男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【そ】

ゾンビスクール!

★★ 2016年7月9日(土) 新世界国際 覚悟をもって作られたもんではないことは百も承知だが、にしても子供に遠慮しすぎで幼稚園のお遊戯会を見てるよう。どうせならガキゾンビを八つ裂きにし首すっ飛びーの手足引き千切りーのくらいやったらどやねん。こいつら…

続 青い体験

★★ 1976年8月21日(土) 伊丹グリーン劇場 どうにも慎みというものがイタリアン小僧には無いので、生さぬ恋の暗い情念などが発生しようもなく、大体モモ如きボンクラが両手に花の美味し過ぎる環境に置かれるのは映画とはいえ理不尽に過ぎる。その物語的怠惰を…

続・夕陽のガンマン 地獄の決斗

★★★ 2016年10月20日(日) 大阪ステーションシティシネマ7 冒頭ラストの各10分は得意の縦構図とクローズアップの快楽モンタージュで殿堂入り級だが残り大半は弛緩。ミニマムなアウトロー講談に南北戦争という大状況を加味しキャラが振り回され凡化し…

続・深夜食堂

★★★ 2016年11月6日(日) MOVIXあまがさき9 第1作もTVシリーズも未見。 野郎どもは概ね見た顔だが、第1話(河井青葉)と第2話(小島聖)のヒロインに馴染みがない。 2人ともどこか薄幸な感じが良いキャスティングセンスで見飽きた佐藤浩市や池…

そして僕は途方に暮れる

★★★★★ 2023年1月24日(火) TOHOシネマズ梅田4 三浦大輔は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」がダメ男を描いて精彩を放っていたが、今作でも再びダメ男を描いて異彩を放っている。素ん晴らしいと思う。自分がダメなことを思い知ってクソったれーと男の意地で…

双生児

★★ 1999年10月2日(土) みなみ会館 大正時代をこういう前衛的モダニズムで描くやり方にウンザリ。『天国と地獄』を悪方向にカリカチュアしたかのような貧民街など最低の解釈。メイク・衣装を含めた表層的虚仮脅しは見る者を入れ替りのもたらす恐怖の本質から…

“それ”がいる森

★★★★ 2022年10月(日) MOVIXあまがさき6 その日、俺はダグラス・サークの未公開作を見に行くつもりだったんですが、おそるおそるカミさんに今日どないすんねんと聞いたら、通常返ってくる「しんどいから家におる、どっか行きたいなら好きにし」ではな…

その夜の妻

★★★ 1994年3月5日(土) ACTシネマテーク モノクロ無声の画面に緊張感はあるものの、この今一歩感は小津の志向がラング的なものよりスタンバーグ的なものにあるからだろう。造形的な面白味は希薄。寧ろ時を経て驚愕させられるのは岡田の圧倒的2枚目振り。…

ソードフィッシュ

★★★ 2001年11月10日(土) 梅田東映パラス いきなり街中でマシンガン乱射しまくるトラボルタの違和感がキャラ創造の練り込み不足を露呈させ、冒頭の100倍伸ばしは鬼面人を威すのガジェットありきにしか見えぬので低脳感が横溢する。映画薀蓄含め思い付きの…

SO WHAT

★★★ 2002年2月23日(土) 扇町ミュージアムスクエア 初期大友テイストのグダグダな停滞感が無くのっぺりツルンとした凡作。何かどこかで見たような青春モノらしき設定やキャラクターが継ぎ接ぎされてはいるが全て借り物の印象。松竹カラーに染められて山川は『…

続・男はつらいよ

★★★ 1993年5月5日(水) 日劇会館 シリーズ中でも水準高く、ふられシーンも痛切なのだが、江戸っ子の寅のお袋に浪花言葉の蝶々ってのが違和感を禁じ得ない。夢想の世界の寅さんに現実のシビアさを割り込ませる山田流はテイストの範囲でよく、これは本質に関与…

続・新悪名

★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ いいかげんなタイトルが甚だしく興を削ぐし、最早シリーズの根幹を左右する事件も起きる訳でもない。だが、シリーズ主幹田中徳三の再登板もあり安定的な円みと弾力が全篇を支配。スタッフもキャストも4作目ともなると最も…

続 荒野の用心棒

★★★ 2003年2月4日(火) トビタシネマ ハイキーで空を飛ばした泥濘のゴーストタウンが強烈で、そこを棺桶引きずって歩く主人公の造形が鮮烈だが、どうにもポリシー無さそうなキャラで損してる。メキシコ、南軍両敵方首領のキャラ良く、ラストのタメと決めが調…

ソナチネ

★★★★★ 1993年6月17日(木) 梅田ピカデリー3 ルイ・マル『鬼火』と並べてもいい「死にたい男」の厭世観が蔓延するキタノ・ブルー代表作。死に場所を探すでもなく唯待ち続ける倦怠感が沖縄の海と空の空虚さに助長される遣り切れなさを精緻に描いて奇跡的な達成…

狙撃

★★★★ 1993年7月11日(日) 日劇シネマ 若大将以降を模索する加山の真摯な虚無表現と森のパロディ手前のダンディズム。一歩違えば大滑りなところを生真面目に斜に構えず事を行い格好がついた。そういう作り手の姿勢に好感を覚える。堀川も『黒い画集』の冷徹さ…

