男の痰壺

映画の感想中心です

逃走迷路

★★★ 2022年9月11日(日) プラネットプラスワン

北北西に進路を取れ」の原型との話を何かで読んだような記憶がある。身に覚えのないことで追われるハメになる男の話であり、クライマックスの舞台にアメリカの有名景勝地を持ってきている点などモチーフと構造が似ている。

ただ「北北西」がほんとうに何で逃げてるのかチンプンカンプンで、得意のマクガフィンをこれでもかと適合させて尚違和感がないという絶対映画の域に達してたのに比べて、こちらでは反政府の破壊工作組織に濡れ衣を着せられるというリアリズムの尻尾が見える。

 

それにしても、違和感が横溢する映画だ。組織の大者らしい農場主をめぐるエピソードのノホホンとした緊張感の無さや、途中から同道するヒロインの反駁しながら恋に落ちる過程のテキトーさなど。ヒッチコックが常套的サスペンスや恋愛のリアリティに何の関心もなかったのがよくわかります。

 

さすがにラストの自由の女神でのシークェンスはアングルの切り方の特異さが連続して魅せるんですが、後期のヒッチコック映画の根っ子を形成するサディズムとユーモアは未だ垣間見ることはできないのです。

 

農場主エピソードの緊張感無さや同道するヒロインが恋に落ちる過程のテキトーさなど違和感が横溢し常套サスペンスや恋愛リアリティに関心もなかったのがよくわかる。ラスト自由の女神でのシークェンスはアングルの切り方の特異さが連続しさすがに魅せるけど。(cinemascape)

 

kenironkun.hatenablog.com