男の痰壺

映画の感想中心です

ゼロ・ダーク・サーティ

★★★ 2013年2月23日(土) TOHOシネマズ梅田8

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「捕獲」でなく「殺し」に行くということの是非なぞビグローの念頭には無く、代わりに大穴プロジェクトを的中・成功させた女の子のサクセス譚として語られる。頑張った自分への感傷に涙されても正直シラける他ない。前線基地の日常描写など棄て難いが。(cinemascape)

神々の深き欲望

★★ 1981年2月15日(日) SABホール

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徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き映像の構築力も薄っぺらい。(cinemascape)

一度死んでみた

★★★★ 2020年4月2日(木) 大阪ステーションシティシネマ11

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すずがヘビメタ?って絶〜対ムリやんって思ったし、予告で見た幽体離脱した堤の浮遊霊の安さにゲンナリしたりもしたのだが、何故か見てしまって、やっぱ映画って見てみないとわからんねって思った。これは、ベタを確信的に押し切った好編だ。

 

なんでも、ソフトバンク白戸家の脚本家とau三太郎の演出家の最強タッグだそうなのだが、なのに映画の批評業界はこういうCM畑からの進出に未だ冷淡な節があるみたいですな。

俺は、霊となった堤真一が、冥界の案内人リリー・フランキーとの掛け合いで、トントントントン日野の…ってやり出した途端、衝動的にこみ上げる爆笑玉を思わず飲み込んだのだが、こういった業界ネタを随所にぶち込んで軽やかにグルーヴしていく流れが澱みない。

 

まあ、話の展開はお約束通りというか、娘の親父への反目と和解みたいな規定路線に乗っかってるんだが、親父臭ネタみたいなキツメの薬味が効いて活性化されている。

それにしても、オヤジの臭いって、若い女の子にとって、それほどまでに臭いもんなんでしょうかね。つくづく娘がいなくってよかったですわ。

おもひでのしずく(2003年7月11日)

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。

仇討

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眼には眼を、歯には歯を…
残虐な殺人事件が起こる度に何百年にもわたって人々の口辺に立ちのぼる古代ハムラビ法典の余りに有名な復讐法の一節。
論旨は明快で、この論理で全てを括れたら簡単ではあるが、そうもいかない訳もある。
全ては、何百何千万という事象をたった1つの法律で「線引き出来ない」という1点に尽きるのであり
責任能力の有無」「故意か過失か」「動機の必然性(情状酌量余地)」…どれも一概には線引きできない。

今回の中学生による4歳児殺しで問われる「責任能力」の線引きも無意味で徒労だ。18歳を16歳に、そして今回の事件を機に14歳にしたってどうなるというのだろう。今後、もし小学生が赤ちゃんを殺したらどうなるか…。
社会的背景に責を求めるのも同様に虚しい。仮に心理的動機付けがもっともらしく解明されたとしても、その社会的背景を抜本的に変えることなど誰にもできないと思うからだ。

法治国家という言葉で括りこめ、強制的に千差万別の国民感情を1面的なモラリズムに押し込めることは最早時代にそぐわなくなっているのではなかろうか。
裁量権をケースによっては個に解放すべき時代なのではないのか。

 

江戸時代の「仇討ち制度」の復活を希望する。
殺された子供のご両親は件の中学生のガキを思う存分いたぶって殺していいと思います。勿論そうしたけりゃの話なんですが…。

世界にひとつのプレイブック

★★★★★ 2013年2月23日(土) TOHOシネマズ梅田2

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病み人たることからの帰還は済し崩しだが、ジェニファーのケツの据わった真っ直ぐ視線を受け、その純情を受け止める男冥利な桃源郷ワイルダー『アパート』の男女逆転倒置の素晴らしい焼き直し。ラッセルの共同体志向が加味された頂上的達成。(cinemascape)

鉄路の斗い

★★ 1981年1月11日(日) 大阪府中小企業文化会館

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映画史の進展に於いて「列車の疾走」と言うスペキュタリティが担ったであろう役割の片鱗を、この映画からは感じることはできない。レジスタンスのヒロイズムが過剰とも思わないが妄信的ではあった時代の遺物。(cinemascape)

音楽

★★★★ 2020年4月2日(木) シネリーブル梅田2

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ズバリ「音楽」というシンプルなタイトルが表すように、人類の初源的な音楽との出会いみたいなのを描こうとしている。

のだと思います。

 

喧嘩くらいしかやることない不良の3人が、ひょんなことから手に入れたベースをきっかけにバンドをやろうとする。であるが、彼らは音楽や楽器の知識ゼロなのだ。

練習だってことで、ベース2個とドラムの太鼓1個で音出してみる。瞬間、脳と内臓を直撃する振動が彼らを魅了する。ひたすらにベースをベンベンとドラムをドンドンを繰り返すことに没入する。メロディはもとより、ビートも何もあったもんじゃないが、彼らは気持ちいい。

「2001年」の猿人ミーツ道具を思わせるような人類ミーツ音楽のオリジンを思わせる。

 

同じ校内で彼らのバンド名「古武術」とカブる「古美術」なるメンバーがいて小椋佳ばりのシクラメン系フォーク志向の彼らが、古武術の演奏を聞かされる。なんですかこれの苦笑混じりのリアクションかと思いきや、コペルニクス的価値観の転倒に見舞われる。

このへん、白人ミュージシャンが黒人のリズムアンドブルースと邂逅してロックミュージックが生まれた衝撃を彷彿とさせる。

ダリの絵の中を脳味噌チュドーンみたいなベタな表現がツボで、ガハハと声出して笑ってしまったのだが、例によって俺だけでした。

 

7年もかかって1人で全部作画して作り上げたそうで、労作だが、クライマックスの町内会の催しみたいなロックフェスの凄まじいグルーヴでものの見事に報われた。