男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【せ】

千と千尋の神隠し

★★★★ 2001年8月23日(木) 梅田スカラ座 油屋の迷宮性は『カリオストロ』を凌駕し異界の者たちの造形は『ナウシカ』に比肩する。陶然とする混沌世界を現出させるが、名を剥奪され或いは顔を消さるアイデンティティ喪失の物語は再獲得へと収斂すべき筈がそうな…

セリーヌとジュリーは舟でゆく

★★★ 2022年5月23日(月) テアトル梅田1 3時間以上ある映画なのだが、物語が転がらない前半がすごく良いと思いました。それは、一体これから何が起こるんだという期待もあるが、なんだか知らんけど楽しそうにセリーヌを追い回しているジュリーに映画の波長…

青春デンデケデケデケ

★★★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 16ミリブロウアップの即物感覚と圧倒的な細密編集。オプチカルの鬼っ子から自然体に至った大林の背反する尖鋭化した技法の集大成。その奇跡的融合が描く大らかな青春に夾雑物皆無なのが泣ける。メッセージではなくビー…

宣戦布告

★★★ 2003年3月11日(火) ホクテンザ1 「喧嘩も出来ない」現行法を改正せよとのメッセージに一理を感じるが右に傾くのも嫌だ。国内の官邸内ドラマが一気に米・中両軍介入による国際緊張へ拡大する描写が唐突で、そういうバランス感覚の喚起に直結してくれない…

戦場のピアニスト

★★★★ 2003年5月5日(月) 三番街シネマ3 ホロコーストへ移送される家族との別離をも瞬く間に流して行き1歩間違えればコメディになりそうな流される主人公の流転の果てが傍観者を経ての終末的孤独というオリジナリティある作劇。前半のゲットーが圧倒的なだけ…

実録おんな鑑別所 性地獄

★★★ 2003年5月14日(水) 東梅田日活 女囚のリンチが今見ればどっか可愛いらしいもんで「因幡の白兎にしておやり!」には苦笑せざるを得なかった。棒読みな主要人物中芹明香が頭抜けて良く役も儲けもん。救われない世界に余裕の人柄が滲む小原のマキノチック職…

戦国野郎

★★★★ 1992年3月8日(日) 日劇シネマ 充分に練られた娯楽脚本にピークを織りなす役者が顔を揃えれば下手な演出は要らない。とは言え、そこに絶頂期の演出が出過ぎずサビを効かせれば問答無用となる。油の乗った喜八60年代の頂点を極める諸作中、最も言及され…

ゼブラーマン

★★★★ 2004年2月17日(火) 梅田ブルク7シアター7 特撮ヒーローへの偏愛があるとも思えぬ宮藤&三池による遣り放題の防衛庁描写はやる気ゼロの渡部と絶妙にリンクして最高の諧謔を産み出したが、所詮立てねばならぬ男がいる為本気路線に舵を取ったものの本気…

絶叫屋敷へいらっしゃい!

★★★★ 1992年4月29日(水) トビタシネマ 場末の遊園地の鄙びたお化け屋敷の趣。そう思って入ってみれば意外に凝った仕掛けや芸根性を究めたスタッフの満点サービスに拾い物をした喜びに充たされる。キャンディの至芸を筆頭に腐りかけの果実の旨味を満喫できる…

聖地✕

★★★★ 2021年11月22日(月) シアタス心斎橋1 本作の原作戯曲を手がけた前川知大の先の映画化作「散歩する侵略者」と同等のモチーフがあるように感じた。それは、男と女の関係における表面の瘡蓋を外したあとに見えてくるものへの問いかけ。それは極めて真面…

戦争のはじめかた

★★★★ 2006年3月24日(金) トビタシネマ 悪を制するのは更なる大悪というピカレスク・アナーキズムがいっそ清清しい。徹底的なダメ野郎は駆逐され中途半端な男たちは薬で狂気に逃れる。中盤までの何処まで暴走するかの走りっぷりが予定調和の陥穽に落ち後半…

セルラー

★★★ 2006年6月14日(水) 新世界国際劇場 サスペンスの「サ」の字もない導入と説得性のない御都合主義的展開に辟易する。それでも中盤以降はステイサムやメイシーといった脇役者の力量がナマなヘタレ主人公をサポート。可もなく不可もないくらいには映画を押…

切腹

★★★★ 1992年10月31日(土) 日劇会館 橋本節丸出しの倒置多用のシナリオは良く出来たといえばそうだが、演出はそれに従属している。拮抗し打破する演出がこそ見たいのであって仲代の定型演技が又器の中のプリンのようでさえある。ただし立派な面構えな映画であ…

ど根性物語 銭の踊り

★★★★ 2006年11月18日(土) 日劇会館 なんじゃこりゃの支離滅裂と微妙な変態味。文芸の鎧を外された市川崑の本質は案外こういうところにあるのではなかろうか。モダンジャズとスタイリッシュな宮川カメラが世界観を補填する中、勝新だけが我を通している。ア…

聖なる酔っぱらいの伝説

★★ 1991年3月31日(日) 祇園会館 現代のお伽噺と言うには余りにはったりズムに欠け描写が中途半端で緩い。1人で撮影までも切り盛りしてきた映画作家が撮影者に委ねるときの思い切りが無いとこうなるの。意表をついたハウアーとの喰い合わせも結果は違和感だ…

