男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【そ】

ソルト

★★★ 2010年8月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 多くの決定的な選択を強いられる主人公の葛藤が全く描かれないので、肩入れできずにスカされる。人生を賭した全てをうっちゃるような「愛」があるなら通り一遍の描写でスルーしてほしくない。アンジーの演技…

ゾンビランド

★★★ 2010年8月13日(金) シネリーブル梅田2 メタ「ゾンビ映画」的体裁を取りながら、あんまりゾンビが活躍もせず、温いオタッキー連中の傷舐め合い的コミューンの道中記に尺を費やしフヤケている。ヘタに大風呂敷な世界観に言及しないのは正解だが幼児的マ…

それから

★★ 1985年11月30日(土) 梅田東映パラス 暗い筈の明治をこういうモダニズムでとらえることがありきたりで白けるし、シュールな意匠はオープンセットを組めない逃げにしか見えない。ガタイのでかい優作は精一杯神妙にしてみせても内省的な高等遊民とは程遠い。…

卒業白書

★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー どんなくだらない題材であろうと映画にして悪いわけではないのだが、くだらないならくだらないなりの身の振り方というものがあるわけで、馬鹿丸出しなら笑って済む。あっち側に行ききらないなら努力してでも馬鹿になれと…

ソーシャル・ネットワーク

★★★★★ 2011年1月22日(土) TOHOシネマズ梅田3 裏切りの帰結としての孤独なぞという今更テーマは眼目ではないのであろう。ヴィスコンティ以来とも思える階級社会での軋轢への俯瞰的アプローチを快楽リズムに乗った編集技巧と合致させ得た到達点。状況の…

ソング・トゥ・ソング

★★ 2020年12月26日(土) シネリーブル梅田4 タイトルの割に音楽は蔑ろである。 曲に合わせたエモーショナルな編集とかは、テレンス・マリックに端から期待もしてないが、それにしても殆ど効果音程度の扱い。 物語は女1人と男2人の3角関係、そしてその3…

象のいない動物園

★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 人間の都合で生殺与奪された動物たちは戦後混乱期の少年少女に希望や喜びを与えたのであれあば多少は報われるというのは製作した動物園の論理。木訥なタッチが人間の論理の粉飾に荷担するなら子供だって見透かすであ…

孫文の義士団

★★★ 2011年9月23日(金) 新世界国際劇場 ものすごく生真面目すぎてしんどく、情に溺れたヒロイズムにも退く。雌伏の期間のアンチドラマチックなグダグダは、成程「忠臣蔵」との類似の指摘が頷けるかったるさ。贋流役者の中の真剣ドニ-が傍流的役回りなのも…

空に住む

★★★★ 2020年10月29日(木) 大阪ステーションシティシネマ3 基本ダウナーな彼女が、映画の後半で、突如激しい感情を表出する。 一つ目は彼女が住むことになったハイタワーマンションのオーナーである叔父の嫁が、部屋に勝手に入ってくることへの怒り。 二つ…

ソワレ

★★★ 2020年8月29日(土) テアトル梅田1 何の為に撮った映画なのかってことです。 主人公がオレオレ詐欺の受け子をしてる場面から始まり、ヒロインは父親からの性的虐待を受けて育って今は介護職に従事。 これらのトピックが今の世の中で目を向けねばならな…

やさぐれ姐御伝 総括リンチ

★★★ 2020年8月23日(日) 新世界東映 シネスケで評価が異様に高いので、相当に振り切れたものを期待してたのだが、そうでもなかった。「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」なる映画のシリーズ2作目だそう。 女侠映画のエロバージョン的な制作意図なんだろうが、それで…

白薔薇学園 そして全員犯された

★★★ 1982年7月5日(月) ダイニチ伊丹 ただただ女を犯しまくるという全く無意味な設定をコメディ色で味付けし、ひたすらに突っ走る。アナーキーだと思う。職人小原のウェルメイドを港雄一の怪演が穿つ。しかし、定型に収束する。三崎奈美も良いだけに惜しい。(…

その手に触れるまで

★★★★ 2020年6月20日(土) テアトル梅田1 イスラム教について大して知っているわけでもないのだが、原理主義的な先鋭が非イスラムの社会と軋轢を深める中で排他的なテロリズムと接続していく状況を改めて考えさせる映画だ。 ダルデンヌ兄弟は、イスラムを否…

その夜の侍

★★★ 2012年11月24日(土) 梅田ブルク7シアター6 予断を許されぬ、曰く言い難い変質味を湛えた夢幻的展開だが、終盤の帰結に決定的に失望した。知れたことを見たいわけじゃない。諦念を経た自己回復は座りは良いが釈然としない。自壊して世界を全否定する…

草原の椅子

★★★ 2013年3月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 巧く廻らない人生に於いて、今一度、人間関係を形式から整えることでリスタートしてみればという提言であり、夫婦と親子と友人が新たに形成されるのだが、今の時代、この衒いの無さは寧ろ有りではと…

