男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【せ】

聖なる酔っぱらいの伝説

★★ 1991年3月31日(日) 祇園会館 現代のお伽噺と言うには余りにはったりズムに欠け描写が中途半端で緩い。1人で撮影までも切り盛りしてきた映画作家が撮影者に委ねるときの思い切りが無いとこうなるの。意表をついたハウアーとの喰い合わせも結果は違和感だ…

世界最速のインディアン

★★★★★ 2007年5月12日(土) 新世界国際劇場 爺さんのロードムービーと来ればリンチのそれを想起するが、ドナルドソン演出は物語にあくまで準拠しギミックを廃して自然体。出てくる人は孤独でも何ものにも依存せず後ろ向きな姿勢とは皆無縁。ここには紛れもな…

センチュリアン

★★★★ 2021年9月19日(日) プラネットプラスワン 師曰く「フライシャーの最高作はこれや!」 そう言われても内心フライシャーなんぼのもんやねんと思う俺はふーんくらいにしか思えないのであった。まあ、しかし今年見た「マンディンゴ」は確かに弩級の傑作で…

青春群像

★★★ 1991年6月23日(日) みなみ会館 仏ヌーヴェルバーグの形而上的モラトリアムと違い、リアリズムに自堕落なだけでしんどい。フェリーニの後に見られる誇張趣味も未だ無く起伏が無い展開は単調ですらある。『アメグラ』とコンセプトは同じだが、突き放し方が…

戦争と青春

★★ 1991年9月29日(日) 日劇シネマ モノクロームで描かれた回想場面は総じて悪くはないのだが、現代との連関に女子高生を狂言回しにするというのが商業主義的妥協以外の何者でもない。そういうのが透けて見えればシラける。木下の『この子を残して』と双璧な…

セックスと嘘とビデオテープ

★★★ 1991年10月19日(土) 毎日文化ホール 人の深部を抉るにビデオという魅力的媒介がアイデアに留まり映像的にも物語を転がす上でも充分に活かされたと思えない。又アングロとラテンが結局収まるべきとこに収まるのが構成としては逆だと思う。排他的保守思想…

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

★★★ 2008年5月10日(土) TOHOシネマズ梅田8 そういう風に物語が収斂するように仕組まれているとも見えなかったし、そうだとしても在り来たりな顛末にしか見えない。ディテールへの拘りは強固と浅薄を歪に往還しデイ・ルイスの演技も同様。なんかしっく…

戦場に流れる歌

★★★ 1990年11月18日(日) 日劇シネマ 地獄の深淵に舞い降りるだけが戦時体験なわけもなく、喇叭や太鼓で何かをしようとしていた人達もいたわけだ。そういう題材に着目する意志は尊重するが…。松山演出は手堅く好みだが結局は可もなく不可もない。(cinemascape)

1408号室

★★★ 2008年12月2日(火) 梅田ブルク7シアター7 約束された展開だが、軽いジャブから強烈なアッパーカットへと至る展開は、時間と空間を歪曲しフェイントで絶望地獄を現出させた。ただ、主人公のトラウマ話が余りに予定調和で、その辺、ポランスキーやコー…

セブンデイズ

★★★ 2009年8月8日(土) シネマート心斎橋2 端折り方が拙いので日限を切ったサスペンスは一向に機能しない。正直、前半は似非で気障な演出に相当に苛ついたが、終盤の2転3転…と怒濤の「転」乱れ撃ちに快感神経が刺激され、その強引さに蹂躙された。好悪半…

戦慄の絆

★★★ 1989年7月16日(日) セントラル劇場 冷厳な撮影と精緻で抑制された描写が続き、それだけなら好みと言ってもいいのだが、双子というモチーフに対してクローネンバーグが理解不能なのめり込みを見せる偏執的な拘りが些かも感応して来ないので退屈としか言え…

千利休 本覺坊遺文

★★★ 1989年10月8日(日) 長崎東宝 端正で小綺麗な世界に埋没して錆びた刀とも思える三船の配役も逆張り効果を出す前に沈殿する。戦国時代に於ける茶の道の存在意味の端さえも窺えずにひたすら推理劇めいた興味に誘引するのが逃げにも思える。加藤・上條・芦田…

ゼロの焦点

★★★★ 2009年11月25日(水) TOHOシネマズ梅田9 撮影・美術・装置・CGが混然一体となった最高ランクの写実味を見せる前半に正直瞠目したが、犬童演出は突如バロックに転換しデ・パルマイズムへ擦り寄る。3人の女の想いは正三角に均衡せず座りも悪い。…

1000年刻みの日時計 牧野村物語

★★ 1988年11月13日(日) 長崎教育文化会館 『養蚕篇』も『古屋敷村』も見てないので正当な評価には至らないのだと思うが、唐突に挿入される「過去の物語」は何故に村人達の伝承口述では駄目だったのだろうか。若しくは村人達自身によって演じられるものでは。…

絶対の愛

★★★★ 2010年4月24日(土) 天六ユウラク座 壊れゆく女という再三繰り返されたテーマではあるが、「顔」が「内実」を凌駕し人間の実存を形成するという醒めた視線が徹底されるところが明快だと思うし、それを描くに、オーソドックスな手法で押し切り揺るぎな…

