男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ひ】

団地妻 昼下りの情事

★★★ 2002年9月26日(木)~27日(金) 東梅田日活 ロマンポルノの原点というよりテレビの昼メロやサスペンス劇場の原点のような気がした。そういうオーソドックスな王道の風格があるし、日活の底力を感じさせる撮影と美術。何より一見老け顔な白川和子のミニスカ…

火まつり

★★★★★ 2022年4月25日(月) シネヌーヴォ 原作・脚本/中上健次、撮影/田村正毅、美術/木村威夫、音楽/武満徹。とまあ、この布陣を見ただけで柳町がこの映画にかけた裂帛の気合いが伺える。そして、それは結果に結びついてると思います。個人的には「さら…

緋牡丹博徒 お竜参上

★★★ 2002年11月23日(土) 扇町ミュージアムスクエア 『花札勝負』で完成された世界の残滓。前半の凝りまくりのショットの数々は美学的完成形を思わせるが独善の兆しも漂う。毎度の阿部徹のズルくて悪い様が度を超しており文太も健さんや鶴田に比べ未だ頼りな…

昼下りの情事

★★★ 1993年5月26日(水) シネマアルゴ梅田 おっさんが小娘にメロメロという設定が生半可で振り切れてないので薄ぼんやりしてる。アンチモラルを厭わないワイルダーがクーパーに遠慮した本懐でない妥協作。そんなこんだで列車を使った王道なラストが来るのだが…

ピンポン

★★★★ 2003年1月21日(火) サンケイホール 「卓球」と「CG」と「窪塚」…食指のわかない3題話みたいだし、王道的スポ根ものを逸脱するものでもない。しかし、「スマイル」と「アクマ」という脇キャラの造形が頭抜けて良く、ありがちな天才と凡人の構図を多重…

緋牡丹博徒 お命戴きます

★★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 『ゴジヘド』と同年製作が意味をもつ公害問題が映画のモチーフをも浸食したメルクマール。シリーズ中では本流とは言えないかも知れないが、背景の荒みと穢れの陰影が末期感に感応し藤純子の殺陣に於けるシリーズ最高の濃…

ピカソ 天才の秘密

★★★★ 2003年3月17日(月) OS劇場CAP 1枚の絵の創作過程に於て写実から抽象に向かい何十重にも上塗りされるその躊躇の無さに勿体無えと思いつつも一種のトランス状態に嵌っていく快感。ピカソ本人も製作側も申し訳程度にしか出さず、ただひたすらに絵そ…

病院で死ぬということ

★★★★★ 1993年8月2日(月) テアトル梅田2 死ぬということを描いた部分の抑えた台詞回しや固定カメラに作為を感じるとしても、この死にゆく者にしか感じ取れないと思わせる市井の風景や何気ない人々の営みの美くしさと愛おしさ。言葉で「生きろ」と言うより百…

PNDC エル・パトレイロ

★★★★ 1993年10月16日(土) みなみ会館 主題としては珍しくもないが主人公が決してスーパーマンでないところが良い。女房の尻に敷かれて思い悩みながら黒く染まっていく過程がヒューマンだし切実。不穏な予兆を孕みながらも、一方で独特のユーモアのセンスに彩…

HERO

★★★ 2003年8月19日(火) 梅田ピカデリー4 講談調語りに『切腹』、兵士と馬に『影武者』の影響を色濃く滲ませた極彩色武侠映画。殺陣は本職同士より出来ない役者のそれに誤魔化しの美を見る。チャンとレオンを削ってでも我欲を捨て死地に赴くリーの悲愴と達観…

昼下りの情事 古都曼陀羅

★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 主人公が現状から逃れたいのか諦念から受容しているのかが今いち伝わらない上に、悪も被虐も中途半端でダラけるなか小沼的耽美ギミックのみを中途半端に挿入されてもシラけるだけだ。京都の風情や情緒も鋭利に切り取ら…

火火

★★★ 2005年3月14日(月) 梅田ガーデンシネマ2 演技を超え「生き方のポリシー」とでもいうようなムキ身をさらけ出す田中裕子視点1本被りでゴリ押せばメッセージ臭は払拭され稀代の女傑映画として屹立するものに成り得た筈。息子の死に直面した母親としての煩…

PTU

★★★ 2005年11月28日(月) トビタシネマ 黙々と他者の為に夜の街の静寂を彷徨するPTU隊員達というコンセプトは支持したいが情緒が過剰なのだ。で、結局本筋に絡まず終局で結合する構成も良いが余りに取って付けたかの如き乱戦をこれ又情緒ふんだんのスロー…

ピクー

★★★ 1992年11月14日(土) キリンプラザ大阪 劇的誇張が無い文字通りスケッチ的作品なのだが、茫洋とした中にも奇妙な緊張感が画面を横溢しているのが一筋縄ではない。しかし、死と孤独に縁取られた救済の無い物語からは老いた諦観しか感じられず、それで完結…

緋牡丹博徒

★★★ 1992年10月25日(日) 新世界東映 加藤泰の諸作と比べこのシリーズ初作は凡庸に感じられるし、前代未聞の女博徒という衝撃を抜き去ると所詮は従来型任侠映画の枠内に留まる。だが、おキャンキャラだった藤純子のコペルニクス的登用が結果アンビバレントな…

