映画1983
★★ 1995年8月15日(火) 天六ユウラク座 裁判映像だけで十二分に歴史的価値があるだろうに何でもかんでも付け加え過ぎて散漫。アウシュビッツなぞの映像を筆頭に法廷以外のフィルムはどこかで見たようなのばっかり。記録映像に作家性をヘタに注入しようとした…
★★★ 1994年2月12日(土) 新世界国際劇場 確かに実際の人生は白黒はっきりできることは希でボーダーラインの上を歩き続けるようなものだろう。この映画の主人公も犯人もストーリーラインも煮え切らない境界線上をすすみ続ける。微妙に特異だが、そんなに面白い…
★★★ 2002年2月28日(木) 扇町ミュージアムスクエア 蓼食う虫も好き好きで、どんな女の子を100%と思おうがかまやしないが、連れにこんな話されてもしらけるのと同じである。スティルカメラによる連続写真が通常のコマ延ばしとは違う面白い効果をあげている…
★★ 1993年5月5日(水) 新世界国際劇場 ひたすらに地味であるのだが地味であることを逆手にとって何かを意図を付加させることもない。寧ろ生真面目にSFしようとしているところが如何にもエメリッヒらしく単細胞的でカーペンターやルーカスに及ぶべくもない。…
★★★ 1993年10月30日(土) 第七藝術劇場 やり場の無い中年男の閉塞感を描いて前年の『水のないプール』にインスパイアされた脚本なのは間違いないようだがロケンロローラー裕也が何故にくたびれた中年男に拘ったのか興味深い。デビューの崔演出は手堅いが未だ…
★★ 1993年12月4日(土) ACTシネマテーク ロシア的感性とイタリア風土の相性が、どうにも合わない感が拭えないうえ、ランチの映像は平板。一方で変わり映えしないタルコフスキー印の羅列に辟易する。世界のシステムなぞ大風呂敷を広げた挙げ句に故国へのノ…
★★★★★ 1992年8月2日(日) 日劇会館 畸形要因を廃したシリーズのベーシックエッセンスの純粋形態。竹下景子という無色リアクター相手に渥美の芸も肩力が抜け伸びやか。それでも山田演出が搾り出した駅シークェンスでの2人の別離。そのつましやかな想いの錯綜…
★ 1992年10月4日(日) みなみ会館 80年代を代表するインディーズ出の3人(ジャームッシュ、カラックス、スパイク・リー)のブレイク前の作品が揃いも揃って青くて観念的なのは或る意味出来過ぎだったような気さえする。(cinemascape) kenironkun.hatenablo…
★★★ 1990年8月5日(日) みなみ会館 多くのシーンを切ったのだろう。プロットは崩壊し物語は喪失された。で、ひたすらに少年少女を肉体的に追いつめ事象を包括的にフィルムに定着することに偏愛を見出す。しかし、悲しいかな所詮は半素人のままごとにしか見え…
★★★ 2009年9月26日(土) トビタ東映 改めて「八犬伝」というのは淫猥で変態な物語だと思ったが、それを脳内筋肉バカの深作がこれ又阿呆丸出しのひろ子・広之ペアに託し、勘違いミュージックてんこ盛りて青春青汁したたる絵巻として繰り広げるのだ。結構おも…
★★ 1985年4月14日(日) 大毎地下劇場 謎の金髪美女や精神分析的アプローチを散りばめ否が応でもヒッチコックを想起させるのだが、違うのは主役2人に華が無く地味臭いこと。何を描くかではなく、どう描くかに主軸を置く映画作りはベントンの柄じゃない。遊び…
★★ 1985年5月20日(日) 大劇名画座 無機的なハートやハウアーといったキャスティングは正解と思うが、乾いてクールな情感が肝のハイテクなスパイネタにローテク丸出しのベタな侠気命の爺さんを起用して台無しにしてしまった。陳腐化したモンタージュが又ウン…
★★★ 1985年10月20日(日) 新世界国際地下 ジャッキー自身の演出は集団戦の捌き方が雑然としクリアな迫力に欠ける。スタントありきのプロットの構築をベタギャグで彩るパターンの反復は悪くもないが、そこはかとなく匂う俺様王国の嫌味が影を射す。クライマッ…
★★★ 1984年2月24日(金) 伊丹グリーン劇場 本来単純な構図の世代間の相克劇の筈が、歪な拘りで男と女の劇に執心し、実際映像に凝縮された内実のテンションもそっちが圧倒的なのだ。緒形と十朱の邂逅シーンの奇跡的達成と反するクライマックスのマグロ釣りのシ…
★★ 1984年5月3日(木) 梅田東映パラス 敵と1点相容れる要素のない完全無欠の対立軸上にこそ成立するハリーのキャラを安っぽくメロウな設定で御大自ら台無しにしてしまった。それが証文の出し遅れみたいな7年ぶりであり且つ又かのソンドラド真ん中となると最…
