男の痰壺

映画の感想中心です

映画2005

真夜中の弥次さん喜多さん

★★★ 2005年5月14日(土) 梅田ブルク7シアター7 ファッションとしての60年代米カウンターカルチャーのパロディならムカつくが、ドラッグ依存下の「愛」への妄信的確信とトリップによる表面構造の破壊が一貫し、これは結構本質を衝いている。これをノンシャ…

宇宙戦争

★★★ 2005年7月9日(土) 梅田ブルク7シアター6 日常に突如襲い来る非日常の切り込まれる手際の鮮やかさと倍加するカタストロフの怒涛の展開には確かにテロが対岸の火事で済まなくなった時代を表象して傑作。しかし、だからこそ、後半では原作の枷を外し同時…

リンダ リンダ リンダ

★★★★ 2005年8月15日(月) 動物園前シネフェスタ3 シラケ感が抑制を与えガールズバンド的一生懸命的ダサさを相殺した点は買うが、仮初めにも、それは熱い思いと化学反応を起こし何かに転化するべきで、こうも並列配置に終わったのでは限界を感じたりもする。…

スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐

★★★★ 2005年7月23日(土) 梅田ブルク7シアター1 悪への転向過程があの程度の物語じゃ納得できぬし、元々予定調和に欠落した円環を補完するのみの物語に殊更の感興も覚えないが、全編ゴテゴテと画面の隅から隅まで遣りすぎ位に何かを飛ばし填め込み大概ウン…

甘い人生

★★★★ 2005年8月15日(月) 新世界国際劇場 これがイ・ビョンホンですか…確かに恰好いいっすな。ヨン様は理解を超えててもビョン様はわかる気がします。ただ俺としては、そういう男前野郎のプロモを技を尽くして淡々とこなすキム・ジウンも好きなんです。一塵の…

妖怪大戦争

★★★★★ 2005年8月19日(金) 梅田ピカデリー1 絶対零度の期待感で観始めたが、河童の「差別すな!キュー」で世界は鮮やかに転倒。そこからは一気呵成にバカ騒ぎに巻き込まれた。内輪の狂騒はスクリーンを隔てて容易には観る物に遡及しない。これはレアケース。…

亡国のイージス

★★★ 2005年9月3日(土) 梅田ピカデリー2 ぶれない思想軸を持つのは北鮮工作員(中井)とダイス工作員(勝地涼)のみであり、ポーズにせよ日本国体の現状を撃つと言うのなら、グダグダ言わずに東京都内にミザイルをブチ込め!2人のインサートされる背景描写…

銀河ヒッチハイク・ガイド

★★ 2005年9月17日(土) ナビオTOHOプレックス5 ロックウェルとマルコヴィッチの突出した怪演に辛うじてドラッグカルチャーの残り香があるが、あとは出し遅れの間延びしまくったフラワーカルチャーの残滓。この時代錯誤な脳天気さには嫌悪感すら覚える。…

キングダム・オブ・ヘブン

★★★ 2005年8月15日(月) 新世界国際劇場 オーランド・ブルームに誰もが夢見て成し遂げ得ない恒久平和を達成できるカリスマが微塵も感じられないので萎えまくる。万座を圧するべきクライマックスのアジテーションは台詞読んでるだけ。スコット演出はときに細密…

シン・シティ

★★★★ 2005年10月15日(土) 梅田ブルク7シアター6 徹底してマッチョな騎士道精神を描くことで一貫しており、容赦のない絶対悪を設定してのサディスティック・バイオレンスに呵責が無いことも一貫している。漫画的幼児性も漫画なのだから納得させられロドリゲ…

TAKESHIS'

★★ 2005年11月5日(土) 梅田ピカデリー3 下手で下世話な『ドッペルゲンガー』な『8 1/2』。しかも、無防備に自己陶酔した廉価な自己模倣で彩られて尚更救われない。登り詰め得た処から落ちることへの怯えは傍目に恥ずかしくとも真摯に直視すべきでスカした…

ブロークバック・マウンテン

★★ 2006年4月21日(金) シネリーブル梅田2 隔絶された2人だけの理想郷が何十年も煌き続けるにしては、恋の形成過程が早急に過ぎるのを始めそこでの心理的駆け引きが薄い。代りに写真のように綺麗なだけの風景描写を積み重ね自己満足している。アン・リー…

ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男

★★★ 2006年2月6日(月) ホクテンザ1 殺戮の加担者たることと家族を思う良識人であることのアンビバレンツを突き詰めるににしては踏み込みが浅く表層に流れ過ぎ軽い。もっと悪魔的にブラックにデフォルメしたジョークとして撮られるべき題材と思う。(cinema…

THE有頂天ホテル

★★ 2006年4月21日(金) ナビオTOHOプレックス3 笑いも泣かせも底が浅すぎて観客を嘗めてるのかとさえ思うし、ロビーのセットと他のロケシーンの繋ぎに違和感があり過ぎる。どんな規模とグレードのホテルやねん。美術設計をしてないんちゃうかと思う。…

ミュンヘン

★★★★ 2006年6月10日(土) シネマしんげき1 『シンドラー』の時代とは違い明快な答を出せない題材を選択したスピルバーグの立ち位置が物語的には苦しい。テロルの連鎖を断ち切る答は無く詠嘆的に鎮魂するしかない…というのは在り来たりと思う。随所の唸らさ…