世界最速のインディアン

★★★★★ 2007年5月12日(土) 新世界国際劇場 爺さんのロードムービーと来ればリンチのそれを想起するが、ドナルドソン演出は物語にあくまで準拠しギミックを廃して自然体。出てくる人は孤独でも何ものにも依存せず後ろ向きな姿勢とは皆無縁。ここには紛れもな…

センチュリアン

★★★★ 2021年9月19日(日) プラネットプラスワン 師曰く「フライシャーの最高作はこれや!」 そう言われても内心フライシャーなんぼのもんやねんと思う俺はふーんくらいにしか思えないのであった。まあ、しかし今年見た「マンディンゴ」は確かに弩級の傑作で…

青春群像

★★★ 1991年6月23日(日) みなみ会館 仏ヌーヴェルバーグの形而上的モラトリアムと違い、リアリズムに自堕落なだけでしんどい。フェリーニの後に見られる誇張趣味も未だ無く起伏が無い展開は単調ですらある。『アメグラ』とコンセプトは同じだが、突き放し方が…

戦争と青春

★★ 1991年9月29日(日) 日劇シネマ モノクロームで描かれた回想場面は総じて悪くはないのだが、現代との連関に女子高生を狂言回しにするというのが及び腰に思えるし商業主義的妥協の方途にも見える。戦争というものの記憶が冷めやらないギリな時代の名匠の遺…

セックスと嘘とビデオテープ

★★★ 1991年10月19日(土) 毎日文化ホール 人の深部を抉るにビデオという魅力的媒介がアイデアに留まり映像的にも物語を転がす上でも充分に活かされたと思えない。又アングロとラテンが結局収まるべきとこに収まるのが構成としては逆だと思う。排他的保守思想…

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

★★★ 2008年5月10日(土) TOHOシネマズ梅田8 そういう風に物語が収斂するように仕組まれているとも見えなかったし、そうだとしても在り来たりな顛末にしか見えない。ディテールへの拘りは強固と浅薄を歪に往還しデイ・ルイスの演技も同様。なんかしっく…

戦場にながれる歌

★★★ 1990年11月18日(日) 日劇シネマ 地獄の深淵に舞い降りるだけが戦時体験なわけもなく、喇叭や太鼓で何かをしようとしていた人達もいたわけだ。そういう題材に着目する意志は尊重するが…。松山演出は手堅く好みだが結局は可もなく不可もない。(cinemascape)

1408号室

★★★ 2008年12月2日(火) 梅田ブルク7シアター7 約束された展開だが、軽いジャブから強烈なアッパーカットへと至る展開は、時間と空間を歪曲しフェイントで絶望地獄を現出させた。ただ、主人公のトラウマ話が余りに予定調和で、その辺、ポランスキーやコー…

セブンデイズ

★★★ 2009年8月8日(土) シネマート心斎橋2 端折り方が拙いので日限を切ったサスペンスは一向に機能しない。正直、前半は似非で気障な演出に相当に苛ついたが、終盤の2転3転…と怒濤の「転」乱れ撃ちに快感神経が刺激され、その強引さに蹂躙された。好悪半…

戦慄の絆

★★★ 1989年7月16日(日) セントラル劇場 冷厳な撮影と精緻で抑制された描写が続き、それだけなら好みと言ってもいいのだが、双子というモチーフに対してクローネンバーグが理解不能なのめり込みを見せる偏執的な拘りが些かも感応して来ないので退屈としか言え…

千利休 本覺坊遺文

★★★ 1989年10月8日(日) 長崎東宝 端正で小綺麗な世界に埋没して錆びた刀とも思える三船の配役も逆張り効果を出す前に沈殿する。戦国時代に於ける茶の道の存在意味の端さえも窺えずにひたすら推理劇めいた興味に誘引するのが逃げにも思える。加藤・上條・芦田…

ゼロの焦点

★★★★ 2009年11月25日(水) TOHOシネマズ梅田9 撮影・美術・装置・CGが混然一体となった最高ランクの写実味を見せる前半に正直瞠目したが、犬童演出は突如バロックに転換しデ・パルマイズムへ擦り寄る。3人の女の想いは正三角に均衡せず座りも悪い。…

1000年刻みの日時計 牧野村物語

★★ 1988年11月13日(日) 長崎教育文化会館 『養蚕篇』も『古屋敷村』も見てないので正当な評価には至らないのだと思うが、唐突に挿入される「過去の物語」は何故に村人達の伝承口述では駄目だったのだろうか。若しくは村人達自身によって演じられるものでは。…

絶対の愛

★★★★ 2010年4月24日(土) 天六ユウラク座 壊れゆく女という再三繰り返されたテーマではあるが、「顔」が「内実」を凌駕し人間の実存を形成するという醒めた視線が徹底されるところが明快だと思うし、それを描くに、オーソドックスな手法で押し切り揺るぎな…

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲

★★★ 2010年5月6日(木) 梅田ブルク7シアター4 ゴッサムシティならぬゼブラシティのゼブラタイム論理に少々耳を傾けてはみたが、何時しか白か黒かの意味不明葛藤が、緑インベーダーの再登板で瓦解され惰性に身を委ねる体たらく。むかつく所業の三池節だが…