男の痰壺

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パリは燃えているか

★★ 2024年2月23日(金) プラネットプラスワン

オリジナルが3時間なのに対して見たのは2時間半の短縮版、フランス語版がベターだろうが英語版、おそらくシネスコだったろうがスタンダードへのトリミング版、と満身創痍のものを鑑賞したってのを割り引いても後半の展開にはうんざりした。

 

ドイツ占領下のパリ各所での出来事が点描される前半は良い。反攻に迅るレジスタンス左派を抑えようとドゴール派のアラン・ドロンスウェーデン領事のオースン・ウェルズを動かしてドイツへ移送される直前のレジスタンスの大物を釈放させようとする。このシークェンスは大規模なロケセットとエキストラも分厚く見応えがある。しかし、結局は救出作戦は失敗に終わる。そして、失敗に終わったことが後の展開に影響したとも思えない。だったら何の為のシークェンスだったのかっちゅう話。

 

総じてこの映画、起こったトピックスを分断的に並べてるだけで歴史的に作戦の大きな流れがどう形成されていったのかが全くおざなり。パリを迂回するつもりの連合国軍にレジスタンスの派遣者がパリ侵攻を進言しにいく件りなんてサスペンスの欠片もありません。代わりに後半では沢山のスターさんたちが顔見せ的に現れては消えていく。それらのシーンは無くても全然問題ないもんばっか。何だかバカバカしくなりました。

 

コッポラが脚本に名を連ねているが、アメリカサイドを担当したのならクソみたいな仕事したと思う。まあ、ああせえこうせえ言う奴らがおったんやろうけど。

どうしたってこの映画が盛り上がりようがないのは、パリが無傷で開放された立役者は、レジスタンスでも連合国軍でもなく、ゴールドフィンガーことゲルト・フレーベの演ったドイツの占領軍指揮官であったという歴史的事実のせいなんすけどね。彼は名演だったと思います。

 

パリが燃えなかったのはレジスタンスの踏ん張りや連合国軍の侵攻のおかげでは更々なくて一重にドイツ占領軍司令官の命を賭してのヒトラー無視によるんだから話の立て様がない。チョイ出て消えるスター連の意味の無さ。フレーベ中心に組み直すべきだった。(cinemascape)

 

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