男の痰壺

映画の感想中心です

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

映画 2016

今年55歳になった。 四捨五入すれば還暦である。 今まで肉体が朽ちて人生が終わるということは頭でわかってても人ごとであった。 でも、最近、しみじみ思うのだ。 いつかは終わるんやな…と。 1995年、阪神淡路大震災の年、俺は結婚した。 借金まみれで…

きみの名は。

★★★★★ 2016年8月29日(月) TOHOシネマズ梅田3 2016年9月11日(日) MOVIXあまがさき1 『転校生』と『時かけ』リミックスとして上出来の前半なのだが、後半の大風呂敷を広げて畳みかけた上に尚畳む疾走感とそれを補完するカット繋ぎのダイナミズム。…

メリーゴーランド

★★ 1975年12月21日(日) 伊丹グリーン劇場 観客に媚びない映画なんて無いのであるが、それでも作り手の矜持の欠片くらいは見せて欲しい。過剰な音楽に煽られラストで泣ける自分が呪わしい。可愛いくて可愛そうな少年を襲う不幸の徹底連鎖。パクリ企画は結構だ…

ドント・ブリーズ

★★★★ 2016年12月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 ジャンルムービーとして文句なく良作と言える。 何より往々にして陥りがちな超常やサイコの陥穽に落ちないのが良い。 全篇、爺さんは元軍人の盲目の男ならこうするという行動しかとらない。そこが…

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

★★★★ 2016年8月17日(水)大阪ステーションシティシネマ7 主義・主張を貫くにはそれを担保する生活力が要るのだということを、持たざる多くの人々を点描しつつ語る。であるから一旦叩きのめされた後、ジャンクムービー職人として再生する過程こそが白眉。女…

ノストラダムスの大予言

★★ 1974年8月25日(日) 伊丹ローズ劇場 『ゴジ・ヘド』から『日本沈没』を経由して至った70年代を覆う終末観を描いた掉尾作で、ゲテ趣向満載のオモロキモさは認めるが、「大予言」を物語的に再構築した訳でもないオリジナルエピソード羅列の促成作法で、丹…

.ヒッチコック/トリュフォー

★★★ 2016年12月20日(火) テアトル梅田2 期待もしてなかったが、やっぱりと言うか、これは「映画術」という本に関する映画とは言えない。 ヒッチコックとトリュフォーに関する、もはや聞き飽きたような挿話をちりばめたアンソロジーにすぎない。 そりゃあ…

BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

★★★★★ 2016年9月19日(月) 梅田ブルグ7シアター3 宵闇に紛れ街を出て海嶺を大跳梁し至る彼我の距離感が微妙に的確に思われ、後半の現実世界との浸食も納得させられる。無垢で善なることを演じるライランスにあざとさは無く少年っぽい少女ルビーに子役の媚…

太陽がいっぱい

★★★ 1976年9月12日(日) 三番街シネマ2 虐げられた末の反逆なのであるから感情移入できそうなものだし、映画は技巧を尽くしてドロンに片寄せもする。実際ドカエのカメラが捉える瑞々しい心の揺らぎは海上や市場のシーンでスパークしてる。だが、奥底に横たわ…

孔雀夫人

★★★★ 2016年12月11日(日) プラネットスタジオプラス1 熟年離婚とか死後離婚とかが言われて久しいですが、この80年前の映画を見れば新しくもない問題なのだとわかります。 まあ、女ってのは見果てぬ夢と言いますか、どこまでいっても満足できない生き物…

怒り

★★★★ 2016年9月18日(日) MOVIXあまがさき5 ミスリード職人吉田修一に生真面目に正面突破で立ち向かう演出の剛直と凡庸な内実をギリシャ悲劇めいた大上段からのドハッタリで崇高にまで高めてしまう思い入れ。だが、それを不快に思わないのは社会か…

男と女

★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 主役2人の微妙なエッジの効き加減がモノクロ画面とシンクロして甘さを緩衝。そのうえでルルーシュは砂糖菓子のようなボサノバを流し恰好つけまくりのソフトフォーカスをこれでもかと垂れ流し臆面もない。ヌーベルバーグ…

五日物語 3つの王国と3人の女

★★★★★ 2016年12月20日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 中世欧州を舞台にした奇譚なんて、もう、うんざりっす。 テリー・ギリアムとかティム・バートンとかピーター・ジャクソンとかどれも似たり寄ったりやん。 と、思ってましたが、これ良いです…相当…

オーバー・フェンス

★★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 彼女のスイッチが入るのが早すぎ、いくら何でももう無理やろ思う彼がそれでも腐れ縁的に関係を続けるには描写が足りない。山下は女が描けぬのだと思う。しかし、一方でこのレア環境に置かれた男たちの沸点臨…

小さな恋のメロディ

★★★★ 1976年12月28日(火) 伊丹グリーン劇場 正直、巻毛の童顔ガキの恋なんてどうでもいいのだが、英下層階級の少年少女の家庭や友人との関係のクールで完璧に自立している点。俺達の憧れはそこにこそあったんじゃなかろうか。そして、それを縁取る音楽と映像…

