男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【はは~はん】

バベル

★★★★ 2007年5月19日(土) ナビオTOHOプレックス3 日本とモロッコの挿話が数枚の写真でしかリンクしない等、構成の強度は脆いし新味も乏しい。しかし、一見今更の喪失や鎮魂の中から最終的に抽出されるのは子供に対する大人達の思いと次世代への希望に…

バロン

★★★★ 1991年6月1日(土) みなみ会館 思い込みが激しすぎて相当にダラダラした物語だし、時には丸っきり漫画レベルの稚戯でしかないのだが、金に飽かせぬここまでの徹底ぶりには敬意をはらいたくもなる。カメオが効いておりロビン・ウィウィアムスが特に凄く深…

ハリウッドにくちづけ

★★ 1991年7月7日(日) 祇園会館 『スタ誕』の昔からめんめんと語り継がれる食傷気味なハリウッド内幕再生物語に何ひとつ新味ある解釈を加えずに御用監督に成り下がったニコルズ演出も黄昏の醜態を晒す。せめて、リアリズムかコメディか位は明確にしてほしかっ…

パンズ・ラビリンス

★★★★ 2007年10月20日(土) シネリーブル梅田2 少女の母への想いが醒めて見えるほどに退いた視座を保持している。過度にサディスティックな義父や偏執的にグロテスクな迷宮に対しても同様に均質な距離を感じ、逆説的に構造の歪さを増幅する。ラストの違和感…

バンテージ・ポイント

★★★ 2008年3月13日(木) 梅田ブルク7シアター3 反復される時間軸が徐々に伸延される様には快感がある。ただテロリズムの本質を私利に堕させる浅薄な展開や権力への従順な盲信や場違いな親爺の勘違いヒロイズム等又かとうんざり。手法には茫漠とした混沌の…

パラノイドパーク

★★★★ 2008年4月19日(土) テアトル梅田1 何も主張せず状況だけを切り取って散文的であることに徹するようにも見えるが、文字通りの普通の良い子をこうも完膚無きまでに体現されると観る者は肩入れせざるを得ない。そのキャスティングにサントの主張が凝縮…

ハンコック

★★★ 2008年9月4日(木) 梅田ブルク7シアター1 ウィル・スミスの神話領域への到達かとも思わせるカリスマ。孤独と連帯を抽出した前半は真に傑作であった。ところが唖然とする唐突な展開。セロンとの絡みは伏線の張りが無さすぎで台詞で説明される真相には…

ハプニング

★★★★ 2008年10月1日(土) 新世界国際劇場 一種異様とも言えるほど底浅の夫婦を登場させたことで、臭いまでのクライマックスに真実味が降臨。わけても妻デシャネルの造形は素晴らしい。更にそれがシャラマンの計算ではなく天然ボケらしいのも好ましい。変態…

バーン・アフター・リーディング

★★★★★ 2009年4月25日(土) TOHOシネマズ梅田9 どう転がるか予測不能の奇天烈展開が何をも語らず消え入るかの如き収束を迎えるとき、俺はコーエンの哄笑を確信する。タイプキャストのキャラを精緻の限りを尽くして演じる3人の男達。幸福な映画王国の共…

春来る鬼

★★ 1989年4月23日(日) 長崎東映シネマⅡ 脚本の菊島や三船、津島といった配役に旭の黒澤への憧憬が窺える。男が一途に思い続けた熱き衝動をこれ以上ない実直さでスクリーンに刻んだのだろう。ただ余りに実直すぎて何がおもろいのかさっぱり判らん気の毒な結果…

バベットの晩餐会

★★★★★ 1989年6月17日(土) セントラル劇場 幸せに多少は惹かれても慎ましやかな生き方を選択した姉妹の長い人生に捧げられた至福の1夜。謙虚に絶対の天才を隠していたトリックスター、バベットが舞い降りた幸運を機にスパークさせる奉仕の演舞。豪奢な料理の…

パンドラの匣

★★★★ 2009年10月30日(金) テアトル梅田2 気障と洒脱のギリギリ境界で均衡する日本映画で希な粋。困難とも言える台詞が浮かないのはキャスティングの妙ゆえであり、川上未映子の放つ関西弁の文学臭は肝だ。リリカルだが一歩退いた視座はアーヴィング的でさ…

母なる証明

★★★★★ 2009年11月3日(火) 2009年11月3日(火) 梅田ブルク7シアター7 場を丸ごと切り取る事での状況への臨場性は今村的でもあり、遍き不穏な空気の内在は黒沢清的でもあり、その最高ランクでの融合がボン・ジュノだという事を確認。そして、曖昧な混沌で…

反逆兒

★★★★ 2009年11月5日(木) 梅田ブルク7シアター4 『総長賭博』もかくやのロジカルな構築で繰り広げられるのっぴきならない展開。嫁姑の狭間で翻弄され怒濤の如くに転げ堕ちる錦之助には涙を禁じ得なかった。大芝居と腹芸のぶつかり合いの中、信長(月形)…

薔薇の名前

★★★ 1988年9月15日(木) セントラル劇場 何が出るのか分からないおどろおどろした前半はムード醸成に成功しているが、急転直下の謎解きが如何にも駆け足で途端に陳腐化するセット美術も含めて一気に尻つぼみ。結局は謎解き探偵ものの範疇に収まってしまうには…

