男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【く】

激動の昭和史 軍閥

★ 1992年6月28日(日) 日劇シネマ 「軍閥」と構えてみたものの大した力学的究明がある訳も無い。日中戦争から太平洋戦争まで総花的且つ駆け足で描こうとするから薄くなり、どこかで見たような配役、エピソードの羅列ばかり。尚且つ安易なニュースフィルムの使…

偶然と想像

★★★★★ 2021年12月20日(月) シネヌーヴォ 3話のオムニバスなのだが、1話目の冒頭からタクシー内で延々と女のノロケ話が続く。「私の彼氏めっちゃイケてるねん」とか「可愛いとこあんねん」とかの他愛ないものならまだしも、自己肯定を交えた女の世界観語…

クレーヴの奥方

★★★★ 1992年9月26日(土) 毎日文化ホール カラーシネスコで描かれた端正と格調。最高ランクのプロフェッショナリズムが結合した粋の極みとでもいうべき味わい。特にアルカンの屋外撮影には陶然とする。不倫ものだが自己優先の欲望が描かれるわけでない。あく…

クラッシュ

★★★★ 2006年4月21日(金) ナビオTOHOプレックス8 時代は絶望的な閉塞感に覆われていたとしても、我々は一縷の「希望」を見出せなければ生きてはいけない。性善説的人間観は安易にしても、敢えてそれを提示したハギスに深くシンパシーを感じる。ただブ…

牯嶺街少年殺人事件

★★★★★ 1992年9月30日(水) シネマヴェリテ 事件に至る経緯の解明にせよ反動と保守が入替わる自国史にせよ不良少年グループの抗争にせよ題材としては目新しくもないが、個々の枝葉のリアリズムが絡み合い森林を形成するように嘗てあった時代を包括的に現出させ…

紅の豚

★★★ 1992年10月6日(火) 三番街シネマ2 小っ恥ずかしいダンディズムを豚姿で婉曲化しても尚小っ恥ずかしい。出来レースの緩い世界観が支配する中、剥き身の相克から遠いのだから仕方ない。その世界の片隅の陽光下の静謐めいた精緻な描写への拘り。ミクロな技…

グエムル 漢江の怪物

★★★ 2006年9月9日(土) 三番街シネマ2 平穏な日常に生々しいまでのリアル感で異物が投入される序盤の漢江河畔のシーンは傑作なのだが、中盤以降の政府・米軍の対応のカリカチュアがやり過ぎというより稚拙。それでも、図太いまでの拘りで描かれた家族の絆…

グッドナイト&グッドラック

★★★★ 2006年11月18日(土) 新世界国際劇場 規定の事実という前提なのだろうが、マッカーシーのサディスティックをもっと前面に出した方が劇的であったと思う一方、実験的とまで言える抑制を選んだクルーニーが嫌らしくも男前とも思う。とにかく技術であって…

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

★★★ 1991年1月19日(土) 高槻セントラル ブリッジス兄弟が事実兄弟なのは確かなのだろうが、案外そこには何の付加価値も見出せない。ファイファーも下積みのプロ魂が身についていただろうか…疑問。残るのは主人公の駄目さかげんが身につまされる遣りきれなさ…

空白

★★★★ 2021年9月26日(日) MOVIXあまがさき3 「BULE」と本作で個人的に吉田恵輔は今年の監督賞確定と思わせます。力作である。 想像されるような、思い込みで未必の不可抗力としか言いようのない相手を執拗に追い詰めるモンスター親爺をデフォルメ…

桑の葉

★★★★ 1991年8月25日(日) 日劇シネマ 初期の今村かイタリアンネオリアリズモのような土着的で図太いユーモアが良い。イ・ミスクの明るさが全く素晴らしく終盤の種明かしも物語の深度を深める。公開時のキワ物的な取り上げられ方が残念であった。(cinemascape)

クローズ ZERO

★★ 2007年11月10日(土) TOHOシネマズ梅田9 親爺の座を取ったるとか息巻いてる割にメソついたりヘタレな先輩に頼ってみたりで、主人公に強靱さが無く、対する芹沢も太めでカリスマが無い。途中からどうでもよくなる覇権争いだが仲間の手術との青春カッ…

クローバーフィールド HAKAISHA

★★★ 2008年4月10日(木) TOHOシネマズ梅田1 キング最高作にも匹敵する終末感が横溢する序盤。しかし、無理矢理な純愛野郎と友情仲間たちの道行きにザーメン臭さを感じて退く。ビルやヘリ上からの俯瞰映像の圧倒的臨場感。しかし、一人称縛りの手法は時…

グリフターズ 詐欺師たち

★★★★★ 1991年11月13日(水) テアトル梅田1 主役3人は完璧に依存から無縁な生き様を貫き、しかも、終盤では親と子や男と女のしがらみを越境していく。コンゲーム映画の体裁を纏い人間の深淵に迫る。スコセッシが加担しバーンステインのスコアがサポートする…

ぐるりのこと。

★★★★ 2008年7月18日(金) シネリーブル梅田2 2人を取り巻く世界が厳然として存在しつつ淡々と流れていく。偽悪的に夫婦の有様のキツい面を抽出した展開も世界に補完され至福に至る。宗教的なまでの達観。ただ多くの実事件の素描は精緻な相関には遠い。リ…