★★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー ランディス篇がTV版の緩くも真っ当な再生だとしてもスピルバーグとダンテは勘違いとしか思えない。そんなガキ魂を一気にブッ飛ばすジョージ・ミラーの凝縮された暗黒の焔が圧倒的。端から結まで振り切れまくりでシリー…
★★★★★ 1984年9月9日(日) 友楽スカラ座 『アウトサイダー』の変奏曲とでも言う存在であることに意味がある。広角レンズや微速度撮影を駆使した甘味料ゼロのモノクロ世界に最果ての世界の孤高な男達が深海魚のようにたゆたう。それに拮抗してレインも又向かい…
★★ 1984年9月23日(日) ニューOS劇場 完全に干涸らびた題材を干涸らびた手法で撮るという敗残の趣さえ漂うフォシー末期の作。思えば『オール・ザット・ジャズ』が運の尽きだった。アレン位の才覚があったればと思うニクヴィスト起用も今更の趣で侘びしい。…
★★ 1984年11月18日(日) 友楽スカラ座 確かに主演2人の演技は巧いのだろうが、お話が緩すぎるのだ。ハリウッド得意のマーケティング戦略に立った中庸なマニュアル映画の典型。「王子と乞食」はそれ自体で完成されている。更なる巨悪に手を携えてって、ああ何…
★★★ 1983年10月26日(水) 伊丹グリーン劇場 平素な日常も板子一枚下は地獄という話は魅力的。警察の職務に徹したプロ意識もやくざの徹底した非情さも申し分ない。ただ、脚本が不出来で転調する前後半のジャンクションが欠落してるので印象が散漫。(cinemascap…
★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 名場面集などTVドキュメントで充分なのであり不要。思い込みや決め付けでもいいから客体をひっぺがす力業がないと意味が無い。俳優・監督・評論家たちの手垢ついた証言はコラージュでさえなく凡庸に並置されただけ。作品…
★★★ 1983年4月11日(月) 伊丹グリーン劇場 森繁の渾身な成りきりこそ見物だが、クソ真面目な森谷に山本のような寝技が出来得る訳なく抑揚の無いエピソードの断片的なつなぎ合わせに終わった。角栄・佐藤・中曽根など不要で三木武吉との確執こそど真中に据える…
★★★★ 1983年5月10日(火) 伊丹ローズ劇場 散文的な丸山の資質が冷徹でも炎を秘めた根岸演出と融合し日本映画としては希な本質で欧米的なライトコメディを現出させた。C調な時任・宮崎を配し尚刻印された青春は叙情性無くモラトリアムな混迷がある。前田撮影…
★★★ 1983年5月22日(日) 伊丹グリーン劇場 4大女優が寄せ集めの感が拭えず、矢張り何度も企画に上っていた山本富士子を長女のアンサンブルが見たかった。見合いを軸に構成したのが定型的で安易。石坂の心情描写も唐突で心に沁みない。であるから矢鱈グラフィ…
★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 従来の今村的人物群像の希釈版羅列に新味が無い。人と動物の性の営みがコミューンで等位に並存するその俯瞰的視座に大して感慨も覚えぬが、それが又TV的平板な自然描写内で尚更茶番化する。『復讐』以前の緒形ならと思わ…
★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 所詮は女視点か男視点に搾らないと見る者は戸惑うばかりだろう。増村版で出尽くしたであろう原作エキスを現代劇として再構築する気概は、あったかも知れぬが悲しいまでに上滑りしていて低俗化。見るのも痛ましい。リメイク…
★★★ 1983年7月18日(月) 伊丹ローズ劇場 崇高で毅然とした魂の相克を描くに同性愛への越境はいいとして、ならばビジュアル男優の配置は余りに芸が無い。ボウイと坂本には正味うんざり。庶民的たけしが良いだけに尚際立つ。大島らしからぬ巨視観の一方で又らし…
★★★★★ 1983年7月21日(木) 三番街シネマ3 盛り込むではなく削ぎ落とすアプローチで60年代ゴダール的ポップへの回帰が図られた上でボソボソ声の優作が止めを押す。十三・さおりの硬軟助演の妙もハマり全てが理想的な上、ブニュエルな晩餐から終末示唆の午睡…
★★★ 1983年7月27日(水) 伊丹グリーン劇場 2段構成になっているのが必然ではなく場当たりにしか感じられないので散漫な印象になった。マドンナ園みどりの鈍臭さが悪くないだけに勿体無いのだが、そこはそれ遣りたい事は豊富で飽きない作りだし、武田の激情的…
★★★★ 1983年9月4日(土) 阪急プラザ 前置きゼロでハン・ソロ奪還が始まる砂漠惑星のシークェンスは正に息をもつかせない。惜しげなく投入されるキャラと魅惑的な舞台設定に心もめくるめく。レイアもジャバの掌中で艶めかしい。だが終盤のディズニーテイストに…