男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ひ】

羊たちの沈黙

★★★★★ 1991年7月4日(木) 梅田ピカデリー2 追う者と追われる者のキャラ創造や事件の細部に腐心してきた数多のクライムサスペンスの歴史をコペルニクス的に転回させた対立軸のズレは物語後方の主人公のトラウマを抽出し前面に立てる。なのに、バラけるかに思…

膝と膝の間

★★ 1991年8月25日(日) 日劇シネマ 非常に言い訳がましい展開で、成る程、儒教の国に於けるポルノ勃興にはそれなりの弁証的措置が必要だったのだろうが、かえって三流の昼メロか出来の悪いロマンポルノみたいなテイストになってしまった。SEXに対し悦びも…

ヒルコ 妖怪ハンター

★★★ 1991年9月1日(日) 日劇シネマ 塚本的湿度の高さが気色悪い一方そこが全てとも言える及第の和製ドタバタホラーで当時の香港映画のレベルに唯一追随し得ただけでも賞賛に値するが、やっぱ歪な要素が神経を間々逆撫でもする。当時の黒沢『スウィートホーム…

必殺4 恨みはらします

★★★ 1991年10月20日(日) トビタ東映 ルーチンワークの原TVシリーズに映画界に於けるルーチンワーカー深作が得意の傾いた意匠てんこ盛りの骨太さを織り込み対価に見合うものにはなっている。見合わないクソ劇場作があっただけに、やけに上作にも見えるが実…

新宿酔いどれ番地 人斬り鉄

★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 義理を通し苦渋噛む古典任侠道へのアンチテーゼとしての破滅型ヒーローなら飼犬たる己の飼主にこそ噛み付いてなんぼだろう。愚痴ってやるせんわと自己憐憫に浸る間があるなら徹底的に破壊しろってんだ。凡庸な演出とエッジの…

人生劇場 飛車角と吉良常

★★★★★ 1990年4月1日(日) 日劇会館 任侠映画の勃興初期に大正生まれの御大が放った前夜祭。3大スターは既に安定した境地を見出しているのに驚くし、一幅の絵画と見紛う絵面には浪漫の薫りさえ漂う。こういう邂逅にこそシンクロする映画史に於ける奇跡を我々…

悲情城市

★★★★ 1990年7月1日(日) 三番街シネマ2 評価が決定的になった侯孝賢が己れの手法に絡め取られたような窮屈さを感じる。同じ構図で再三出てくる坂道のクドさや、いかにもオリエンタル情緒な立川直樹の過剰音楽がうざい。『恋恋風塵』と相似とは言え4男絡みの…

光る女

★★★★ 1990年8月11日(土) みなみ会館 相米のことだからクドいまでのダメ出しをした筈にもかかわらずのド素人カップル武藤と秋吉のヘタレで木訥な演技がモチーフの「純愛」にフィットし涙を誘う出来。クラブジョコンダの意匠は借り物臭いがシャープな撮影とフ…

人が人を愛することのどうしようもなさ

★★★ 2009年1月31日(土) トビタ東映 石井版『サンセット大通り』風味な『インランド・エンパイヤ』なのがオリジナリティ無き胡散臭さ。しかし、喜多嶋舞のやけくそな行って来いぶりには感動した。特に電車のシーンは古今東西の同工シーンを凌駕する出来。す…

白夜

★★★★★ 2009年9月26日(土) なんばパークスシネマ1 発想の発端はブレッソンであったにせよ、正反なグダグダで饒舌なダイアローグ劇。しかし、それを完璧にこなす主役2人に瞠目した。緊密なサスペンスが持続する果てに男と女の関係は所詮はロジカルには帰結…

ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け

★★★ 1988年1月2日(土) SABホール ごった煮的かつ趣味的な役名の数々とキャスティングは大層魅力的だが、そういう「ごっこ」が、どこかで真実に転化しないと映画的な興奮は生じない。結局、最後まで「ごっこ」で終わってしまった。神戸浩の存在が唯一の真…

ひばり・チエミの 弥次㐂多道中

★★★ 2010年1月9日(土) 日劇会館 昔は凄かったと言うのも今更だが、それでも思わせられるひばり・チエミのタレント。特に近眼演技のひばりに萌える。そして、被写体との距離を意識し尽くした沢島のショット使いの的確さ。ただ、物語はグダグダで後半はさす…

現代やくざ 人斬り与太

★★★ 2010年2月20日(土) 日劇会館 結構、状況に迎合する主人公が今いち生半可で、安藤・諸角と西の勢力が拮抗するマクロな構図の前で矮小化される。腐れ縁の渚まゆみと同衾する文太の部屋での呟きが電車の音にかき消されるドン詰まり感。こういう深作節には…

人の砂漠

★★★ 2010年3月6日(土) 梅田ブルク7シアター7 真摯さは認めつつも、40年前のルポを今さら映画化する意味を呈示し得ていないし、更に4人の監督が撮った各挿話のテイストの近似ぶりが気持ち悪い。深夜枠のTVドラマが関の山の優等生のデジカメ金太郎飴…

ビバリウム

★★★★★ 2021年3月14日(日) 大阪ステーションシティシネマ11 不条理に絡め取られて逃げられなくなる。 こういう設定は「ミステリーゾーン」や「ウルトラQ」の昔からあるので、そんなに斬新なものではない。むしろ手垢のついた題材と言ってもいい。 しかし…