クワイエット・プレイス 破られた沈黙

★★★★ 2021年7月21日(水) TOHOシネマズ梅田10 アメリカに於いて俳優から監督へ進出・転身するという流れが少しずつ増えてきているような気がする。そのことに何か意味があるのかは判りませんが。 何故そんなことを意識したかというと、前作で一家の父…

クレールの膝

★★★★★ 2021年7月19日(月) テアトル梅田2 ほっといても女性の方から声かけて寄ってきて、自分の話に耳を傾けてくれる。何だか万能感半端ないおっさんのこの世の春。 それは、1人の新たな少女の登場で打ち砕かれるのでありました。 得意のオヤジの魅力光線…

クライマーズ・ハイ

★★★ 2008年12月20日(土) トビタ東映 組織の中の守旧と革新、編集と販売、親と子、友情と仕事、意地と妥協…多くの2項対立はデフォルメされ劇化されるが、原田が救い難く稚拙に見えるのは否定される側の時代錯誤なステロタイプ化に依る。『呪縛』と変わらな…

クリシャ

★★★ 2021年6月19日(土) シネヌーヴォ 監督の親族たちが出演者だという。 そういう手抜きめいた選択にしては、この主人公クリシャを演ったクリシャ・フェアチャイルドというオバサンは強烈である。て言うよりこのオバサンがいるから撮ったんちゃうかとさえ…

グリード ファストファッション帝国の真実

★★★ 2021年6月28日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 この邦題「ファストファッション帝国の真実」ってのに騙された。 リテール分野で数社が世界を牛耳る今の業界構造に包括的に迫るのかと思ったのだが、結局は1人の男の成り上がり譚でしかない。 繰り…

グンダーマン 優しき裏切者の歌

★★★★ 2021年6月19日(土) シネヌーヴォ 映画を構築するのに、主人公グンダーマンを取り巻く2つの大きな心理的な相剋がある。 はずなのだが…。 1つは、邦題にもあるとおり、東西分断下の東ドイツで、国家秘密警察の犬となって西側への亡命分子をチクってい…

蜘蛛巣城

★★★ 1990年10月13日(土) 日劇シネマ 中世の西洋には確実に存在した「魔」を日本の戦国時代に移植するに「能」で装飾してみた。それらしくは見えるが装飾は本質には遠い。バタ臭い和人黒澤の限界だろう。ラストは確かに傑作だが他はどうも…特に魔女はそりゃな…

グラン・トリノ

★★★★ 2009年4月25日(土) 梅田ブルク7シアター6 イーストウッド的懲悪譚と異文化との親和が並立するのみで「ボーイズ・ビー…」的典型に収斂するのみなら何故にモン族なのか。制するのが白人で越境する度量があればと感じた。爺コン萌えの親爺の立ち居振る…

クローズZERO Ⅱ

★★★ 2009年4月25日(土) TOHOシネマズ梅田5 集団抗争の予感横溢する導入から30分は胸ときめく至高の展開だったが、鈴蘭VS鳳仙の抗争の引金OBが又も逸脱し強度を拡散させる。1作目より数段良いが脇の甘さは変わらない。そして、このどつき合いの…

黒い画集 あるサラリーマンの証言

★★★★ 1990年11月11日(日) 日劇シネマ 清張を橋本忍が脚色という正に王道的正調推理人間劇であり誰が監督したって面白くなっちまいそうな気がする。ただ一方でどれも同じに見えてきちまうのが辛い。寧ろ主題が今のアンチモラルな時代には最早、風化したと感じ…

グッドフェローズ

★★★★★ 1990年11月18日(日) 梅田東映パラス 既存の商業主義に馴れ合いつつもポイントごとに特異な異質感が滲み出る。尖った技巧のオンパレードとウェルメイドな凡庸の端境点。物語に準拠せず闊達な語り口に拘泥した或る意味でのスコセッシのピークであり90…

黒い雨

★★★★ 1989年6月11日(日) 長崎東映パラス 今村が何故に固執した性への言及を廃し聖処女とでも言うべき被爆女性を描いたのかへの答は見出だせない。松竹初期に大島と共闘した石堂と川又の起用も意外性のみだが、静謐な哀しみを纏ったスーちゃんが言い尽くせな…

グッド・バッド・ウィアード

★★★ 2009年9月12日(土) 梅田ブルク7シアター4 レオーネ的底浅情感に依拠した挙げ句に何物をも抽出し得なかった徒労感。ジウンは真面目過ぎるのだろう。離れてベタや過激やシュールに振れればいいものを。グダグダ展開の煮詰まりの果てには何故か『あずみ…

空気人形

★★★★★ 2009年10月5日(月) 梅田ガーデンシネマ2 バーチャルでないリアルなビニール性欲処理人形という実存はペ・ドゥナの緩んだ太股や汗ばんだおでこに継承され、死滅しゆく閉塞都市を彷徨い血と塵芥にまみれて消えるしかない。ピンビンの温もりの風景に包…

クライム&ダイヤモンド

★★★ 2010年2月27日(土) トビタシネマ 50年代映画に多く言及されてるが、寧ろ70年代的ロマンティシズムへの憧憬(アンリコやワイルダー他)が感じられ心地よく懐かしい。一方で敵キャラ造形はタランティーノ以降の90年代風味でこれも又良い。ただ両者…