ゾンビ

★★★ 2019年12月25日(水) シネリーブル梅田2 全てのゾンビ映画の頂点に立つといわれている本作だが、バージョンアップされた後年の作品群を見た目でみると、やっぱどうなんでしょうね。 だって、最近のは噛まれたら30秒もせんうちにゾンビになるし、高速…

そして父になる

★★★★★ 2013年9月29日(日) MOVIXあまがさき6 1人の父親の子どもとの或いは社会との親和性の喪失と再構築の物語で、極限化された快楽システムに疑問を呈し、時には自壊する必要性を問うている。それだから終盤の父子の移動シーンは複層的に涙なしには…

ソルジャー

★★★ 2013年9月28日(土) トビタシネマ けっこう性欲に悶々とするあたり、「ソルジャー」として未熟なのではと思ったりするが、作り手はそこは適当に流してる。明らかに『T2』以降の寄せ集めの傍流作であり、多くの類似品と差異は無いが、カート・ラッセル…

遭難者

★★★★ 2013年12月14日(土) 梅田ガーデンシネマ1 カウリスマキ的キャラとズレた会話の間合いも申し分なくオモロイのだが、どうもそれだけではなさそうだ。諧謔や皮肉や詠嘆や諦念に留まらない何か世界が反転するような予兆を秘めている。そういう意味ではブ…

草原の輝き

★★★★ 1981年9月5日(土) 毎日文化ホール 50年代作家カザンのファザコン&マザコン絡みの「青春の悶々」には又かと思うが60年代的美男美女のベイティ&ウッドを配して新味を出しカウフマンのカラーが又絶品で一種の総括的名篇となった。青春の終焉に万感を…

早熟のアイオワ

★★★ 2014年2月22日(土) シネリーブル梅田1 手前味噌な自伝という印象も否めぬが、それでも不快ではない。なぜなら、身の丈に合う世界で慎ましやかでも真摯に生きることに意味を見出そうとしているから。ジェニファーの健康体だが心はやさぐれてる風情が男…

それでも夜は明ける

★★★★ 2014年3月9日(日) 大阪ステーションシティシネマ1 殊更にスキャンダラスなわけでもない。虐げる側の者たちを概ね葛藤して心を病む者として描いた点が新しくもあり性善説に立ち過ぎる気もする。その胡散臭さを対象を見つめる演出の腰の据わりの真摯が…

そこのみにて光り輝く

★★★★★ 2014年4月26日(土) テアトル梅田1 人は救い難い状況の人たちに接することはあっても寄り添い続けることはできない。綾野のトラウマは方便としの機能しか為さぬがそれでもいいのだ。一方で姉弟の映画として一切の直載な会話を廃し尚切ないまでの想い…

人生劇場 続・飛車角

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 義を通すと同等に情を重んじる。倫理観が男尊的であることを差し引いても尚惻惻と沁み入る鶴田の口跡の絶品。佐久間2役も如何わしさを帯びつつ刹那感を弥増させる。沢島演出は技巧を抑制し尚絶好調だが、満州パートが…

ソフィーの選択

★★★★ 2018年11月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 見終わって製作年度を調べたら「シンドラーのリスト」より10年前だった。 であれば、このアウシュビッツの描写は衝撃だったと思われる。 どういう映画か、あまり知らずに見た。 で、必然的にか…

ソニはご機嫌ななめ

★★★★★ 2014年9月6日(土) シネマート心斎橋2 短気な自己チューで倫理観低そな彼女だが、一方で酒付き合いだけは良く止め処ないグダ喋りにも延々付き合ってくれてエッチ障壁も低い。そういうピンポイントのホン・サンス的理想に激しく同調する。ラストの鉢…

その後の仁義なき戦い

★★ 1980年9月27日(土) 毎日ホール 役者は揃ったが、組織の川下で青春ものめいた友情とかをチンタラやってるだけで包括的な組織論に波及しないのでは「仁義なき戦い」の冠が泣く。笠原イズムはもっとドライでクールであった筈。工藤演出もTVの段取り感が抜…

それから

★★★ 2018年6月22日(土) シネリーブル梅田4 刹那な時間(1日)が何か決定的な刻印を記憶に残す。 こういうのは、ウォン・カーウァイ的なコンセプトなのであって、ホン・サンス的ではないように思える。 しかも、彼女にとって、それがそれほどに印象的な1日…

空飛ぶタイヤ

★★★★ 2018年6月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 池井戸潤の小説は読んだことがない。 TVで「半沢直樹」や「下町ロケット」も見たことがない。 家にいると家族が見ていたから、まったく見なかったわけではないが、全然ちゃんと見ていない。 正直…

ソロモンの偽証 後篇・裁判

★★★★★ 2015年4月17日(金) 梅田ブルグ7シアター7 屈曲し逸脱し行く展開を力技とも言える藤野の正論で引き戻す確信ぶりにドーパミンが年甲斐もなく溢れ出した。これは91年以降の喪われた20年が経済の停滞のみならず多くの掛け替え無い人心の有り様を磨…