男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【せ】

セル

★★★★ 2017年2月22日(水) 大阪ステーションシティシネマ9 何年か前に原作を読んでいるのだが、細部は覚えていない。 ただ、発端は昼日中ののどかな公園だった記憶があるが、映画では空港。 阿鼻叫喚が始まる掴みは映画らしくスケールアップしてる。 小説で…

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

★★★★ 2024年3月15日(金) シネリーブル梅田4 帰京する若松孝ニを追って新幹線に飛び乗った井上淳一が弟子にしてくれと言うとき、「水のないプール」見ましたし「俺は手を汚す」読みましたと言う。あゝこれは全く俺と同時代に同じ映画を見て同じ本を読んだ奴…

セトウツミ

★★★★ 2016年8月8日(月)テアトル梅田1 会話の間が命のオフビート漫談なら演出は下手な手出しはせぬが無難なのだが結構手を出しスベらないのが意外だった。大森はハードル高い仕事を完遂したと思う。現実世界では内海のようなキャラに瀬戸のような友達は出…

聖杯たちの騎士

★★★★ 2017年1月7日(土) シネリーブル梅田3 映画脚本家を主人公にしてるのに、「8 1/2」的な映画製作の悩みではない。 そこがつまらない上に、もうどうでもええやんけってなくらいに過去の人間関係にイジイジと拘泥する。 父親・兄弟・別れた妻・不倫の愛…

正欲

★★★★ 2023年11月16日(木) TOHOシネマズ梅田8 【最初からネタバレです】 人とは違った性的嗜好があり、それによって孤独に陥る。ということを描くのだとしても余りに突飛な設定で現実的な生々しさが回避されている。だって、ガッキーが縄で縛られロー…

せかいのおきく

★★★★ 2023年4月29日(土) シネリーブル梅田4 おきくのまっすぐで可愛いキャラはアニメチックな既視感を覚えるのだが、阪本順治のオリジナル脚本なんだそうで、さすれば純粋で汚れのないキャラはもはやアニメの中にしか生息しない時代ということなんだろう…

セッソ・マット

★★★★ 2023年5月3日(火) シネヌーヴォX 聞いたことない映画だったが佳作と言っていいと思う。1973年のイタリア映画です。 セッソマットって何やねんですが性と狂気の合成語とのことで、さしずめ「イタリア式SEX狂想曲」。俺やったら邦題そうしますね…

聖地には蜘蛛が巣を張る

★★★★ 2023年4月29日(土) シネリーブル梅田1 娼婦ばかりを狙うシリアルキラーっていう題材はけっこう映画では取り上げられていて、だいたいそういうのは潔癖すぎる社会観と一方で潜在的な女性嫌悪があるとされているようだ。 本作はバリバリのイスラム原理…

前立腺の病気と予防

★★★ 1982年9月11日(土) 大阪府立文化情報センター 真面目な文化映画の振りを装いつつ、パロディとして製作されたわけでもなさそうなのに、完全に文化映画のパロディになってるところが「勢い」というものを感じさせる。そういう乗りは一生の間にそうそう訪れ…

セブン

★★★★★ 1996年1月20日(土) 徳山国際シネマ 猟奇な刺激やアクションのキレも図抜けているが、曇り空に雨がしとつく特定されぬ都市の構築が付与する寓意性が、シリアルキラーを単なる事象から神話的な領域へ昇華させる。又、反転の白昼荒野で行きつく帰結はギリ…

千夜、一夜

★★★★ 2022年11月1日(火) なんばパークスシネマ1 ・夫は何故失踪したのか。 ・妻は何故30年も帰らぬ夫を待ち続けるのか。 ・妻は何故新たな男からの求婚を拒み続けるのか。 その、3つの疑問を映画は解題しようとはしない。もちろん後の2つに関しては、…

千里眼

★★ 2000年6月24日(土) 天六ユウラク座 冒頭の米軍との遣り取りの子供じみた描写で気が滅入り、その後の展開の安直さにも辟易。要するに実体験を伴わないメディアガキの戯れ言の羅列に過ぎない。水野美紀のワイヤーアクションは寧ろ封印さえして欲しい。こい…

線は、僕を描く

★★★ 2022年10月23日(日) MOVIXあまがさき5 水墨画という俺を含めて大概の人には縁もゆかりもない世界が舞台の話で、それはそれで目新しい。でも競技かるたというニッチな世界を取り上げヒットさせた小泉徳宏監督の柳の下に何とやらの思惑も感じます…

戦火の勇気

★★★ 1996年12月1日(日) 徳山国際劇場 それなりに真摯であるが、どうもメグは「湾岸」より「ベトナム」な感じで違和感を覚える上に、そもそも腰の据わった女兵士の虚無感には遠い。完全なミスキャストなうえ『プラトーン』風『羅生門』テイストな2番煎じ感が…

西部の男

★★★★ 2022年9月19日(月) プラネットプラスワン ウォルター・ブレナンのロイ・ビーン絶品とか言ったって当たり前すぎて面白くもないので、敢えてゲーリー・クーパーの腹芸も喰われてないくらいに味があると言ってみたい。 ブレナンが、いつもの憎み切れない…

