男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【そ】

続・男はつらいよ

★★★ 1993年5月5日(水) 日劇会館 シリーズ中でも水準高く、ふられシーンも痛切なのだが、江戸っ子の寅のお袋に浪花言葉の蝶々ってのが違和感を禁じ得ない。夢想の世界の寅さんに現実のシビアさを割り込ませる山田流はテイストの範囲でよく、これは本質に関与…

続・新悪名

★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ いいかげんなタイトルが甚だしく興を削ぐし、最早シリーズの根幹を左右する事件も起きる訳でもない。だが、シリーズ主幹田中徳三の再登板もあり安定的な円みと弾力が全篇を支配。スタッフもキャストも4作目ともなると最も…

続 荒野の用心棒

★★★ 2003年2月4日(火) トビタシネマ ハイキーで空を飛ばした泥濘のゴーストタウンが強烈で、そこを棺桶引きずって歩く主人公の造形が鮮烈だが、どうにもポリシー無さそうなキャラで損してる。メキシコ、南軍両敵方首領のキャラ良く、ラストのタメと決めが調…

ソナチネ

★★★★★ 1993年6月17日(木) 梅田ピカデリー3 ルイ・マル『鬼火』と並べてもいい「死にたい男」の厭世観が蔓延するキタノ・ブルー代表作。死に場所を探すでもなく唯待ち続ける倦怠感が沖縄の海と空の空虚さに助長される遣り切れなさを精緻に描いて奇跡的な達成…

狙撃

★★★★ 1993年7月11日(日) 日劇シネマ 若大将以降を模索する加山の真摯な虚無表現と森のパロディ手前のダンディズム。一歩違えば大滑りなところを生真面目に斜に構えず事を行い格好がついた。そういう作り手の姿勢に好感を覚える。堀川も『黒い画集』の冷徹さ…

卒業旅行 ニホンから来ました

★★★★ 1993年9月15日(水) 梅田劇場 ベタも2乗すれば突き抜ける。リアルな日常へ介入する卒業旅行という儀式が超絶非日常への隠し扉になりメフィストフェレスに誘われ目眩く酩酊へと飛翔する麻薬的な螺旋構造。感傷と郷愁を狂熱でごった煮したお祭り騒ぎ。そ…

早春

★★★ 1992年2月9日(日) 日劇シネマ 些細な兆候とかほころびなら小津の範疇であろうが、ダイレクトに不倫だと、相変わらずの確固たる筆致ではあるが描くに持ち駒が足りない感じだ。何だかこそばゆく恥ずかしい。それが良いと言われればそうも思うのだが…。(cin…

訴訟

★★★★ 1992年4月29日(水) トビタシネマ 外づらと内づら・父と娘・正と悪といった対立要因を直截に織り込んだクリアなシナリオを良い役者たちが演じて滋味深い。仕事と私情は別ものというプロとして当たり前の自意識の底には、しかし愛がある。何かを信じれた…

続・座頭市物語

★★ 1992年6月21日(日) 高槻松竹 虚無感の塊みたいな1作目での天知茂の存在感に対して本作の若山富三郎には虚無感が似合わなく、しかも、市との関係もピリピリした緊張感を出せない設定にしてしまった。三隅と森の演出力量の差も一目瞭然だ。(cinemascape)

早春物語

★★★ 1985年9月21日(土) 友楽スカラ座 淡色のイメージで統一された手堅いだけが取り柄の映画と言ってしまうと身も蓋も無いが澤井演出は何のハッタリもなく悠然としている。だからって何なんだと言ってしまうとそれまでだがなかなかできることではない。思春期…

それでもボクはやってない

★★★ 2007年2月10日(土) ナビオTOHOプレックス8 常套句のように言われるTVのルポで充分…が聞こえてこないのも不気味だが、判決を述べる判事の見解は隙がなく冷徹な視線ではある。ただ、その程度のものを期待していたのではない。このアプローチなら…

その日、カレーライスができるまで

★★★★ 2021年9月5日(日) シネリーブル梅田2 まあ題名のとおりカレーを作るわけだが、そこまでモノマニアックではない。食材や香辛料に凝ることもなく市販のルーを放り込むごく一般の作り方であろうと思われる。 冒頭、雨の中、主人公が食材を買って安アパ…

博奕打ち 総長賭博

★★★★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 三島由紀夫がギリシャ悲劇になぞらえて評したという…言い得て妙だ。のっぴきならないところに追い込まれて行くロジカルすぎる構成とため息の出るほどの折り目正しき格調。(cinemascape)

その土曜日、7時58分

★★★ 2008年11月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 描きたいことが終盤に差し掛かり判明するにつれ、こういう手垢の付いた多元的時制の反復は不要だったと惜しまれる。直線構造でギリシャ悲劇のようなホフマンとフィニーの対峙が見たかった。それを為し得る2人…

その木戸を通って

★★★ 2009年1月17日(土) シネリーブル梅田2 泣くにも泣けぬ持って行き場無い遣り切れなさだが、中井の人生での淡い華やぎの数年間を親世代のフランキー・井川・石坂は慈愛で見守る、その至福。日本版『心の旅路』的小世界に異論無いが、矢張りこの画質と軽…

