男の痰壺

映画の感想中心です

★★★★ 2023年11月27日(月) MOVIXあまがさき3

強固な撹乱要因を取り巻くホモソーシャルな集団を描いた点で大島「御法度」を連想するのだが、たけしの頭の中にもそれはあったと思う。あの映画のたけしと崔洋一の苦笑と冷笑まじりの傍観スタンスは、たけし、浅野、大森の3人に受け継がれる。ただ今回、自身を含めた3名にはほとんど素に近いキャラクタリゼーションしか為されていないので悪くはないけどやっぱ怠慢じゃないのかと思いました。

 

登場人物が豊富で役者が揃ってるので「アウトレイジ」的に見飽きないのだが、個々のドラマは多分に薄い。西島がエンケンとの愛と出世を天秤にかける。獅童が我欲で友人を殺し亡霊に悩まされる。この2つは裂かれる尺から言っても真ん中のファクターの筈だが正直凡庸。描ききれていないと思う。そもそも話として面白くないし。

木村の抜け忍だけが飄々と美味しいとこ持ってくんだけど、いっそこいつを掘り下げて一方の軸に据えるくらいでも良かったんじゃないか。

 

「ビヨンド」の塩見と並ぶと思われる加瀬のテンションの突き抜けは確かに見もの。小林の影武者大量消費ギャグは2度は余計。荒川の使い方の意外と見せてやっぱは納得。

 

狂犬を軸に撹乱・自壊していく組織を苦笑と冷笑混じりに傍から眺める奴らというコンセプトは良いにしてもバラエティと等位の力の抜け具合は好悪半ば。西島或いは獅童のドラマは盛り上がらず木村だけが美味しいとこ持ってく。それがたけし流。(cinemascape)

 

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