網走番外地

★★★ 2016年12月10日 新世界東映 同時期に並行して作られていた任侠路線からすれば随分甘い作劇でいいかげんなものだ。 が、であるからこそ自由な空気が溢れている。 篇中、健さんが邦衛の垂れ目をからかう件があるが、たぶんアドリブだろう。 そんな空気は浴…

グッバイ、サマー

★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 幾ら機械オタクとは言えあんなに簡単にあの車は作れんやろと思った瞬間に俺の心は物語から乖離する。『ミライへ逆回転』少年バージョン的ゆるさにおおわれたゴンドリーの極私的ロマンティシズムは内向するば…

愛人関係

★★ 1975年9月7日(日) 伊丹グリーン劇場 マシスン原作で一応それなりの展開を擁するのだが、どうにもダルクがマグロであり、マグロを演じてるのではなくマグロしか出来ない風で根本的にダメである。同時代的にジル・アイアランドやソンドラ・ロックと同じ甘え…

ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

★★★ 2016年12月18日(日) MOVIXあまがさき11 少なくともエピソード3のラストの円環への感慨以上の直結を見せる本作の終盤は涙腺を刺激する。 俺は「シン・ゴジラ」以上に「ODZILLA ゴジラ」を買っている偏屈人間なのでギャレス・エドワーズ…

アスファルト・ジャングル

★★★★ 2016年9月25日(日) プラネットスタジオプラス1 臨戦下の如き警察車の市中徘徊のローアングルな導入から容疑者の公開見分と掴みは超クールだが肝心の計画遂行は凡庸。しかし後半俄然冴えわたる。次々と娑婆への見果てぬ夢と想いと追憶を胸に彼らはフ…

パピヨン

★★★★ 1974年3月23日(土) OS劇場 1975年4月20日(日) 伊丹グリーン劇場 娑婆と監獄を往還しつつどんどんと詫び寂びの境地に到達する構造が秀でているのだが、その為の導入の囚人護送の一大モブが効いてる。刷り込まれたマックィーン=脱獄定理が基底を固める…

アズミ・ハルコは行方不明

★★★★ 2016年12月10日 シネリーブル梅田1 あっち側へ行くっていう話であり、ただそれが女性の被虐論的に語られるのが違うんちゃうかとも思う。 だって男だってあっち側へ行きたいっていうか、みんなあっちに行きたいんちゃうやろか。 東京近郊の地方都市の閉…

いまを生きる

★★★ 2016年10月7日(金) 大阪シテーションシティシネマ7 佳境とも言える事件が終盤の展開の為にする感濃厚で、そういう構造を見えすいてると思い出すとフィナーレもどっチラケだ。大体この先生のぶつ凡庸な教育論を成り立たせる為には時代の抑圧が描写不足…

ゲッタウェイ

★★★★★ 1974年6月2日(日) 伊丹グリーン劇場 逆境下で強まる夫婦の絆がロードムービーの芯を成す。ゴミに埋もれて額に傷を負ったマッグローの愛おしさが2人の道行をドキュメンタルに基底。モンタージュもこなれて粋の極みだ。素晴らしく魅力的なシークェンス…

実録外伝 大阪電撃作戦

★★★ 2016年12月10日(土) 新世界東映 タイトルバックに未だスラムの残る70年代の大阪の空撮映像が出る。 脇雑な混沌に期待が深まるのだが、結局凡百の実録物と差異性はほぼ無い。 神戸の巨大組織の侵攻に長いものには巻かれるしかしゃあないんちゃうとい…

秘密 THE TOP SECRET

★★★ 2016年8月6日(日) MOVIXあまがさき5 振っといて回収せず振りもなく主線に躍り出させるとっ散らかった脚本。概ね過去形吉川 と進行形梨沙のパートに分断するが連関は希薄だ。過去話を省き絹子という稀代の キャラを増幅すればシュアな出来にもな…

イージー・ライダー

★★★★ 1976年9月5日(日) 伊丹グリーン劇場 「俺たちゃあ束縛されないぜ!」と時計を投げ捨てたキャプテン・アメリカが渇望し広大な大地をひたすらバイクでぶっ飛ばした「自由」は徴兵制等のリアルな束縛からの解放願望と思えば切ない。自由が横溢する世界で…

恐喝 ゆすり

★★★ 2016年12月4日(日) プラネットスタジオプラス1 自業自得やん…この女って思うモラリズムはヒッチコックには無いのだろう。 どうやってサディスティックにいたぶるかしか眼中にないのだから。 それで又このアニー・オンドラが可愛いんですわ。 コスプレ…

ロスト・バケーション

★★★ 2016年8月1日(月) TOHOシネマズ梅田6 この設定でこうなるとの予定調和から些かの逸脱も無いし見せ方に於いてショットの連鎖が勢いの域に安住し怠惰である。終局の展開は不親切というより思い上がりだ。端末大好き僻もどうかと思う。ただ空…

キャバレー

★★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 1981年11月1日(日) 関西学院大学5号別館4号教室 ボーイソプラノが扇動するファシズムの勃興を斜眼で捉まえながらの舞台上と袖で交錯するライザとグレイの視線が全てを見透かすかのように錯覚させる作劇のクールネス…