社会分析に言及されないままで、況やモビルスーツものの極私的個人の世界観に矮小化されるなら、『ゴジラ』『モスラ』の初作を…

コンフィデンス

★★★ 2004年2月20日(金) 三番街シネマ2 悪くはないがコンゲームの片翼を成すキャラの魅力に欠ける。ホフマンの小物感は技を効かせても本質的な怖さの深淵に繋がらず、バーンズの華のなさも腹芸のないのっぺり感で面白みがない。脇で芳香を放つ顔ぶれが好サポ…

子供たちの王様

★★★ 1992年4月18日(土) 毎日文化ホール ど素人先生奮闘記というほどの腑に落ちる何かがある訳でもなく主人公の内実にもそれほど踏み込まない。その割にテーマは教育の在り方という一元的なものに見え単調。ときたま象徴性を帯びた表現も見られるが、それ程に…

豪姫

★★ 1992年4月12日(日) サンポードアップルシアター 男騒ぎの『利休』後日譚として再びの戦国時代ものを統べるには「豪姫」というキャラも演じる宮沢も青臭すぎる。ケバい衣装も無骨な男には映えるが少女では当たり前すぎて全然面白くない。秀吉・家康と織部…

恋人はスナイパー 劇場版

★★★ 2004年4月20日(火) 梅田ブルク7シアター7 ウッチャンのマジかシャレかで戸惑うキャラは一応は了承したが、空中での1アクションで左右の蹴りを同時に入れるカットだけが唯一では水野美紀の使い方として宝の持ち腐れとしか言えない。一刻も早く香港でで…

ゴシカ

★★★ 2004年5月8日(土) ホクテンザ2 『the Eye』という映画に展開が少し似てるのがつまらんし、ネタが割れたみたら、おかしいと思う点も少なからずある。そもそも合理的に理屈づけてしまう姿勢もつまらんのだが、全編出ずっぱりのハル・ベリーを心ゆくまで堪…