男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【さあ~さの】

櫻の園

★★★★ 1991年4月21日(日) シネマアルゴ梅田 大真面目にチェーホフに取り組む女子高生たちというだけでも随分面映ゆく正視できないのではと思ったが、斜に構えることが恥ずかしいとさえ思わせる「世界」への没入ぶりで、何事も信じて真面目に事を成せば誰はば…

★★★ 2007年5月19日(土) 天六ユウラク座 液状化する湾岸埋立地帯という如何にもながらそそるキーワードの選択に惹かれたし、前半は視覚的にも黒沢的不均衡を漲らせて相当良い。しかし、謎は解かない方がいいね。馬脚が現れるから。そして『回路』な終末イメ…

新座頭市物語 折れた杖

★★★ 1991年5月19日(日) 日劇シネマ 変わりばえしない物語だが、勝のシリーズ初演出にマカロニウエスタンを手本にしたと思しきケレンがあって悪くない。寒村のムードも輪をかける。しかし、手本にしすぎて、ラストはまんま『続荒野の用心棒』みたいになっちま…

座頭市血笑旅

★★★ 2007年7月21日(土) 日劇会館 妥協せず生身の赤ちゃんを使い続けたから勝新・ひづるの打算カップルにも真摯な縁が降りて来る。が、そこが本作の最大の肝なのが弱いか…。濡れた農村風景の切り方に多くの冴えたショットを挟み按摩集団との3度の邂逅別離…

フェリーニ サテリコン日誌

★★ 1991年6月23日(日) みなみ会館 フェリーニに対する無邪気な憧憬があって、馬鹿でかいセットがあって、珍奇な人々があちこちに居る。そこでカメラを回せば某かのものになるのであって、『サテリコン』という巨大な怪物を解き明かそうとの気概は感じられな…

ざくろの色

★★★ 1991年9月22日(日) みなみ会館 タルコフスキーに捧ぐと言うからには後継者として彼を認知したということなのだろうが、研ぎ澄まされたものではなくスラブ的素朴さと宗教臭濃厚なイメージの連続に戸惑った。オムニバスなイメージ集なので、とらえ易い筈だ…

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

★★★★ 2021年8月19日(木) 大阪ステーションシティシネマ2 見終わった感想。 「なんだか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と変わんないじゃん」 どっちも人間と非人間の混成チームが敵をやっつけるって話で、2作までは許せても、もし次同じパターン…

サクラより愛をのせて

★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX なんでも「人間いじめシリーズ」とかの1作らしく、いじめ言うてもマナー悪い奴をサクラいう中年オバハンがいたぶり倒すてな内容です。桂朝丸(現ざこば)の語りに合わせてプレスコしたものが今作含めて4作品ほどあ…

ザ・スイッチ

★★★★ 2021年8月8日(日) 新世界国際劇場 男女の中身が入れ替わるって話は「転校生」がながらく独立独歩の位置を保ってきたと思うのだが、「君の名は。」が契機かどうか知らんがここのところ我が国テレビドラマを含め頻出し出してるみたいだ。ジェンダー障壁…

座頭市 地獄旅

★★★ 2008年8月9日(土) トビタ東映 アップ多用の前半の構図、水面を映さない渡海船の演出、障子越の一触即発、階段が介在する湯治場の風情、岩崎加根子の微妙な隠微さ…等々個々の要件は図抜けたものが多い。ただ構成が弱いのだ。タメが無くカタルシスを逃す…

座頭市

★★★ 1990年9月2日(日) 新世界東映 10余年のブランクを経て待望のと言うより結局それっきゃないかの煮詰まりが勝専制下の閃き統御で払拭されたとも思えぬがのり平から裕也に至る横断的キャスティングの多彩が歪な活力をもたらしている。雄大もいい味出して…

サイコ

★★★★★ 1990年10月8日(月) シネマアルゴ梅田 お上品ポーズをかなぐり捨て、エロスと殺戮の扇情ショーに特化し心行くまでの技巧を注ぎ込む。キャリア最高のタイミングで産まれた願望の完璧な具現。モノクロ撮影や構成の断裂という逸脱までもが映画を神格化。生…

サテリコン

★★★★ 1978年4月9日(日) SABホール 今で言うノンポリ青年2人が彷徨うエログロの一大饗宴が繰り広げられる古代ローマの各シーンはフェリーニの集大成とも言うべきスペクタキュラーなイメージ造形で真に圧倒的のひとことなのだが…余りに凄すぎて疲れる。(…

里見八犬伝

★★★ 2009年9月26日(土) トビタ東映 改めて「八犬伝」というのは淫猥で変態な物語だと思ったが、それを脳内筋肉バカの深作がこれ又阿呆丸出しのひろ子・広之ペアに託し、勘違いミュージックてんこ盛りて青春青汁したたる絵巻として繰り広げるのだ。結構おも…

さそり

★★★ 2009年10月29日(木) 天六ユウラク座 水野美紀を堪能するという点ではかなり満足したが、アクションが細切れ過ぎなジョー・マの演出には欲求不満もたまる。前半は一応、原『さそり』的世界が描かれるが後半は完全に『キル・ビル』。大体これ日本映画か…

