★★★★ 2023年5月31日(水) Tジョイ梅田4
この手のジャンル映画をミソもクソも見まくってるわけではないが、かなり良い部類と思います。殺戮への呵責無さと殺陣のキレは「ジョン・ウィック」レベルと言っていいだろう。あれがしつこく2、3発ぶち込んでトドメを刺すのが味と言えばそうなのだが胃もたれ感があるのに比べて、こちらは1発でスッキリしてます。
引退した殺し屋で財テク成功して不動産の節税本とか読んでいる。カミさんにベタ惚れで、この緩さ大丈夫かという出だしだが、一旦ことが始まると急速にギアが入り引き締まる。この緩急もええなと思いました。
過度にストイックではなく、かと言ってギャグサイドにはビタいち振れない。この適度なフツーさが新しい。で、殺戮の際には仄かに嬉しそうだったりするのがサディスティックで狂気の片鱗もある。
ガチンコ侠気な敵リーダーや武器の売人や殺戮現場の清掃業者とか最早見飽きた定番キャラ、人身売買にロシアンマフィアに悪徳刑事とか新しいもんはない。だけどラスボスの設定は踏み越えた感がありました。
できればシリーズ化してほしい好篇。
新しいものは何もないのだが過度なストイックさや自己愛な孤独感を排した適度なフツーさがジャンルの主人公として逆説的に新しい。で尚、殺戮の容赦なさと仄かによぎる快楽への悦びが狂気の片鱗を垣間見せる。物語の落し前も踏み越えた感があり結まで美味い。(cinemascape)