男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【く】

クリムゾン・タイド

★★★ 1995年10月21日(土) 徳山国際シネマ 60年代では当たり前であった「核→人類破滅」の図式は後退し収縮した旧態な世界観でしか物語は語られない。2大俳優の正面衝突は全く見応え充分だしスコット演出も過剰さを押さえて巧みであるだけに、いじましいまで…

グッバイ・クルエル・ワールド

★★★ 2022年9月14日(水) 大阪ステーションシティシネマ11 ドン詰まりの男たちがヤクザの資金を強奪したあと自壊していく顛末ってことで、石井隆の「GONIN」を連想する。 しかし、その印象は、鳴り物入りの期待を煽ってトホホな結果だった深作「いつか…

★★ 1995年10月28日(土) テアトル徳山Ⅱ 宮沢りえでもどっこいだったとは思うが一色紗英の主人公に過酷な運命を自ら克服して生きていく裂帛の気迫は感じられない。お人形さんは所詮お人形さんである。同じことが浅野にも言える。正攻法の映画は嫌いじゃないが…

クリフハンガー

★★★ 1994年3月3日(木) 北野劇場 冒頭の見せ場は心胆寒からしめるものだったし、スタローンお得意の全身哀しみオーラ発散でそのトラウマを表出できていたのに、いつのまにやら何でも詰め込んでのてんこ盛り映画に堕ちてしまった。(cinemascape) kenironkun.ha…

黒豹のバラード

★★★ 1994年3月21日(月) 新世界国際劇場 これはと思う冴えた描写も結構あるのだが暗い。暗いのはいいとしても甘ったるい。マカロニウェスタンとペキンパーをパクって今風(当時)ミュージッククリップ乗りを加味したが正体は浪花節だったというブラック・ウェ…

草の上の仕事

★★ 1994年3月19日(土) 扇町ミュージアムスクエア 1日限りの単調なバイトの2人きりで過ごすこのニュアンスは俺にも解るが、ニュアンスを伝えるのみに終始し次の次元へ映画は翔んでいかない。閉塞的で自慰的な世界観。何も産み出されはしないし何も壊れもし…

黒薔薇VS黒薔薇

★★★★ 1994年4月10日(日) みなみ会館 廉価パロディと鈍い笑いのキッチュな不可解さが止め処なく連鎖し、その最果てに得体の知れないオフビート天国が現出する。香港映画の魔窟のような懐の深さ。レオン・カーフェイの唐変木の為す術のなさの周囲で女たちは限…

黒い下着の女 雷魚

★★★ 2022年7月14日(木) シネヌーヴォ 苦しみを抱えお先も真っ暗、救いも何もあったもんじやない。そういう話で、千葉の工業地帯の澱んだ空気が重くのしかかる。 瀬々の初期作だが、最近の犯罪ものの高バジェットな作品で見せる画面造形の密度はもとからの…

クローン

★★★ 2002年4月5日(金) 新世界国際劇場 それなりのビジュアルは見せるものの、こういう未来絵図は、正直言って食傷気味。主人公と妻や親友やスラムの人々達との関わりが、全てもう1歩描き足りないので思うほど盛り上がらないしラストの感銘も弱い。(cinemasc…

蜘蛛女

★★★ 1994年9月3日(土) ホクテンザ1 ハードボイルドの意匠を完璧に纏った世界にファムファタールも真っ青な怪物女を降臨させた傑作脚本。オリンもオールドマンも最善の配役。なのに惜しいまでの薄味感。メダック演出が手堅くそつがないだけで狂気な狂熱に欠…

黒蜥蜴

★★ 1993年4月11日(日) 高槻セントラル 敵味方に別たれた許されぬ同族愛に美輪起用による禁断の愛的様相を加味した2重の背徳性なぞ何処吹く風の通り一遍の演出。耽美やデカダンと無縁な深作とは言えキッチュにも振れ切れぬでは惜し過ぎる題材。『雪之丞変化…

狂った野獣

★★★ 2002年11月20日(水) 扇町ミュージアムスクエア 『スピード』を遡ること20年、我が日本にも『狂った野獣』があった…と言いたかったのに…。和製キャラハンを気取った室田の無念のポーズには涙を禁じ得なかったが…。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.…

軍旗はためく下に

★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ フレームに拘泥しない深作の演出技法が現代パートのドキュメンタリータッチに即応しており寒々とした寂寥が非情を際だたせる。しかし、過去に遡った戦場シーンでは一転ステロタイプな形骸に堕した。これは逆でも面白かった…

クレージー メキシコ大作戦

★★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ 言わば末期の爛熟が一番美味いかもと思わせる2時間40分。お祭り大作らしいテンコ盛でギュウ詰めな長尺は素直に嬉しく楽しい満腹感。バタ臭い如何にも東宝映画らしい味わいだし女優陣も皆いい。ロケ効果や劇中歌謡ショ…

沓掛時次郎 遊俠一匹

★★★ 2003年2月4日(火) 日劇会館 筋を通した生き方が出来れば、何事にも後ろめたさは持たなくていい。解ってくれる人は必ず居る。しかし、通す筋がお互い相容れなくば地獄行き。侠道の天国と地獄をロジカルに構築した素晴らしい脚本。ただ、加藤泰の様式演出…

