男の痰壺

映画の感想中心です

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャッジ・ドレッド

★★★★ 2013年9月14日(土) 新世界国際劇場 スローモーなるドラッグの幻視効果を執拗に描いて、そのハイスピード撮影が人体破壊に敷衍するあたり、この際どい専制題材を描くに毒をもって制する感がある。設定の空間限定の閉塞は容赦の無さによって破砕され、…

悪女軍団

★★★ 1981年10月25日(日) ダイニチ伊丹 東映ピンキーバイオレンス的鈴木節を日活ロマンポルノの枠組みで再構築したおかげで、エロ枷が取れてサバケた開放感がありカラリと晴れ上がったかの如く爽快である。乗りに乗る3女優を前に小沼演出も耽美派の旗を降ろ…

宮本から君へ

★★★★ 2019年9月27日(金) 梅田ブルク7シアター2 原作漫画は未読だし、TVドラマも未見なので、この映画のテイストが原作と違うのかは判断できません。 が、劇場で予告篇を何度か見て見たいなとは思っていた。 そこから受ける印象は、ハイテンション野郎…

地獄でなぜ悪い

★★★★ 2013年9月28日(土) 梅田ブルク7シアター6 自己愛に塗れた耐え難いテーマで、設定も後付け丸出しだ。園子温が10年前に撮ってたら臭くて見れなかったろうが、20年前の『自転車吐息』の初々しさを強引に俎上に乗せ『熱帯魚』な東映イズムで料理し…

シュロック

★ 1981年7月25日(土) 三越劇場 当時、日本の片田舎にだってブルース・リーや優作の真似事をしたくって、そんなバカみたいなことに明け暮れていた野郎どもは自主映画世界には山ほどいたのであって、こんなもん金取って見せるものではないと思った。パロディと…

記憶にございません!

★★★ 2019年9月24日(火) TOHOシネマズ梅田2 何か期待してたわけでもないんだが、それでもあんまりだと思った。 俺は、三谷幸喜に好意的な男である。あの、総すかんを食った「ギャラクシー街道」でさえ★★★★をつけたほどにだ。 でも、大きな岐路に立って…

死霊館

★★★ 2013年10月21日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 のっけから霊媒夫婦を登場させ、被害者一家と並置して物語を展開することにより、冷めた客観性を獲得している。70年代を再現する意匠の数々も慎み深く、又一家の子供が5人姉妹というのがミソで…

貝殻と僧侶

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 跳躍するイメージが相剋するか新たな何かを産みだすかでなく並置されるだけで面白くない。その上にシークエンスが無駄に長く冗長。半分に切っても問題ない気がする。黎明期のアヴァンギャルドの初作として刻印された史的…

ドッグマン

★★★ 2019年9月18日(水) テアトル梅田2 曇天と泥濘の暗鬱な風景と陰惨な物語。 ってのは大好きなんですが、これは余りに単線構造すぎて激しく物足りなかった。 言わば、窮鼠猫を咬むの物語で、それ以上でも以下でもない。 冒頭、獰猛な大型犬の体を洗って…

テイカーズ

★★★★ 2013年9月28日(土) トビタシネマ 正直少々イラつく編集なのだが、錯綜する展開を規定に沿って収束させずに混迷に委ねたかのような帰結に新味を覚えた。非情と裏切りとモラリズムが混在し鯔背であることが必然である世界を等身大で描き得ている。新旧…

戦争と人間 完結篇

★★★ 1981年8月7日(金) 日劇会館 三部作の中では一応見所が多い。ノモンハン事件の再現は必要だったのだろうし、当時の日活が成し得る最大限のスケールであったのだろうにしても、つまらない。終末へ向かっての激動の中、夏純子扮する中国人少女の生命力が一…

タロウのバカ

★★★★ 2019年9月18日(水) テアトル梅田2 大森立嗣が最初期の頃に書いた脚本だそうな。 ここんとこ柄でないジャンルに挑んで失敗した(あくまで俺の感想です)彼が渾身の企画に対して半端ない覚悟で臨んだ節が伺える。 新たに加筆されたという冒頭の障碍者…

タンゴ・リブレ 君を想う

★★★ 2013年10月26日(土) テアトル梅田2 3角関係が4角になる話なのだが、どうにも脚本を書いた主演女優の脳内妄想めいている。女は中心でチヤホヤ&ハッピーなのかも知れんが男はたまったもんじゃねえわな。カリスマダンサーチチョ&パブロも単に出ただ…

忍術キートン

★★★★★ 1981年7月4日(土) 毎日文化ホール 時制と空間を支配しようとする強固な意志とそれを為し得る技と力。勃興期の映画の数万哩先に数十年早く到達した奇跡。見たときは捜し物を見つけた気がした。問答無用なテンポの快感に末梢神経の先まで覚醒させられる…

帰れない二人

★★★★ 2019年9月18日(水) シネリーブル梅田4 2001年から2017年。 山西省から重慶、新疆ウイグル自治区から山西省。 とジャンクーが拘る時間と空間が移ろう構成になっていて、その中で劇的に変わり行く中国の様相が点描される。特に重慶・奉節の場…

