映画1982
★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 泰山鳴動ポテト1個ってな感じで、所詮他人の夢話なんてそんなもんだと思う。前段の爺さん婆さんの悪魔チック所業と後段の漫画チックな怪異は地続きな感じがせず離反しまくりで見事にバラバラ。だが、意外に肝の据った…
★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 捕食し噛み砕き感化し変質させる個人史や民族史や国家史の暗喩だとしても野菜人間初出の衝撃は瞬く間に薄れワンアイデアを繰り返す芸無さが惜しまれる。有名な騙し絵の野菜公爵との近似も価値減殺か。粘土の2話・3話…
★★★★ 2025年6月7日(土) シネヌーヴォ 1982年、オリヴェイラが74歳のときに撮られたドキュメントで、40年以上住んだ愛する我が家を手放すことになり、それを契機に自分や家族、ひいては一族史みたいなのを語ってみた。言わば遺言みたいなもんかもし…
★★★ 2024年10月28日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 ずいぶん昔TV放映で見たことがあるのだけど、驚くくらいに覚えていた。それは話が単純だからだろうし、その単純さを押し破って表出する使い捨てられた者のエモーションの強度だろう。 シリーズ化…
★★★ 2024年1月11日(木) シネヌーヴォ 愛犬を殺され復讐に血眼になるトルコ嬢というのが物語の骨子なのだが、そこに絡ませ切れてないネタを大量にぶち込んで悠久の混沌とも言える時空を横断したエキセントリックハイパーナチュラルな世界が現出している。言…
★★★ 2023年6月21日(水) シネリーブル梅田4 何か得体の知れないものがジワジワと侵食してきて、つれて世界も変容していく。こういったモチーフをもとにポランスキーやリンチとか多くの映画作家が傑作をものにしてきたわけだが、クローネンバーグのこれはど…
★★ 2002年2月28日(木) 扇町ミュージアムスクエア 軽いジョークと言うなら、それにさえなっていない。本質への考察や言及もないままに一種のファッションとしてのみ取り上げられた「共産党」と「任侠」が不快であるし無惨でさえある。表層に終始した形骸。原…
★★★★ 2002年12月25日(水) テアトル梅田2 80年代にしてもアナクロな階級闘争や言葉尻に終始する「光」等相変わらずの胡散臭さだが、ゴダール帰還に当時の欧州トップの2大女優をかませクタールと再結合適った本作はやはり感慨深い。端役に至るまでの「顔」…
★★ 1993年12月19日(日) ACTシネマテーク フェリーニの祝祭やトリュフォーの愛みたいな確信犯になれる野郎じゃないとこういうのはやめた方がいい。ゴダールにせよヴェンダースにせよ頭が良すぎるお方の理屈で自己防衛する様は人事ながら見てて恥ずかしい。…
★★★ 1982年7月29日(木) 三番街シネマ1 美術スカルファオッティ・音楽モロダー・主演ナスキンと重厚なゴシック面子を揃えたが、B級ストーリーだけに今ひとつ盛り上がらない。ただ侘びしくうら寂しい孤独感に充ち充ちたムード醸成が良い。ニューオリンズの異…
★★ 1992年5月16日(土) シネマヴェリテ 腐って汁が爛れ落ちる果実の色合いと匂い。この人工美で貫徹された世界が完成度が高いと言うならそうなのかも知れない。ゲイの精神的側面ではなく肉体面のアプローチに徹したかの如き世界観は正直つらい。これがファス…
★★★★ 1982年1月24日(日) ダイニチ伊丹 調教するとかされるとかの通常この種の映画で重視される自意識の変容過程は完全排除され端から「奴隷」なる1個の物体として呈示される徹底ぶりは社会的モラリズムをぶっ飛ばす一種の爽快感さえある。小沼と組んだ前田…
★★★★★ 1991年6月9日(日) 毎日文化ホール 津軽から沖縄へと飛翔した舞台は同一モチーフをリプレイし続けた寺山の表現方法に於ける閉塞世界からの解放を感じさせた。モチーフは変わらないが多くのトリッキーな仕掛けを散りばめた伝承譚的な味付けの一大叙事詩…
★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX まっことおこんばあちゃんのためにいっしょうけんめいでかわいいのー。 とまあ、そんな程度の感想しか思い浮かびません。 かわいいといえばかわいいが、そうでもないともいえる人形が、画面占有率5割くらいでどっか…
★★★ 1990年3月31日(土) 朝日会館 使い廻しめいたUFO始めスピルバーグにしてはお手盛りの廉価ムービー。ET造形の逆説と少年少女の純粋な庇護欲の対置は鯔の詰まりピーターパン症候群なメルヘン描写に帰結する。そこには計算はあってもワンダーは無い。サ…