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲

★★★ 2010年5月6日(木) 梅田ブルク7シアター4 ゴッサムシティならぬゼブラシティのゼブラタイム論理に少々耳を傾けてはみたが、何時しか白か黒かの意味不明葛藤が、緑インベーダーの再登板で瓦解され惰性に身を委ねる体たらく。むかつく所業の三池節だが…

制覇

★★★ 2010年5月8日(土) トビタ東映 制覇の後の高位安定期の沈滞を描き、それが瓦解し行く直前で終えるという反ドラマトゥルギーに対し、任侠・実録・OVのごった煮に岡本暗黒街まで混じえた見境無きキャストの混沌が魅せる。しかし、結局は茉莉子がかっさ…

聖女伝説

★ 1985年3月21日(木) 観光会館地下劇場 のし上がったるという土性っ骨も見受けられない柔野郎が、それらしいポーズを決めたってダサすぎる。その戦略もオバンをコマすという原始的手法位しか取り柄もない設定では最早スタッフ誰1人やる気なかったのが見え見…

聖なる犯罪者

★★★★ 2021年2月13日(土) テアトル梅田2 そもそもなんでそんなに神父なりたいん? って本来、初動段階で描かれるべきところをすっ飛ばしてグイグイ進む。それが主人公の若い無軌道とシンクロして映画に勢いを付与する。 シャバに出て、少年院から紹介され…

戦場にかける橋

★★★★ 2011年2月12日(土) TOHOシネマズ梅田7 本来なら橋建築の過程にこそ尺を注ぎ序盤で振った日英の精神風土の対立が融和する様をこそ見せるべきが、ホールデンパートが余剰で緩い。が、しかし、多重な思いが錯綜し混沌の詠嘆を紡ぐ世界遺産なラスト…

戦場のメリークリスマス

★★★ 1983年7月18日(月) 伊丹ローズ劇場 崇高で毅然とした魂の相克を描くに同性愛への越境はいいとして、ならばビジュアル男優の配置は余りに芸が無い。ボウイと坂本には正味うんざり。庶民的たけしが良いだけに尚際立つ。大島らしからぬ巨視観の一方で又らし…

世界侵略:ロサンゼルス決戦

★★★ 2011年9月18日(日) MOVIXあまがさき4 溜めが無い直截さを美点と思おうとしても、一方で海兵隊の面々を描くに情緒を垂れ流している。ミクロなエリアでのロボット兵じみたエイリアンとの戦いは『ブラックホーク』以後の映画内での近代市街戦描写の…

青春残酷物語

★★ 1983年12月17日(日) 伊丹ローズ劇場 体制的な全てを破壊し殉教するような覚悟はもとより論理性も見受けられず、美人局の挙げ句の痴話喧嘩では萎える。太陽族映画の理想的帰結が虚無的な『ろくでなし』であったとすればこれは虚しく自壊した変革願望。川又…

セーラー服と機関銃

★★★ 1982年1月5日(火) トーエイ伊丹 「暴走族」と「屋上」の長回しが意味不明で物語に寄与せぬことで突出し、少女の女への成長譚解釈が正反な赤川と相米のギクシャクした相克の表出。それが一種青春の痛々しさへと転じる幸運。三國の怪演がリードする後半の…

0086笑いの番号

★★ 1982年5月8日(土) 毎日文化ホール TV『それいけスマート』を知っていれば多少は翳りゆく老残の余興も楽しめたのかもしれない。適度には面白くコンセプトは王道だが、何せ出し遅れ感充満。メル・ブルックスを起用するくらいの意気込みが欲しかった。(cin…

千姫と秀頼

★★★★ 2020年7月4日(土) 新世界東映 千姫と秀頼とあるが、秀頼は冒頭で消える。 がっつり千姫物語です。 歴史とか疎いので、千姫のこともよくは知りませんが、wikiとかで調べたのとはかなり違うみたい。 映画は概ね、千姫と5人の男との関わりにまつわ…

世代

★★★ 1982年8月14日(土) SABホール 物語を語るに精一杯であり、後のワイダに見られる西洋的なケレンが無さすぎる。例えばフェリーニの『青春群像』に後の豊穣を見出せないと同質であろうか…。表現手法に於いて全体的に生硬で単純すぎるのだ。(cinemascape)

戦争のはらわた

★★★ 1982年11月4日(木) トビタOS劇場 物語に於ける個と個の対決のエモーションの発露にアルドリッチ的世界の住人たらんとしても、屹立した個のダンディズムを至上命題とするペキンパーとはベクトルが違うのだ。だから、メリハリに欠ける物語が固執されるス…

1900年

★★★★ 1982年12月11日(土) 阪急プラザ 主人公の2人が狂言廻しではないにせよ弱い(デ・ニーロとドパルデューをもってしてもだ)ので前半のランカスターとヘイドンが舞台を去ってから構造の強固さが一気に緩む。5時間16分を長いとは思わなかったが…。(cine…

ゼロ・ダーク・サーティ

★★★ 2013年2月23日(土) TOHOシネマズ梅田8 「捕獲」でなく「殺し」に行くということの是非なぞビグローの念頭には無く、代わりに大穴プロジェクトを的中・成功させた女の子のサクセス譚として語られる。頑張った自分への感傷に涙されても正直シラける…