男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しあ~しの】

シカゴ7裁判

★★★ 2020年10月24日(土) テアトル梅田2 市民運動団体のリーダーであるジョン・キャロル・リンチが裁判所の余りの横暴に激昂して官吏をぶん殴って拘束される。非暴力を家族に誓ってデモに参加した彼は傍聴席にいる妻と幼い息子に哀しげな視線を送って退廷…

J・エドガー

★★ 2012年2月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 今更、チビでデブでハゲでマザコンでゲイだからといって何だと言うのか。申し訳ないが10年古い。語るべきはアメリカ近代史への言及であり、そこへの歴史的関与のダイナミズムで、垂れ流し的な点描…

シェーン

★★★★ 1982年1月29日(金) 毎日文化ホール 少年視線を導入した以上、家庭をめぐるドラマは踏み込めないが、それでも妻の安寧を志向しつつ揺らめく女心は一応サスペンスフル。ワイラー的仰角使いが突出した幾つかのシーンを際立たせ、カラー撮影の鮮やかさと風…

忍ぶ川

★★ 1982年5月21日(金) 豊中松竹 主人公を取り巻く陰鬱世界を描くことには成功しているが、思いこみが現出させた主観世界ではなく唯物的世界として描かれ退かざるを得ない。その対極に置かれた木偶の坊的美男美女が悪かろう筈も無いが、どうにもこの2人には…

11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち

★★★ 2012年6月16日(土) テアトル梅田2 稀代の道化か清心な殉教者かと問われたら、若松のスタンスは前者に近い筈だが、そうならば徹底的に笑いのめしてやるのが霊魂に報いる道であろう。遠慮は不要だった。東大や市ヶ谷での井浦新のリアルにダメな口跡が出…

四季・奈津子

★★ 1981316(月) 梅田コマシルバー 地方での平凡な生活を価値のないものとしテント公演の前衛劇から天啓を受ける…同時代に生きた者としても稚拙感が横溢する。ゴダールばりの即興は天賦の才が要る。悲しいことに、あらゆるパートが手抜きの印象でしかない。…

G.I.ジョー バック2リベンジ

★★★ 2013年6月8日(土) 梅田ブルク7シアター1 数多くのキャラが各々一応は立ってた前作に比べ、なんじゃこれはという感じで、いっそスネークアイとジンクス2人の嬉し恥かし世界に耽溺したかった。町に戻ったドウェインのここぞとばかりの眼力披露メンチ…

屍人荘の殺人

★★★ 2019年12月16日(月) TOHOシネマズ梅田3 まったく予備知識なしで見た。 まあ、予告篇から受ける印象は、ゆるい学園ミステリーで、往年の角川映画みたいなもんだろうと思っていた。 たいして見る気もなかったが、時間に合う映画がこれしかなかった…

詩人の血

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 例えばメリエスの『月世界旅行』に違和感を感じず本作に感じるとするなら、全ては技術との調和の問題なのだ。コクトーの描きたいものにシンパシーは感じないが映像表現者として意識レベルだけは時代の先を行きすぎていた…

地獄でなぜ悪い

★★★★ 2013年9月28日(土) 梅田ブルク7シアター6 自己愛に塗れた耐え難いテーマで、設定も後付け丸出しだ。園子温が10年前に撮ってたら臭くて見れなかったろうが、20年前の『自転車吐息』の初々しさを強引に俎上に乗せ『熱帯魚』な東映イズムで料理し…

四十九日のレシピ

★★★★★ 2013年11月17日(日) MOVIXあまがさき8 子どもが居る居ないというテーゼより、慎ましやかに何も望まず生きてきた多くの人々への賛歌として見た。そして、絶望の淵からでも立ち直れるのだと言う確信。苦境にある者に寄り添うタナダユキのスタン…

シテール島への船出

★★★★ 2014年1月22日(水) 梅田ブルク7シアター5 持って回った感が無くもない寄る辺なき放浪の途に就いた先人への挽歌。しかし、その持って回った感が須らく味わい深くて堪らない。序盤の『81/2』や『軽蔑』的メタ映画への傾斜と、終盤の正調アンゲロ節とも…

シーウルフ

★★ 1981年11月6日(金) 伊丹ローズ劇場 どういうわけか忘れた頃に少しだけ狂い咲いたかのようなマクラグレンの凡企画に最早死に体の老俳優を掻き集め、『007』ムーアで色を添えてみたが、案の定、顔合わせの割には全然面白くないという当たり前の結果にな…

地獄の黙示録

★★★★ 1980年3月26日(水) OS劇場 1980年9月3日(水) 伊丹グリーン劇場 地獄巡りの主人公が見聞する、恐怖がドラッグを蔓延させ抑圧された性欲が暴力衝動を喚起し意義喪失が殺戮の意味を見失わせる様は圧倒的画力を持つ。しかし、狂言回しが、何時しか侵食さ…

死刑台のエレベーター

★★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 撮影と音楽の先鋭に加え時間芸術たる映画の本質にも肉薄するその天才が或る意味完璧過ぎて寧ろ嫌らしい。ロネとモローの能面演技の深層に虚飾の下のパッションが焔の如く垣間見える瞬間は終ぞ無い。無…