★★★ 2009年4月16日(木) 梅田ガーデンシネマ1 「井戸掘り」「夜のカフェの窓」「レストランでの午餐」等父娘のシーンは感情のベクトルが合致し胸を打つが、全般少女視点と親爺視点の入れ替わる構成が映画が依って立つ物を曖昧に遠ざける。静謐な語り口も意…
★★ 1990年10月27日(土) トビタ東映 物語のベクトルが拡散しまくり、何に加担して物語を追えばいいのか判然としない。そういう中でムーディに自己模倣を繰り返す工藤演出が完全にルーティーン化し浮き上がって食傷の極みである。いい題材だけに、もう少し本篇…
★★★★★ 1987年12月30日(水) 大毎地下劇場 並の集大成ではない。遥か処女脚本『もだえ』に遡上しリライトされた聖職者への嫌悪を明示し決別し、自己を否定し解放する。で、およそらしからぬ豊饒が現出した。その決意こそがもたらした圧倒的映像力。ニクヴィス…
★★ 1986年4月6日(日) 大毎地下劇場 獄中より指示しての作業でどれ位作品を支配できるのか解らぬが劇作はともかく描写は西洋文化のフィルターを通したものにしか見えなくて凡庸。切実な悲嘆や絶望は表層化され薄っぺらい。カンヌ受賞はジャーナリスティックな…
★★★ 1985年1月15日(火) シネマ温劇 命を賭して敵側に汲みする者の情念も冷戦下のモスクワが舞台という情緒も余り感じられず、ただ淡々と話が流れていってしまう。これ見よがしさが無いイーストウッド演出の特質が裏目に出て尚且つ最後は別物映画になった。流…
★★★ 2010年5月8日(土) トビタ東映 制覇の後の高位安定期の沈滞を描き、それが瓦解し行く直前で終えるという反ドラマトゥルギーに対し、任侠・実録・OVのごった煮に岡本暗黒街まで混じえた見境無きキャストの混沌が魅せる。しかし、結局は茉莉子がかっさ…
★★★ 1985年7月6日(土) 新世界国際 ホフマン女装による中年女性が魅力的とは全然思えないので、高邁なる女権論をぶっても全く空虚で面白くも何ともない。一方で、ジェンダー越境の男女往来コメディもアイデンティティの崩壊まで突き進むわけでもなく温い。た…
★★★ 1985年9月23日(月) 新世界国際 下手の横好きでも何本か撮ってれば肩の力が抜けて洒脱なムードが醸成される。トリュフォー米ミステリー翻案もの系譜上の新生面とも言えるこぢんまりしたモノクローム小品。しかし、赤川次郎原作の本邦作と違いアルダンが骨…
★★★★★ 1984年9月24日(月) 大毎地下劇場 精緻な未来造形と主人公のハードボイルドな内省文体とレプリカントのアイデンティティへの哲学的憧憬。3者の完璧な統制の奇跡的な蓋然性。未だ神話領域にいたスコットの達成した偉業。『シャイニング』未使用フィルム…
★★★★ 1984年9月24日(月) 大毎地下劇場 無菌的で夾雑物のない世界で女っけゼロ状態が醸す直球の作劇。オーソドックスな保守本流話でも状況設定でかくも魅せる映画は出来る。プロット毎のアイデアとクリーチャーの奇矯が完璧に相乗する快楽。犬のイメージを逆…
★★★★ 1984年12月9日(日) 大毎地下劇場 リブもジェンダーもロイ・ヒルにとっては関心事ではない。空に舞う無垢なる赤ちゃんの笑顔の如くに自然体で生きることは難しく偏向した思想はそういう個人の生き様を圧殺する。それを怒りや皮肉でなく優しさで被う視線…
★★★ 1983年1月4日(火) 伊丹ローズ劇場 合わぬと思ってた裕子とジュリーが思いの他山田世界に親和してるのが意外だが後年の2人を見れば然もありなむ。微妙な均衡点で世界の調和が危うくも成立した。寅屋のシーンも前後のシリーズ中では充実してる方。寅も未…
★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 削ぎ落としたのではなく描ける内容が限られてるから無機的になった。結果的に女をこますこととバイクを走らせることという事象に特化して純粋映画になることもできたろうに哀しくも角川の精神支柱はどうしようもなく浪花…
★★★ 1983年1月4日(火) 伊丹ローズ劇場 手垢のついた題材を手垢のついた役者を揃えて賑々しくリニューアルというアイデアは正月映画らしくて悪くない。しかし、何がつっぱりなのか解らん坊ちゃん中村主演ではカラーワイドの画面をはみ出すような躍動感は生じ…
★★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 確信的にやってるのか、或いは『ワタリ』や「赤影」のテイストを伝統の名のもと天然で踏襲しているのか知らないが、ただただ一言レトロであって、煎じ詰めれば良い。ただ、哀しいことに第三の新人渡辺典子にオーラが大し…