パリ、テキサス

★★★★★ 1986年2月15日(土) 大毎地下劇場 寄り添って生きることは苦しいが、喪失は更に耐えようがない。しかし、自己完結な放浪では傷は癒えず、直面し相対することでしか状況は打破できないのだ。そして、少年は大人達を後目に成長を続ける。一点一画を揺るが…

パレード

★★★★★ 2010年2月23日(火) 梅田ブルク7シアター2 行定演出が手慣れてエッジが効いてない感もあるが、この混沌の呈示の仕方には惹かれる。今という時代を冷徹に照射する為には、此岸に立ち返った帰結に凡するより彼岸に埋没しゆく地獄をこそだ。役者たちの…

バレンタインデー

★★★ 2010年4月24日(土) 新世界国際劇場 凡庸な主軸ストーリーを多くのサイドストーリーの小粋さでカバー。スクリーンの若かかりし自分の前で大見得を切るマクレーンも微笑ましいが、ジュリア・ロバーツとアン・ハサウェイの挿話が図抜ける。2世代女優の橋…

パリのランデブー

★★★★★ 2010年3月31日(水) 梅田ガーデンシネマ1 3話とも、これ程までにとことんシニカルでいて温和な視線を保持できる境地に憧れるし、全て、本来は物語が開始されるべき地点でブツ切りのように終了させられるのだ。その語り部たる絶対的自信と覚悟。2話…

パリより愛をこめて

★★★ 2010年5月25日(火) 梅田ピカデリー4 殺戮の底浅の余りの軽薄に不快ボルテージが上昇。クソに等しい起と承だが、転がり出した折り返しでの腹芸の切れと高速道でのチェイスで加点した。この題材なら『愛をこめて』よりマルセイユを青息で駆けたハックマ…

パラノーマル・アクティビティ

★★★★ 2010年5月26日(水) 新世界国際劇場 固定の暗視映像の片隅の変異を固唾を呑んで凝視しすることで、安易なアップやコマ伸ばしや字幕やマーキングに飼い慣らされた俺たちの受動姿勢があからさまになる。だから、ロクに何も無いことこそ意味がある。某御…

春との旅

★★★★★ 2010年5月26日(水) 梅田ブルク7シアター3 若干説明的に過ぎるかと思える台詞に血肉を与え強引に納得させる役者群の技量と、スタティックに強固な吸引力でそれを定着させる演出とカメラは圧倒的。多くの『東京物語』変奏バージョン中、これを屹立さ…

パリ、20区 僕たちのクラス

★★★★★ 2010年6月30日(水) テアトル梅田1 どっかの国みたく崩壊してるかに見えても決定的に違うのは真剣な対峙があり、教師も生徒も全くシニカルではないが甘えも皆無なこと。背負ってるものが膨大だからだ。結局何も解決されず救済もされないが、それでも…

ハリーの災難

★★★ 1985年11月15日(土) 戎橋劇場 ドタバタらしきものが繰り広げられるが登場人物の誰1人感情移入を許さないと言うのは、人間感情に関心の無い冷徹ヒッチの深層心理の表出作との意味で真性カルトと言えるかも知れぬが余りにも面白くない。特筆すべきはロバ…

ハロルドとモード 少年は虹を渡る

★★★ 2010年9月11日(土) シネヌーヴォ 現実逃避にしか見えぬ少年の奇行の果てに正体不明の婆さんがいたわけだが、人生訓めいた更正方向ではなく閉じた世界に2人で埋没してゆく被虐性には一応惹かれる。ただ、余りに語られぬバックボーンゆえに所詮は絵空事…

バンコック・デンジャラス

★★★ 2010年10月15日(金) トビタシネマ メロウで内省的な描写の積み重ねで描かれる殺し屋は、ジョン・ウーの『狼』に近似。プラハからバンコクへと飛ぶ展開や殺しシーンの精緻に風俗の猥雑が渾然となった序盤30分はパン兄弟演出の白眉。だが、以降は展開…

晴れ、ときどき殺人

★★★ 1984年9月16日(日) トビタ東映 1軒の屋敷で繰り広げられる密室劇を、とにかく1画面内に多くの登場人物をギュウ詰めにひしめかせて見応えはある。しかし、角川第三の新人渡辺典子が非個性的で重く弾けない。ただ、その弾けなさが嫌いじゃない。(cinemas…

パリの調香師 しあわせの香りを探して

★★★★ 2021年1月23日(土) シネリーブル梅田2 ある技能における天才と凡人ドライバーの組み合わせという点で「グリーンブック」を、クスブった俺に高値の花の彼女がなぜか、っていう点で「ロングショット」を思わせる。 成功の要因の第一は主演のエマニュエ…

バーレスク

★★★★★ 2011年4月23日(土) 高槻セレクトシネマ1 1人のタレントを活かす為だけに奉仕するプロットが連なる快感。陳腐を恐れぬトラッキングやズームのカメラ使いと編集のカットバックも強度抜群。男はあっさり許されライバルも難なく復帰。その成し崩しな終…

パラダイス・キス

★★★★ 2011年6月11日(土) なんばパークスシネマ4 抑圧から自立へ向かう少女の葛藤が所詮は受動的であっても、穴が多い構成がマニュアルな感動へと強引に収斂されても俺はかまわない。この怒り、泣き、笑う景子ちゃんの顔面ショーの感動。特に終盤は今の彼…