男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【よ】

陽氣な渡り鳥

★★★ 1993年6月20日(日) サンポードアップルシアター 物語は在り来たりではあるが、TV勃興以前のスターというものが如何に丁寧に数多の職人達の手で作り出されたかを偲ばせる。天性のタレントもあるにせよ、未だ少女のひばりが垣間見せるオーラに感銘するの…

夜を賭けて

★★★★★ 2003年3月17日(月) みなみ会館 ベタに生きることを恥ずかしいと思うことが恥。復興の余韻冷めやらぬ狂熱の時代を描くにはエネルギーが要る。嘗ての今村や浦山が持ち得たそれをダルな時代に叩きつけ今の時代を問い直させる。オーソドックスなカメラの縦…

欲望の翼

★★★★★ 1993年8月6日(金) みなみ会館 隔絶された虚空間で、或いは夜の静寂で決してクロスしない5人の男女の想い。登場人物たちの息詰まりそうな閉塞感を亜熱帯林に舞台を移して解放するかに見えた語り部の視座が突如、神の視座に飛躍するかのようなラスト。…

四畳半襖の裏張り

★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 宮下と江角の密室でのからみは圧倒的ではあるが、一方で粟津の挿話が全然面白くない。大正の世相をスチールで挿入した近代史観へのアプローチは上滑りで何の感慨も覚えなかった。絵沢にどやされてピーヒョロと自己研鑽…

四畳半芸者の枕紙

★★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 ただただ順子とやりたいという栩野が清々しく、そんな純情への同情から体を与える中島葵が優しく、そんな葵を労るヒモ庄司三郎との四畳半こそが本作の白眉。とことん皆優しい。そして、越境するラストには至福と地獄…

赤坂の姉妹より 夜の肌

★★ 1992年6月13日(土) みなみ会館 落日の寂寥も伸し上がりの活力も決定的に欠ける。東宝的硬質さでは大映的艶やかさが要件の物語を御しきれないので、所詮はブラジルや北海道といった新天地に希望を見出す民青的終焉に帰結してしまう。男を手玉に取ってなん…

予期せぬ出来事

★★★ 1992年7月21日(火) シネマアルゴ梅田 群像劇と承知の上で野暮言うと夫婦と愛人の話に絞れなかったのが物語の純度を低めている。それ程までにリチャード・バートンのニヒリズムが発見だったし、更にそれ以上にエリザベス・テーラーの輝きには見とれる。こ…

夜逃げ屋本舗

★★★ 1992年8月16日(日) トビタ東映 伊丹映画的なニッチ路線業界話だが、突っ込んで取材した訳でもなく緩い。前田の手堅い画作りもあり堅牢で破綻は無いが、何と言っても大竹しのぶの柄じゃないのを強引に引き寄せたクールキャラ。中村雅俊の揺るがぬ凡庸と巧…

妖怪大戦争

★★★★★ 2005年8月19日(金) 梅田ピカデリー1 絶対零度の期待感で観始めたが、河童の「差別すな!キュー」で世界は鮮やかに転倒。そこからは一気呵成にバカ騒ぎに巻き込まれた。内輪の狂騒はスクリーンを隔てて容易には観る物に遡及しない。これはレアケース。…

汚れた血

★★★★★ 1992年10月4日(日) みなみ会館 ゴダール=クタールの共闘関係に色使いで並びレンズ使いで凌駕したとも思える撮影。あまりなボウイのポップスに乗ってのザーメン臭い若者の自己解放も仏映画史を負うノワレが押さえて均衡する。まあ、格好いいものはいい…

夜よ、こんにちは

★★★ 2006年7月8日(土) 第七藝術劇場 『浅間』や『ミュンヘン』に比して手法として扇情的な描写が皆無に等しいのはいいのだが、そこから何を提示したかったのかが今一見えてこない。テロルの「時代」を問うこともなく人間の葛藤や尊厳を突き詰めて提示され…

夜顔

★★★★ 2008年1月19日(土) テアトル梅田1 老醜と変態が滲み出るかの如きピッコリのアル中演技から一瞬たりとも目が放せず、それだけでも必要十分だが、怒涛の終盤に叩き込まれた意匠(箱や雄鶏)が醸すブニュエルへのオマージュ。2人の爺さんのシュール趣…

妖怪大戦争 ガーディアンズ

★★★ 2021年8月19日(木) 大阪ステーションシティシネマ10 全然期待もしてないのに、なんで見てしまったのだろうか。思うに俺は2005年の前作がすご〜く好きで、その年のベストワンにしているほどだったので、あの半分でも面白けりゃとでも思ったんでしょ…

Mr.レディー 夜明けのシンデレラ

★★★ 1990年2月18日(日) セントラル劇場 「おかま」であることの本質には言及せず一昔前の調和的人情世界にしか物語が展開しないのが所詮限界とも思うが、それが一種心地よくもある予想外に良く出来たコメディ。想像以上の赤塚、小野寺等のカマ演技に俺は徒花…

蘇りの血

★★★★ 2009年12月19日(土) シネリーブル梅田2 舌足らずとも思うが一徹に言いたいことを言おうとしている。それは全てに抗した者のみが愛を全うできるというみたいなことだろうか。『羅生門』な森林と『山椒太夫』な湖畔が彩る似非中世のアンビバレンツとパ…

