男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【く】

孔雀夫人

★★★★ 2016年12月11日(日) プラネットスタジオプラス1 熟年離婚とか死後離婚とかが言われて久しいですが、この80年前の映画を見れば新しくもない問題なのだとわかります。 まあ、女ってのは見果てぬ夢と言いますか、どこまでいっても満足できない生き物…

グッバイ、サマー

★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 幾ら機械オタクとは言えあんなに簡単にあの車は作れんやろと思った瞬間に俺の心は物語から乖離する。『ミライへ逆回転』少年バージョン的ゆるさにおおわれたゴンドリーの極私的ロマンティシズムは内向するば…

★★★★ 2023年11月27日(月) MOVIXあまがさき3 強固な撹乱要因を取り巻くホモソーシャルな集団を描いた点で大島「御法度」を連想するのだが、たけしの頭の中にもそれはあったと思う。あの映画のたけしと崔洋一の苦笑と冷笑まじりの傍観スタンスは、たけ…

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー

★★ 2023年8月24日(木) Tジョイ梅田4 ここ1、2年クローネンバーグの旧作を多少見てたので意識してなかったが、これは新作としては「マップ・トゥ・ザ・スターズ」以来のもので、あゝクローネンバーグ終わったなの感触を再確認するものでしかなかった。 …

しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE  超能力大決戦  とべとべ手巻き寿司

★★★★ 2023年8月16日(水) 大阪ステーションシティシネマ10 「クレしん」映画、今更の初見です。 20年前に「オトナ帝国の逆襲」が巷の話題になったとき食指が動いたけど見ることは叶いませんでした。評価がウナギ上りに上がったのが映画館での上映が終わ…

Life work of Akira Kurosawa 黒澤明のライフワーク

★★★★ 2023年6月18日(日) 塚口サンサン劇場2 学生時代の後輩の作品で、ここ1、2年、素材を編集する過程で何度も試作を見せられていたものですから、正直今回、関西のスクリーンにかかるからといっても食傷の感も拭えなかった。でも見て良かった。 一つは…

クルージング

★★★★ 1981年1月○日 SABホール 主人公が越境していく過程を極めてセンシティヴに描き、それが主筋たる現代都会の迷宮とでも言うべきラストとリンクしたときに、相互反応してカフカ的不条理世界へと観る者を誘うだろう。フリードキン衰退前の最後の仄かな輝…

黒い十人の女

★★★★ 1998年4月27日(月) みなみ会館 山本富士子と岸恵子のツーショットの迫力はさすがだが、それだけしかない気もする。10人と言う割には他まり子・今日子の曲玉のみで玉不足。前年『甘い生活』の到達の足下にも及ばぬが、微妙な変態性が辛うじて命脈を繋…

蜘蛛の瞳

★★ 1998年5月16日(土) ホクテンザ1 念入りに構築された『蛇の道』の姉妹篇として何かを・乃至は何ものをも構築し切れない未達感が横溢する。挙句にお手盛りの「虚無感」を前面に出してみたもののダンカン・寺島を迎えてタッチまでも北野イズムめいたのがう…

グリマーマン

★★ 1997年1月18日(土) テアトル徳山Ⅰ 私はセガールは好きです。大阪十三に住んでたと聞いただけで親近感がわきます。どこにでも転がってる単なる女好きのおっさんなのに、何故か本人は世界で一番グレートと思い込んでるような勘違い振りが堪りません。でも、…

狂わせたいの

★★★ 1999年6月5日(土) 神戸アートビレッジセンター リンダやみちよの70年代歌謡に郷愁を感じたかったのだが刑務所の面会所での「他人の関係」だけが強烈に画面とフィットしただけで、あとはどうも何か違う感じだ。寺山の暗部とフェリーニの陰部を足し廉価…

グッドウィル・ハンティング 旅立ち

★★★ 1999年2月27日(土) 第七藝術劇場 請負仕事を無難にこなすこれが本当にガス・ヴァン・サントの映画なのかと思った。天才という設定は気が利いてるが捻りなくプレーンすぎる展開と手法のオーソドキシー。なので主人公の悩みは皆目心に届いて来ない。エスコ…

グース

★★ 1997年1月19日(土) 岩国ニューセントラルⅡ CGを使わぬ本物の雁の飛行シーン等そりゃあ大変な苦労だったであろうことは解るが、それが手軽な数多の映画のシーンをトレースしただけに感じられて努力が報われてない。アンナ・パキンの据わりも今一な面白み…

黒い家

★★★★ 1999年12月9日(木) ユナイテッドシネマ岸和田8 ありきたりな風景を異化させるフレームの切り方とロケーション選定の眼力。過度にカリカチュアした人物造形。そういったコンセプトが『家族ゲーム』以降の森田作品中で最も成功している。正味惚れ惚れす…

黒い牡牛

★★★ 11月28日(月) 11月28日(月) シネリーブル梅田4 もう全篇、少年の牡牛愛ダダ漏れに塗れた映画で、「ヒターノ、ヒターノ」と牛の名を連呼するそれが耳に五月蝿い。 まあ少年ってのは、動物好きと相場が決まっており、定番の王道が犬なんでしょう。け…