ピンク・フラミンゴ

★ 1986年9月7日(日) SABホール アナーキーであること自体に価値がある訳ではなく社会や体制や階級や思想や風化した固定観念や言語や法律や似非モラリズムや流行や懐旧や楽観や諸々の取り巻く何某かとの関連性に於いて語られるべきもの。だから、してやっ…

ヒーローショー

★★★★★ 2010年6月2日(水) 梅田ブルク7シアター2 些細なリアリズムの積み重ねによるミクロな小競り合い。そのド本気の錯綜だけでも見応えはあるが、混沌と拡散の果てに、そこには留まらない俯瞰的な時代観のようなものが現出してくる。『ガキ帝国』への本…

必死剣 鳥刺し

★★★★ 2010年7月29日(木) 梅田ブルク7シアター2 藩主・側室・別家の三つ巴の相克の圧倒に対し主人公の関わり方が浅くて脚色の甘さを感じた。終盤の殺陣も相対試合は魅せるが集団戦には新味を感じない。ルサンチマンが不足。ただ平山演出の丁寧さと役者陣…

ファースト・ミッション

★★★★ 1985年10月6日(日) 観光会館地下劇場 松竹新喜劇みたいなベタベタ展開がこの上なく泣かせる。そういう展開で溜めに溜めた挙げ句に炸裂するジャッキーのクンフー技がサモ・ハン演出の冴えもあり到達点とも言うべき切れの良さ。とにかく凄まじく速え!私…

ビッグ・バグズ・パニック

★★★ 2010年8月13日(金) トビタシネマ 導入以降の『ミスト』的世界観は悪くもないが、寄生的クリーチャーな展開に又かとも思わされ、一方で主人公の自己中キャラを凌駕するニンフォマニア女やミリタリー親爺の登場が通り一遍でもないが、終盤は既視感横溢。…

秘密への招待状

★★★★ 2021年2月13日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 見た後で調べたらスザンネ・ピアの「アフター・ウエディング」のリメイクだそうで、未見ですが多分そっちの方が傑作なんやろなと思います。 男性2人が主演だったオリジナルを女性2人に変えてい…

ピンクパンサー2

★★★ 2010年9月11日(土) トビタシネマ 弛緩ギャグが緩い間合いで繰り出され、お約束事世界に耽溺する自堕落な快感がある。吉本新喜劇に通底する世界。天才【セラーズ】に抗する似非チャップリンめいたマーティンの胡散臭さ。アイアンズ筆頭に無意味に豪華な…

ヒッチャー

★★★ 2021年1月17日(日) シネマート心斎橋2 カルティックな評価を受けた作品で、それだからこそ40年弱の歳月を経て再上映されたんだろうが、やっぱ少なからず風化してると思う。初見です。 車の運び屋が主人公ってところが「バニシング・ポイント」を、…

ビッチ・スラップ 危険な天使たち

★★★★ 2011年3月12日(土) 新世界国際劇場 『チャリエン』と『デス・プルーフ』を掛け合わせ劣化させたあと、お下劣な女権信仰を全面開花させ押しまくる破廉恥だが戦略的な潔さ。無意味な時制往還もアホだし強烈なサブキャラ群も嬉しくもゲスだが、ラストは…

ヒア アフター

★★★★ 2011年2月26日(土) 梅田ブルク7シアター7 拠り所を失い彷徨う魂のミクロな邂逅の物語がスペクタクルを混じえた巨視的視座で語られつつ、でも、あくまで奥床しいあたりがキェシロフスキ的とさえ思わせる。達観したかのような新たな境地を垣間見せた…

ビッグ・アメリカン

★★★ 1983年3月12日(土) シネマ温劇 伝説の領域に降り立ったニューマンを皮相的に伝説否定の表舞台に立たせる諧謔がらしいと言えばらしい。停滞しまくる展開は盛り上がらなくもそれこそ意図であったろうが、未だ欠けたのは滋味と余裕。ところどころ良いところ…

評決

★★★ 1983年3月18日(金) SABホール ニューマン演じる主人公は当て書きとも言える完膚無きまでの定型キャラであり、意外性の欠片もない。その辺が全く物足りないのだが、ウェルメイドな法廷劇なのだろう。全面否定する気もない。(cinemascape)

引き裂かれた女

★★★★ 2011年9月17日(土) 高槻セレクトシネマ1 アレン的爺い万歳映画かと思うそばから展開は微妙にズレ出し、ブニュエル臭漂う隠蔽されたド変態要素を垣間見せつつ、やがては行ってこいな遠い地平で詠嘆でもするのかと思えば、いけしゃあしゃあと引き裂か…

ビクター/ビクトリア

★★★★ 1983年10月23日(日) 新世界国際 全く期待せずに、こういうのを見たときに心底アメリカ映画は良いなあ…と思わせる…そういう作品。てらいが無く泥臭い笑いを振りまく一方でミュージカルの伝統というものを思わずにいられないセンスの良い振り付け。(cinem…

彼岸花

★★★ 1983年12月16日(金) ビック映劇 頑なに自我を通す親父佐分利信が、後期小津作品の中ではとりわけ融通の利かない男で、枯淡の域には未だ遠く、小津の「赤」を偏重するカラーへの異様な拘泥と合いまり息苦しい。山本富士子が瞬間風穴を開けるとしてもだ。(…