卒業旅行 ニホンから来ました

★★★★ 1993年9月15日(水) 梅田劇場 ベタも2乗すれば突き抜ける。リアルな日常へ介入する卒業旅行という儀式が超絶非日常への隠し扉になりメフィストフェレスに誘われ目眩く酩酊へと飛翔する麻薬的な螺旋構造。感傷と郷愁を狂熱でごった煮したお祭り騒ぎ。そ…

早春

★★★ 1992年2月9日(日) 日劇シネマ 些細な兆候とかほころびなら小津の範疇であろうが、ダイレクトに不倫だと相変わらずの確固たる筆致ではあるが描くに持ち駒が足りない感じだ。何だかこそばゆく恥ずかしい。それが良いと言われればそうも思うのだが。破れ鍋…

訴訟

★★★★ 1992年4月29日(水) トビタシネマ 外づらと内づら・父と娘・正と悪といった対立要因を直截に織り込んだクリアなシナリオを良い役者たちが演じて滋味深い。仕事と私情は別ものというプロとして当たり前の自意識の底には、しかし愛がある。何かを信じれた…

続・座頭市物語

★★ 1992年6月21日(日) 高槻松竹 虚無感の塊みたいな1作目での天知茂の存在感に対して本作の若山富三郎には虚無感が似合わなく、しかも、市との関係もピリピリした緊張感を出せない設定にしてしまった。三隅と森の演出力量の差も一目瞭然だ。(cinemascape) k…

早春物語

★★★ 1985年9月21日(土) 友楽スカラ座 淡色のイメージで統一された手堅いだけが取り柄の映画と言ってしまうと身も蓋も無いが澤井演出は何のハッタリもなく悠然としている。だからって何なんだと言ってしまうとそれまでだがなかなかできることではない。思春期…

それでもボクはやってない

★★★ 2007年2月10日(土) ナビオTOHOプレックス8 常套句のように言われるTVのルポで充分…が聞こえてこないのも不気味だが、判決を述べる判事の見解は隙がなく冷徹な視線ではある。ただ、その程度のものを期待していたのではない。このアプローチなら…

その日、カレーライスができるまで

★★★★ 2021年9月5日(日) シネリーブル梅田2 まあ題名のとおりカレーを作るわけだが、そこまでモノマニアックではない。食材や香辛料に凝ることもなく市販のルーを放り込むごく一般の作り方であろうと思われる。 冒頭、雨の中、主人公が食材を買って安アパ…

博奕打ち 総長賭博

★★★★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 仁義の名の下に筋を通さざるを得ないことが三島が喝破したようにギリシャ悲劇めいたのっぴきならない破綻に向かっての驀進へと繋がる。笠原のロジカルすぎる構成と受けた山下の積み重ねてきた仕事が結実したため息の出るほ…

その土曜日、7時58分

★★★ 2008年11月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 描きたいことが終盤に差し掛かり判明するにつれ、こういう手垢の付いた多元的時制の反復は不要だったと惜しまれる。直線構造でギリシャ悲劇のようなホフマンとフィニーの対峙が見たかった。それを為し得る2人…

その木戸を通って

★★★ 2009年1月17日(土) シネリーブル梅田2 泣くにも泣けぬ持って行き場無い遣り切れなさだが、中井の人生での淡い華やぎの数年間を親世代のフランキー・井川・石坂は慈愛で見守る、その至福。日本版『心の旅路』的小世界に異論無いが、矢張りこの画質と軽…

その男ヴァン・ダム

★★★★ 2009年3月28日(土) 新世界国際劇場 虚実が混在する作劇は混沌として明快でもないが「実」の部分が決定的に泣かせる。ヴァン・ダムの本気が伝わるからだ。で、「虚」部分も結構本気だったりもするから尚嬉しい。2回の長回しを含めた銀落しシネスコ撮…

それでも恋するバルセロナ

★★★★ 2009年6月27日(土) なんばパークスシネマ6 等身大・天然・ド天然という女のサンプリングを『旅情』的シチュエーションにはめ込み動かす作者の影が消え、行きつ戻りつの惑う等身大女の心根が前面に出る意外な素直さ。そして、落としどころに垣間見る…

ゾンビ・ストリッパーズ

★★★ 2009年6月27日(土) トビタシネマ 安い序盤に辟易感があるが、ストリップ小屋に舞台が移ってからは、それなりにおもろい。ゾンビ化した女に野郎どもが興奮する理解不能の境地はズル剥け天国と頭蓋爆裂とオ○コ圧連射で無我に至る。先行したロドリゲスに…

その男、凶暴につき

★★★★ 1989年8月13日(日) 長崎東映シネマⅡ 1995年2月12日(日) ACTシネマテ―ク 通行人が巻き添えで撃たれるところが『フレンチ・コネクション』を想起させる以外は、快感をもたらす映画的カッティングのリズムから遠く隔たった地平で孤絶した厭世感を叩きつ…

卒業

★★★★ 1975年11月10日(月) 梅田地下劇場 どうしてこのプチブルガリ勉チビすけ野郎がモテモテで親子どんぶり食い放題なのか?人生の矛盾を感じつつ、しかしS&Gの感傷的なメロディをバックに流れる流麗な画面には否応なく惹きつけられた俺…未だ青かった。(…