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

★★★ 2006年6月14日(水) 新世界国際劇場 天才のことは凡人には解らないという一貫したポリシーを貫けば主人公の煮え切らないような解らなさにも芯が通るのだろうが、それでは誰も見たいと思えないものになるジレンマ。父への思いや姉との確執が妥協の産物か…

PROMISE

★★★★ 2006年7月22日(土) シネマしんげき1 導入での幽玄の極致とも言うべき女神の御宣託に規定された物語は、牛の大群で心のスイッチを切り替えれば後は成り行きを堪能しつつ見届けるだけ。そして、3人の男女の生な心の揺らぎに思わぬところから心を射ら…

SAYURI

★★★★ 2006年7月22日(土) パルシネマしんこうえん 少なくとも登場人物としては語り部たる西洋が介在せず日本・京都の中で完結する物語をアジアの看板女優3枚が支配する点、それがハリウッドの潤沢な資本で精緻な再現が試みられた点で2重3重のアンビバレ…

プルートで朝食を

★★★ 2006年8月19日(土) テアトル梅田2 どうにも華やいだ雰囲気を演出が醸し出そうとしてあざとい感じがする。オカマとして生きて行くからって無理にでも華やいでいないといかんわけじゃなかろうにと思う。しかも意識して軽薄であろうとしてる訳じゃなく天…

アンジェラ

★★ 2006年8月19日(土) 新世界国際劇場 人は一旗揚げて万能感に支配されると、こういう妄想を思い描いてしまうのであろうか…。苦節の時代の自分を投影し天与の恩恵に授かり幸福を得る。人生はそんなに甘いもんじゃないってのはベッソン以外の全員が知ってい…

ブギーマン

★★★★ 2006年8月19日(土) 新世界国際劇場 話は単純な方が良い。「クローゼットの怪物」というシンプルな骨子を若干の枝葉を絡ませただけの捻りのない話。あとは演出で押すという矜持が伺える。スティーヴン・ケイは『追撃者』で感じた小手先の鼻持ちならな…

マッチポイント

★★★★ 2006年9月19日(火) 梅田ガーデンシネマ1 何も今更と思う「罪と罰」現代版焼き直しを何の捻りもなく提示されてもとも思うが、敢えて言うなら米片田舎と英上流階級の文化と階級の相克をこそ提示したかったのではないだろうか。何をやっても巧いのだが…

ディセント

★★★★ 2006年11月11日(土) トビタシネマ 展開は在り来たりとも言えるが、救われない喪失感からの逃避と自己再生の触媒として機能しており骨太である。中年女6人の冒険譚は華やぎと抑制と嫉妬と愛情が混在して出色のムードを形成している。ラストは疑問も感…

グッドナイト&グッドラック

★★★★ 2006年11月18日(土) 新世界国際劇場 規定の事実という前提なのだろうが、マッカーシーのサディスティックをもっと前面に出した方が劇的であったと思う一方、実験的とまで言える抑制を選んだクルーニーが嫌らしくも男前とも思う。とにかく技術であって…

SHINOBI

★★★ 2007年1月6日(土) トビタ東映 取り敢えずは胡散臭い術を使う忍者がやたら出てきて体面を保ってはいるが、悲恋を描きたいならとことんやったれやと思う。木偶の坊が演じるそれはゴミに等しい。デジカメの甘いフォーカスと毛唐文字を交えたハッタリ字幕…

ヒストリー・オブ・バイオレンス

★★★★★ 2007年2月17日(土) トビタシネマ 巻頭からの唯ならぬ気合い。調和的な家庭は介入する暴力と如何様に均衡を見出すか。その答は永遠に見出すことはできないという詠嘆。『わらの犬』を想起したし、ペキンパーイズムが随所に溢れる突発的殺戮シーンに痺…

シリアナ

★★★★ 2007年3月24日(土) トビタシネマ 少なくとも西欧原理主義的立脚点から脱しアラブの視座を挿入しようとするあたり成程『トラフィック』の脚本家らしい。9・11の本質的意味を考えさせられる。米帝国主義を撃つ侠気にこそ涙しよう。余りにソダバーグ…

フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い

★★★ 2007年3月24日(土) 新世界国際劇場 みんなお母さん思いのいい子チャンで素晴らしいのだが、いい子チャンすぎて凄味が無く、血の滾るような激情の結露が今一歩に終わりもどかしい。ベタでも少年時代のエピソードのひとつくらい欲しかった。良いシーンも…

エンパイア・オブ・ザ・ウルフ

★★★ 2007年3月24日(土) トビタシネマ 自分捜しの前半は好悪半ばでナオンの演出は相変わらずサディスティックに女性を追い込んで情感を垂れ流し一応泣かせるのだが、反面チープなメディカル解読は興醒め。後半は普通のアクションに堕したが変容のインパクト…

太陽

★★★★★ 2021年10月3日(日) シネヌーヴォ 終戦時の昭和天皇を描いた作品ということで、ある筋からは凄まじい拒否感と場合によっては嫌悪感を表明されることが目に見えている。余程腹の座ったバカが現れない限り日本人の手によっては撮られ得ない種類の映画で…