殺人遊戯

★★★★ 2009年11月21日(土) 日劇会館 ハメット的世界に馴染む原田芳雄風口跡の松田優作はジグモンド的望遠使いの仙元カメラ世界の主人公としても又座りがいい。「ルパン」な大野音楽も含め混然とした模倣の確信的世界は統一のある完成形にまで至る。予想外で…

殺意の香り

★★ 1985年4月14日(日) 大毎地下劇場 謎の金髪美女や精神分析的アプローチを散りばめ否が応でもヒッチコックを想起させるのだが、違うのは主役2人に華が無く地味臭いこと。何を描くかではなく、どう描くかに主軸を置く映画作りはベントンの柄じゃない。遊び…

座頭市 THE LAST

★★★★ 2010年7月9日(金) TOHOシネマズ梅田5 渡世の非情と無縁の優しき「市」の造形に香取のがむしゃらで無垢な様が合っており、対峙する仲代・豊原・ARATA達の巧緻な悪との噛み合いに大いなる醍醐味があり、全体を統べる阪本の冷めた無常観が一貫…

ザ・ウォーカー

★★★★ 2011年2月12日(土) トビタシネマ 運ぶ男と奪う男。逃げる女と追う男。シンプルなテーゼを事後の虚無的な荒廃世界に描きマカロニウエスタンの復刻として堂に入っている。ヒューズ兄弟の演出はそれなりに抑制され、あざとさ臨界ギリギリ線上。老夫婦宅…

ザ・タウン

★★★★★ 2011年2月19日(土) 梅田ブルク7シアター5 今更な題材だが真摯な思いがあれば物語は人を打つ。多くの友の屍を乗り越える主人公に葛藤があまり無いようだが、一方では恋焦がれた女への矜持を現代感覚に立脚させたニューハードボイルド。その平衡感覚…

さすらい

★★★ 1983年1月22日(土) 神戸青少年会館研修室 一応は起点があり終点のある物語なのだが、間に挟まれた2時間強に物語を転がすものがほとんど無い。ミューラーの暖調モノクロ映像とロックミュージックに補完された親爺2人の長い無言旅からは気恥ずかしさを相…

細雪

★★★ 1983年5月22日(日) 伊丹グリーン劇場 4大女優が寄せ集めの感が拭えず、矢張り何度も企画に上っていた山本富士子を長女のアンサンブルが見たかった。見合いを軸に構成したのが定型的で安易。石坂の心情描写も唐突で心に沁みない。であるから矢鱈グラフィ…

ザ・ソルジャー

★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 世界を股に掛けたプロフェッショナル部隊の対テロリスト戦と言えば聞こえが良いが、開巻30分の掴みは兎も角、サウジ油田爆破の駆け引きにモスクワを核攻撃で対抗と話が無茶な割にショボすぎで白ける。米ソの対立構図…

さすらいの女神たち

★★★ 2011年10月8日(土) 梅田ガーデンシネマ2 舞台と楽屋に於ける女たちの圧倒的実存の前では、アマルリックの主人公の物語は決してあざとくもないにせよ、どうしても作為めいてしまうのが気の毒であるが、それも又本望であろう女愛を感じる。黒子に徹する…

佐々木、イン、マイマイン

★★★★★ 2020年11月28日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 今年も残すところあと1ヶ月となったわけだが、多分、これが俺の日本映画ベストになりそう。 相変わらず四宮の空気の肌触りまで感じさせる撮影が絶品ということもあるが、語らねばこの先生きてい…

THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女

★★★★ 2020年11月26日(木) TOHOシネマズ梅田6 香港を主舞台とした中国映画って点で見るものにはどうしたってある種のバイアスかかかる。民主化を弾圧しとる手前らが何いけシャーシャーと素知らぬ顔して撮っとるんじゃってことなんですが、しかし、そこ…

さくら

★★★★ 2020年11月15日(日) MOVIXあまがさき3 昔、原作を読んだ覚えがあるがほとんど忘れてました。 父母と長男・次男・長女の5人家族の一家の変遷史であり、次男が大学生になった現在から過去に遡及していく。 家族がひとつであった幼少期があり、子…

ザ・ウォード 監禁病棟

★★★ 2012年1月21日(土) 新世界国際劇場 題材といい観客を置いてけぼりにする短兵急な展開といい80年代に量産されたイタリアンC級ホラーを髣髴とさせる。真摯に撮ってそうなるナイス爺さんカーペンターの真骨頂は夢幻に揺蕩うかの如きダンスシーン。ただ…

サウダーヂ

★★★★ 2012年2月13日(月) シネヌーヴォ 閉塞感が絶望や破滅みたいな高度成長やバブルの合せ鏡ではなく、ここから始める者の視点で認知されている。そのマスなカオスを描く筆力に唸りつつ、マグマがプチ噴火に終わるのが矢張りもどかしい。「鉱水」や「ライ…

最高の人生をあなたと

★★★★ 2012年3月24日(土) シネリーブル梅田1 大年増と化したイザベラの曝け出した肉体の語る年月が、設定に同期し限りなく感動的。受けるハートもプレーンで歯車はしっくり噛み合っている。過剰な物言いはしないガヴラス演出の慎ましやかと芯の通ったブレ…