その男ヴァン・ダム

★★★★ 2009年3月28日(土) 新世界国際劇場 虚実が混在する作劇は混沌として明快でもないが「実」の部分が決定的に泣かせる。ヴァン・ダムの本気が伝わるからだ。で、「虚」部分も結構本気だったりもするから尚嬉しい。2回の長回しを含めた銀落しシネスコ撮…

それでも恋するバルセロナ

★★★★ 2009年6月27日(土) なんばパークスシネマ6 等身大・天然・ド天然という女のサンプリングを『旅情』的シチュエーションにはめ込み動かす作者の影が消え、行きつ戻りつの惑う等身大女の心根が前面に出る意外な素直さ。そして、落としどころに垣間見る…

ゾンビ・ストリッパーズ

★★★ 2009年6月27日(土) トビタシネマ 安い序盤に辟易感があるが、ストリップ小屋に舞台が移ってからは、それなりにおもろい。ゾンビ化した女に野郎どもが興奮する理解不能の境地はズル剥け天国と頭蓋爆裂とオ○コ圧連射で無我に至る。先行したロドリゲスに…

その男、凶暴につき

★★★★ 1989年8月13日(日) 長崎東映シネマⅡ 通行人が巻き添えで撃たれるところが『フレンチ・コネクション』を想起させる以外は、快感をもたらす映画的カッティングのリズムから遠く隔たった地平で孤絶した厭世感を叩きつける。孤独な作業を全うしたたけしの妥…

卒業

★★★★ 1975年11月10日(月) 梅田地下劇場 どうしてこのプチブルガリ勉チビすけ野郎がモテモテで親子どんぶり食い放題なのか?人生の矛盾を感じつつ、しかしS&Gの感傷的なメロディをバックに流れる流麗な画面には否応なく惹きつけられた俺…未だ青かった。(…

ソルト

★★★ 2010年8月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 多くの決定的な選択を強いられる主人公の葛藤が全く描かれないので、肩入れできずにスカされる。人生を賭した全てをうっちゃるような「愛」があるなら通り一遍の描写でスルーしてほしくない。アンジーの演技…

ゾンビランド

★★★ 2010年8月13日(金) シネリーブル梅田2 メタ「ゾンビ映画」的体裁を取りながら、あんまりゾンビが活躍もせず、温いオタッキー連中の傷舐め合い的コミューンの道中記に尺を費やしフヤケている。ヘタに大風呂敷な世界観に言及しないのは正解だが幼児的マ…

それから

★★ 1985年11月30日(土) 梅田東映パラス 暗い筈の明治をこういうモダニズムでとらえることがありきたりで白けるし、シュールな意匠はオープンセットを組めない逃げにしか見えない。ガタイのでかい優作は精一杯神妙にしてみせても内省的な高等遊民とは程遠い。…

卒業白書

★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー どんなくだらない題材であろうと映画にして悪いわけではないのだが、くだらないならくだらないなりの身の振り方というものがあるわけで、馬鹿丸出しなら笑って済む。あっち側に行ききらないなら努力してでも馬鹿になれと…

ソーシャル・ネットワーク

★★★★★ 2011年1月22日(土) TOHOシネマズ梅田3 裏切りの帰結としての孤独なぞという今更テーマは眼目ではないのであろう。ヴィスコンティ以来とも思える階級社会での軋轢への俯瞰的アプローチを快楽リズムに乗った編集技巧と合致させ得た到達点。状況の…

ソング・トゥ・ソング

★★ 2020年12月26日(土) シネリーブル梅田4 タイトルの割に音楽は蔑ろである。 曲に合わせたエモーショナルな編集とかは、テレンス・マリックに端から期待もしてないが、それにしても殆ど効果音程度の扱い。 物語は女1人と男2人の3角関係、そしてその3…

象のいない動物園

★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 人間の都合で生殺与奪された動物たちは戦後混乱期の少年少女に希望や喜びを与えたのであれあば多少は報われるというのは製作した動物園の論理。木訥なタッチが人間の論理の粉飾に荷担するなら子供だって見透かすであ…

孫文の義士団

★★★ 2011年9月23日(金) 新世界国際劇場 ものすごく生真面目すぎてしんどく、情に溺れたヒロイズムにも退く。雌伏の期間のアンチドラマチックなグダグダは、成程「忠臣蔵」との類似の指摘が頷けるかったるさ。贋流役者の中の真剣ドニ-が傍流的役回りなのも…

空に住む

★★★★ 2020年10月29日(木) 大阪ステーションシティシネマ3 基本ダウナーな彼女が、映画の後半で、突如激しい感情を表出する。 一つ目は彼女が住むことになったハイタワーマンションのオーナーである叔父の嫁が、部屋に勝手に入ってくることへの怒り。 二つ…

ソワレ

★★★ 2020年8月29日(土) テアトル梅田1 何の為に撮った映画なのかってことです。 主人公がオレオレ詐欺の受け子をしてる場面から始まり、ヒロインは父親からの性的虐待を受けて育って今は介護職に従事。 これらのトピックが今の世の中で目を向けねばならな…