ジゴロ・イン・ニューヨーク

★★★★ 2014年12月6日(土) 新世界国際劇場 変化する何かを描きたいのではなく、しがらみや惰性に揺蕩う中でまったりと小さな喜びや哀しみを慈しむという謙虚さが滲み出ている。多分、ジゴロとしての稼業で成功するしないは「誠意」の持ちようなのだと言う寄…

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

★★★ 2015年3月5日(木) MOVIXあまがさき10 SNSを軽んじ凋落しSNSを利して復権する展開が今なのだというより寧ろ余りに能天気。それなりの地位にいたシェフがサンドイッチ専業で出直すのもそうなのか?といった感じだ。逸脱を担うダウニーに比しスカ…

地震列島

★★ 1980年9月3日(水) 伊丹ローズ劇場 米『大地震』の三角関係に対抗する為、四角関係にしたのはいいが勝野も永島も木訥で色気が無く、かと言って『日本沈没』の男達のような刹那な狂気もない。救い難く緩い。特撮も完全な使い廻し。しばたはつみの主題歌だけ…

シェイプ・オブ・ウォーター

★★★★ 2018年3月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 主人公は障碍をもつが、徹底的に虐げられてるとは言えない状況だ。 もちろん、彼女の孤独や悲哀は幾重にも描かれる。 私生活で唯一の隣人はゲイの絵描き。 職場での唯一の友人は黒人。 設定され…

自然の歴史(組曲)

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 生きとし生けるものは、魚貝から人体までじっくり見ると須らく気持ち悪いことを生体・死体織り交ぜて再確認させるのだが、しかし、結局は物喰う口の租借ほど摂理に従順で恥知らずな行為は無いという人間嫌いのアイロニ…

シグナル

★★★★ 2015年9月26日(土) 新世界国際 世界からの孤絶に今更過剰反応するほどヴィヴィッド野郎でもないが、カラックス『汚れた血』を少しく想い起すフレーム捌きと色使いにセンスを感じる。確かに随所でアチャーッとなる思い込みの偏向はあるにせよ許容範囲…

下町の太陽

★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 1960年を前後し松竹で若手映画人による反体制のムーブメントが起こる。 後に松竹ヌーヴェルバーグと称されるのだが、その輪に加わるこができず傍から眺めていた男がいた。 山田洋次。30歳。未だ監督昇進は果た…

事件

★★★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ どこにでもありそうな地方都市での痴情事件をメカニカルな法廷ものとして組立て、尚且つ、事件の中から一種神話的な人間の根元性を抽出し得たと思う。新藤兼人脚本の良さもあるが松坂の情念と永島の生硬さの組み合わせの…

ジェーン・ドウの解剖

★★★★ 2017年6月10日(土) シネリーブル梅田3 この監督の「トロール・ハンター」は見ているが、バジェットが大きくなれば堅牢な語り口を呈するあたり、ギャレス・エドワーズの筆頭後方走者と言える。 アンドレ・ウーヴレダル…覚えとこ。 黒魔術とか魔女とか…

しあわせへのまわり道

★★★★ 2016年2月27日(土) パルシネマ 熟年期も終わり近いツンデレ男女の徐々に融解しゆく心の肌理を描くが、2人とも何だかんだいって可愛いく笑える。キングスレーのピンクターバンが厳格の下のハートマークを表象。でも現実はそんなには上手くいかないの…

十戒

★★★ 1974年9月8日(日) 伊丹グリーン劇場 義兄弟間の確執は解っても所詮はユダヤの本質は理解し難い。半分が俺第一の10戒律の独自裁量で上げ下げされるヘブライ人はいい面の皮だ。見た当時はひたすら紅海が割れるシーンのみ待ち続けたが今見たら多分エキス…

実録・私設銀座警察

★★★★★ 2016年3月12日(土) 新世界東映 度肝を抜く開巻からコード無視の遣り放題の大饗宴。展開の読めなさも常軌を逸する。特筆されるは深みある撮影と美術で街中でなくドブ川を主舞台とし根城のスナックは裏口しか映さぬ徹底ぶり。陰陽両極を担う渡瀬と梅宮…

死刑台のメロディ

★★★★ 1977年10月22日(土) ビック映劇 アジ映画かも知れぬが、事実はどうであれ、反共のスケープゴートになった靴屋と魚屋が7年間の裁判を戦い抜いて自由主義の闘士の如き風貌をたたえる様は感動的で、主演2人は文句無く素晴らしい。 (cinemascape)

地獄の天使 紅い爆音

★ 1977年10月2日(日) トーエイ伊丹 数年後に日本映画の一時代を担う陽造と荒井がロジカルな構成の因縁劇を構築しているが、如何せん主演が余りに大根過ぎて背負った陰だけが強調され番を張ったという強靱さが余り感じられずケレンだけが上滑る。何だか見てる…

実録 阿部定

★★★ 1980年10月1日(水) 毎日ホール 出るものが半透明になっても絞り尽くされるという或る意味で地獄を、『コリーダ』がまだしも持っていた時間空間的な延伸感が低予算の為ほとんど無い為に映画として高純度に濃縮されたとも言えるのだろうが矢張りしんどい。…