男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【そ】

その土曜日、7時58分

★★★ 2008年11月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 描きたいことが終盤に差し掛かり判明するにつれ、こういう手垢の付いた多元的時制の反復は不要だったと惜しまれる。直線構造でギリシャ悲劇のようなホフマンとフィニーの対峙が見たかった。それを為し得る2人…

その木戸を通って

★★★ 2009年1月17日(土) シネリーブル梅田2 泣くにも泣けぬ持って行き場無い遣り切れなさだが、中井の人生での淡い華やぎの数年間を親世代のフランキー・井川・石坂は慈愛で見守る、その至福。日本版『心の旅路』的小世界に異論無いが、矢張りこの画質と軽…

その男ヴァン・ダム

★★★★ 2009年3月28日(土) 新世界国際劇場 虚実が混在する作劇は混沌として明快でもないが「実」の部分が決定的に泣かせる。ヴァン・ダムの本気が伝わるからだ。で、「虚」部分も結構本気だったりもするから尚嬉しい。2回の長回しを含めた銀落しシネスコ撮…

それでも恋するバルセロナ

★★★★ 2009年6月27日(土) なんばパークスシネマ6 等身大・天然・ド天然という女のサンプリングを『旅情』的シチュエーションにはめ込み動かす作者の影が消え、行きつ戻りつの惑う等身大女の心根が前面に出る意外な素直さ。そして、落としどころに垣間見る…

ゾンビ・ストリッパーズ

★★★ 2009年6月27日(土) トビタシネマ 安い序盤に辟易感があるが、ストリップ小屋に舞台が移ってからは、それなりにおもろい。ゾンビ化した女に野郎どもが興奮する理解不能の境地はズル剥け天国と頭蓋爆裂とオ○コ圧連射で無我に至る。先行したロドリゲスに…

その男、凶暴につき

★★★★ 1989年8月13日(日) 長崎東映シネマⅡ 通行人が巻き添えで撃たれるところが『フレンチ・コネクション』を想起させる以外は、快感をもたらす映画的カッティングのリズムから遠く隔たった地平で孤絶した厭世感を叩きつける。孤独な作業を全うしたたけしの妥…

卒業

★★★★ 1975年11月10日(月) 梅田地下劇場 どうしてこのプチブルガリ勉チビすけ野郎がモテモテで親子どんぶり食い放題なのか?人生の矛盾を感じつつ、しかしS&Gの感傷的なメロディをバックに流れる流麗な画面には否応なく惹きつけられた俺…未だ青かった。(…

ソルト

★★★ 2010年8月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 多くの決定的な選択を強いられる主人公の葛藤が全く描かれないので、肩入れできずにスカされる。人生を賭した全てをうっちゃるような「愛」があるなら通り一遍の描写でスルーしてほしくない。アンジーの演技…

ゾンビランド

★★★ 2010年8月13日(金) シネリーブル梅田2 メタ「ゾンビ映画」的体裁を取りながら、あんまりゾンビが活躍もせず、温いオタッキー連中の傷舐め合い的コミューンの道中記に尺を費やしフヤケている。ヘタに大風呂敷な世界観に言及しないのは正解だが幼児的マ…

それから

★★ 1985年11月30日(土) 梅田東映パラス 暗い筈の明治をこういうモダニズムでとらえることがありきたりで白けるし、シュールな意匠はオープンセットを組めない逃げにしか見えない。ガタイのでかい優作は精一杯神妙にしてみせても内省的な高等遊民とは程遠い。…

卒業白書

★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー どんなくだらない題材であろうと映画にして悪いわけではないのだが、くだらないならくだらないなりの身の振り方というものがあるわけで、馬鹿丸出しなら笑って済む。あっち側に行ききらないなら努力してでも馬鹿になれと…

ソーシャル・ネットワーク

★★★★★ 2011年1月22日(土) TOHOシネマズ梅田3 裏切りの帰結としての孤独なぞという今更テーマは眼目ではないのであろう。ヴィスコンティ以来とも思える階級社会での軋轢への俯瞰的アプローチを快楽リズムに乗った編集技巧と合致させ得た到達点。状況の…

ソング・トゥ・ソング

★★ 2020年12月26日(土) シネリーブル梅田4 タイトルの割に音楽は蔑ろである。 曲に合わせたエモーショナルな編集とかは、テレンス・マリックに端から期待もしてないが、それにしても殆ど効果音程度の扱い。 物語は女1人と男2人の3角関係、そしてその3…

象のいない動物園

★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 人間の都合で生殺与奪された動物たちは戦後混乱期の少年少女に希望や喜びを与えたのであれあば多少は報われるというのは製作した動物園の論理。木訥なタッチが人間の論理の粉飾に荷担するなら子供だって見透かすであ…

孫文の義士団

★★★ 2011年9月23日(金) 新世界国際劇場 ものすごく生真面目すぎてしんどく、情に溺れたヒロイズムにも退く。雌伏の期間のアンチドラマチックなグダグダは、成程「忠臣蔵」との類似の指摘が頷けるかったるさ。贋流役者の中の真剣ドニ-が傍流的役回りなのも…