クッキー・フォーチュン

★★★★ 2000年4月15日(土) テアトル梅田1 1人の死から巻起るドタバタの主線は娘姉妹の筈だが何故か拡散し出した流れは姪と本筋からズレた挿話に全て持って行かれる方向性の定まらなさ。しかし、そんなことがどうでもよくなる南部アメリカの日向の午睡の如き…

グリーンマイル

★★★ 2000年4月22日(土) ワーナーマイケルシネマズ東岸和田4 短篇をイマジネイトするに付加で済むなら長篇ではリストラクトが要る。これは換骨奪胎に終始する優等生映画。原作を解体再構築する映像作家の矜持は皆無。原作者にひれ伏したダボランはキングから…

グラディエーター

★★★★ 2000年6月22日(木) ユナイテッドシナマ岸和田7 序盤のゲルマン攻略は圧倒的であり掴みとしては最高。『ベン・ハー』『スパルタカス』を継接ぎしたかの如き展開もまあ許せる。ただ、主人公の流転人生を描くに必要な時間が足りず無駄が無さ過ぎ。個の対…

グリーン・デスティニー

★★★ 2000年11月4日(土) ユナイテッドシネマ岸和田4 撓う竹の細枝を飛ぶが如くに舞う中国古来の仙人伝説と同列にワイヤーアクションを並べれば理詰めでは納得できたとしてもミシェールとツィイーの殺陣を見てしまえば矢張り重力を感じたいと思う。悠久の夢幻…

狂った果実

★★ 1995年1月28日(土) ACT活動写真館 女をめぐっての兄弟喧嘩が生な感情を表出せず鬱屈するジメジメ感は、中平のキザな技巧のもとで湘南の陽光とこれ見よがしに対比される。慎太郎描く無軌道の耐えられない軽さ。キザの相乗効果は哀しいことに枠内で安住…

クリムゾン・タイド

★★★ 1995年10月21日(土) 徳山国際シネマ 60年代では当たり前であった「核→人類破滅」の図式は後退し収縮した旧態な世界観でしか物語は語られない。2大俳優の正面衝突は全く見応え充分だしスコット演出も過剰さを押さえて巧みであるだけに、いじましいまで…

グッバイ・クルエル・ワールド

★★★ 2022年9月14日(水) 大阪ステーションシティシネマ11 ドン詰まりの男たちがヤクザの資金を強奪したあと自壊していく顛末ってことで、石井隆の「GONIN」を連想する。 しかし、その印象は、鳴り物入りの期待を煽ってトホホな結果だった深作「いつか…

★★ 1995年10月28日(土) テアトル徳山Ⅱ 宮沢りえでもどっこいだったとは思うが一色紗英の主人公に過酷な運命を自ら克服して生きていく裂帛の気迫は感じられない。お人形さんは所詮お人形さんである。同じことが浅野にも言える。正攻法の映画は嫌いじゃないが…

クリフハンガー

★★★ 1994年3月3日(木) 北野劇場 冒頭の見せ場は心胆寒からしめるものだったし、スタローンお得意の全身哀しみオーラ発散でそのトラウマを表出できていたのに、いつのまにやら何でも詰め込んでのてんこ盛り映画に堕ちてしまった。(cinemascape) kenironkun.ha…

黒豹のバラード

★★★ 1994年3月21日(月) 新世界国際劇場 これはと思う冴えた描写も結構あるのだが暗い。暗いのはいいとしても甘ったるい。マカロニウェスタンとペキンパーをパクって今風(当時)ミュージッククリップ乗りを加味したものの正体は浪花節だったというブラック・…

草の上の仕事

★★ 1994年3月19日(土) 扇町ミュージアムスクエア 1日限りの単調なバイトの2人きりで過ごすこのニュアンスは俺にも解るが、ニュアンスを伝えるのみに終始し次の次元へ映画は翔んでいかない。閉塞的で自慰的な世界観。何も産み出されはしないし何も壊れもし…

黒薔薇VS黒薔薇

★★★★ 1994年4月10日(日) みなみ会館 廉価パロディと鈍い笑いのキッチュな不可解さが止め処なく連鎖し、その最果てに得体の知れないオフビート天国が現出する。香港映画の魔窟のような懐の深さ。レオン・カーフェイの唐変木の為す術のなさの周囲で女たちは限…

黒い下着の女 雷魚

★★★ 2022年7月14日(木) シネヌーヴォ 苦しみを抱えお先も真っ暗、救いも何もあったもんじやない。そういう話で、千葉の工業地帯の澱んだ空気が重くのしかかる。 瀬々の初期作だが、最近の犯罪ものの高バジェットな作品で見せる画面造形の密度はもとからの…

クローン

★★★ 2002年4月5日(金) 新世界国際劇場 それなりのビジュアルは見せるものの、こういう未来絵図は『ブレードランナー』以降正直言って食傷気味。主人公と妻や親友やスラムの人々達との関わりが全てもう1歩描き足りないので思うほど盛り上がらないしラストの…

蜘蛛女

★★★ 1994年9月3日(土) ホクテンザ1 ハードボイルドの意匠を完璧に纏った世界にファムファタールも真っ青な怪物女を降臨させた傑作脚本。オリンもオールドマンも最善の配役。なのに惜しいまでの薄味感。メダック演出が手堅くそつがないだけで狂気な狂熱に欠…