4ヶ月、3週と2日

★★★★★ 2010年2月4日(木) 天六ユウラク座 不安と焦燥と苛立ちと遣り場無き怒りにまみれた1昼夜の顛末。直裁に呈示される剥き出しの女の生理は即物的な余りハードボイルドに近似しゆく。崩壊の臨界で踏みとどまった主人公は真夜中の彷徨の果て狂騒の対岸で…

世にも怪奇な物語

★★★★★ 1986年1月3日(金) SABホール 暗黒が日常に介在する近世にそれを求めた2人に対し、一見無縁な退廃と人工灯のバリバリ現代の次元の狭間に予想外の地獄を見せるフェリーニ篇が発想の根源で勝っている。深夜の高速道路で佇む少女は時を越えて「童夢」…

妖婆 死棺の呪い

★★★★ 1986年1月3日(金) SABホール 牧歌的世界の怪異小話としてパラジャーノフ的くすんだ原色が味わい深く、まあ悪くないと嘗めていると、やがて始まる3夜の祈祷が夜毎に凄みを増して行き一種のカタストロフィにまで達してしまう。驚天動地の弾け具合。(c…

汚れた英雄

★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 削ぎ落としたのではなく描ける内容が限られてるから無機的になった。結果的に女をこますこととバイクを走らせることという事象に特化して純粋映画になることもできたろうに哀しくも角川の精神支柱はどうしようもなく浪花…

八日目の蝉

★★★★★ 2011年5月28日(土) 梅田ブルク7シアター3 今更コンセプトの作劇かと思うそばから拡散し逸れていく展開を要所で締める小池や余の重石としての存在の快楽。その役者陣の間隙を貫く若き井上真央の圧倒的スーパークールな佇まいこそ肝だろう。ベタにな…

48時間

★★★ 1983年11月12日(土) 阪急シネマ キャラの設定に過剰さが足りなく過不足なさすぎで物足りない。「白と黒」「重と軽」「暗と明」といった設定は使い回されたコンビネーションなのだから、満を持してのマーフィ登用なら更なる劇薬たり得てほしかった。ヒル…

弱虫ペダル

★★★★ 020年8月21日(金) 梅田ブルク7シアター4 全篇の2/3くらいをロードレースのシーンに費やしている。ほとんどのシーンで被写体が走り続けるわけだから、いやが応にも画面は躍動し続ける。これはシュアな選択だったと思う。 アニオタ道がスッパリ削…

夜の大捜査線

★★★★★ 2012年8月25日(土) TOHOシネマズ梅田10 古典的正確さから遠いがジュイソン演出の味は今もってキュート。白眉は荘園主訪問のシークェンス。露骨な作為が周回してど真ん中を射る。背筋の伸びたポワチエと屈託を抱えた猫背のスタイガー。2人の反…

夜は短し歩けよ乙女

★★★★★ 2020年6月12日(金) TOHOシネマズ梅田4 湯浅政明、初見です。 この映画、3年前の公開時に見に行って開始数分前まで席に座ってたんですが、やむを得ない電話が入って退席しました。 もし、あの時見ていたら「ルーのうた」とか「きみ波」とかも見…

横道世之介

★★★★ 2013年3月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 世之介のキャラは強固な太陽ではなく周囲の偏向キャラに照射され追憶に光を留める月光として介在するのが良くも悪くも吉田修一的。濃密な80年代の空気と吉高の愛くるしい笑顔で十二分に持ってい…

ヨコハマBJブルース

★★★★ 1981年6月3日(水) トーエイ伊丹 優作の思い込みが高結晶化し日本映画に馴染まないチャンドラー的乾いたハードボイルドを現出させた。物語に大した意味など全く求めぬ中、同類項裕也と浸りきって演じる2ショットはスゲーの一言。全篇スタイリッシュで格…

用心棒

★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 一塵の風と共に仲代登壇以降はヒリヒリする腹の探り合いが物語を引き締めるのだが、相対する勢力のバカさが黒澤流カリカチュアの形骸を露呈する。切り落とされた腕を犬が銜えて走る町にしては荒みが足りないのだ。既…

よこがお

★★★★★ 2019年7月29日(月) テアトル梅田1 煎じじ詰めれば、ストレートな受難譚であるし、前々作「淵に立つ」の浅野のような理解不能の怪奇人物が登場するわけでもない。 だが、全篇を覆う不穏な空気の濃密さは抜きんでていると思う。 正直、俺は途中まで時…

醉いどれ天使

★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 三船も山本も格好つけ過ぎで本物のヤクザには見えない。大体、自滅しゆく男は放置すればいいのであってヒューマニズムの医者は余分だし多分に形骸的。闇市セットも造形美には遠く、ましてや独表現主義的幻想シーンをや…

夜明け

★★★ 2019年1月19日(土) シネリーブル梅田4 そもそもに、川っぺりで倒れていた青年を見つけて家に連れ帰って介抱しようとするってのに違和感。 現代の日本で普通はそうしない。 119番にTELするだろう。 まあ、それは訳があったってことなのだが。 こ…