空に住む

★★★★ 2020年10月29日(木) 大阪ステーションシティシネマ3 基本ダウナーな彼女が、映画の後半で、突如激しい感情を表出する。 一つ目は彼女が住むことになったハイタワーマンションのオーナーである叔父の嫁が、部屋に勝手に入ってくることへの怒り。 二つ…

ソワレ

★★★ 2020年8月29日(土) テアトル梅田1 何の為に撮った映画なのかってことです。 主人公がオレオレ詐欺の受け子をしてる場面から始まり、ヒロインは父親からの性的虐待を受けて育って今は介護職に従事。 これらのトピックが今の世の中で目を向けねばならな…

やさぐれ姐御伝 総括リンチ

★★★ 2020年8月23日(日) 新世界東映 シネスケで評価が異様に高いので、相当に振り切れたものを期待してたのだが、そうでもなかった。「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」なる映画のシリーズ2作目だそう。 女侠映画のエロバージョン的な制作意図なんだろうが、それで…

白薔薇学園 そして全員犯された

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 ただただ女を犯しまくるという全く無意味な設定をコメディ色で味付けし、ひたすらに突っ走る。アナーキーだと思う。職人小原のウェルメイドを港雄一の怪演が穿つ。しかし、定型に収束する。三崎奈美も良いだけに惜しい。(…

その手に触れるまで

★★★★ 2020年6月20日(土) テアトル梅田1 イスラム教について大して知っているわけでもないのだが、原理主義的な先鋭が非イスラムの社会と軋轢を深める中で排他的なテロリズムと接続していく状況を改めて考えさせる映画だ。 ダルデンヌ兄弟は、イスラムを否…

その夜の侍

★★★ 2012年11月24日(土) 梅田ブルク7シアター6 予断を許されぬ、曰く言い難い変質味を湛えた夢幻的展開だが、終盤の帰結に決定的に失望した。知れたことを見たいわけじゃない。諦念を経た自己回復は座りは良いが釈然としない。自壊して世界を全否定する…

草原の椅子

★★★ 2013年3月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 巧く廻らない人生に於いて、今一度、人間関係を形式から整えることでリスタートしてみればという提言であり、夫婦と親子と友人が新たに形成されるのだが、今の時代、この衒いの無さは寧ろ有りではと…

ゾンビ

★★★ 2019年12月25日(水) シネリーブル梅田2 全てのゾンビ映画の頂点に立つといわれている本作だが、バージョンアップされた後年の作品群を見た目でみると、やっぱどうなんでしょうね。 だって、最近のは噛まれたら30秒もせんうちにゾンビになるし、高速…

そして父になる

★★★★★ 2013年9月29日(日) MOVIXあまがさき6 1人の父親の子どもとの或いは社会との親和性の喪失と再構築の物語で、極限化された快楽システムに疑問を呈し、時には自壊する必要性を問うている。それだから終盤の父子の移動シーンは複層的に涙なしには…

ソルジャー

★★★ 2013年9月28日(土) トビタシネマ けっこう性欲に悶々とするあたり、「ソルジャー」として未熟なのではと思ったりするが、作り手はそこは適当に流してる。明らかに『T2』以降の寄せ集めの傍流作であり、多くの類似品と差異は無いが、カート・ラッセル…

遭難者

★★★★ 2013年12月14日(土) 梅田ガーデンシネマ1 カウリスマキ的キャラとズレた会話の間合いも申し分なくオモロイのだが、どうもそれだけではなさそうだ。諧謔や皮肉や詠嘆や諦念に留まらない何か世界が反転するような予兆を秘めている。そういう意味ではブ…

草原の輝き

★★★★ 1981年9月5日(土) 毎日文化ホール 50年代作家カザンのファザコン&マザコン絡みの「青春の悶々」には又かと思うが60年代的美男美女のベイティ&ウッドを配して新味を出しカウフマンのカラーが又絶品で一種の総括的名篇となった。青春の終焉に万感を…

早熟のアイオワ

★★★ 2014年2月22日(土) シネリーブル梅田1 手前味噌な自伝という印象も否めぬが、それでも不快ではない。なぜなら、身の丈に合う世界で慎ましやかでも真摯に生きることに意味を見出そうとしているから。ジェニファーの健康体だが心はやさぐれてる風情が男…

それでも夜は明ける

★★★★ 2014年3月9日(日) 大阪ステーションシティシネマ1 殊更にスキャンダラスなわけでもない。虐げる側の者たちを概ね葛藤して心を病む者として描いた点が新しくもあり性善説に立ち過ぎる気もする。その胡散臭さを対象を見つめる演出の腰の据わりの真摯が…

そこのみにて光り輝く

★★★★★ 2014年4月26日(土) テアトル梅田1 人は救い難い状況の人たちに接することはあっても寄り添い続けることはできない。綾野のトラウマは方便としの機能しか為さぬがそれでもいいのだ。一方で姉弟の映画として一切の直載な会話を廃し尚切ないまでの想い…