男の痰壺

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コヴェナント 約束の救出

★★★★ 2024年3月8日(金) TOHOシネマズ梅田10

アフガニスタンに於けるアメリカ人と現地通訳との絆を描いた点で去年公開された「カンダハル 突破せよ」と激しくかぶる。まあ、どっちかが企画パクったとまでは思いませんが。

 

片やジェラルド・バトラーのスーパー工作員、片やジェイク・ギレンホールの中古車屋のオヤジの従軍兵ってことでリアリティはこっちにありそうだが、イランの特務警察、IS、タリバンが錯綜し彼らの人間性にまで踏み込んだ「カンダハル」に対し、本作のタリバンはまるで60年代以前の西部劇に出てくるアメリカ先住民並みの扱いである。

ただ、バトラー1本かぶりの映画では通訳の扱いはどうしても従になるが、本作では途中からギレンホールは死に体になってしまうので、通訳が中盤を引っ張る。そのアーメッド役のダール・サリムのんなアホなーと思わせない腹の据わり方が見事に映画を牽引している。

 

ディア・ハンター」よろしく地獄の戦場に再び行かねばならない。信義を果たす為という以上に彼奴を助けないといけないという最早それは友情であり、であるから、アフガニスタンでやっとアーメッドと再会するシーンの万感の想いは胸を打つ。本作の佳境だろう。

 

まあ、最後は「カンダハル」も本作も同じであり、危機一髪ジャジャジャーンと戦闘機やヘリが到着して敵を一掃という展開だが、多分バジェットは本作の方が上なんだろう。立体的なアクション構築の妙味はこっちにある。

 

イスラム原理主義勢力を複層的に描いた『カンダハル』に比べいかにも単視眼的であるが、その分通訳アーメッドの描き方は経験・技量そして信義を携えた深さ。それ故に再会のときの万感の間が佳境になり得た。エンドクレの多くの写真へのリスペクトは胸を打つ。(cinemascape)

 

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