千と千尋の神隠し

★★★★ 2001年8月23日(木) 梅田スカラ座 油屋の迷宮性は『カリオストロ』を凌駕し異界の者たちの造形は『ナウシカ』に比肩する。陶然とする混沌世界を現出させるが、名を剥奪され或いは顔を消さるアイデンティティ喪失の物語は再獲得へと収斂すべき筈がそうな…

セリーヌとジュリーは舟でゆく

★★★ 2022年5月23日(月) テアトル梅田1 3時間以上ある映画なのだが、物語が転がらない前半がすごく良いと思いました。それは、一体これから何が起こるんだという期待もあるが、なんだか知らんけど楽しそうにセリーヌを追い回しているジュリーに映画の波長…

青春デンデケデケデケ

★★★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 16ミリブロウアップの即物感覚と圧倒的な細密編集。オプチカルの鬼っ子から自然体に至った大林の背反する尖鋭化した技法の集大成。その奇跡的融合が描く大らかな青春に夾雑物皆無なのが泣ける。メッセージではなくビー…

宣戦布告

★★★ 2003年3月11日(火) ホクテンザ1 「喧嘩も出来ない」現行法を改正せよとのメッセージに一理を感じるが右に傾くのも嫌だ。国内の官邸内ドラマが一気に米・中両軍介入による国際緊張へ拡大する描写が唐突で、そういうバランス感覚の喚起に直結してくれない…

戦場のピアニスト

★★★★ 2003年5月5日(月) 三番街シネマ3 ホロコーストへ移送される家族との別離をも瞬く間に流して行き1歩間違えればコメディになりそうな流される主人公の流転の果てが傍観者を経ての終末的孤独というオリジナリティある作劇。前半のゲットーが圧倒的なだけ…

実録おんな鑑別所 性地獄

★★★ 2003年5月14日(水) 東梅田日活 女囚のリンチが今見ればどっか可愛いらしいもんで「因幡の白兎にしておやり!」には苦笑せざるを得なかった。棒読みな主要人物中芹明香が頭抜けて良く役も儲けもん。救われない世界に余裕の人柄が滲む小原のマキノチック職…

戦国野郎

★★★★ 1992年3月8日(日) 日劇シネマ 充分に練られた娯楽脚本にピークを織りなす役者が顔を揃えれば下手な演出は要らない。とは言え、そこに絶頂期の演出が出過ぎずサビを効かせれば問答無用となる。油の乗った喜八60年代の頂点を極める諸作中、最も言及され…

ゼブラーマン

★★★★ 2004年2月17日(火) 梅田ブルク7シアター7 特撮ヒーローへの偏愛があるとも思えぬ宮藤&三池による遣り放題の防衛庁描写はやる気ゼロの渡部と絶妙にリンクして最高の諧謔を産み出したが、所詮立てねばならぬ男がいる為本気路線に舵を取ったものの本気…

絶叫屋敷へいらっしゃい!

★★★★ 1992年4月29日(水) トビタシネマ 場末の遊園地の鄙びたお化け屋敷の趣。そう思って入ってみれば意外に凝った仕掛けや芸根性を究めたスタッフの満点サービスに拾い物をした喜びに充たされる。キャンディの至芸を筆頭に腐りかけの果実の旨味を満喫できる…

聖地✕

★★★★ 2021年11月22日(月) シアタス心斎橋1 本作の原作戯曲を手がけた前川知大の先の映画化作「散歩する侵略者」と同等のモチーフがあるように感じた。それは、男と女の関係における表面の瘡蓋を外したあとに見えてくるものへの問いかけ。それは極めて真面…

戦争のはじめかた

★★★★ 2006年3月24日(金) トビタシネマ 悪を制するのは更なる大悪というピカレスク・アナーキズムがいっそ清清しい。徹底的なダメ野郎は駆逐され中途半端な男たちは薬で狂気に逃れる。中盤までの何処まで暴走するかの走りっぷりが予定調和の陥穽に落ち後半…

セルラー

★★★ 2006年6月14日(水) 新世界国際劇場 サスペンスの「サ」の字もない導入と説得性のない御都合主義的展開に辟易する。それでも中盤以降はステイサムやメイシーといった脇役者の力量がナマなヘタレ主人公をサポート。可もなく不可もないくらいには映画を押…

切腹

★★★★ 1992年10月31日(土) 日劇会館 橋本節丸出しの倒置多用のシナリオは良く出来たといえばそうだが、演出はそれに従属している。拮抗し打破する演出がこそ見たいのであって仲代の定型演技が又器の中のプリンのようでさえある。ただし立派な面構えな映画であ…

ど根性物語 銭の踊り

★★★★ 2006年11月18日(土) 日劇会館 なんじゃこりゃの支離滅裂と微妙な変態味。文芸の鎧を外された市川崑の本質は案外こういうところにあるのではなかろうか。モダンジャズとスタイリッシュな宮川カメラが世界観を補填する中、勝新だけが我を通している。ア…

聖なる酔っぱらいの伝説

★★ 1991年3月31日(日) 祇園会館 現代のお伽噺と言うには余りにはったりズムに欠け描写が中途半端で緩い。1人で撮影までも切り盛りしてきた映画作家が撮影者に委ねるときの思い切りが無いとこうなるの。意表をついたハウアーとの喰い合わせも結果は違和感だ…