野蛮なやつら SAVAGES

★★★ 2013年10月12日(土) 新世界国際劇場 どうにもオリバー・ストーンの中腰スタンスが半端で乗り切れない。『Uターン』の頃と変わってない生温さ。野蛮は狂気にクソはど腐れに昇華しきれない。半チクヤッピーギャングが痛い目に合いそで合わない生半可で…

ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

★★★1981年6月21日(日) 池田中央第二映劇 俎上に乗せられたのが数多あるオムニバス形式のイタリア製艶笑コメディだとは推察されるが、充分に咀嚼し薬味を加味して出てきたものとも思えない。要はパロディにもなってないし、ストレートに見るなら大して笑えな…

スタートアップ・ガールズ

★★★ 2019年9月17日(火) TOHOシネマズ梅田10 起業家の話だそな。って時点で全然見る気がおきない。 今、若いもんにとって企業って、どういうイメージなのかといえば、ITとコンサル系なのであって、もの作って売るってイメージではないんですなあ。 …

危険なプロット

★★★★ 2013年10月26日(土) テアトル梅田1 虚実ない交ぜの語り口が流麗で闊達なのとプチブル夫妻を主人公に置いた点でアレンのようだという言説は免れないが、パゾリーニ的トリックスターを混入させ撹乱する。途中まで圧倒的におもろいのだが、終盤はどうに…

愛と希望の街

★★★★ 1981年6月20日(土) 今津文化 1983年12月11日(日) 伊丹ローズ劇場 殊更に斬新な主張があるわけでもないのだが、それでも別格的な印象を受けるのは、作り手の強固な意志の存在が抜きんでているからだ。人間感情の曖昧なロジックではなく幾何学的論理性の…

荒野の誓い

★★★★ 2019年9月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 物語を転がす便が甘いとは思う。 先住民を蛇蝎のごとくに憎み殺しまくってきた男と亭主と幼い娘3人を先住民になぶり殺しにされた女。 彼らは老いたシャイアン族の族長を故郷の居留地へ送り届ける旅路に帯…

恋するリベラーチェ

★★★ 2013年11月6日(水) MOVIXあまがさき11 デイモンのナイスなイカガワシさも、ダグラスのきみまろ的オバン殺しパフォーマンスの圧倒に消し飛ぶ開巻20分だが、何が繰り広げられるのかの期待は徐々に萎み始める。普通やん…ってこと。バックステー…

用心棒

★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 一塵の風と共に仲代登壇以降はヒリヒリする腹の探り合いが物語を引き締めるのだが、相対する勢力のバカさが黒澤流カリカチュアの形骸を露呈する。切り落とされた腕を犬が銜えて走る町にしては荒みが足りないのだ。既…

台風家族

★★★★★ 2019年9月11日(水) TOHOシネマズ梅田7 どういうめぐりあわせか知らんが、市井昌秀の映画はなぜか初期の「無防備」を含めてほぼ見ている。 「ハルチカ」なんていう少女コミック原作のジャニーズの男が主演している映画なんて、狭いキャパの劇場…

恋の渦

★★★★★ 2013年10月26日(土) シネリーブル梅田1 限定空間でのエクストリーム下衆同士の駆け引きと騙し合いの応酬が飽くことなくリニューアル版『しとやかな獣』めき、入念な下準備とデジタルを利したマルチカメラの使用で短期日で一気に仕上げた凝縮は新世…

ダーク・スター

★★★ 1981年7月25日(土) 三越劇場 コメディとシリアスの狭間を曖昧に浮遊する物語の流れが計算づくなのではなく、作家的成熟度の低さと予算の無さに因るものと見えてしまう。微妙にオモロイが微妙に侘しい。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.com

サンセット物語

★★★★ 2019年9月8日(日) プラネットスタジオプラス1 ロバート・マリガンの「地名+物語」3部作の掉尾を飾る。 なんてのは嘘で、「アラバマ物語」があたら名作になっちまったので日本の配給会社がテキトーにつけたタイトルだろう。尚、もう1本は「マンハ…

2ガンズ

★★★ 2013年11月7日(木) 大阪ステーションシティシネマ2 デンゼル&マークの掛け合いは、その芸暦が醸す余裕と予断を許さぬ剣呑さにおいて当代最高ランクのバディムービーの予兆を孕むが、展開がどうにもあかん。所詮内輪もめやんか的閉じたしみったれ顛末…

春婦伝

★★ 1981年10月31日(土) 関西学院大学学生会館大ホール 土台ちゃんとした物語なのだから、いじくる必要もないのに、いじくってしまったケレンが煩わしくさえある。清順流の繋ぎは時と場所を選ぶと言うことじゃなかろうか。場末的廉価感は的を射るにはターゲッ…

ブラインドスポッティング

★★★★ 2019年9月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ラップっていえば、なんだか韻を踏んだお経か呪文に聞こえて、てんで興味がわくもんでもなかったのだが、この映画で初めてラップとは何かを教えられた気がする。 ラップ勃興期を描いた「ストレイト…