グレート・ブルー

★★★★★ 1993年6月24日(木) パラダイスシネマ1 3人が世界各地で点描される前半がスケールとロマンティシズムを内包した悠久の映画的ダイナミズムを示現している。中盤、男2人に女1人のルーティーン展開になりかけたのだが最後は全てを振り切り神話の世界に…

クライング・ゲーム

★★★★ 1993年7月15日(木) シネマアルゴ梅田 表通りを歩けないから裏を歩いて片隅で生きる…そういう感じが巧く出てる。スティーブン・レイの情けなく冴えない風情がこれ又どんぴしゃのニュアンス。そしてデビッドソンの存在が輪をかける。(cinemascape)

クレージー 黄金作戦

★★★ 1993年7月11日(日) 日劇シネマ シリーズを多く見てるわけでもないが、ベガス大通りでのロケも大して効果的でもなくやっただけ感がさもありなルーティーンの果ての間延び記念大作。定型にはめられたクレージーの面々の脇で要所でポイントゲットする浜美枝…

グッドモーニング・バビロン!

★ 1993年8月5日(木) ゆやホール 兄弟愛や家族愛や夫婦愛らしきものが並列されてはいるが何一つ沁みてこず、サッカリン入りの駄菓子のように甘っちょろい。大風呂敷を広げて『イントレランス』という神話の領域に拠って立つにしてはスペクタクルが不足で紙芝…

唇からナイフ

★★ 1993年10月15日(金) 扇町ミュージアムスクエア 「愛の不毛」女優が「赤狩りトラウマ」監督と組んでお洒落なコメディ・アクションを撮ればマイナス2乗で弾ける目もありそうなもんだが、出来あがったものは理解を超えて一巡し、つまらなく古臭くセンスが無…

黒い罠

★★★★ 1993年11月6日(土) 京都朝日シネマ2 冒頭はじめ長廻しが効果的に機能したとも思えないが、それでも仰角で捉えられたウェルズの巨躯が画面を制圧し一貫したフォルムが維持される。メキシカンヘストンの佇まいやチョイ役ディートリッヒのオーラ。ギリ圏…

黒の怨

★★★ 2004年2月5日(木) 天六ユウラク座 冒頭の少年時代の挿話は演出的にも冴えている。計算されたカットの積み重ねは見ていて気持ち良い。しかし、こうも直線的な筋運びではプロットこそが生命線だと思うのに、余りにひねり無く街が壊滅させられるにしては端…

クライ・マッチョ

★★★★ 2022年1月28日(金) 大阪ステーションシティシネマ6 「運び屋」でも大概にヨボヨボ化していたイーストウッドの更なるヨボヨボ化著しい予告篇を見て見るのやめとこかと思ってたんですが、見てみるとあんまり気にならなかった。苦みばしって吐き捨てる決…

グッバイ、レーニン!

★★★ 2004年5月10日(月) 梅田ガーデンシネマ2 東独近代史に於ける劇的なターニングポイントが国民にもたらしたものが、パノラミカルなスケールではなく、後半では1人の女性に仮託され、シテュエーションコメディの定型に沿ってのドタバタに終始するのが全く…

激動の昭和史 軍閥

★ 1992年6月28日(日) 日劇シネマ 「軍閥」と構えてみたものの大した力学的究明がある訳も無い。日中戦争から太平洋戦争まで総花的且つ駆け足で描こうとするから薄くなり、どこかで見たような配役、エピソードの羅列ばかり。尚且つ安易なニュースフィルムの使…

偶然と想像

★★★★★ 2021年12月20日(月) シネヌーヴォ 3話のオムニバスなのだが、1話目の冒頭からタクシー内で延々と女のノロケ話が続く。「私の彼氏めっちゃイケてるねん」とか「可愛いとこあんねん」とかの他愛ないものならまだしも、自己肯定を交えた女の世界観語…

クレーヴの奥方

★★★★ 1992年9月26日(土) 毎日文化ホール カラーシネスコで描かれた端正と格調。最高ランクのプロフェッショナリズムが結合した粋の極みとでもいうべき味わい。特にアルカンの屋外撮影には陶然とする。不倫ものだが自己優先の欲望が描かれるわけでない。あく…

クラッシュ

★★★★ 2006年4月21日(金) ナビオTOHOプレックス8 時代は絶望的な閉塞感に覆われていたとしても、我々は一縷の「希望」を見出せなければ生きてはいけない。性善説的人間観は安易にしても、敢えてそれを提示したハギスに深くシンパシーを感じる。ただブ…

牯嶺街少年殺人事件

★★★★★ 1992年9月30日(水) シネマヴェリテ 事件に至る経緯の解明にせよ反動と保守が入替わる自国史にせよ不良少年グループの抗争にせよ題材としては目新しくもないが、個々の枝葉のリアリズムが絡み合い森林を形成するように嘗てあった時代を包括的に現出させ…

紅の豚

★★★ 1992年10月6日(火) 三番街シネマ2 小っ恥ずかしいダンディズムを豚姿で婉曲化しても尚小っ恥ずかしい。出来レースの緩い世界観が支配する中、剥き身の相克から遠いのだから仕方ない。その世界の片隅の陽光下の静謐めいた精緻な描写への拘り。ミクロな技…