ひらいて

★★★ 2021年11月3日(水) テアトル梅田1 好きな男に告白したが振られる。どうも彼女がいるらしい。自分は可愛いし勉強も優秀で寄ってくる男もいる。イケてる私なのに何故?いったいどんな女なの?ってことで興味を持つ。まあ、ここまではわかる。 でも、地…

ヒストリー・オブ・バイオレンス

★★★★★ 2007年2月17日(土) トビタシネマ 巻頭からの唯ならぬ気合い。調和的な家庭は介入する暴力と如何様に均衡を見出すか。その答は永遠に見出すことはできないという詠嘆。『わらの犬』を想起したし、ペキンパーイズムが随所に溢れる突発的殺戮シーンに痺…

羊たちの沈黙

★★★★★ 1991年7月4日(木) 梅田ピカデリー2 追う者と追われる者のキャラ創造や事件の細部に腐心してきた数多のクライムサスペンスの歴史をコペルニクス的に転回させた対立軸のズレは物語後方の主人公のトラウマを抽出し前面に立てる。なのに、バラけるかに思…

膝と膝の間

★★ 1991年8月25日(日) 日劇シネマ 非常に言い訳がましい展開で、成る程、儒教の国に於けるポルノ勃興にはそれなりの弁証的措置が必要だったのだろうが、かえって三流の昼メロか出来の悪いロマンポルノみたいなテイストになってしまった。SEXに対し悦びも…

ヒルコ 妖怪ハンター

★★★ 1991年9月1日(日) 日劇シネマ 塚本的湿度の高さが気色悪い一方そこが全てとも言える及第の和製ドタバタホラーで当時の香港映画のレベルに唯一追随し得ただけでも賞賛に値するが、やっぱ歪な要素が神経を間々逆撫でもする。当時の黒沢『スウィートホーム…

必殺4 恨みはらします

★★★ 1991年10月20日(日) トビタ東映 ルーチンワークの原TVシリーズに映画界に於けるルーチンワーカー深作が得意の傾いた意匠てんこ盛りの骨太さを織り込み対価に見合うものにはなっている。見合わないクソ劇場作があっただけに、やけに上作にも見えるが実…

新宿酔いどれ番地 人斬り鉄

★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 義理を通し苦渋噛む古典任侠道へのアンチテーゼとしての破滅型ヒーローなら飼犬たる己の飼主にこそ噛み付いてなんぼだろう。愚痴ってやるせんわと自己憐憫に浸る間があるなら徹底的に破壊しろってんだ。凡庸な演出とエッジの…

人生劇場 飛車角と吉良常

★★★★★ 1990年4月1日(日) 日劇会館 任侠映画の勃興初期に大正生まれの御大が放った前夜祭。3大スターは既に安定した境地を見出しているのに驚くし、一幅の絵画と見紛う絵面には浪漫の薫りさえ漂う。こういう邂逅にこそシンクロする映画史に於ける奇跡を我々…

悲情城市

★★★★ 1990年7月1日(日) 三番街シネマ2 評価が決定的になった侯孝賢が己れの手法に絡め取られたような窮屈さを感じる。同じ構図で再三出てくる坂道のクドさや、いかにもオリエンタル情緒な立川直樹の過剰音楽がうざい。『恋恋風塵』と相似とは言え4男絡みの…

光る女

★★★★ 1990年8月11日(土) みなみ会館 相米のことだからクドいまでのダメ出しをした筈にもかかわらずのド素人カップル武藤と秋吉のヘタレで木訥な演技がモチーフの「純愛」にフィットし涙を誘う出来。クラブジョコンダの意匠は借り物臭いがシャープな撮影とフ…

人が人を愛することのどうしようもなさ

★★★ 2009年1月31日(土) トビタ東映 石井版『サンセット大通り』風味な『インランド・エンパイヤ』なのがオリジナリティ無き胡散臭さ。しかし、喜多嶋舞のやけくそな行って来いぶりには感動した。特に電車のシーンは古今東西の同工シーンを凌駕する出来。す…

白夜

★★★★★ 2009年9月26日(土) なんばパークスシネマ1 発想の発端はブレッソンであったにせよ、正反なグダグダで饒舌なダイアローグ劇。しかし、それを完璧にこなす主役2人に瞠目した。緊密なサスペンスが持続する果てに男と女の関係は所詮はロジカルには帰結…

ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け

★★★ 1988年1月2日(土) SABホール ごった煮的かつ趣味的な役名の数々とキャスティングは大層魅力的だが、そういう「ごっこ」が、どこかで真実に転化しないと映画的な感興は生じない。結局、最後まで「ごっこ」で終わってしまった。そんななか神戸浩の存在…

ひばり・チエミの 弥次㐂多道中

★★★ 2010年1月9日(土) 日劇会館 昔は凄かったと言うのも今更だが、それでも思わせられるひばり・チエミのタレント。特に近眼演技のひばりに萌える。そして、被写体との距離を意識し尽くした沢島のショット使いの的確さ。ただ、物語はグダグダで後半はさす…

現代やくざ 人斬り与太

★★★ 2010年2月20日(土) 日劇会館 結構、状況に迎合する主人公が今いち生半可で、安藤・諸角と西の勢力が拮抗するマクロな構図の前で矮小化される。腐れ縁の渚まゆみと同衾する文太の部屋での呟きが電車の音にかき消されるドン詰まり感。こういう深作節には…